2011年11月16日 (水)

2001年のデビューから10年。節目の年にリリースされるニューアルバムは、akikoさんが長年リスペクトしていたザ・ビートルズのカヴァー集。
これまでにも、『akiko's holiday』(2003年)ではビリー・ホリデイを、『HIT PARADE』(2009年)ではロンドン・ナイト・クラシックスとしても名高いロックンロール〜パンク〜ニューウェイヴなどの名曲を、そのほかジャズ・スタンダードにとどまらず、ジャンプ&ジャイヴ、ボサノヴァ/ブラジリアンから、カーペンターズ、キャロル、ガンズ・アンド・ローゼズに至るまで、”保守的な”ジャズ・シンガーでは到底採上げることができないであろう多彩でジャンルレスなカヴァー・レパートリーを披露しファンをたのしませてくれました。
カヴァー・センスやその解釈においてもワン・アンド・オンリーでニュースタイル。そんなオリジナリティ溢れるシンガー、akikoさんが歌い込み、作り上げた「ビートルズ・ソングブック」というのだから、これまでになくイマジネーション豊かで機知に富んだ作品になっていることは間違いない、と誰もがたちどころに感じたはず。 ジョン・レノンが綴り歌った ”nothing's gonna change my world...” という歌詞が時を超えて誰しもの心を捉えて放さない「Across the Universe」。まずはその曲との再会によって「何とも言えないすごいエネルギーを感じた」というakikoさん。この作品で伝えたいこと、そして彼女にとってのビートルズとは。色々とお伺いしてまいりました。
インタビュー/構成: 小浜文晶 |
- --- akikoさんは今年デビュー10周年を迎えましたが、こうした区切りの年に「ビートルズのカヴァー・アルバム」というものをリリースしたのには何か特別な理由があったからなのでしょうか?
私、そもそもカヴァー・アルバムを作ること自体が好きじゃなかったんですね。ましてやビートルズとなればかなり荷が重いし、そんなの考えたことすらなかった・・・だから「ビートルズでなきゃいけなかった理由」とか「何でビートルズなの?」っていうことを訊かれても正直ちょっと困るんですよ(笑)。
というのも、実は震災直前に、「アクロス・ザ・ユニバース」を歌うっていうお仕事の話をもらっていたんですね。今回のジャケット写真を撮ってくれたフォトグラファーの(註)蓮井幹生さんに声をかけて頂いたのですが。それで震災後に、色々なアーティストがそれぞれ自分たちに出来ることとしてメッセージ・ソングを作ったり、チャリティ・イベントを企画したりっていうアクションを起こしはじめましたよね。その中で、私は何もできなくなってしまって・・・自分が歌うことはおろか、音楽を聴きたいとも思わなくなってしまって。でも、「アクロス・ザ・ユニバース」は仕事で歌わなきゃいけないから聴いていたんですね。その間も、「こんな大変な時期に自分の仕事なんかしてていいものだろうか? 歌ってる場合ではないのでは・・・」っていう気持ちが勿論あって、すごく色々なことを考えていたんですよ。
そういった葛藤の中でこの「アクロス・ザ・ユニバース」を聴いていたら、どんどん自分の中に入ってきたんですよね。私はこの曲に対してさして思い入れもなかったですし、勿論知ってはいましたけど、他にもビートルズの曲で好きなものはいっぱいあったから。でも聴き込むうちに「これってもしかしたらすごいかもしれない」って感じるようになってきたんですよ。そんなことを思いながらビートルズの他の曲を聴いていたら、何て言うんだろう・・・「音楽の力」って言うとすごい安っぽく聞こえちゃうけど、「生きている感覚」というか、音楽って「生きる活力」みたいな見えないエネルギーを伝える媒体なんだなっていうことを感じたんですよね。
それで前から蓮井さんが「akikoさん、ビートルズ・アルバム作ったら?」と言ってくれていたのですが、「もしかしたら、それはいいかもしれない」と思い始めたんですよね。
- レット・イット・ビー / ビートルズ
