SIGH 川嶋未来氏コラム第6弾!

2012年6月15日 (金)

SIGH / Mirai Kawashima
SIGH / Mirai Kawashima
<稀代の天才Tom G. Warriorの世界>

 『第2回:メタル史上最大の迷盤Cold Lakeの真実』
(Tom G. Warriorの世界 第1回はこちら)

バンドが音楽性を大きく変える場合、当然それは一種のギャンブルとなる。

そこまで音楽性を変えるなら、バンド名も一新したたほうがいいんじゃないの?と思うこともしばしば。しかし一度確立したネームバリューを捨て去るのは容易なことではないというのも理解できる。
音楽性を変える理由は様々だ。アルバムの売り上げに生活がかかっているような場合、時代に迎合した音作りをせざるを得ない、もしくはそれをレーベルに強要されることも少なくないだろう。しかし、そもそも商業性の乏しいエクストリームメタルの世界においては、その音楽性の変更が金銭的な理由ではなく、アーティストとしての衝動によると思われるものも多い。そしてその振り幅が大きいにも関わらず、新旧ファンから支持されるケースもそれなりにある。


Carcass

例えば Carcass 。初期はグラインドコアとして名を馳せるも、途中大きく方向転換、そしてメロディックデスメタルとしても成功。どちらのジャンルにおいてもパイオニアの一人として賞賛されている。
Bathory も突如、今で言うヴァイキングメタルに方向転換。ブラックメタル、ヴァイキングメタルという二つのジャンルの始祖として崇められている。
Darkthrone もテクニカルデスメタルからブラックメタルへとうまく移行した。

これらのバンドの音楽性の変更は、いずれもかなりドラスティックなものであり、下手をすれば昔からのファンを失い、かつ新たなファンもつかないという悲劇になるリスクを持ったものだ。もちろん中期〜後期 Carcass を認めない Carcass ファンもいるし、ヴァイキング期を否定する Bathory ファンも多い。しかしそれでも彼らのチャレンジは間違いなく成功であった。


Morbid Angel

一方で、そのチャレンジがうまく行かないケースも当然ある。というよりも、第三者の目から見ると、そんな方向転換うまく行かないことは火を見るより明らか、いわゆるキャリアスーサイドと呼ばれるケースだ。直近では2011年リリース、 Morbid Angel"Illud Divinum Insanus" 。約8年ぶりのニューアルバムかつ David Vincent の復帰作ということで注目が集まる中、突如インダストリアルの要素を大幅に導入。Morbid Angel にそんなものを求めているファンなどいるはずもなく、2011年に今更インダストリアルかよ!という鋭い意見とともに大バッシング、大ブーイングを浴びた。
似たようなケースでは2008年の Cryptopsy"The Unspoken King" がある。やはりデスメタルバンドが突如キーボード、クリーンヴォーカルパート等を導入、そんなもの誰もCryptopsyには求めてないよ、ということで大問題作となった。

しかしこの2例、傍から見ればうまく行くわけないのは明らかではあるものの、気持ちはわからなくはない。Morbid Angel は元々 Laibach によるリミックスを発表したり、そもそも David Vincent は Genitorturers でもベースを弾くなど、インダストリアルとの関わりも浅くない。Cryptopsy にしても、メタルコア/デスコアという、メインストリーム寄りの音楽へ色気を見せたのだろう。やっちゃった感は強いにしても、まったく不可解な方向展開ではない。

しかし、1988年発表の Celtic Frost"Cold Lake" は格が違う。
発表から20年以上たった今でもその存在が封印され、ファンからも「Celtic Frost史上最低のアルバム」「スラッシュバンドが勘違いしてL.A.メタルをやろうとした屑アルバム」とあっさり切り捨てられる。
それはそうだろう、スラッシュバンドがL.A.メタルバンドに転身しようとしたなんて、ちょっと尋常ではない。
だがこのアルバムの封印には、普段は殆ど語られることのない、もっと深い事情があるのだ。(まあ最初から殆ど話題になることのないアルバムですけど。)


Celtic Frost (1987)

