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松田美緒 『コンパス・デル・スル』インタビュー [2]

2011年10月25日 (火)

interview

「 (今回のアルバム制作での収穫は) やはり、現地の時間を一枚に収められたことです。ウルグアイとアルゼンチンのあったかい時間が凝縮されたことです。」



--- 今回はウルグァイとアルゼンチン、そしてカーボヴェルデの歌をセレクトされています。アルバムのコンセプトとしては前作の延長線上、続編ということになるのでしょうか。

 今作は、歌手がひとりで旅をして、各地で録音して歩くのをやってみよう、と思って計画しました。 「クレオールの花」 は大きなスタートでしたが、今回はその続編という感覚ではなく、現地レポートというか、 「会いにいく」 レコーディングです。南米ツアーで出会うことができたウルグアイのノリ、カルロス、オラシオとの忘れられないデュオ、ウルグアイのライブでウーゴとやっている曲、そういうものは現地でしかできないし、ぜひこの際、録音に残したいと思いました。
カーボヴェルデは私にとって大切な場所で、その海とモンテビデオの風景が心の中で重なりました。カーボヴェルデとウルグアイ、全然つながりそうにないところが、カンドンベのリズムですぐにつながって腑におちました。いや、すでに記憶のなかでつながっていたのだ、と。ちなみに、カーボヴェルデで 「あんた」 を 「ボー」 というんです。ウルグアイもそれを連発するんです。アルゼンチンでは「ヴォス」なんですが、なぜかウルグアイでは 「ボー」 が必ずフレーズの後につく。なんだかカーボヴェルデみたいで懐かしかったですね。

--- とりわけウルグアイのカンドンベのリズムが色濃く印象に残りますが、松田さんにとってカンドンベとは?
力強くもしなやかで意思的な松田さんの歌との相性もとてもよく、カンドンベに対する私の乏しいイメージ (=動的な) にまた新たなイメージが加わりました。

 カンドンベを初めて聴いた時、不思議な懐かしさと高揚感を感じました。ブラジルのレシフェでマラカトゥを聴いたときと似た感覚がありました。カンドンベにはアフリカから連れてこられた奴隷の様々なリズムが混合してできたものです。その中に縁が深いアンゴラやセネガルの空気を感じたのかも。なんたって、カンドンベはカッコイイ!!そして優美、まさに 「グラシア・イ・コンパス」 なんです。

--- 今回のアルバムで核になるような、特別な意味を持つ歌はありますか。

 すべての歌がそれぞれの意味でそういえますが、 「バルトロメウ」 と 「サイコー」 はカーボヴェルデとカンドンベがぴったり合ったな、と思います。大好きな曲なので、録音できて嬉しいです。

--- では今回の製作過程で苦労したこと、努力して乗り越えたことなどあればお聞かせ下さい。

 2カ国4つのスタジオで短期間で録音した後、4ヶ月後に、季節も感覚も違う時に仕上げをしに行ったので、なかなか苦労がありました。もう一度やり直したいと欲が出てきたり (笑) 。どの曲を選んで仕上げるかがなかなか決まらなかったり。スタジオによってソフトが違ったり。今回、NUENDOという南米でポピュラーなソフトがあるのを初めて知りました。ミックスはモンテビデオのスタジオで、ウーゴの献身的ヘルプ (!) のお陰で時間内に仕上げることができました。

カルロス・アギーレとの録音風景    写真 : 河野洋志


--- 松田さんが書かれる日本語の歌詞や対訳、コメントなどいずれも本当にいきいきとした文体で大好きです。日本語の素晴らしさについても思い入れが深いのでは、と予測しますがいかがでしょうか。

 思い入れは深いです、が、イメージが先にあって、それを話して伝えるのは実はものすごく苦手なのですが、書くと整理されますね。日本語は視覚的に、一言でイメージがすっと伝わることばだと思います。なるべく少ないことばでそれが通じればと思っています。

--- アルバムを1枚作り上げる過程は実りの多いものだと思います。振り返ってみて、 『コンパス・デル・スル』 での一番の収穫はどのようなものでしたか。

 やはり、現地の時間を一枚に収められたことです。ウルグアイとアルゼンチンのあったかい時間が凝縮されたことです。

--- 『コンパス・デル・スル』 の聴きどころ、 「こんなふうに聴いてもらいたい」 というのがありましたら教えてください。

 ぜひ肩の力を抜いて、聴いてください。そしてラプラタ川流域の温かな空気が伝われば嬉しいです。カンドンベのリズムに身を揺らし、一緒にラララララーララーララー♫ と 「アディオス・ア・ラ・ラーマ」 でコーラスして欲しいですね。サイコーも!

