対談:MFTM×□□□

2007年2月26日 (月)

2 月 7 日に久々の新作『 Living in the zoo 』を発売した MUSIC FROM THE MARS の中心人物、藤井友信と、 2 月 14 日にメジャー・デビュー・シングル『 GOLDEN KING 』を発表した □□□の三浦康嗣。かねてから交流のあった二人が、リリースを記念(?)し、晴れて対談を!(鍋と焼酎付き) ライヴさながら、その伸びやかなギター・ソロのように、自由に気持ちよさそうに語る藤井と、それをさながら、空間的に支えるリズム隊のように、がっちりと受け止めつつ会話のツボを押さえる三浦との、妙にして痛快な、熱い熱いインタビューとなりました。

Interview:堂前 茜

Living In The Zoo
Music From The Mars/Living In The Zoo

発売中
Music From The Mars入魂の最新作。NatsumenのA×S×E氏プロデュース!
Golden King
□□□(クチロロ)/Golden King

発売中
□□□、坂本龍一のCommmonsからリリースとなるメジャー第1弾シングル!

--マーズのアルバムが完成しましたが、三浦さんは聴いてどうでしたか。
三浦 いやー、なんて言うんだろうね。曲が凄い。1曲目(「サーカス」)に関して言えば、変拍子的なものがないじゃん? 全体的にもなんだけど。まずそれで「おっ」って思った。あとは、演奏力が上がったなって。プラス、表現力も。要は、演奏に余裕が出てきてるから、表現というか、細かいニュアンスとかも、いろいろできるようになったんだよね。
藤井 うちらはこれまでは、かなりギリギリのとこでやってたからね(笑)。パンクっぽい感じと言うか。
三浦 それはうちらも同じだ(笑)。いろいろと上達したかと思いきや、今回の曲(ニュー・シングル『GOLDEN KING』)がめっちゃ難しいからさ。でも、マーズは凄い頑張ってるなって思ったけど。そういう意味でも羨ましかったよ。
藤井 (笑)うちらなんかさ、会った時は適当な話しをしてるんだけど、お互いの音源が上がったのを聴いて「あ、頑張ってんな」ってそれぞれ思ってるよね。
三浦 「意外と頑張ってんじゃん?」みたいなね(笑)。
藤井 そうそう。でもこの前さ、「新しい」ことについて、少し話したじゃん。今のご時世、なかなか「新しい」ことをするのが難しいとかさ。
三浦 うん、話したね。
藤井 だからさ、「今、何をするか」ってことになるでしょ? で、今興味あるのは気持ち良いリズム。昔はさ、ハードロックやメタルの人って皆演奏が上手いと思ってたから、もう全部「上手いなぁ」って聴いてたけどさ、最近いろんな音楽をより聴くようになってきて。特に売れて、世界中の人が聴いてる音楽―?カーペンターズとかイーグルスとかプリンスとか日本の昔の歌謡曲含めなんだけど―?それを聴くとさ、伸び伸びしていながら同時に、押さえるとこはちゃんと押さえてるっていうか、ほんとドラムのスネアの位置とかめちゃくちゃ気持ちいいんだよね。加えて昔より耳がよくなってるからさ、「あ、このドラマー下手だったんだな」って、昔よく聴いてたのを改めて聴いて思ったりするんだよね。で、その辺を考えると、今のマーズはより―?もちろん今までの面白さや変拍子の複雑さみたいなものもやっていくけど―?「かっこよくて気持ちいい」を目指していきたいと思ってるんだよね。その辺のことが、今回のシングルには入ってると思うよ。
三浦 全部ちゃんと必然性があるんだよね。
藤井 うん。だから、前に俺らがやってたような変拍子全開なものっていうのはさ、今はもう新しい感じはしないとも思うしさ。好きだけど。
三浦 特に自分の中ではね。
藤井 で、今ちょうどそんな変換期だから、CD出したいなって。むしろこの1曲目だけを出したかったんだけど(笑)。