- 「アクロス・ザ・ユニバース」収録。解散騒動の最中、有名な ”ゲット・バック・セッション” からの音源をフィル・スペクターのプロデュースにより完成させた同名映画のサウンドトラック。ポールの切ないメロディーが胸に迫る「レット・イット・ビー」、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、オーケストラが加えられたジョン作「アクロス・ザ・ユニバース」、ビートルズの前身、クウォリーメンのレパートリーとして作られたという初期オリジナル曲のリメイク「ワン・アフター・909」、「戻っておいで〜取り戻そう」と歌われる「ゲット・バック」は、皮肉にも解散を強く印象づける曲となってしまった。また、イントロ前とエンディングに鳥のさえずりと羽ばたく音が挿入され、サビの部分に女声コーラスが配されている所謂”バード・ヴァージョン”の「アクロス・ザ・ユニバース」は、『パスト・マスターズ Vol.2』に、アコースティック・ギターとシタールのみの初期ヴァージョンは『アンソロジー 2』にそれぞれ収録されている。
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私は、世の中に山ほどあるビートルズ・カヴァー・アルバムと同じように、楽曲、アレンジ、音響面での素晴らしさという点で、オリジナルを越えられるものを作れたとは正直思っていません。むしろその表面上のスタイルを追うんじゃなくて、自分が感じたその見えない力みたいなものを伝えたいなっていう気持ちと言うか、もっと感情的な部分でこのアルバムを作りたいなって思ったんですよね。
- --- すべてはタイミングだったということですね。
そのときにビートルズじゃない音楽を聴いていたら、まったく違うものを作っていたかもしれないし、逆にビートルズだったからそういったことを感じたのかもしれないし、それははっきりとは判らないんですよね。
でもひとつ言えることは、このアルバムを作る中で、音楽的なことだけじゃなくて、色々なことに意欲が湧いてきたというか。アルバムを作ろうと思い立ってから完成するまでの行程においてもそうだし、作り終わってからも次にやりたいことも見えてきて。- --- 動き出さずには入られなかった・・・
そうですね。実際、震災の後一週間ぐらい何もできずに固まっていたので。そのときは「歌でみんなを勇気づけたい」「自分には歌うことしかないから」っていうような考えに至らなかったから・・・
- --- そういった中で、ご自身の活動をもういちど見つめ直す表現者の方々も多かったそうですからね。
虚無感って言えばいいのかな。私はただ、自分の無力さを痛感したというか・・・
- --- そこでたまたまお仕事とは言え、ビートルズを聴く機会があって、それがアルバム制作にまでつながるヤル気を呼び起こして、という流れを伺っていますと、やっぱり akikoさんとビートルズは「再会すべくして再会した」というような印象を持ってしまいます。
説明するのが本当に難しいんですけど、ビートルズをカヴァーするにあたっては「ウキウキする」とか「たのしい」とかいうことだけではなくて(笑)・・・うん、本当に何て言ったらいいのか判らないぐらい色々な気持ちで作ったものなんですよね。
- --- 「ジョン・レノンのように内なる心の声を発信したい」といったakikoさんの発言をお見受けしたのですが。
ジョン・レノンは後年になるにつれて世界観がどんどんインナースペースに向かっていくじゃないですか。でも私は、ジョンも含めビートルズが思いっきり外に向かっていった時代、初期のロックンロールに夢中になっていた時代のビートルズも大好きなんですよね。どっちが優れているとかそういうことではなくて。ビートルズが昔も今も私たちの心の中で特別な音楽になり得ているっていうのは、やっぱりまずひとつに彼らが色々なスタイルを作り上げてきたパイオニアであって、そのどれもが彼ら自身であるっていう揺るぎないオリジナリティがあるからだと思うんですよ。「ビートルズって何の人たち? ポップス? ロック? ジャズ?」っていう風にジャンル分けできないじゃないですか?
