インタビュー:佐野元春(Page3)

2007年7月6日 (金)

佐野元春インタビュー
 
リスナーからの質問にアーティストが答えてくれる!
【Hear My Voice:佐野元春】
 
 今回のHMVオンライン佐野元春『Coyote』インタビューにあたり、HMVモバイル内のコミュニティサイト【Hear My Voice】と連動し、「リスナーの皆さんから佐野元春への質問募集」企画を実施!

たくさん届いた質問に対して時に真剣に、時に意外なエピソードを交えながらあの独特の言いまわしで答えてくれた佐野元春
一つひとつの質問に考え込むその姿に、25年以上にもわたって新しい表現に挑戦しつづける"アーティスト佐野元春"の真摯な姿勢を垣間見ることができました。

投稿をいただいた皆さん、ありがとうございました!

※本名で質問投稿いただいた方のお名前はイニシャル表記させていただいております。ご了承下さい。

 

 
 

■今回のアルバム「コヨーテ」について、佐野さんは『ファンにとって「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」以来のスリリングな体験になる。』と言われました。僕は「ナポレオン」アルバムは80年代の日本の音楽シーンにおいて、最高と断言できる作品だと思っています。今回そんな「ナポレオン」に引けを取らない素晴らしい作品が生まれた、もしくは生まれると確信されたのはいつでしょうか?
(Iさん)

佐野:ありがとう。まぁ、自分で傑作を創ろうなんて思ってできたためしは一度も無い。そして、傑作かどうかはファンが決めてくれるんですね。しかしレコーディングをしながら自分がやっていることを見て、焦点が合っているかどうか、そういうものは今回の場合は非常にぶれずに制作の最初から終わりまで一貫してたな。それはリリックにしてもそうですし、サウンドにしても、サウンドのデザインにしてもそうですし、一貫してたというのは、これまでの僕のアルバムのなかでいってもピカイチじゃないかな。まぁ、リリースしたあとね、多くの聴いてくれた方々から「よい出来だ」って言われて納得しているとこですね。

 
 
 

■ iTunes 版も購入したのですが、 Mix はおなじですか?
(Sさん)

佐野:うん、 mix はおなじ。ただ CD の方と両方ともマスタリング後の音ですけれども、ご存知のとおりダウンロード版に関しては圧縮がはいってますから、耳の良い方はね、 CD のサウンドと若干違うなって感じる方もいるとおもう。まあ、音が悪いぶんちょっと安いんだよ ( 一同笑 ) 。

ただその内容がね、僕の詞の内容とか歌の内容が値段に応じて低く聴こえちゃうかというと、そんなことはないと思う。そこは作品だよね。昔で言えばカセットにダビングして、その音楽を聴いても曲の価値みたいなものが低く聴こえたということはないよね。それはもうリスナーの楽しみ方次第だよね。

 
 
 

アルバム COYOTEの主人公「コヨーテ男」。佐野さん自身もし似ているところがあるとすれば、それはどんなところですか?
(Live onさん)

佐野:そうだねぇ、あのー .... あんまり一生懸命になって時々法律を踏み外しちゃうことがある。そこが似てますね。

スタッフ: ... 別に法律は踏み外してないじゃないですか!踏み外しちゃったらまずいですよ ( 笑 ) 。
 
 
 

■渋谷 duo でのライブで、パーカッションでお見かけした大井 ' スパム ' 洋輔氏ですが、この作品では、 Co-Produce とクレジットされてて、「呼吸」ではドラムスも担当されてます。一体どういう方なのか、詳しく知りたいです。ベースもドラムスも何でもできる方だそうですが、これからもライブにも参加されるのでしょうか?
(Fさん)

佐野:このところの僕の音楽制作のパートナーですね。よいプレイヤーでもあり、よいテクニシャンでもある。最近の音楽制作の現場ではデジタルなアプローチが主流になってきて、そのテクニックの部分において " スパム " 君、彼は今回おおきく貢献してくれましたね。彼は素晴らしい。

 
 
 

