対談：MFTM×口口口(page2)

--（笑）バンド的に、今回はいい状態で録れましたか？
藤井　その録音した時点では、かなり。かなりっていうか、相変わらず必死だけど。一発だったし。
--A×S×Eさんがプロデュースをされていましたが、どうでしたか？
藤井　現場に持っていったアレンジだとちょっと伝わりにくいって言って、ドラムから何まで、結構変えられたりもしたんだけど（笑）、でもそれで凄くわかりやすくなった。A×S×Eさんも結局、コミュニケーション能力が高い人じゃない？　なんやかんや、ポップに落とし込めるし。NATSUMENやBOaTの時もそうだったけど。だからさ、康嗣君にしてもだけど、今回はそういう人の言うことをきいてみようと思って。
--それは新しいですね。これまでは割と、藤井さんがワンマン的に全部を決めていましたからね。
藤井　うん、好きにやってたんだけど。人の言うことをきいてみようかなと。それだけのことをできる演奏力もついてきてたと思うし。
三浦　自信が出てきたからそういうことを言われても余裕があるんだよね。
藤井　うん。自分ができないことを言われると、人って怒るじゃん？（笑）。逆ギレする。で、いろんな理屈をつけて断ろうとするけど、人が聴きたいっていうものを作ってみたいじゃない？　
三浦　そうだね。やっぱ開かれたいってことなんだよね。開かれてないと面白くないからさ。狭いとこだけでやっててもテンション上がらないし。結局それってさ、受け手なんて友達の友達レベルになっちゃうしさ。それじゃテンショ上がんないよね。でも逆に言うと、自分のこだわりっていうのもあるじゃん？　それを、最初に言ってたように、最近の売れてる音楽を聴き出すことで、「あ、別にこれはこれでいいんだ」って思えるようになってきたっていう柔軟さが出てきたことも、ちょっとは影響あるんじゃない？
藤井　そうだね。そのバランスは難しいけど。「俺はこうだから」っていうのでずっとやってると、どんどん自分の世界に入っていっちゃうからさ。それで誰にも相手にされないみたいな話になると、本末転倒だからさ。
三浦　やっぱモテたいわけだよね（笑）。
藤井　うん（笑）、聴いていただきたい。派手に聴いていただきたい。
三浦　だってどう考えてもさ、音楽を作って終わりじゃなくてさ、やっぱ世に出したいわけだからさ。ということはさ、聴かれたいんだよ。「俺を見て」って、「俺の曲を聴いて」って言ってるんだよね。だから、できるだけ、一人でも多くに聴いて欲しいよね。
藤井　うん。今俺バイトの面接とか受けたら結構いい先いくと思うんだよね（笑）。
一同　（笑）。
藤井　よくあるでしょ？　若い時ってさ、人生を語らないで語れると思ってる時っていうか。あれ、違うんだよね。第一印象の時ってさ、大事だよね。で、その後どんどん自分を出して、楽しんでいけばいいわけだから。
三浦　わかるわかる（笑）。だって、貴族じゃないからね。
藤井　で、俺らはもう30近いわけじゃない。ようやくわかってきたみたいな。
三浦　すっげー当たり前の話だけどね（笑）。
藤井　大手の会社に勤めてるような人ならとっくにわかってるよね（笑）。でも俺20歳くらいの時とか、もっとアンダーグラウンドな音楽に没頭してて、「こりゃ10年かかるな」って思ったの。やっぱその頃に憧れてた人たちって、みんな30過ぎてからやりたいことできてきてるような感じだったのね。逆に、当時25、6歳の人なんて、いくら面白いことをやってても、感覚的に全然つまんなかったからさ。売れてようが売れてなかろうがね。まぁ今聴くと、あの年代ならではのメッセージがあったんだなってわかるけど。
三浦　そういう見方ができるようになってきたってことだよね。
藤井　うん。やっぱ上手いなって思ったし。だけど、俺が憧れてたのって、やっぱ大人なんだよね。30過ぎてるようなさ。ライヴが終わった後とかも、自然に優しくてさ（笑）。だけどライヴはめちゃくちゃ凶暴で。凄くいいなって思ったの覚えてるよ。で、ここに行き着くには10年かかるなと（笑）。したらほんとに10年かかったからね（笑）。かかったっていうにはまだ恐れ多いけど。
三浦　それいい話じゃん。
--マーズは結成して10年か。クチロロとほぼ同じですね。
藤井　10年だね。97年に結成だから。うん、でも10年かかったね。大企業に就職できるようなタイプの人はさ、そんなの２３歳くらいでちゃんと出来ちゃって、お金も稼げて、それでまぁ、その後も面白いことやって食いつなげるとかやってるけど。俺23の時あんなことできないもん。今ならやるけど、喜んで。
三浦　俺は20歳とかでできるとは思ってたけど、できるっていう気持ちだけで、なんもやんないで遊んでばっかいたな。
藤井　俺も基本的には怠けものだからさ。
三浦　でも今超頑張ってんじゃん。

続く→