- --- ビートルズは、ビートルズ。
そうとしか言いようがないですよね。彼らは彼らでしかないっていう。で、もうひとつビートルズの音楽を深いものにしているっていうのは、ジョンの詩的な感覚に因るところもあると思うんですよね。特に後期に向かってそれが強まっていく。それがなかったら、もしかしたらビートルズってここまで私たちの心に入り込んでいなかったかもしれないって。
- --- 今回のアルバム『Across the Universe』は全8曲(限定生産盤のみ「アクロス・ザ・ユニバース」の別ヴァージョンを含む全9曲)となっていますが、まず率直に収録曲を絞り込むのが大変だったのではと思ったのですが。
実際新録は6曲です。「ノルウェーの森」と「カム・トゥゲザー」の2曲は過去の音源を入れ直したものなので。で、その6曲をどういう風に選ぼうかってなったときに、好きな曲、演りたい曲は山ほどあったのでかなり悩みました。そこでまず「ひとアルバムから一曲」っていう決まりを作ったんですね。そうなると必然的に、過去に録音した「ノルウェーの森」が入っている『ラバー・ソウル』と、「カム・トゥゲザー」が入っている『アビー・ロード』からは選曲できないってことになって。
だから、どんなインタビューでも「何でビートルズなんですか?」ってまず訊かれるんですけど、自分でもあまりはっきりした答えが判らないので、説明するのがすごい難しいんですよ(笑)。
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- ラバー・ソウル / ビートルズ
- 「ノルウェーの森」収録。 ”陽気なファブ・フォー”といったそれまでのビートルズのイメージを打ち破り、アーティスティックな地平を目指した彼らの意欲を感じる優れた一枚。切なくなるようなラブ・ソングが多く収録されたアルバムでもあり、特にジョン作の「ノルウェーの森」、「ガール」は胸に響くスローナンバー。シュールで物悲しい「ひとりぼっちのあいつ」、間奏でバロック風に細工したジョージ・マーティンの弾くピアノが美しい郷愁をそそる「イン・マイ・ライフ」、ポールの名バラード「ミッシェル」、刺激を与えたバーズからの逆影響、12弦ギター使用のフレーズが印象的なジョージ作「恋をするなら」などなど。来るべきサイケ時代を予見するジャケも秀逸。
- アビー・ロード / ビートルズ
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「カム・トゥゲザー」収録。発表は『レット・イット・ビー』より先だが実質的なラストアルバム。ジョンのヘヴィさが際立つ「カム・トゥゲザー」に始まり、ジョージの作曲の成長ぶりを示す「サムシング」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」、アナログ時代はB面でメドレー風に一気に聴かせる「サン・キング」から「ジ・エンド」までは何度聴き返しても興奮する見事なシンフォニーで、アルバムは幕を閉じる。続く「ハー・マジェスティ」はユーモアに富んだビートルズの最期をシメるにふさわしい小品。
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それからビートルズのロックンロール、リズム&ブルースのカヴァーものも演りたかったけど、そうなると曲数的な部分でも収拾がつかなくなるので、今回はビートルズがオリジナルである楽曲のみにしようということになりました。とは言っても、やっぱり全アルバムからまんべんなく選びたかったですね。
- --- 欲を言えば、akikoさんが歌うジョージやリンゴの曲も聴いてみたかったですね。
そうですね。
- --- そもそもビートルズを初めて耳にしたのはいつ頃だったのでしょうか?
ウチの親は家ではまったく音楽を聴かない人だったんですけど、唯一聴かせてくれたのがビートルズ。多分中学生のときかな? 中1ぐらいだから、12、3歳の頃ですね。初めて聴いたときも結構すんなり入ってきたような気がします。洋楽を聴くことにまったく抵抗がなかったというか、英語に触れること自体好きだったんでしょうね、きっと。
- --- その後ジャズを歌い始めるようになってからは、ビートルズの聴き方や好きな曲に変化が出てきたりということも?
「ブラックバード」や「ノルウェーの森」なんかもそうですけど、結構ジャズ・ミュージシャンが好んで採り上げそうな感じの曲もあるでしょ? そういった曲は昔は実はあまり進んで聴かなかったんですよね。でもそういった曲のおもしろさとか深みみたいなものは最近ちょっとずつ感じるようになってきました。
- --- ビートルズに限った話ではありませんが、色々なものを聴いた上であらためて聴き直してみると、最初の印象とはがらっと変わって聴こえるっていうのもよくありますよね。
例えば今回「アクロス・ザ・ユニバース」の譜面を書いていて改めて気付いたんですけど、すごいんですよ、この曲。めちゃめちゃ変則。普通ジャズの曲って小節数とか構成・パターンが大体決まっているんですよね。ポップスにしてもサビが2小節多いとかサビ前のAメロが1小節多いとか、その程度のことはよくあるんですけど、「アクロス・ザ・ユニバース」は、一拍多い、二拍多い、一小節多い、などがイレギュラーに出てくる。とても複雑だけど、すごく自然に聴こえるし、すごく自由だなぁって。
- --- 構造が理解できるとシンガーとしては歌にすんなり入っていけるものなのでしょうか? 逆に難しく感じて意識してしまったりとか?