Celtic Frost はスラッシュメタルの世界にアートの香りを持ち込んだバンドである。多くのスラッシュバンドが稚拙で暴力的なジャケを好む中、一早く H.R.ギーガーやボッシュの作品などを使用。本物のストリングスやフレンチホルン、ティンパニなどのオーケストラ楽器、リズムマシンを導入するなど、少なくともスラッシュ界では音楽的にも最先端を行っていた。バンドのイメージを描写するにしても、暗黒・邪悪、あたりが適切な表現であっただろう。その Celtic Frost が、何の前兆もなく突如 L.A.メタルバンドになった。いや、厳密にはまったくなっていない。アルバムを聞いてもらえばわかるが、まったくL.A.メタルでも何でもない。ただヴォーカルが、L.A.メタル「風」、何というか爬虫類っぽくねっとり歌っていて気持ち悪いだけなのだが、Tom 的にはあれがL.A.メタルだったのだろうか、とにかく L.A.メタル「風」というだけ。ただ、メンバー写真では L.A.Guns のTシャツを着用していたり、皆髪の毛を立てていたりで、L.A.メタルを意識していたことは間違いないようだ。しかし何故?L.A.メタルと言えば当時はスラッシュメタルの最大の敵。Exodus がステージで Motley Crue (だったかな?)のTシャツを引き裂くパフォーマンスをしていたなどという逸話もあったほど。

88年と言うと明らかにスラッシュブームも一段落、陰りが見え始めていた頃。
多くのスラッシュバンドがスローダウン、激しさを減じることでメインストリームへの擦り寄りを見せ始めた時期。さらには前年の87年には DeathNapalm Death がデビュー、コアなファンの関心はデスメタルやグラインドコアに移り始め、スラッシュバンドにとってはまさに正念場と言える時期であった。しかしだからと言って、なぜよりにもよって スラッシュメタルとは最も遠い、むしろ敵地とも言える L.A.メタルに?
例えばベイエリアスラッシュ路線に接近する、などのマイルドな変更でも良かったのではないのか。


原因が前作、 "Into the Pandemonium" にあることは間違いない。
"Into the Pandemonium" がどれほどの力作であるかは前回書いた通り。
そしてこの作品によって Celtic Frost の知名度、ステータスが上がったのも間違いない。しかし Tom が夢見ていたのはそんな小さな成功ではなく、 Metallica のような全米マーケット制覇であった。そんな大きな夢を実現するためには、当然それなりの投資も必要だ。しかし所属する Noise Records からはさっぱり理解を得られない。(冷静なビジネス判断では当たり前。)

そして致命的だったのは "Into the Pandemonium" に伴う北米ツアーの失敗。決して集客が悪かったわけではない。
むしろ盛況ですらあったようだ。しかし海外ツアーというと、何だか楽しくてカッコいいことをしているように思われるかもしれないが、実情はとんでもなく過酷。
何かと理由をつけては約束した金を払おうとしないプロモーター、一銭でも多く金をかすめてやろうと狙っているツアーマネージャー。
予定のお金が入ってこなくても容赦なくかかり続けるガソリンやバスの経費。毎晩毎晩バスの中で眠り、蓄積されていく一方の疲労。何しろプライベートの時間が一切持てない状況が何週間、何か月と続くのだ。
余程仲の良いバンドでも、そんな状態で24時間お互い顔を合わせていたら、相手の一挙手一投足に腹が立ってくる。ツアーが嫌で解散してしまったバンドは数えきれない。 Celtic Frost という、スラッシュメタル界においてはそれなりのビッグネームとも言えるバンドですらその洗礼を受け、経済的にも精神的にも疲弊しきった Tom はバンドの解散を決意する。


Celtic Frost (1988)

ところが世の中は皮肉なもので、解散を決めた途端、Celtic Frost のアメリカでの配給を CBS/EPIC が担当するという話が持ち上がる。
CBS/EPIC と言えば当然メジャーレーベル。所属はあくまで Noise Records という変則的なものだが、長年アメリカ市場を夢見ていた Tom には願ってもいない話。いくら一度解散を決意したとはいえ、無碍に断るにはあまりにも惜しい。さらには運命とも思えるような、スイス人ギタリスト Oliver Amberg との出会いが重なる。Junk Food という「メインストリーム寄り」のバンドのメンバーで Celtic Frost のオープニングもつとめたこともある Oliver は、「もしセカンドギタリストが必要なら、自分を使ってくれないか」と持ちかけてきた。他のメンバーが殆ど曲作りに協力せず、すべてを自分に任せきりであることに長年不満を抱いていた Tom の目には、この積極的で協力的なギタリストは非常に魅力的に映ったようだ。

