HMVインタビュー: MODEWARP
Tuesday, January 18th 2011
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常に最先端のサウンド・テクニックと選曲を駆使して、2010年には25年周年という偉大なキャリアを築き上げた名実共に日本を代表するトップDJ、KO KIMURA。
現在、パートナーKAZUAKI NOGUCHI と共にMODEWARP としても精力的に活動し更に進化を続けているさなか、このたび遂に初のCDアルバムが完成!
気になるDJプレイの現場からトラック制作について、そして世界標準のサウンドとは…お二人にお話を伺いました。
なんかハウスのスリルっていうか、あぶない感じ――そういうところをできたらいいなと。
- --- まず今回はアルバムで、さらにCDフォーマットでのリリースに至った経緯を教えてください。コウさんご自身は、数年前からPC(デジタル音源)を駆使したDJプレイをされていますが?
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KO KIMURA: DJプレイではPCでデジタルの音源データを使っているので、自分にとってはそっちの方がありがたかったりするのですが、アルバムとしてまとまって聴いていただく際にバラ売りだと、頭からだんだん最後まで聴いてもらうという事ができないので。
あと去年ちょうど僕の(DJキャリア)25周年記念という事もあっていろいろ考えていたなかで、「モノとして残るものを作ろうか」というアイデアからですね。 - --- 1曲単位ではなく、まとめて聴いてもらいたいと?
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KO KIMURA: そうですね。すべて1曲が8分とかの12インチバージョンのダンスミックスなので、アルバムエディットになっているわけではないのですが。オリジナルアルバムだから、自分のDJというか一晩の流れを再現してある感じです。
- --- 収録トラックはすべて現場(クラブ)にて、何度もプレイとテストを繰り返されたそうですが?
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KO KIMURA: 家で聴く分にはバランスが取れていてかっこよく聴こえても、ダンスミュージックとして現場でかけてみるとキックの音が足りないとか、 低音がこもり過ぎているとか逆に出過ぎているとか、そういう事が多いんですね。
ダンスミュージックに関してはワールドスタンダードな音の鳴り方っていうのがあって、キックの音はパンって抜けなきゃいけないとか、ベースの輪郭が聴こえなきゃいけないとか、オープンハイハットの上の抜け方とか、そういうのを外してしまうと今の音でなくなってしまうので、バランス感覚みたいなものはナイトクラブでかけてみないとダメかな。なかなか難しいですよね。 -
KAZUAKI NOGUCHI: 家でモニタースピーカーで聴いてみてちょうど良くても、クラブでかけてみると足りない事もあれば、多すぎる事もあるので。 それがどっちに転んでいるのかもわからないんです。クラブにあるウーハーのような音を家で確認するには、相当大きな音を出さないとできないですから。 コウさんのレギュラーパーティーREC●で確実に試せるタイミングがあるので、試しながら調整して…。
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KO KIMURA: なんとなく海外の人はその辺を上手く作っているのですが日本人のアーティストだと――最近は皆そういう事ができるようになってきましたが、どちらかというと聴く方のダンスミュージックが多くて、四つ打ちでハウスミックスっぽくても実際かけてみると、なんかハウスのスリルっていうか、あぶない感じというのが出てないなみたいな…。そういうところをできたらいいなと。
- --- 交流のあるDJ達と、リリース前のトラックを共有されたりする事はありますか?
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KO KIMURA: いまダンスミュージックがここまで流行ったのはネットの影響が大きくて、でき上がった曲をすぐかけるような事ができるんですね。 24時間チャットのようなものでやり取りできる状況なので、海外でも送りたいDJ達にパッと投げて。 DJ同士の付き合いなので、それは早いですね。「今日DJでかけてみるよ」とか、「ここをこうすればいいのに」とか、「すごく盛り上がったよ」とか、みんな言ってくれたりするので。
- --- たとえば、富家さん(Satoshi Tomiie)とか?
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KO KIMURA: そうですね。「この曲なら地味だからかけるかな。」とか。(笑) 「これは上がりすぎるかな」とか。(笑)
- --- ご自身の曲をDJプレイされたり、また他のDJ達にプレイされた時の気持ちというのは?
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KAZUAKI NOGUCHI: 僕は自分の曲をかけるとなると、いろいろ気になる部分に気付いてしまったりするので…落ち着いて聴いていられませんね。(笑) 他のDJがかけてくれるのは、やはり嬉しいです。
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KO KIMURA: たとえば、小林くん(Hideo Kobayashi)みたいな「DJもやっているけどアーティスト」の人達の間には、「自分の曲を持たずしてDJに行くのは、武器を持たずに戦いに行くようなもんだ」みたいな意見があって。
まさにそうだなと思いながらも、自分はDJサイドがあまりにも強すぎるから、作っているうちに飽きちゃうんですよね。曲ができ上がった時には100回以上聴いていますから。だから「あぁ綺麗に鳴ってるな」っていう感じでかけているだけで。それより、使いたい曲だけでも週に50曲くらい出てきているので、自分の曲もどんどん過去のものになっていっちゃうんです。 - --- ライヴ・パフォーマンスと、DJプレイの違いは?
