【連載】ハルカトミユキ

2013年3月4日 (月)


ハルカトミユキ




初めまして、ハルカトミユキのハルカです。
今回はハルカトミユキの1st e.p.『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。』の楽曲について、解説をさせていただきます。
長いタイトルですが、実は五七五七七の短歌になっています(ちょっと字余り)。
“虚言者が夜明けを告げても、私たちだけは騙されずに正しいと思うことを信じていたい。”
タイトルにはそんな思いが込められています。
これを読んで、また違った視点で作品を聴いていただけるようになれば、幸いです。それでは。


************************************


虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。
『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。』
  • 01. Vanilla
  • 02. プラスチック・メトロ
  • 03. MONDAY
  • 04. アパート
  • 05. 絶望ごっこ




************************************



とても人間臭い歌です。
狂いたいけど狂えない、狂ってしまえれば楽なのに狂えない。
私にとって「狂えない」とは、「書けない」でした。
歌詞を書いていて行き詰まり、頭を抱える。
どうしてこんなにつまらない言葉しか書けないんだろう、それはきっと私の思考があまりに正常だからだ、狂いたい、狂いたい、狂えない狂えない狂えない。───
ふと気がつけば毎日のように、あいつに言われて頭にきたことも、もう二度とこの部屋には来ない恋人の残像も、全部まともに受け止めてしまうから苦しいんじゃないか。でもその”狂えなさ”こそが人間なんだろうか。ああまた真面目に考えてしまった。
そんなことをそのまま書いたらこの歌詞になりました。




その名の通り、駅で見た風景が元になっています。
地下鉄というのは、人で溢れているのにとても無機質。人間なのか機械なのか、思考なのかプログラムなのか、そのギリギリの感じを書きたかった。それをより生々しく伝えるには、淡々とした語りがいいのではないかと思い、ポエトリーリーディング+メロディーという形にしました。
ノイジーなギターリフの中を、ロートーンな語りが一定の熱で続いていく感じは、地下道を人々が歩いていくイメージにピタッとはまりました。
男男女男女…というところで、歌詞には書いていないものが登場するのにも注目です。
何気なくホームに立っていると、線路までの〈たった一歩の距離〉と、その一歩が意味することの重さがあまりにも不釣り合いで、ふいに思考がぐにゃりと歪みます。




大人になったら、月曜日が嫌じゃないような生き方をしたい。
小学生の頃から、漠然とそんなことを思っていました。それが、私が音楽の道を選んだ一つの理由と言っても過言ではありません。
この曲には、”月曜日”とか”一週間”というものが象徴する社会の営みと、それを子供の目で見ているいつかの自分と、その全てをひっくるめて飲み込み、ひとまずあきらめてアラームを止める手が今の現実であること、それらがポンと放り込まれています。
これが完成したときは、今までで一番明るい曲ができた!と思いました。
ある種のあきらめは、明るさがよく似合います。




大学時代、恋人が貧乏アパートに住んでいました。いえ、別に普通の綺麗なアパートです。しかし郊外にあり、家賃は安かったです。
確か19歳の頃に、当時のそのままの気持ちを書いた曲です。コードもいたってシンプル。
自主販売していた『20』というdemo CDには、当時のアレンジのものが入っています。今回はそこから鍵盤の和音を削り、良い意味での荒削り感が出るようなアレンジにしました。最後に出てくる雑音は、ミユキの家で録音したリアルな生活音です。
「守ってあげるから」というのは、十代特有の無責任な、極端にはみ出した、それでも純度100%の気持ちから出た言葉です。守ってあげられるかどうかは少しも問題ではなく、守ってあげる、と言い切ってしまうことが全てでした。




とにかく怒っていて、心の中で沸々と滞っていたものを丸ごと吐き出したような曲です。
様々な要素が混ざり合っていますが、その沸々としたものたちに最後の油を注いだのは”3.11”の震災でした。
「安全な場所」から事態を眺めている、人々の浮き足立った様子。それが、普段から薄々感じていた得体の知れない違和感を実体化させたような気がし、同時に鏡のように跳ね返って自分の醜い顔も映したように見えました。
この怒りは、外へ向かった、そして自分自身の内側へ向かった怒りです。
私は、説教臭い歌は絶対歌わないぞ。と常々思っています。なので、皮肉と自虐をたっぷり含みました。
不協和音ギリギリアウト(笑)な感じは、私達のテーマでもあります。



************************************


この作品のマスタリングを終えたとき、エンジニアさんに「SのフリしたMのアルバムだね」と言われ、言い得て妙だと納得しました。
説明過多になってしまうと嫌なのでこれくらいにして、あとは自由に聴いていただいて「なるほどMだ。」なんていう発見をしていただけたら嬉しいです。
それではまた次回。ハルカトミユキのハルカでした。







第二回は3月11日(月)UP予定です。



new e.p.


 ハルカトミユキ  『真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。』
3月13日発売

収録楽曲

  • 01. ドライアイス
  • 02. ニュートンの林檎
  • 03. POOL
  • 04. グッドモーニング、グッドナイト
  • 05. 未成年


【HMV オリジナル特典】

ステッカー
※特典の有無は商品詳細ページでご確認下さい

商品レビュー

デビュー前より「封じられた世代の鳴らす心の叫び」「ゾクゾクした」「アイドル時代へのカウンターカルチャーが始まった」等、注目を浴びている新時代フォーク・ロックユニット=ハルカトミユキ。音専各誌で賞賛。各所で話題となっているハルカトミユキの2nd e.pが遂にリリース。





時代を引き裂くリリック、 透き通る声、 中毒性のある美メロ。 ゾクゾクする。 2012年終盤に突如現れた、新生フォーク・ロックユニット=ハルカトミユキ。 フォーク×オルタナ×グランジ×ニューウェーブ!? ハルカトミユキの音楽ジャンルをひとつでは語れない。 詩人・ハルカ(23歳 Vocal/Guitar)と奇人・ミユキ(23歳 keyboard/Chorus)のデュオ=ハルカ トミユキ。1989年生まれの二人が立教大学の音楽サークルで知り合い、唯 一「同じ匂いがする」とひかれあった二人。森田童子、銀杏BOYZ、ニルバーナを同時期に聴いて いた「言わない」世代が静かに奏でるロックミュージック。
2012年11月14日、「虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。」(H+M Records)でデビュー。iTunesが選出する2013年ブレイクが期待新人アーティスト「newARTIST2013」にも選ばれる。2013年3月13日、2nd e.p.「真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。」(H+M Records)を発売。

ハルカトミユキ official site