失意のどん底にいた Tom にも力が甦ってくる。Oliver と協力して作ったデモも周囲の評判は良く、常に非協力的であった Noise Records ですら「これはイケる」と称賛したようだ。さらにはこのデモを聞いたプロデューサー Tony Platt からは「ぜひ自分にプロデュースさせてくれ」と申し出があった。Tony Platt と言えば、AC/DCIron Maiden から Motorhead までを担当した敏腕プロデューサー。"Into the Pandemonium" 作成時に何としても著名なプロデューサーをつけたいという願いが叶わなかった Tom にとっては、涙が出るような申し出であっただろう。メジャー配給、豊富な資金、有名プロデューサー、そして協力的な新パートナー。前作から Tom 以外すべてのメンバーが入れ替えになったこともあり、一旦はバンド名を変更、新バンドとしての出直しを検討するも、結局 Celtic Frost のまま "Cold Lake" の完成に向け、順風満帆な再出発を果たしたかのように見えた。

だが、前述の通り、この作品は結局バンド史上最低の作品としてその名を刻むことになった。何か月もの苦労を重ねた末の難産であった "Into the Pandemonium" に対し、わすか2週間で完成された "Cold Lake"、Tom の言葉を借りれば、「あまりに新加入の Oliver とプロデューサーの Tony に主導権を握らせすぎてしまった」ということらしい。元々は "Into the Pandemonium" のライトバージョンとして構想され、Tom 自身も、とにかく明るく楽しい、気楽な作品を作りたいと考えていたようだ。しかし初めは積極的で協力的な Oliver とのコラボレーションを心地よく感じていた彼も、気づいたときには殆どコントロール権を失っていた。最終ミックス段階でも聞こえるのは Oliver のギターばかり。自分のギターが中心でなくて、どうしてそれが Celtic Fros tの作品と言えようか。

ただ、Tom の独白を読んでも、いまだにはっきりしない点がある。
L.A.メタルをやろうという発想はどうやって出てきたのか?
どの時点で、誰がL.A.メタルに舵を切ったのか? "Into the Pandemonium" のライトバージョンが L.A.メタルを指すとは到底思えない。
難解な前作が思ったほどの評価を得られなかった反動で、シンプルな作品を作ろうという気持ちが強くなるのも理解できる。そして長年の「アメリカのマーケットを制しなくては」という強い思いもわかる。何しろあの "Into the Pandemonium" ですら、本人たち的には相当アメリカのマーケットを意識していたらしいのだから。しかしだからと言って、アメリカ= L.A.メタル、よし、L.A.メタルに転向しちゃおう!とまでなるものだろうか?髪まで立てる必要があるだろうか?
Celtic Frost の出発点は Hellhammer だ。Hellhammer と L.A.メタルとの隔たりはあまりにも大きい。となると、やはり元々メインストリーム寄りの音楽をやっていた新加入 Oliver が L.A.Metal マニアだった、あるいはプロデューサー Tony の強い意向だったと考えるのが自然だろうか。