結局構造を分析して譜面化しても、私は頭で憶えるのが苦手。でも、この曲って歌詞がメロディにとても巧くはまっているので、歌詞や曲全体の流れを理解した上で歌うとすごく自然に歌えるんですよね。バックのミュージシャンは違いますけど、私は歌うときに譜面を見るわけにはいかないので、「ここは1拍多い」って頭でカウントしながら歌うのは難しい。そういう意味でも、歌詞を含めて全体の流れを把握するってことは必要なんですよね。
- --- 新しい発見は他の曲でも結構ありました?
いっぱいありました。アルバムに入っている曲だと「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」なんかもそうです。複雑に作られているかのように見えますけど、多分音楽がいちばん自然で効果的に聴こえるようになっているんですよね。それもすごく判るようになった。すごく自由なんだけど、音楽的なんですよ、すべてにおいて。決してアイドル集団なんかじゃないなって改めて思いますね。
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- マジカル・ミステリー・ツアー / ビートルズ
- 「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」収録。テレビ映画「マジカル・ミステリー・ツアー」のサントラというよりも、どのオリジナル・アルバムにも負けない程完成度の高い曲が詰まっ好作品。M1〜6はサントラとして使用された曲で、残りは当時のヒット・シングル集となっている。どの曲も当時としては最高のスタジオ・ワークを駆使して作られている。不思議な雰囲気の「アイ・アム・ザ・ウォルラス」や、ジョン作の「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、ポールの「ペニー・レイン」は特筆すべき名曲で、後者2曲は最強の両A面シングル。「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ(愛こそはすべて)」は史上初の全世界衛星中継で発表された。
- --- 同じカヴァー・アルバムでも2009年にご自身のルーツを見つめ直した『HIT PARADE –LONDON NITE』とはまったく別次元の作品となるわけですね。
意味合い的にはまったく違うし、私はこのアルバムをジャズ・シンガーとしての活動の一環として位置付けています。だから、言ってしまえばこれはビートルズっていう素材を扱った、ジャズ・シンガーによるジャズのアルバムです。
- --- アプローチ的に今までにないようなものもありますよね。新録ではありませんが、「ノルウェーの森」のアレンジだったり。
これは2年前にノルウェーで録ったものです(『Words』)。(註)ブッゲ・ヴェッセルトフトがプロデュースで、アレンジも彼と一緒に詰めていきました。彼らは独特ですよね。基本的に暗い(笑)。
- --- 寒い国だから(笑)。
人はすごい温かいんですよ。いい人ばっかりだし。でも音楽やアートは、暗いものが多い(笑)。冬なんか太陽が一日中昇らないから。

(註)Bugge Wesseltoft (ブッゲ・ウェッセルトフト)・・・1964年ノルウェー生まれ。ジャズ・ミュージシャンの父親の影響で幼い頃から音楽に興味を抱き、10代後半からキーボード奏者として活動しはじめ、80年代にはヤン・ガルバレク、テリエ・リピダルよいったノルウェー・ジャズ界の先鋭的アーティストと共演。90年代からオスロのアンダーグラウンドなクラブ・シーンとの交流を深め、エレクトロニクス、クラブビート、サンプリングなどクラブ・ミュージックの要素を取り入れた新しいスタイルを探求しはじめる。96年にフューチャー・ジャズ・レーベル 「ジャズランド」を設立。同郷のニルス・ペッター・モルヴェル(tp)、アウドゥン・クレイヴ(ds)と共に、ノルウェー・ジャズ/クラブジャズ・シーンの中心人物として活躍している。最新リーダー作は、ドイツ・エレクトロ・シーンの旗手ヘンリク・シュワルツとのデュオ・アルバム『Duo』。 - --- 北欧の音楽シーンというのは、そういった尖鋭的なものが総じて多い感じなのでしょうか?