--- 音楽を通して実現したい夢はたくさんあると思います。少しだけ教えていただけますか。

 夢、というか思い描くイメージはたくさんあります。日本と同じように、今、南米それぞれの国で、そこのミュージシャンとユニットが自然にできてきています。だからツアーは、私が一人でそこに行って、そこの仲間達とローカルな音楽もたっぷり入れて、コンサートするということを考えています。国ごとにみせ方もレパートリーも変わってきて、いろいろな表現や経験ができるな、と思っています。そういうことを重ねていくと、面白いことができるんじゃないか、と。  
日本でもミュージシャンの人によって曲を変えたりアプローチを変えていくのが楽しくてしかたないです。有機的に音楽が変わっていって、それが楽しくてデュオをやることが多いです。いろいろな形で歌っていますから、いろいろ見てください。

--- 最後に、今後の予定を教えてください。

11月19日、パーシモンホールで 「武満徹ソングブック」 のリリースコンサートに出演します。
11月22日、インエフにて助川太郎さん (g) とデュオ。
12月は、松田美緒&ビスコイット・グローボ (鬼怒無月 (g) 佐野篤 (b) ヤヒロトモヒロ (per) の東海ツアー。
それから来年の半ばまで、南米で頑張っています。
3月チリ、4月ウルグアイでコンサートが決まっています。

--- 松田さんが思い描く未来が実現するのを楽しみに待っています。ツアーで大変お忙しいなかありがとうございました!
(取材協力 / ヤマハミュージックアンドビジュアルズ)

松田美緒 ライブ・スケジュール

武満 徹 ソングブック コンサート <ゆったりライヴの旅vol.10>
11月19日 (土) めぐろパーシモンホール・大ホール
歌: アン・サリー / 沢 知恵 / おおたか静流 / おおはた雄一 / 松平 敬 / 松田美緒 / tamamix 演奏: ショーロクラブ
16:30 open / 17:00 start チケット取扱: めぐろパーシモンホールチケットセンター 03-5701-2904

松田美緒 (vo) 助川太郎(g) デュオでのライブ
11月19日 (土) in F (練馬区東大泉3-4-19 津田ビル3F)
20:00 start 詳細はこちら


松田美緒&ビスコイット・グローボ東海ツアー
松田美緒 (vo) 鬼怒無月 (g) 佐野篤 (b,per) ヤヒロトモヒロ (per)

・12月02日 (金)  岐阜・美濃 ディ・アンジェロ
18:30 open / 19:30 start ご予約・お問い合わせ: 0575-35-3386

・12月03日 (土)  長野・飯田 医療法人 栗山会 飯田病院 ロビーコンサート
18:00 open *飯田病院の患者さんとご家族を優先

・12月04日 (日)  静岡・浜松 ハーミットドルフィン
17:00 open / 18:00 start ご予約・お問い合わせ: 053-451-1807

松田美緒のライブ予定はこちらで http://www.miomatsuda.com/



    松田美緒 最新作



     コンパス・デル・スル / Compás del Sur

    南の地からおくる、星空の地図。

    祈りと希望に進路を向け、優美なリズムとシンクロした南米レコーディング作!
    ウーゴ・ファトルーソ、カルロス・アギーレ、レイ・タンボール他参加

    グローバルな活動を続ける松田美緒が、前作 『クレオールの花』 をさらに発展させた新作を完成!今回はアルゼンチン、ウルグアイでの録音。参加ミュージシャンは、ウーゴ・ファトルーソ (p) 、カルロス・アギーレ (p,vo) 、レイ・タンボール、ウルバノ・モラエス (b,vo) 、オラシオ・ブルゴス (g) 、ニコ・イバルブル (g) 他南米のトップ・ミュージシャンが集結!タイトルはラプラタ川で見上げた南十字星からイメージを膨らませたもの。Compás del sur は南の (del sur)  「羅針盤」 (compás) という意味と、 「リズム、拍子」 (compás)という意味。3.11.に録音をスタート。祈りと希望に満ちた歌声が心をうつ。

