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[レポ] HMV渋谷 おつかれサマーフェス

ROCK NEXT STANDARD 日本のシンガーソングライター特集ストア

2010年8月25日 (水)

2010.8.19 HMV渋谷 おつかれサマーフェス

2010.8.19 曽我部恵一 presents HMV渋谷 おつかれサマーフェス

それは2010年8月22日、HMV渋谷が、その20年の歴史に幕を下ろす4日前、2010年8月19日の出来事。
HMV渋谷を愛した、曽我部恵一氏がキュレーターとなり、同じくHMV渋谷を愛したアーティストに呼びかけ、HMV渋谷を愛した全ての人たちに贈る、本当に素晴らしいインストア・イベントが開催された。
曽我部さんの呼びかけに賛同し、この日のインストア・イベントに参加したアーティストは30組以上。
多くのアーティストに愛され、また多くのお客様に愛されたHMV渋谷という存在の大きさを改めて感じさせられる、まるで夢のような1日。

奇跡みたいな、その日のことを振り返ってみようと思う。

開店前


当日、僕がHMV渋谷に到着したのは開店前の9時30分頃のこと。既に、井の頭側の入り口、センター街側の入り口にはそれぞれ、20人ずつのお客さんが開店を待ち、並んで待っていてくれた。木曜日という、平日のど真ん中。このために、仕事を休んでくれた方も多いのだろう。僕が声をかけたお客さんの中には、徳島からヒッチハイクで、このためだけに駆けつけてくれた青年もいた。全ての方が、音楽に対する愛にのみ突き動かさせているような、そんな印象だった。

開店直後


開店から20分間はOPEN & DJ time。OPENING DJを担当したのはHMV渋谷クラシックフロアから、DJジョセフ。クラシックの7インチ!を黙々と繋げるドープっぷり。これに気付くお客さんはいるわけもなく、完全なる内輪受けスタイル!
そんな中、開店から20分後にスタート予定の曽我部恵一BANDに向け、お客さんは増え続ける。始まる直前には、什器を移動し広くしたイベントスペースを完全に埋め尽くす人の数になっていた。何度も言うようだが、これは平日、木曜日の午前中、朝10時過ぎの出来事。それは、長年HMV渋谷を見続けた、我々スタッフにとって夢のような光景だった。

曽我部恵一BAND


10:20 今か今かと待ち侘びるお客さんの前に、いよいよ曽我部恵一BANDが登場する。われんばかりの歓声!!!僕はここで、曽我部さんが、このイベントを開催した想いなどを語ってからイベントがスタートするものと思っていた。それは大きな間違い。あまり多くは語らず、演奏がスタートする。その魂のこもった熱い演奏、うたが、僕らの耳から流れ込み、細胞全体を躍らせる。自分の身体の中から沸き立つ鳥肌。こんなにもアーティストの想いがダイレクトに伝わってきて、心を動かされたのは初めてだったかもしれない。時々、涙がこぼれそうになる名演だった。
そう、これはこの日、出演してくれた全てのアーティストに共通して言える事だが、HMV渋谷に対する想い、音楽に対する想いを、決して長々と語ろうとはせず、その想いは自らの演奏、うたを通して届けようとしてくれていた。彼らの表現の方法はまぎれもなく音楽であり、それ以外の何者でもない。まさに音楽家である事を改めて感じさせてくれた。

MOROHA / 中村ジョー / cinnabon + 青芝和行 + POP鈴木


続いて登場したのはMOROHA。このアーティストを知っている方は、その場にいたお客さんの中でも、ごく僅かだったのでは?アコースティック・ギターの音色をバックにポエトリー・リーディング・スタイルをかます二人組。共感と反抗の言語持つBILINGUAL、MC AFROと六弦抱える座禅僧、UK。MC AFROの熱い言葉は、観るものをグッと惹きつける。この言葉の力の強さに驚き、その場から動けなくなった方も多いはず。まだCDのリリースのないMOROHA。今後注目されるアーティストである事は間違いないはず。
さらに中村ジョー、cinnabon + 青芝和行 + POP鈴木と、アコースティックな優しい時間が流れた。

おとぎ話 / 前野健太 / 豊田道倫


アコースティックな空気感の中、おとぎ話が登場。この悪ガキっぽい感じ、ナチュラルボーン出鱈目な雰囲気が最高です!!その上、あのいい歌な訳ですから、たまらないです!!特徴のある歌声とやんちゃな少年性が魅力のグッドソングが、僕らの心を揺さぶってくれました。「CDとかレコードは素晴らしいものだから、なくならないよ〜」の叫びが、妙にグッと来たのは僕だけじゃないはずです。続く前野健太は、盟友おとぎ話をそのままバックに歌い始めます。このボブ・ディランとザ・バンド、あるいはニール・ヤングとクレイジーホースにも似た前野健太とおとぎ話の絶妙な関係性。これが観れたのも随分久しぶりの事。この日のスペシャル感が感じられます。熱く汗臭いロックのLIVE。最後は前野健太、ステージを降り観客に揉まれながらギターを鳴らす場面も。さらに「この曲は手拍子入らないから」という前野健太の一言に、全員が手拍子で答えるという面白シーンもありました。ホントお客さんもみんな最高でした!!
続く豊田道倫は、アコースティック・ギター一本で、歌うホンモノのうた。ピュアで繊細な日常の歌。豊田道倫にしか到達しえない歌。観れた人はラッキーでしたね。

