【全曲解説】Unholy Orpheus『what is DEATH?』
2024年05月29日 (水) 20:00
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全曲解説テキスト by 紫煉(Scream/Gt)
1. what is DEATH?
実家の愛犬プクが亡くなって火葬した日のことを音楽にした。
その日は嵐で、でも彼の火葬が済んだら晴天になった。
この曲では嵐のままで終わっているけど、そのときのことを考えて作った。
いきなり悲しい話ですみません……。
デスメタルなもので……汗
最後のJillのバイオリンフレーズ、名盤を予感させる名演奏でしょ。
2. Slave Domination
SEからの一曲目ということで、勢いのあるこの曲を選んだ。
いかにも北欧のメロディックデスメタルの影響が強い曲調かな。
でもUnholy Orpheusならではのオリジナリティも持っている曲になっていると思う。
このサビというかテーマのメロディは7年以上前に「いつかメロデスを作りたいな〜」と思ってデモを作っていたメロディ。
やっと発表できた!
イントロリフのこのビート感は、仁耶とFUMIYAが得意だけどあんきもではあんまりやらない感じのものだったので、ぜひ注目してそのキレを聴いてもらえたら。
ライブでは「Slave! Domination!」と思いっきり叫んでほしい!
3. Get out of the cage
この曲も昔からあるアイディアを再構成した曲。
XI〜ラドックというビジュアル系バンドをやっていた頃にそのバンドでやっていた曲をリアレンジした。
いかにも紫煉らしい、哀愁あるサビメロだよね。
歌詞は、自ら囚われている檻の中から抜け出そう、という内容の曲。
ライブでは「Get out of the cage!」と思いっきり叫んでほしい!
4. The Other Cosmos
“もともと北欧メロデスをやっていたバンドが活動の中でアメリカナイズされたサウンドに変化していったが、新作では初期への原点回帰を感じさせる曲を出してきた!”
って感じの曲調ですね。
(ベテランメロデスファンには、なんとなくこのニュアンス伝わる気がする……)
ちょっと変わった曲展開を楽しんでもらえたら。
歌詞は、異なる秩序で生きる上位の存在を追い求めるという内容の曲。
今より望ましい世界に転生できるとして、それに伴い今の自分を全て失ってしまうとしたら果たしてためらいなくそこに行くだろうか?
“死”と“変化”の境はどこなんだろうか。
他にも色々内包しつつ、ファンタジックな詞に落とし込んだ。
ライブでは「The Other Cosmos!」と思いっきり叫んでほしい!
5. Reincarnation
『The Other Cosmos』と『TRAUMATA』の間にひとひねり欲しいなと思い作った。
小川のベースの音をじっくりしっかり聴ける曲。
6. TRAUMATA
皆さんお待ちかね、Fukiの登場!
アルバムの中でこの曲順に配置するとハッとするし、全ての曲に色を与えられるかと思い、こうした。
『VAMPIR』や『Unfinished』に収録されてそうな雰囲気の曲調で、そこにさらに今作らしい攻撃性を加える意識で作った。
珍しくブレイクダウンパートがある。
7. Don't return to sanity
我々としては珍しい試みの、ラウドロック調の曲。
この曲はボーカルをどんな感じにしようかとても悩んで時間がかかってしまった。
収録できるかどうかもギリギリだったが、なんとかなった……!
ブックレットやミックスの締切3日前くらいまで歌詞直したりもして、超ドタバタの制作となってしまった。
まぁでも仕上がりはちゃんとしてるでしょ。
歌詞は、メタルがなかったら俺たちどうなっちゃってたんだろう?でもこうしてメタルに出会えたわけだし、楽しもうぜ!という内容。
ライブでは「Don't return to sanity!」と思いっきり叫んでほしい!
この曲は他にもちょこちょこ叫べるところあるから、そこもぜひ。
8. Das Rätsel der Götter : Fata Morgana
『Undeveloped Land』の前奏曲。
MVだと後奏曲にしていて、どっちに配置してもいい感じになるように作った。
9. Undeveloped Land
3/4拍子をベースに、耽美でゴシック色が強い曲。
今作の制作初期段階で形にしていた曲で、そのときはこんな感じで陰鬱で悲しい方向性がメインになるかなぁと思ってたんだけど、結果的にはこの曲は特に暗い一曲となった。
歌詞は、研究者が狂気に堕ちていくという内容の曲。
人は誰もが、妄想に魅入られて破滅していく可能性を持っているのかもしれない……という。
ライブでは「Undeveloped Land!」と思いっきり叫んでほしい!
10. ARTROID FEELINGS
いわゆるDjentの曲調。
シンセサイザーかなり多めで、自分的には珍しい曲調だね。
日々進化していくAI技術、それを創作に使うことに賛否両論あったりもするね。これからどうなっていくのだろうか。
この歌詞はAIが芸術を学んでいく過程を描いている。
俺の妄想なんだけど、AIが人間向けの芸術を高いレベルで作れるようになるには人間に近い肉体を持つ必要があるんじゃないかな〜とか、そういうことを考えながら作った。
ライブでは「ARTROID FEELINGS!」と思いっきり叫んでほしい!
11. want to LIVE
もともと2022年にMVを公開していた曲。
やっとアルバムになって出ましたねぇ。
MVバージョンからはボーカルを結構録り直したり、ミックスも変わっている。
歌詞はコロナ禍で書いたもので、“俺たちにとってはライブをやることが生きることと同じ、だからライブやりたい!”という内容。
それをちょっとふざけてというか、変な方法で書いた。
Go To EatよりもGo To Travelよりも、普通にライブやりたいよー!という。
ライブでは「want to LIVE!」と思いっきり叫んでほしい!
ライブで叫べる世の中になってくれて良かったよなー。
ということでこの作品は叫びポイントいっぱいなので、いっぱい聴いて覚えて、ライブで声を聞かせてくれ!
Unholy Orpheus『what is DEATH?』
GENRE:MELODIC DEATH METAL
あんきもメンバーの新プロジェクトが1stアルバム『what is DEATH?』発表!
メタル警察やメタル原理主義の方からすると、メロデスの定義については“北欧メタルの系統から生まれた旋律重視のスタイルとデス・メタル特有のデスボ唱法を融合させたもの”という説と、それとは別に“デス・メタルにNWOBHMなメロディを取り入れた劇的サウンド”という説が浸透しているそう。また、メロデスはいわゆるメタルコアの源流になったものともされているらしいが、正直どの説にもあまり興味はないし、理屈や解析の類いは別にどうでもいい。聴いてカッコいいのかどうか、それを好きと感じるかどうか。すべてはそこに尽きる。“あんきも”ことUnlucky Morpheusの新業態となるメロディック・デス・メタル・プロジェクト、Unholy Orpheusの生み出す音は、何よりもヘヴィでいてすこぶる美しい。最早それで充分だろう。
杉江 由紀【ライター推薦】
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