    選曲のセンスは松田美緒の魅力のひとつ。今回もウルグアイの至宝、ルベン・ラダ作M-1、昨年の感動的な来日公演とオリジナルCD復刻で話題のカルロス・アギーレ珠玉の名作M-3,9では、アギーレのピアノ&天使のごときヴォーカルと美しすぎるデュエット。他にもカーボ・ヴェルデの古いモルナ (ファド+ショーロのような音楽) のカンドンベ・ヴァージョンM-2、タンゴ名曲M-4、メルセデス・ソーサも歌っていたクチ・レギサモン作M-5、ウーゴ作のカンドンベ新曲M-6、エドゥアルド・マテオの名作 「MATEO Y TRASANTE」 収録のM-8では自作の日本語詞で歌い、M-10は自身の人気レパートリーのカンドンベ・ヴァージョンと濃密な内容。

    ⇒ 必見!クールなプロモーション映像はこちら

    [収録曲]
    01. アディオス・ア・ラ・ラマ
    02. バルトロメウ
    03. 故郷の記憶
    04. 最後のコーヒー
    05. ラ・ポメーニャ
    06. グラシア・イ・コンパス
    07. アスール 〜モンテビデオ・ボッサ〜
    08. そのとき、君を見た
    09. ビダーラ・ケ・ロンダ
    10. サイコー / テレジーニャ

    <2011年3月 ウルグアイ、モンテビデオ録音>
    松田美緒 (ヴォーカル)
    ウーゴ・ファトルーソ (キーボード、コーラス、ハーモニカ)
    ウルバノ・モラエス (ベース、ヴォーカル、コーラス)
    フアン・パブロ・チャピタル (ギター、コーラス)
    ニコラス・イバルブル (ギター)
    レイ・タンボール:
      ディエゴ・パレデス (タンボール・ピアノ)
      フェルナンディート・ヌニェス (タンボール・チコ)
      ノエ・ヌニェス (タンボール・レピケ)

    <2011年3月 アルゼンチン、ブエノスアイレス録音>
    松田美緒 (ヴォーカル)
    カルロス・アギーレ (ピアノ、ヴォーカル)
    オラシオ・ブルゴス (ギター)

    解説:佐藤由美 / 曲目メモ・対訳:松田美緒
    発売:ヤマハミュージックアンドビジュアルズ
    (2011年10月19日発売)

profile

松田美緒 Mio Matsuda:

旅する歌手ー歌う旅人

言葉、ジャンルを悠々と越えて、ポルトガル語圏、スペイン語圏、日本の音楽をグローバルなスケール感で表現する注目すべき新世代の歌手。

その旅は、ファドの本場、ポルトガルの首都リスボンから始まり、大西洋の島カーボ・ヴェルデ、そしてブラジルへ。大西洋の音楽地図を描いた「アトランティカ」でデビュー。

2010年、ウーゴ・ファトルーソ、ヤヒロトモヒロとつくりあげたソロ4枚目のアルバム 『クレオールの花』 でスペイン語圏までその世界を見事に広げ、南米3国ツアー&帰国公演を開催。

最近では、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、ベネズエラ、チリ、ペルーなど南米の国々で、心を通わすアーティストとのコラボレーションを重ねる。日本国内でも、南米音楽のみならずジャズや民謡など様々なミュージシャン達とセッションを重ねている。現在活動中のユニットには 「ビスコイット・グローボ」 「松田美緒+沢田穣治with strings」 など。

2011年10月には、ウルグアイ、アルゼンチンで録音した5thアルバム 『コンパス・デル・スル』 をリリース。
土地と人々に息づく音楽ルーツをその身体で吸収し、表現する。その歌声には、彼女が旅する様々な地域の魂が宿り、聴く人の心を暖かく包み込む。
(オフィシャルサイトより)