同じ北欧で国同士の距離は近くても、スウェーデン、ノルウェー、デンマークでは全然違うと思います。フィンランドは厳密には北欧じゃないですけど。例えばジャズ・ミュージシャンがスタンダードジャズをオーセンティックに演奏しているっていうのはノルウェーにはあまり見られない。ニルス・ペッター・モルヴェルのような音響的なアプローチや、とにかく実験的な音楽が多いのかな。でもデンマークに行くと、おじいさんたちが普通にジャズを演奏しているっていう現場にもちょくちょく出くわすんですよね。ノルウェーよりはもう少し陽気でたのしい感じもあって。それはノルウェーより南下した、気候的に暖かいところに位置しているからなのかなって気もする。人もノルウェーより少しだけくだけてる印象もあるし。例えば南の国の音楽ってユルいじゃないですか。南下すればするほどゆったりしていて、北上すればするほど繊細っていうか。
でも、同じ北のほうに位置する国でもやっぱり違ったりもするしね。ノルウェーにしてもフィンランドにしてもすごく真面目なお国柄だけど、真面目さの種類っていうのが違う。フィンランドはアカデミックで知的な感じだし、ノルウェーは内にこもっていく感じ。そういう地域性や国民性による違いっていうのは少なからずあると思うんですよ。
私はノルウェーに行ったときに「日本って何て遅れているんだろう」ってやっぱり思ったし、今の音楽業界の在り方では、音楽が文化的遺産として残っていくことはまずないだろうなって。ショウビジネスとして消費されていく音楽しか人目に晒されないっていうのはすごく勿体ないことだなって思って・・・私なんかがやっていることはまだ救いがある方で、所謂エンターテインメントではないけれど音楽そのものとして素晴らしいものにもっともっと光を当てるべきだと思う。それもエンターテインメントとしてではなく、アートとしてだったり文化として国民が大事にしていかなきゃいけないものなんだと思うんですよね。でないと、エンターテインメント以外でたのしむ感覚っていうのも育たない。
ノルウェーでフェスに出たときに、(註)アースラ・ラッカーも出演が一緒だったんですね。彼女のライブが深夜0時過ぎに始まるんですけど、ご高齢のかたが結構観に来ていたり。クラブにしても、テックハウスとかドープな音楽がガンガンかかっている中で、おじいちゃんが真剣に耳を傾けていたりとか(笑)。で、全フロア禁煙ですごいクリーンなの。だから、音楽との接し方が日本とは違うんですよね。- --- 本当の意味で開放的ですね。
すごく豊かな感じがありましたね、もちろん音楽的なところ以外でも。

(註)Ursula Rucker (アースラ・ラッカー)・・・フィラデルフィアを拠点に活動するポエトリー・リーディング・アーティスト。同郷のザ・ルーツの初期作品や4ヒーローの「Loveless」に参加したことで注目を浴び、その後『Supa Sista』、『Silver or Lead』、『Ma'at Mama』、『Ruckus Soundsysdom』という4枚のアルバムをリリース。いずれの作品も、ジャズ、ファンク、ソウル、ハウス、エレクトロニカなどの要素からなるクールなトラックに、アースラの深いボーカルと詩が組み合わされている。最新アルバムは2011年リリースの『She Said』。 - --- ちなみにブッゲにしろ、彼らノルウェーのミュージシャンのビートルズの捉え方っていうのは、やっぱり日本人とは違う感覚だったりするのでしょうか?
かなり違うと思いますね。例えばブッゲは、ビートルズに限らずジャズのスタンダードすらあまりカヴァーしないぐらいだから。でもそれは嫌いだからしないということじゃないんですよ。好きなんだけど、別にカヴァーをするぐらいだったらオリジナルを作ったほうが断然クリエイティブだっていう感覚なんですよね。
そういう意味では、私がビートルズのカヴァーをこうしたカタチで出したことをブッゲは理解出来ないかもしれない。「なんでそんなことするんだ?」って。- --- その当時の「ノルウェーの森」のレコーディングのときもブッゲはやや不可解な感じだったり?
