バス歌手、グロイスベックの歌う『冬の旅』と『白鳥の歌』

2017年3月2日 (木)

シューベルト：歌曲集『冬の旅』『白鳥の歌』（2CD）
ギュンター・グロイスベック、ゲロルト・フーバー

ヴェルザー＝メストの『ばらの騎士』で、これまでの下品すぎたオックス男爵のイメージから脱却、洗練された容姿と、とんでもない行動のギャップがかえって面白さに繋がるというシュトラウス／ホーフマンスタールの作劇の本質を衝くアプローチによりオペラ好きを唸らせたギュンター・グロイスベックがシューベルトに挑戦。

バス歌手の歌うシューベルトには独特の落ち着いた色調があります。歌曲集『冬の旅』と『白鳥の歌』はどちらも重めの内容を持つ作品ですが、グロイスベックは伸びのある美声で抑揚豊かに力強く歌い上げて、落ち着いた色調の中にもドラマの展開を巧みに表現して行きます。これにはピアノのゲロルト・フーバーの強弱の幅の大きな演奏も大きく効を奏しているとも思われます。フーバーはバリトンのゲルハーヘルとのコンビでも知られる歌曲伴奏の達人ですが、ここでもグロイスベックのパワーのある声と一体になった見事な伴奏を聴かせています。（HMV）

【収録情報】
シューベルト：
● 歌曲集『冬の旅』 D.911（全曲）
● 歌曲集『白鳥の歌』 D.957（全曲）

　ギュンター・グロイスベック（バス）
　ゲロルト・フーバー（ピアノ）

　録音時期：2016年
　録音場所：Kristallsaal des Rothschildschlosses
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）