【HMVインタビュー】 MOROHA page3

2020年10月15日 (木)

interview

MOROHA

--- では制作について。楽曲はどのように出来上がっていくのでしょう?

U:曲を創るとなったら、出来るまでやる。仕上がるまで、なんとかする。完成した段階で、曲の良し悪し、ボツかどうかを決める。それとは別に、練習があって。
「練習」と「曲創り」二人で作業をする時間は、どちらかに分かれる感じなんですよ。
曲を創る時はそれに専念して。練習するときは練習に専念して。っていうやり方が多いです。

--- じゃあ二人でいる時間って相当長いんじゃないですか?

A:長いっすね。

U:時間的に言えば、週2日練習だけで入って。

A:LIVEが2本入って。LIVEの前も僕ら必ずShow Caseを通すので。そういう意味で言うと、結構一緒にいますね。

--- そんな中、ぶつかりあいもあります?

A:ありますね・・・笑

--- 「行くぞ」って曲の中では、相方に対する感謝の気持ちを歌っていたりしますが、こういう普段言えなかった思いが、RAPにすると言えてしまう部分はありますか?

A:「行くぞ」だけに限らず、全部の曲がそうですね。普段言えないこともリリックだと言えてますね。

--- 「行くぞ」のリリックがあがってきた時ってUKさんはいかがでした?

U:一人間として恥ずかしいのは当たり前なんですよ。(笑)
なんですけど、出来た段階で、二人で創ったものっていう意識があって、曲っていうものの見方をしたんですね。「曲としてどうなのかな?」って聴いた時に、「これは大丈夫じゃない?」っていう言い方をしたんです。尚且つ、「ここもうちょっとこうしたら」とか。(笑)

A:このリリックに対するダメ出しが、俺は腹が立つってのとはちょっと違うんですけど、「あぁそう」みたいな。でもそこが出来るのが「この人すごいな」って思っていて。
結局、「行くぞ」に関して言えば、リリックがUKだけに対して伝われば良い訳ではなくて、リスナーがUK側になって聴いて感情移入出来るか?逆に僕側になって聴いて感情移入出来るか?UKはそれを見る客観的な眼を持ってるんで。

U:「自分が恥ずかしいからよせよ」っていうのだと、もったいない物もあったりすると思うので、恥ずかしいとかそういった自分の感情を入れずに客観的に聴いた時に、良い曲なのかなって言う所で判断して、この曲OKみたいな。

--- 実際MOROHAのリリックは、近しい人に向けて書かれている物が多いと思うんです。でもそれをリスナーが感情移入して聴く事が出来るって言うのは、UKさんの客観的な眼によるところも大きいんでしょうね。

U:リリックをアフロが書いてきた際に2パターンあるんです。
「ホントに自信があって書きました」っていう場合と「これどう?」って聞いてくる場合。
「自信があって書きました」っていうものに対しては何も言わないです。
「これどう?」って聞いてくるって事は、自分でも「どうなのかな?」って思っているから聞いてくるわけで、それに対して何か答えなきゃなっていう部分で、MOROHAの自分としてではなく、極力客観的な目線で、「伝わるのかどうか」って言うのを参考程度にアフロに伝えるようにしていて。

--- アフロさんは、それにイラっとしちゃうみたいな。(笑)

A:そうっすね。(笑)
けど結局、俺は本当に近しい所に向けて書いてるんで、例えばAさんにリリックを書く時に、Aさんと僕にしかわからない共通のワードとかも使ったりしちゃうと思うんです。「これは完全にAさんに届く」俺の中では、それで完成でいいんです。けど、そこからBさんが聴いた時に、この曲がAさん宛ではなく自分宛だと思ってもらえるようにするための中間作業をしてくれるのがUKなんですよ。そういう部分ではすごい信頼してますね。

--- それはすごく良い関係ですね。

A:でもまぁ、イラっともくるんですけど・・・(笑)
言い方なんですよ!言われた事にイラッと来る事はないんですけど。その日の体調によって言い方が違ったりするんですね。それに対してもう!(笑)

--- 面白いですねぇ。

I氏(ROSE RECORDS):二人を客観的に見てると本当に面白いんですよ。色々な事を二人に任せると、凄く真面目に検討してくれるし、最初から意見が合ってた試しはまずないですね。でも、よくよく聞いて見ると、そんなに変わらないんですよ。アプローチの仕方、物の見方が違っているだけで。UK君の客観的な感じと、アフロ君の実直な感じが見てて毎回面白い。

新譜MOROHA / MOROHA
「MOROHA の登場は事件だと思っている」―曽我部恵一をして、そう言わしめた若干23歳の ユニットがROSE RECORDSからデビューを果たします!!情景を鮮やかに映し出す透明に研ぎすまされたアコースティックギターの調べ。夢や挫折、愛や絆、そんな誰もが抱える大切なものについて、ありったけの情熱でフロウするラップ。アコースティックギターとラップのみで音楽の新たな希望を照らす話題のユニット、MOROHA1stアルバム!!
profile

2008年に結成されたMCのアフロとGtのUKからなる二人組。結成当初は、渋谷Familyや池袋bedなどでクラブイベントをメインにライブを行うが、ビートの無い編成ゆえに出演者やオーディエンスから冷ややかな視線を浴びることも多々あった。こうした現場を通して屈強な精神力を培う。言葉から汗が滲み出る程に熱量を持ったラップ、そして、ギター1本だからこそ際立つUKの繊細かつ獰猛なリフ。個々の持ち味を最大限に生かす為、このMC+Gtという最小編成にこだわる。抽象的な表現を一切使わず、思いの丈を臆面も無く言い切るそのスタイルとリリックは賛否両論を巻き起こしている。鬼気迫るLIVEはあなたにとって毒か薬か!?雪国信州信濃から冷えた拳骨振り回す。

ROSE RECORDS 作品情報