ワッツーシゾンビ / イノトモ / 堂島孝平


続くワッツーシゾンビで、またしても事件発生!途中ほぼ満員のイベントスペースを無理矢理こじ開け、ドラムセットをフロアに移動。3人のメンバー全てがフロアに降り、熱いロックンロールを鳴らせてくれた。コレに盛り上がらない観客はいないでしょう!関西出身の熱いロックンローラーが、渋谷のど真ん中でブチかましてくれました! そして、イノトモ。90年代に青春時代を送った人にとって、イノトモの出演は、かなりこみ上げるものがあったのではないでしょうか?当時と全く変わらない容姿でステージに登場した時、一瞬タイムスリップした心地がしました。途中、曽我部さんも登場。二人は10年前「星と花」という楽曲をプロデュースした関係。今回、曽我部さんがコーラスと言う形で参加し、10年の時を超えた共演が実現したとの事。このイベント、やはり1秒も目が離せない事を改めて悟り、僕は飯抜きでこのイベントを楽しむ覚悟を決めました。
続いては、堂島孝平登場。あのキラキラした堂島スマイルに誰もがハッピーな気持ちにしてもらえました!その笑顔で「こんな平日の昼間に来れるお客さんって仕事は何をされてるんですかー」なんて言われたらねぇ・・・

片寄明人 / 直枝政広


続く片寄明人は、「玉突き」「ナツマチ」などGREAT3の楽曲を中心に演奏。懐かしさにホロリとヤラれた30代多数。嬉しかったなぁ。最後はまさかのChocolat登場で「ベランダ」を!!二人のやり取りは相変わらず、うらやましいほど微笑ましく、僕らにハッピーを分けてくれるようでした。そう言えばこの夫婦。プライベートでもHMV渋谷でよくお見かけしました。HMV渋谷を愛してくれて本当に有り難う御座います。
そしてカーネーションの直枝政広登場。HMV渋谷は夏のイメージだとか。夏にインストアイベントを行う事が多かったそうで。そんなわけで、「やるせなく果てしなく」「It’s a beautiful day」など、コロムビア時代の夏ナンバーを中心に演奏。最後は同じくカーネーションの大田譲もコーラスとして参加「市民プール」を演奏。直枝さんの声の魅力、今年の猛暑にこそコロムビア時代のカーネーション。改めてCD引っ張り出して聴きたくなりました。

やついいちろう / GOING UNDER GROUND


セットチェンジの間、沸きに沸いたやついいちろうのDJ!渋谷系の名曲たちに始まり、B’zやフィンガー5まで!お客さんをあおりまくり、楽しさ最高潮!最後は自身のMIX CDから「きみはキョンシー RAM RIDER REMIX」。知ってる人も知らない人も、すぐに覚えて盛り上がれるキャッチーさに会場は素晴らしい一体感を共有したはずです!
お次はGOING UNDER GROUND。キーボードにHARCOを迎えての登場です。ちょっと切ないメロディーが、やがて来る夕暮れ時を演出してくれました。ゴーイングのみなさんには、閉店直前までプロモーション訪店をして頂いたんですよね。有り難う御座いました。

藤原ヒロシと曽我部恵一


昨年、限定でアルバムをリリースしたこのお二人。この二人をインストア・イベントで観れるなんて、まさに奇跡。しかも夕方16:30頃の出来事です。この時間にアコギを抱えた藤原ヒロシと曽我部恵一の大人で涼しげな演奏を聴けるなんて!!!この15分間を目当てに来てくれた方も多いのでは?演奏した楽曲は以下の通り。

1. 渚のボードウォーク(ザ・ドリフターズ)
2. Only Love Can Break Your Heart(Neil Young)
3. プカプカ(西岡恭蔵)
4. Perfect(フェアーグラウンド・アトラクション)

気負いなく、穏やかに演奏する二人の姿は、本当にかっこよく、演奏は丸みを帯びた優しい音で本当に心地よかった。藤原ヒロシが一度は替え歌にしようとし、ちゃんと聴いてみると歌詞がめちゃめちゃ良い事に気づき、替え歌にする事を断念した西岡恭蔵の「プカプカ」。本当に素敵な曲なので、機会があれば原曲も聴いてみてください。