--そもそも、二人は最初に何がきっかけで出会ったんでしたっけ?
藤井 たまたま、クチロロのライヴを観た時に知り合ったんだよね。
三浦 そうだね、二年くらい前かな。
藤井 その時に、さっきの話の続きで言うと、最初のライヴを観た時はさ、もの凄く新しいっていうよりかは、今、頑張って歌う人っていいなって思ったんだよね。もちろん単純にいいなとも思ったし。
三浦 (笑)そうだね。
藤井 クチロロの1stを聴いた時は、その時代的にもさ、尖った感じがあったし。でもライヴでさ、バンドでさ、しかも失礼だけど、そんなに上手くない人たちとやっててさ(笑)。
三浦 (笑)ああいう人たちとやったら普通はもっと簡単な曲をやるのにね。
藤井 だけど、それを、みんな頑張ってやってて、歌も精一杯歌ってる。いいなと思ったよ。それはうちらも一緒なんだけど(笑)。
三浦 そうだね、その辺は似てるね。
藤井 やっぱりさ、その時その時に、精一杯やらないとだめじゃない? さっき「余裕」って言ったけど、その辺ってさ、今までは「力む」ことが精一杯だったのが、今では、「ここに置きたい」とか「ここで弾けたい」とか、とギター・ソロでも速いなら速いでメリハリを持たせようとかさ、できるようになったのはあるけど、精一杯さには変わりないし。まぁ普通逆なのかなとも思うけど。
--その辺のチャレンジ精神というか、精一杯さは似てますよね。
三浦 普通の人からすると音楽的に退化してるのもしれないけど―?細かいほどいいっていう風にいくと―?そうじゃないんだよね。そこが面白いよね。ルーツで言えばさ、俺はヒップホップとかクラブ・ミュージックばっかりを聴いてきたんだけど、あえて「歌」をやろうと思って。しかも、自分が今まで作ってきたようなトラックに単純に歌を乗せるんじゃなく、コンポーズっていうフォーマットでやろうと思ってやったわけだけど。そうするといろいろと誤解もされるから一生懸命やってたんだけど。そのギャップが面白いんじゃないかな?とも思ったし。やったことないことをやるわけだから一生懸命になるじゃん。
藤井 まぁでも、康嗣くんのいいところは、コミュニケーション能力の高さなんだよね。
三浦 コミュニケーション能力?
藤井 うん、音楽において。やっぱり言いたいことが、比較的相手に伝わり易いと思う。
--というか、凄くよく伝わりますよね。会話一つにしても。
藤井 それはね、凄いことなんだよ(笑)。
三浦 伝えたくてしょうがないんだろうね(笑)。
藤井 (クチロロの)バンド形式を辞めたのもいいタイミングだったし。コミュニケーション能力について云えば、俺らはもっと暗いとこから始めてるからさ、それを得るまでに時間がかかった。暗いってまぁ……。
三浦 わかるわかる。クラブ・ミュージックってさ、もっと肉体的なとこから始まってたりするからね。ハッピーな、酒飲みながらって感じだから。
藤井 うん、そうだね。だから面白いバランスなんだよね、クチロロは。で、コミュニケーション能力も高いから、人のやりたいことも理解しやすいんじゃないかな? 俺らがホント全然演奏で表現しきれてないと思ってた時も、よく私たちのやりたい音楽の意図をわかってくれてたし。
三浦 全然面識がない時に、たまたまなんかのテレビにマーズが出てて。今のM-ONかな。それを観た時に、衝撃を受けたんだよね。その当時に、俺が思い描いてて、でも今のメンバーとか、周りに集まってる人とかが理解できなくて、技術も足りなくて、できなかったことが、完璧なバランスでできてたんだよね。
--珍しいですね、三浦さんがそういう風に思うのって。
三浦 ないでしょ? ほんとたまたまなんだけど。
藤井 そういうのをなんか最初からわかってくれてて。でさ、コミュニケーション能力がさ、うちなんて、ほんと昔はなくて、暗いからさ(笑)。まぁ最近はよくなってきてるんだけど。

続く