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KAZUAKI NOGUCHI: ライヴは活動報告じゃないですけど…。(笑)まとめて聴いてもらって観てもらう要素も強いと思うので、DJともスタンスが違うしエンターテインメントでないといけないと思いますね。
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KO KIMURA: ちょっとかけ方が違うとか、そういうのはありますよね。 あとライヴだと、DJプレイより「一層なんかやらないと」みたいなのがあるので、難しいところはありますね。
- --- トラック制作で重視している事は?
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KO KIMURA: 僕がトラックを作っていて一番思うのは、ナイトクラブって音の聴こえ方が全然違うじゃないですか。
家だとスピーカーからなんとなく鳴っているものが、車だと3D感というか左右に振っていたりするのがわかる。 ナイトクラブだと、さらに上下感や音があっちこっちいったりするので。
低音から急に高音が入ってくると気持ち良かったり、新しい音がどんどん増えて音がうるさくなったのに無くなったり、 ずっと踊っていて楽しいなと思えて飽きないようにする、そういう音の動きを重要視してますね。 -
KAZUAKI NOGUCHI: クラブでどれだけ綺麗に鳴るのかっていうのと、あとコウさんと一緒に制作作業していると感じるのは、 一曲のなかでも起承転結があって、たとえば曲のパーツのループが20個とか30個あって、それがどの順番で増えていくと盛り上がって どうやって減っていくとちょうど綺麗にブレイクへ繋がるかみたいな構成を、レコードを選ぶ感覚でやってくれるんですね。 そういう「流れ」みたいなのを大事にしてるなと感じます。
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KO KIMURA: 一晩の流れの中で、どうやって自分の個性を出すか。23時とか24時にバキバキの音をかけても仕方ないし。 その時間帯に合った音楽ってあると思うんですよね。
自分達の曲は全体に散らばせる事ができるようにしてるし、 かつ一曲一曲でも展開があって、起承転結があるように作っています。 - --- トラック制作の流れは?
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KAZUAKI NOGUCHI: 一概には言えませんが、はじめにキックとかハットとかスネアとかパーツを並べるところから始まって、僕のライブラリーからネタを探してくる事もあればコウさんがネタを持ってきてくれる事もあります。あと前の曲では使えなかった音だけど、次の曲で使ってみようとか。
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KO KIMURA: だいたいはキックからとか、一個ずつ音を選んでいって。ただ、すぐ曲としてかたちにするのではなくて、どんどん何十個とパーツを増やしていって、今度は曲にする為にいらないものを捨てていく作業をするという。だいたい1日目で「今回はこのネタを使おう」というデータを入れ終わって、 2日目に一曲のデータにしていく作業をする、それをクラブでかけてみて足りないところを3日目にキレイにするというか。
だいたい3〜4日で出来上がります。 - --- 早いですね。
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KO KIMURA: 以前一人で曲を作っていた時は、DJなので新しいレコードを買ったりすると新しいアイデアがでてきてしまって 「これも入れたい」「あれも入れたい」となってしまって、1曲を一年間延々とやっているみたいな事になっちゃうんですね。 早く終わらせないと、ちっとも曲が完成しないという。それが、アーティストと違うところだと思います。
アーティストの人は自分が作りたいものをじっくり作ると思うけど、DJは早く作って旬なものをすぐ出したいっていうのもテーマのひとつじゃないですか。 -
KAZUAKI NOGUCHI: 音をひとつひとつ追い込むっていう事はしないですね。もしも迷ったら、差し換えて違う音にしちゃいます。
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KO KIMURA: たとえば、テクノの人なんかはかっこいいキックとかベースの「音」を作る事に命をかけるじゃないですか。
富家くんなんかと話していたのは…あの人は曲作りに関して僕より全然先だけど、ミュージシャンと違ってDJの音楽なら 「かっこいい音を作った人がいるのに、なんでそれを使わないんだ?」って。それはあの人がよく言っていた事で、「あぁ、そうだね。」みたいな。(笑)
DJってそもそも他人の曲を使っているわけだから。サンプリング文化がすべて最高!ってわけではないですけど。 かっこいい音を自分っぽくするのが、それがダンスミュージックでもあるし。 - --- 今後、トラックは随時リリースされていくのでしょうか?
