LOUDインタビュー: BEARDYMAN

2011年2月28日 (月)

interview

BEARDYMAN

'06年と'07年に、史上初となる2年連続UKヒューマン・ビートボックス・チャンピオンに輝き、'08年には同大会のジャッジも務めた、イギリス出身の人気ビートボクサー、バーディーマン。コルグのタッチ・パッド式エフェクター/サンプラー、KAOSS PADを駆使したアクロバティックなパフォーマンスが話題を呼び、これまでに5千万回以上のネット動画再生数を記録している、実力者だ。もちろん世界各地のフェスでも人気者で、昨年はフジロックでもパフォーマンスを披露している。
そんな彼が、ロブ・ダ・バンクが主宰する人気レーベル、SUNDAY BESTから、初のアルバム作品『アイ・ダン・ア・アルバム』をリリースした。制作アドバイザーにベテラン・エレクトロニック・ミュージック・プロデューサー、トム・ミドルトンを招き、驚愕のヒューマン・ビートボックス・ワールドを展開している本作。そのサウンドは、一聴すると一般的なエレクトロニック/ブレイクビーツ・ミュージックに匹敵する、衝撃的なものとなっている。
ダブ・ステップ、ヒップホップ、テクノ、ドラムンベースを横断する、ユニークな楽曲群が詰まった『アイ・ダン・ア・アルバム』。本作の内容について、バーディーマンに話を聞いた。

ビートボクサーの存在を知った時は、初めて自分が他の人よりもウマくできそうな何かにめぐり合えた、って思ったよ。


--- まずは、あなたの音楽的バックボーンについて、少し教えてください。もともと、あなたがヒューマン・ビートボックスに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

BEARDYMAN: '01年に、ラーゼル(Rahzel:元ザ・ルーツのビートボクサー)を観たことだね。彼の作品を友達に教えてもらったんだ。僕の世代の、他のビートボクサー達と同じさ。で、自分でもああいうことができるんじゃないか?って思うようになって、ビートボックスを始めたんだ。ずっとノイズを出すのは上手かったから(笑)、コレだ!って思ったよ。

--- バーディーマンとして活動する前は、どんなことをやっていたんですか?

BEARDYMAN: 僕は、5歳からピアノを弾いて、15歳からギターを弾いていたから、いろんな音楽活動をやってたね。友達とバンドをいくつかやったけど、それはどうにもならなかった。大学では、コメディー・ショーをやったり、MCをしたりもした。最初はソングライターになりたくて、ギターで曲をつくっていたんだけどね。でも、その夢をちょっと諦めかけていた頃に、ビートボックスと出会ったんだ。ビートボクサーの存在を知った時は、初めて自分が他の人よりもウマくできそうな何かにめぐり合えた、って思えたよ。

--- あなたは、コルグのKAOSS PADを最大で4台も駆使したパフォーマンスで知られていますが、このアイディアは、何をきっかけに思いついたんですか?

BEARDYMAN: ラーゼルもKAOSS PADを使っているけど、僕は、彼のプレイを観る前から、マイクをギター・エフェクターに通して、ドラムの口まねをやると、本物のドラムと全然区別できない音が出るってことに、気づいてたんだ。だから、KAOSS PADを使えばギグができるって思って、すぐに始めたよ。他の人が使ってる機材なんかを見ながら、いろいろ実験もしたりしてね。KAOSS PADは本当にすごい機材だと思う。世界中探しても、他にあんな機材はないと思う。

--- 分かりました。では、アルバム『アイ・ダン・ア・アルバム』について教えてください。多彩な楽曲を楽しめる作品になっていますが、どんな内容のアルバムにしたかったのでしょうか?