Aggression


実は、まったく別が証言もある。Celtic Frost の "Into the Pandemonium" ツアー時、カナダのスラッシュメタルバンド Aggression のギタリスト Denis Barthe が、Celtic Frost にセカンドギタリストとして加入しないかと誘いを受けたというのだ。
実はこのツアー、Celtic Frost は、Ron Marks というセカンドギタリストを帯同していた。Tom は初期の頃から自分のギタリストとしての限界を感じており、常にセカンドギタリストを物色していた。そしてついにこのツアーにてツインギターというフォーメーションを実現したのだが、残念ながら Ron は Tom が求めていたようなギタリストではなかったようだ。さてその Aggression、と言われても、ピンとくるのはかなりのスラッシュマニアだけかもしれないが、ケベック出身、ハードコアからの影響も強い当時としてはかなり速いスラッシュをやっていたバンド。
Denis の話によると、カナダにやってきた Celtic Frost と同じフランス語を母国語とするもの同士ということもあって意気投合、その後Tomから電話をもらい、Celtic Frost に加入するつもりでスイスにまで行ったそうだ。
ところが「花柄のスーツを着て現れた Tom G. Warrior はとても変わった奴だった」らしい。スタジオに入ってさらにびっくり、彼らは「 Motley Crue のような音楽をやろうとしていた」というのだ。「 "Morbid Tales" では邪悪なイメージだった男が、キュートに振舞おうとしてるんだから参ったよ。」と続ける Denis だが、「 Martin Ain や Reed St.Mark はとてもつきあいやすかった」そうだ。これは重要な証言である。もしこれが本当ならば、Oliver加入以前から、Tom は新作を L.A.Metal 路線に持っていく構想を持っていたということになる。つまり、L.A.Metal 路線についていけなくなった Martin Ain と Reed St. Mark が Celt ic Frost を脱退したという仮説も成り立つのだ。Tom の自叙伝によれば、"To Mega Therion" 以降のUSツアーにおいては常にバックステージやホテルはグルーピーで満杯。特にルックスの良い Reed が一番人気であったようなのだが、Tom 自身も相当良い思いをしたようであり、その辺りが "Cold Lake" の「勘違い」につながった可能性も十分にある。Martin によると、その時期Tomはスラッシュメタルに一切の興味を失っていたということだし、また "Into the Pandemonium" 時に、すでに白い洒落たシャツでのフォトセッションも行われており、実はかなり早い段階で L.A.メタル化の種、構想が生まれていた可能性は否定できない。いずれにせよ Denis は、とても L.A.メタルをプレイする気にはなれないということで、数か月のスイス滞在ののち Celtic Frost 加入を断り、カナダに帰国したとのことであるであるが、この話には少々引っかかる点もある。Denis がカナダで Celtic Frost で意気投合したとき、 Destruction も一緒にその場にいたらしいのだ。だとするとこれは時系列的におかしい。というのも Celtic Frost が Destruction(及び Voivod )とツアーをしたのは "To Mega Therion" のとき、つまり "Into the Pandemonium" のレコーディングよりも前の話だ。まさか "Into the Pandemonium" の時点でも一度L.A.メタルにトライをしていたのだろうか?それとも Destruction がいたという記憶が誤っているのか?真相を確かめるべく、Denis にはインタビューを依頼、一度は快諾してくれたものの、残念ながら送った質問に答えが返ってくることはなかった。眉にツバをつけて冗談として楽しむべきがせいぜいの逸話かもしれない。


Celtic Frost (1990)

Celtic Frost はその後 L.A.メタル路線を継続することはなく、90年、原点回帰を掲げた "Vanity / Nemsis" をリリース、内容は悪くはなかったものの、それほど原点回帰したとも思えない出来で、かつセールスも振るわず、仕切り直しのデモでメジャー契約を狙うも失敗、解散。16年後の2006年には復活作 "Monotheist" を発表、好評を博すも、その後再び解散という道をたどるが、21世紀となった現在、Celtic Frost というバンドがあらゆるエクストリームメタルのジャンルの源流の一つであるという評価は完全に固まったと言える。エクストリームメタル界においては Celtic Frost から影響を受けていないバンドを探す方が困難なほど。
発売当初賛否両論であった "Into the Pandemonium" についても、後の世代への影響力は計り知れず、歴史的名盤であることに疑いの余地はない。ところが、この "Cold Lake" のみはいまだ廃盤扱いで入手困難。今更 "Cold Lake" の存在によって、バンドの評価が揺らぐとは考えられない。もう時効で良いではないか。そして何よりも弁護したいのは、この作品、世間で総バッシングを受けるほど悪い作品とは思えない点だ。スラッシュメタルと L.A.メタルを融合しようとした、もしくは完全に L.A.メタル化しようとして大失敗した、どちらなのかはわからないが、いずれにせよ出来上がった作品は、他にまったく類を見ないオリジナリティ溢れすぎる作品。確かにあのヴォーカルで「今夜俺を誘惑してくれ!」なんて歌われるのは気持ち悪いのもわかる。写真もあまり気分の良いものでないのは確かだ。オープニングのラップもまったく意味不明、完全に不必要。
しかしそれでも "Seduce Me Tonight"、"Cherry Orchards"、"Downtown Hanoi" などはこのアルバムでしか味わえない名曲だ。実際 "Cold Lake" が酷いバッシングを食らったにもかかわらず、"Cherry Orchards" や "Downtown Hanoi" などは90年代に入ってからすぐに再録され、また90年の次作 "Vanity/Nemesis" に伴うツアー時にも、これらの曲はわざわざアンコールでプレイされている。さらに Tom 自身の証言によれば、ヨーロッパでは罵声しか浴びなかったこのアルバムも、MTV の力もありアメリカではそれなりに評価され、新規ファンの開拓にも貢献したというのだ。つまり "Cold Lake" 発売直後に関しては、Tom も決してその価値を100%否定していたわけではないのだ。