『コヨーテ、海へ』の Spoken Words を井上鑑さんのイベントで聴いた時、とても印象深く、早くアルバムが聴きたくてたまらない衝動にかられました。やっと聴けたアルバムの『コヨーテ、海へ』も、すごく良いです!。繰り返し聴いています。でもファンとしては欲張りにも Spoken Words の『コヨーテ、海へ』もいつでも、聴ける作品として出していただきたのですが、いかがでしょう?
(Sさん)

佐野:ああ、コアなファンの方ですね。僕のこうしたポップ作品とは別にもうひとつの自分の取り組みである spoken Words のライブなどを観てくれている方ですね。その関連のニュースでいうと、 この夏に幻冬社というところから Spoken Words に関連した僕の書籍が出ます。 90 年代に僕は雑誌を編集していて、 This というタイトルの雑誌なんですけれども、 50 年代に活躍したビートジェネレーションの作家たちにインタビューしたテクスト、それをひとつにまとめた単行本として刊行します。ビートとかビートジェネレーション、そうしたことに興味がある方たちにとっても、よい本になればいいと思います。

それと同時にソニーミュージックダイレクトから、 80 年代からずーっと続いている僕の Spoken Words の取り組み、「エレクトリックガーデン」から「 In Motion 」につながるこの音楽作品をひとまとめにしたコンピレーションが出るんですね。これが 9 月かな。

ですので、こうしたポップ表現とは別の spoken Words の取り組みが書籍として、音楽 CD としてリリースされるのでぜひこの方にはそれをチェックしていただきたいですね。
 
 

 上で触れられているポエトリー作品というのが、9月12日にリリースが決定した『Electric Garden』。80年代にリリースされた伝説的なカセットブックと同名のこのCD+DVD作品、音源は2000年12月に、デビュー20周年記念の生産限定盤でリリースされた「Spoken Words 〜Collected Poems1985-2000」(全15曲)と同内容、映像は2003年11月に鎌倉芸術館で行われたライヴ「In Motion 2003 -増幅」の映像を初商品化したものが収録されています。

 
 
 

佐野さんにとって歳をとるということはどういう意味?
(Tさん)

佐野:意味なんか無いよ。そして男には何度でも思春期がくる。

 
 
 

デビュー当時の佐野さんが、今回の新作を聴いたらなんと答える思いますか?
(Fさん)

佐野:不思議に思われるかもしれないんですけど、自分が過去に書いた曲ありますよね?これ古いと思ってないです。ですので、今回のコヨーテの曲と『 Someday 』『 Visitors 』の曲をならべたときに、僕の中では時代的な背景というのは無いんですね。上手く説明できない、抽象的な答えかもしれないんだけれども、デビューしたときの僕はもうすでに何年後か先にこの「 Coyote 」アルバムを作る事を予感してた。だからあえてその質問に答えるとしたら「ようやくできて良かったね」。

 
 
 

■ 佐野さん、コヨーテはぼくにとって泣けて泣けて仕方ないアルバムでした。私生活はいつも謎に包まれている佐野さんですが、最近恋はしていますか?
(Kさん)

佐野:ナゾはナゾのまま。

 
 
 

コヨーテ、素晴らしいアルバムだと思います。佐野さんご自身『コヨーテは頂(いただき)だ』という主旨のことをウェブサイトでおっしゃっていましたね。これまでも素晴らしいアルバムをたくさん発表されてきて、『これ以上のものはできないのではないか』と思ったことがあったかと思います。どうやってその思いや次作へのプレッシャーを払拭してきましたか?
(オーシャンボブさん)

佐野: ... うーん、そうね。「よく寝てよく泳ぐ」ですかね。そうすると克服できるんですよ ( 笑 ) 。

スタッフ:体の代謝も含めて?

佐野:考えすぎるとよくない。だから考えすぎてるときには、カラダを先に行かせるってことかな。「動きながら考える」っていう感じかな。そうすると案外次の新しいアイデアが生まれてきたりしますね。
 
─続く─
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