BEARDYMAN: ちょっとひねりのある終末論的な雰囲気を、とか、ポップ・カルチャーへのコメントを、とか、そういうイメージはいくつかあったけど、基本的には、ただ自分が聴きたいアルバムをつくろう、って思っていただけだった。だから、このアルバムのコンセプトは…自分のファースト・アルバム、ってことかな(笑)。もっといろんな可能性を取り入れたい、とも思ったけど、あんまり入れ過ぎても聴きづらくなるしね。今はこのバランスで満足してるよ。

--- 本作には、もはやどこまでがヒューマン・ビートボックスで、どこからがシンセやサンプリングなのか判別できない楽曲が、数多く収録されていますね。このアルバムは、基本的に、あなたのパフォーマンスを一発録りしていったものなんですか? それとも、かなり綿密に構成を考えて、エディットやオーバーダビングを重ねながら仕上げていったものなんですか?

BEARDYMAN: どっちもだな。今回は、トム・ミドルトンが制作に関わってくれたこともあって、スタッフ全員で、すごく複雑なアルバム制作のシステムをつくりあげたからね(笑)。トムはすごいプロデューサーで、キャリアのある人だから、いろんなアイディアや意見をくれたんだ。レーベルのボス、ロブ・ダ・バンクが、トムをスタジオに呼んでくれたんだけど、音楽的な趣味も合ったし、良かったよ。

--- 本作は、ダブ・ステップ系のベースラインを再現した楽曲群から、エイフェックス・ツインのような高速ビートの入った「Game Over (feat. Latex Quim)」や、ア・トライブ・コールド・クエストのようなジャジー・ビートにトライした「Smell The Vibe」まで、様々な楽曲で、あなたの神業的なテクニックが楽しめる作品となっていますが、技術的に一番難しいことをやっている曲はどれになりますか?

BEARDYMAN: 「Game Over」は、音的には難しく聴こえるだろうけど、レコーディング自体は難しくなかった。ループを使ったりして…って、あんまり秘密を暴露したくないな(笑)。僕は、エイフェックス・ツインを何度も聴きこんできたから、音づくりを含めて、かなりスムーズに仕上げることができた。「Smell The Vibe」は、難しかったね。あの音の雰囲気をつくるのは、かなり難しかった。なかなか満足いく形に仕上がらなかったよ。

--- ビートを刻むことよりも、サウンドメイキングに苦労したんですね。ちなみに、トム・ミドルトンは、曲づくりにも関わったんですか? アルバム後半には、トム・ミドルトンらしい、スペーシーなシンセをフィーチャーした曲も収録されていますが。

BEARDYMAN: 彼は、いろんな意見をくれたけど、曲づくり自体には手を出さなかったよ。二回やったセッションのうちの一回に来てくれて、制作技術面、精神面のアドバイスをくれただけ。僕が自分の力でやれるところを、応援してくれただけだった。すぐに集中力がなくなって道から反れていってしまう自分を、正してくれたりとかね(笑)。彼が来てくれただけで嬉しかったよ。

--- では最後に、あなたの次なる活動目標を教えてください。音楽以外では、どんな分野に進出していきたいと考えていますか。また、DVD作品などの構想はないんでしょうか?

BEARDYMAN: 将来のことは、まだはっきりしてないけど、いろんなことに興味があるよ。ビデオのプロジェクトもやってる最中なんだけど、それが面白いんだ。まぁ、真面目な音楽もやってみたいし、ものすごくバカみたいなこともやってみたいね。これから始まるツアーも、フリー・フォームのすごいパーティーになると思うよ! 自分がクールだって感じることなら、何でも試していきたい。それがクレイジーなことだったとしてもね(笑)。

interview & text Fuminori Taniue
tanslation Nanami Nakatani


新譜I Done A Album / Beardyman
既にフジロックやドミューンへの出演で巷で話題となっている新世代ヒューマン・ビートボクサー、BEARDYMAN!UKクラブシーンの大物プロデューサー、トム・ミドルトンが制作に参加、ダブステップ、エレクトロ、ドラムンベース〜ラテンまで!様々な音楽スタイルを自らの”声”で表現した強力1stアルバムが遂に完成!!

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