青山陽一 / 渡辺俊美


青山陽一。音楽通のツボを付くこのブッキングには、正直参りました!本当に曽我部さんすごいです!このちょっと変わったメロディー感覚、そしてこのリズム感は完全にクセになりますね。歌はもちろんですが、そのギタープレイ!本当に楽しんでギターを弾く青山陽一は、やはり”永遠のギター少年”!熟練の渋いサウンドをHMV渋谷に響かせてくれました!
続いて、ストローハットに、誂のジャケットを羽織り、登場したのは渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET / ZOOT16)。見た目のお洒落さしかり、本当にかっこいい大人ですね。スカ・レゲエ、中近東、アフリカ、ジプシー音楽や南米音楽の要素を大いに盛り込んだ、意思を貫くレベル・ミュージック。男らしいハードボイルドな演奏が続き、名曲「ごめんねマイペース」に続き、最後はTOKYO No.1 SOUL SETが始めてCDを出したレーベル”江戸屋レコード”主宰、Charのデビュー曲「気絶するほど悩ましい」をカバー。粋な選曲に卒倒してしまいました。

カジヒデキ


やはりHMV渋谷といえば渋谷系発信の地。最後の渋谷系と言えばこの人、カジヒデキ。アコースティック・ギターを片手に、ストローハット、ボーダーシャツ、短パンと言う期待を裏切らないスタイルで登場。パーカッションに松田chabe岳二、フルートにNARUというシンプルなセットでの演奏。HMV渋谷でイタリアのサウンドトラックを買い漁った話や、自分のCDの展開、デトロイトメタルシティー公開時にHMV渋谷でインストア・イベントを行った話まで、思い出をいっぱい語ってくれました。そして、「HMV渋谷と言えば、この曲を歌いたくなります」と、やっぱり最後はミニスカートでシメてくれました。

【トークセッション】北沢夏音 x 坂口恭平 x曽我部恵一 x 磯部涼


続いては一旦、音楽を止めてトークセッション。メンバーはライターの北沢夏音、磯部涼、建築の分野から坂口恭平、そして曽我部恵一の4名。いきなり磯部氏の「ビールはそこのコンビニで買えますよ」発言から始まったトークセッション。その後ビール片手にイベントを楽しむお客さんが増えた事は言うまでもないです。普段、店内での飲酒を禁止していたHMV渋谷もこの日ばかりはわかっています!
それはともかく、話は”渋谷という街”について。その中で興味深かったのは、
「消費の街としての渋谷の終焉」
消費がリアルの世界からバーチャルの世界へ意向している様子を示しているが、その瞬間をお葬式と捉えるか、何かの誕生と捉えるかは人それぞれ。ただ、少なくともここに集まった人たちは、この何かが起こるかもしれない、変わるかもしれないその瞬間のワクワク感に面白さを感じているのかもしれない。
この少々社会学的な観点に対し、曽我部さんはクリエイターとして以下のように感じているようだ。
「ただお客さんが欲しているモノを自分たちは創るだけ。そこに歴史的な背景、社会的な流れは感じていない」さらに「それは自分たちが欲しいものとも一致する。例えば今日の無料イベント。お客さんも無料、アーティストもノーギャラ。でもそこから得られる楽しさ。その楽しいというところから、自分たちが何を欲しいのか探っていければいい。」
曽我部さんのクリエイティブの原点を垣間見たような、何とも曽我部さんらしい発言が妙に気持ちよかった。

PSG / 環ROY


この日のHMV渋谷。1Fレジ横がDJブースと化し、夕方からDJプレイが行われていた訳です。で、19:50からのPSGを観ようと1Fに降りてみると既にお客さんに埋め尽くされたフロア。入り口から逆サイドの出口にも通り抜けるのは不可能な混雑っぷり。やはりPSG。この人たちの注目度は半端ではないです!!PUNPEEが音を操り出すと、お客さんも揺れ出します。PUNPEE / S.L.A.C.K. / GAPPERのラップが乗り出すとさらに盛り上がるフロア。完全に温まったトコロに遂にこの人が登場です。そう、曽我部さん!!!話題のあの曲が!!!!曽我部恵一 feat.PSG『サマー・シンフォニー ver.2』がここで聴けちゃうわけです。夏の終わりのメロウネス。穏やかな原曲の雰囲気とPSGのラップが絶妙!でもって、スペシャルはコレだけじゃない!曲が終わりその場を去ろうとする曽我部さんを引きとめPUNPEEの無茶振り!「僕たちの文化でフリースタイルってのがあるんですけど・・・」これを快く引き受ける曽我部さん。その心意気が素敵ですよね。PSGと曽我部さんのスペシャルなフリースタイル・セッションが繰り広げられた。
その後に続く、環ROYも、カウンターの上に上りラップをし、カウンター内の棚の扉を閉めても閉めても開いてしまうというトラブルもありつつ、彼ならではのラップスタイルで満員のお客さんを魅了してくれました。