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KO KIMURA: 自分が「今が旬だ!」と思うものは外したくないですね。 自分は日本を中心に仕事をしてますけど、世界の人が聴いてもはずかしくないものにしたいなというのはあります。認められたいというか。
たとえば海外からクラブ好きの友達が来ました、「日本のNo.1 DJのところに連れて行ってあげるよ」 となった時に、「遅れてるなー」とか思われないようにアーティスト活動もしたいなと。 - --- ワールドスタンダードな事をやっていきたいと?
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KO KIMURA: やっぱり尺八の音とか琴の音とかを使うと、ちょっと飛び道具っぽくなるっていうか。
べつに海外の人が尺八の音を使おうが琴の音を使おうが「面白い音だから使った」ってだけでいいんですけど、日本人が使うと逆にワールドフォーマットから外れてしまうというか。そういう人はいてもいいと思うけど、僕的には同じ土俵で勝負したいなというところで。「日本人だから尺八を使う」みたいなところへは行きたくないな、というのはありますね。 - --- 今後の展望を教えてください。
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KAZUAKI NOGUCHI: さしあたって、今回のアルバムのリミックスをいろいろな方にお願いしています。 展望というより、今後もコウさんと遊んでいる中で自然に出てくるものかと思いますね。 あとは今までと違うライヴのかたちというか、聴かせ方にも変化をつけていきたいなと思います。
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KO KIMURA: ライヴも「45分やります。観てください!」っていうよりも、DJの間に自然に入っていて「あの曲かっこ良かったよね!」というような感じで。DJっぽく効果的に使いたいので。「今のタイミングでこの曲をかけると映えるだろう!」っていう時にDJの間に突然1曲ライヴでやったり、現場でDJと混ぜてやりたいなとか思います。
- 新譜MODEWARP / SOUND CHAMBER
- KO KIMURA とスタジオパートナーKAZUAKI NOGUCHI によるユニット、MODEWARP(モーディワープ) 初のアルバムが遂に完成!最先端のサウンド・テクニックと選曲を駆使して、25年というDJキャリアを築きながら更に進化を続けるKO KIMURA らしいテッキーでアッパーでタイトな独特のサウンドを展開したトラックを全8曲収録!
取材協力:RhythmCafe
渋谷区宇田川町11-1 柳光ビル別館1F
tel: 03-3770-0244
http://rhythmcafe.jp/

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- SOUND CHAMBER
MODEWARP - 2011年2月5日発売
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KO KIMURA


2010年にはキャリア25周年を迎えた、日本のクラブ黎明期から第一線で活躍しているDJ。最先端のテクノ/テックハウス/プログレッシヴハウスなどを駆使した選曲と、確実なDJテクニックによる世界標準のサウンドとグルーヴで、常に満員のフロアを作り上げている。現在のレギュラーパーティーREC●(東京 代官山 AIR)は、最高のデジタルサウンドをクラブ環境で追求する斬新なパーティーとして、神戸TROOP CAFE や名古屋MAGO、高松NUDE SUPPERCLUB など全国各地でも展開中。
KAZUAKI NOGUCHI
バンド活動やサウンドエンジニアの経験を生かし、2006年より制作活動を開始。KO KIMURA の「FUTIC RECORDINGS TOKYO COMPILATION 01」 にフィーチャーされ2曲参加。以来、KO KIMURA のマニピュレーターとして活動を続ける。2008年からは、KO KIMURA とのユニットMODEWARP をスタートさせ活躍中。
絶えず時代の先端を見据えながらカッティングエッジな選曲と卓越したスキルでプロとしてDJし続けてきたKO KIMURA。そのKO KIMURAのホームグラウンドとなるレジデントパーティが[REC●](レック)だ。技術の進歩とともに変化するDJテクノロジーをいち早く取り入れてきたKO KIMURAは数年前からPC DJでプレイしているが、[REC●]ではこのデジタル音源のみによるDJという現代のDJスタイルをフィーチャー。DJブースにもはやターンテーブルはなく、サウンドシステムはデジタルサウンドのダイナミズムを最大化すべく特別にチューニング。オープン前にはエンジニアValkyrieと共に綿密な音響チェック、パーティ中も微調整を繰り返し最高のサウンドを追求している。木村コウの醍醐味であるロングセットは変わらずパーティの中心コンセプトとなるが、さらにフロアを最高にスリリングな音空間へと導く。
またクラブ通ではない人にも気軽に遊びに来てもらえるよう、B2にはネイル、占い、フード、ボディペイントなど毎回女の子たちによる”ガールズブース”がお祭りの屋台感覚で楽しんでもらえる。[REC●]はクラブをコアなクラバーだけではなく、友達と飲みに行く感覚で出かける人たちにも遊べる場にしたいと考えている。
(REC● オフィシャルサイトより)
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