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許光俊 「残酷と野蛮と官能の恐るべき《ローマの祭》」

Tuesday, April 18th 2006

特別寄稿 許光俊の言いたい放題

第2回 「残酷と野蛮と官能の恐るべき《ローマの祭》」

 スヴェトラーノフの「ローマの祭」。マニアの間で幻の名演奏と垂涎の的だった演奏が、ついにというかようやく再発売されることになったという。最近では十万円近い値段で取り引きされていたというから、すさまじい。

 実際、数あるスヴェトラーノフの録音中でも、これに匹敵するものはおそらくないというほど、やりたい放題をやり尽くした演奏だ。ライヴのせいもあろう。

 まず第1楽章がすごい。ここでは、コロッセオに引き出されたキリスト教徒たちが次々と猛獣の餌食になっていく地獄絵図が描かれているのだが、スヴェトラーノフの描写は克明そのもの。金管楽器はサディスティックなまでに残酷無惨、すべてを蹴散らすかのように暴力的だ。一方、ヴァイオリンが奏でるキリスト教徒たちの祈りは濃厚にして深刻悲痛。このふたつがこれほどまでに手に汗握るような切迫感でぶつかり合った演奏は、他にないと思う。

 だが、何と言ってもフィナーレだ。始まった途端に、目を白黒させること請け合いのとんでもない音響世界である。金管楽器、打楽器、むろん弦楽器が表現力全開で迫ってくる。いかなる想像をも超えたすさまじさだが、これは聴いていない人には絶対に想像もつかない。

 妙に明るい楽想とオーケストラの響きがまったく合っていないのもおもしろい。それゆえ、グロテスクな滑稽味が出てくる。スヴェトラーノフがニヤニヤしながら指揮している姿が想像できるだろう。

 ともかく、この第4楽章は全編異常な迫力とユーモアの嵐、唖然とするような音の奔流だ。これに比べれば、チェクナボリアンやゲルギエフなど、所詮お子ちゃまが暴れているだけ、プロとアマくらいの差がある。

 残酷と野蛮と官能の限りを尽くした、音の酒池肉林と言うしかないこの演奏は、クラシック演奏史上に残る名作である。これを聴かないでスヴェトラーノフを、いやオーケストラ演奏を語ることはできないのは間違いないところだ。長らくムラヴィンスキーの「ルスランとリュドミラ」序曲がソヴィエトのオーケストラが達した極北とされてきたが、これはそれに勝るとも劣らない。

「ローマの松」の最後が聴きものであるのも言うまでもない。

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