当時はそこまで言われませんでしたけど・・・多分「ノルウェーの森」っていう楽曲自体、音楽的にかなり自由度が高いから、お互いカヴァーっていう意識をそこまで強く持たずにできたんじゃないかなって思うんですよ。
- Across the Universe / akiko
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akiko 17枚目のアルバムはビートルズ・カヴァー集。世代や国境を越えて愛され続けるビートルズをakikoがリスペクトの念を込めてジャジーに歌い上げた作品。楽曲はセルフ・プロデュース(うち一曲は、中塚武トラックプロデュース)、アートワーク・カメラマンは、「詠む写真」などで世界的に知られるm.hasuiこと蓮井幹生氏。16人同時一発録音など多彩なアレンジを含む全8曲収録。限定生産盤のみ「Across the Universe」の別ヴァージョンを収録した全9曲。
akiko ライブ・スケジュール
akiko Christmas Live @ Gloria Chapel
【日時】2011年12月20日(火) 18:30 OPEN / 19:00 START
【会場】キリスト品川教会 グローリア・チャペル
【料金】5,000 円(税込) ※当日券:5,500円(税込)※全席指定
【一般発売】11月12 日(土)〜
・ローソンチケット (L コード:78826)
・キャピタルヴィレッジ
【主催】キャピタルヴィレッジ/ability muse
【企画制作】ability muse
【お問合せ】キャピタルヴィレッジ Tel. 03-3478-9999(平日11:00〜19:00)
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akiko
2001年、ユニバーサル ミュージック グループ傘下の名門ジャズ・レーベル、ヴァーヴ・レコードより初の日本人女性シンガーとして契約。フランスの名プロデューサー、アンリ・ルノーのプロデュースのもとパリにてレコーディング。同年6月、アルバム『ガール・トーク』で華々しくデビューを果たす。次世代ジャズシンガーとして「ジャズ・ビューティー進化系」と評され、一躍話題に。
当時より500曲にものぼるスタンダード・ジャズのレパートリーの広さは有名であったが、ジャズというジャンルに捕われず、その後も毎アルバム毎に違ったスタイルを次々と提案していく様が注目を集める。
過去作品では、プロデューサーとして、アンリ・ルノー、須永辰緒、小西康陽(ex:Pizzicato Five)、ブッゲ・ヴェッセルトフト(JAZZLAND)他、また楽曲プロデュース/コラボレーションとして、Swing Out Sister(UK)、松浦俊夫、福富幸宏、ニコラ・コンテ(イタリア)、高木完、渡辺俊美(Tokyo No.1 Soul Set)、Okawa Takeshi(The Ska Flames)、アート・リンゼイ等を迎えている。
一方、大野雄二、佐藤竹善、re:jazz(ドイツ)、吉澤はじめ、Studio Apartment、quasimode等の作品にフィーチャリング・ボーカルとして参加する等、他ジャンルからのゲスト参加の要望も多い。
レコーディングもパリ、ロンドン、ニューヨーク、リオデジャネイロ、オスロと世界各地に渡る。これら数多くのコラボレーションに見られる幅広い人脈も彼女のアーティストとしての魅力を証明している。
2009年には、10代の頃から通っていたロック・イベント「ロンドン・ナイト」へのトリビュートとして、大貫憲章をスーパーバイザーに迎え、兼ねてからの念願だったロック・アルバム『HIT PARADE -LONDON NIGHTトリビュート-』を発表。自身のルーツがジャズではなくロックであることを示す。
また単にシンガーとしてだけではなく、ソングライティングやアレンジ、ジャケットのデザインも含めたアートディレクションに至るまでセルフ・プロデュースをもこなし、そのプロデュースの才もまた評価されている。
その音楽のみならず、ライフスタイルやファッションなど、発信する全てに注目を集めるヴォーカリストのひとり。今年デビュー10周年を迎える彼女のネクスト・ステージの動向が期待されている。
