なのに何故か四半世紀過ぎた今では、その存在は無かったかのように扱われている。
仮にその音楽性を失敗であると認めるにしても、何故「若気の至り」と笑うことができないのか。鍵は、「 "Cold Lake" は Celtic Frost 史上、最もオリジナリティに欠ける作品である。」という Tom のコメントにある。このコメントには驚く人も少なくないだろう。こんな特殊なアルバムがオリジナリティに欠ける?スラッシュメタルバンドが L.A.メタルをやろうとするより突飛な発想なんてないのでは?
Celtic Frost は常にオリジナリティを追及し、自らの道を歩んできたが故に、その作品に対する評価が真っ二つであるのは当然のことであった。Tom も的外れな心無い評論家のネガティブなレビューを見て、腹を立てることはあっても、いちいち心を折られるような人間ではなかったはず。だが、今回だけは違った。
今回だけはどうしても無視できない、一つのレビューが Tom の目にとまったのである。
それは盗作の指摘。そして検証の結果、その指摘がただの言いがかりではなく、どうやら事実であるとの結論に Tom は至ったのだ。相当のレコードコレクションを所有していた Oliver は、自らリフを作り出すのではなく、そのコレクションの中からアイデアを「拝借」していたのだ。やたらと積極的に「新曲」を持ってきた協力的な Oliver。しかしその出所は。。。それがわかったから Tom はこのアルバムの存在を認めたくないし、再発などは絶対にしたくないのだ。創造性、オリジナリティを何よりも重んじてきた人間にとって、リフの拝借など絶対に我慢のならないことだ。

L.A.メタルをプレイしようとした、ヘアスプレイを使って写真を撮ってしまった。
そんなことはすべて瑣末なことである。「 Oliver に好き勝手にやらせすぎた」というのは、Celtic Frost の音楽性を捻じ曲げられたというのが本質的な意味ではない。個人的にはむしろ Tom だって L.A.メタル化すること、髪の毛を立てて写真を撮ることに乗り気だったのだと思う。そして、今振り返ってみて、まああれは失敗だったな、若かったなとは思いつつも、それを何としても封印したい過去だとは思っていないはず。むしろスラッシュメタルバンドがいきなり L.A.メタル化を図り大失敗なんて、Celtic Frost という偉大でとてつもなく創造的なバンドにしかできない壮大な、むしろ誇るべき失敗エピソードではないか。しかし残念ながら、"Cold Lake" はそんな笑い話で語られる べき作品にはならなかった。まさか自分が信頼していたパートナーが、臆面もなく他のバンドからリフを拝借していたとは。そしてそれに気づかず呑気にアメリカ市場での成功を夢見ていた自分を、Tom は許せないのだろう。

「スラッシュメタルバンドが勘違いしてL.A.メタルバンドを気取っちゃった葬り去りたい恥ずかしい過去」。

これが "Cold Lake" の評、そして一般的に信じられている再発されない理由。しかしこの作品、Tom の心の中ではただの失敗よりも遥かに重い、存在自体を消してしまいたい汚点なのだろう。
残念ながら L.A.メタルにそれほど明るくない私は、一体どの部分が「拝借」であるのかわからない。もしわかる方がいらしたら、是非とも教えて頂きたい。

次回へ続く


川嶋未来/SIGH
http://twitter.com/sighjapan

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