ホフ・ディラン / ノーナ・リーヴス


続いては、2Fに戻ってホフ・ディラン。「遠距離恋愛は続く」からのスタート。ワタナベイビーのすっとぼけっぷりは相変わらずで、「HMV渋谷がCD売ってくれたおかげでボロ儲けしました」発言。その儲けたお金で引越ししたとか(笑)さらに引越し先の前の住民は清水健太郎!なんともタイムリーな笑い話にお客さんも沸きました。そんな中、うたは流石!「DAY DREAM BELIEVER」は、なんとも心にグッとくる名演で、こみ上げてくるものがあります。続く小宮山雄飛のボーカル曲「恋はいつも幻のように」も僕らを泣かせ、最後は「スマイル」。この曲の途中で、割と泥酔していた小宮山雄飛がキーボードを弾けなくなるというチン事件!再び会場を笑いで包み、「スマイル」再々チャレンジで見事に完奏!笑えて泣けて、なんともほんわか。このフェス一番、会場全体が温かい気持ちでいっぱいになった、ステージだったように思います。
続くノーナ・リーヴスも楽しくて楽しくて!盲腸から復帰したばかりだという郷太さんもいつも通り、全力に明るいステージを魅せ、グルーヴは増すばかり!最後は堂島孝平を向かえ「I LOVE YOUR SOUL」でフィニッシュ!お客さんとバンドの空気が一体になっているのが見えるような楽しいステージでした。
ちなみにノーナの途中で2Fに入場規制。せっかく来て頂いたのに、観れなかったみなさん、本当に申し訳ありませんでした。

サニーデイ・サービス


楽しかったイベントもいよいよフィナーレ。サニーデイ・サービスを残すのみ。お客さんは満員。それどころか、入場規制で2Fに上がる事が出来なかったお客さんが1Fで多数待機していた程。そんな中、いよいよ登場するサニーデイ・サービスの3人。曽我部恵一・田中貴、そして丸山晴茂。病気療養中だった丸山晴茂のステージ復帰。メンバーにとっても、お客さんにとっても、もちろん僕らにとっても嬉しい丸山晴茂の姿。思えばこの登場の時点で僕らは、不思議な一体感に包まれていたんだ。高野勲(キーボード)、ノーザン・ブライトの新井仁(ギター)、をサポートに迎え、最初の曲は「東京」。既に涙が溢れそうになる中、続く「恋におちたら」。今まで、CDでもLIVEでも何度も何度も聴いてきたこの曲たちが、この日は一際違って聴こえたのは何故なんだろう。心の芯の部分までそーっと忍び込んでくる。それがとても心地良い。最新作『本日は晴天なり』から「恋人たち」、そして「NOW」と続いていく。お客さんはフロアの奥の奥まで超満員。サニーデイの姿が直接見えなかったお客さんも多かっただろう。それでも、どのお客さんも、いい顔をしてた。そこに流れるサウンドにはそんな魔法があったんだ。最後は「コーヒーと恋愛」。最後の一節を歌う前、曽我部さん「今日一日を通して俺がいっておきたかったことがここに含まれています。」と一言。今までに増して真剣な表情で聴くお客さんに"娘さんたち気をつけな コーヒーの飲み過ぎにゃ"と歌い落ちを付けると言う洒落のきいた幕切れだった。

セットリストは
1.東京
2.恋におちたら
3.恋人たち
4.NOW
5.コーヒーと恋愛


アンコールを求め拍手をするお客さんに対し、再びステージ上に現れた曽我部さんから以下の事が告げられる。

「アンコールは、やりません。みなさん早くここから退場して下さい。なぜなら。今日、せっかく来てくれたのに、入場規制で、入れなかったお客さんが、まだたくさん1Fに居ます。その人たちの為に、演奏をしようと思います。だから、お客さんに入れ替わってもらって彼らの為にLIVEがやりたい。」

なんとも素晴らしい心意気。この事はこの日のフェスを象徴している出来事のように思う。僕が、この日、終始感じていた温かいものはきっとこう言うことなんだろう。お互いがお互いを思いやる気持ち。そもそもこのフェスは曽我部さんが閉店するHMV渋谷を想い企画してくれた。その想いに賛同してくれたアーティストがこんなにもたくさん集まってくれた。アーティストはノーギャラ。全ては想いだけで動きだしたイベントだった。HMV渋谷に対する想い、音楽に対する愛情、様々なとても温かい感情が溢れていた。それは、お客さんも同様に。

事実、曽我部さんの上記の提案に、その場にいたお客さんも「そういう事なら」と、素早く退場をし、入れ替わりで入ったお客さんはステージに向かって何度も「ありがとう」と叫んだ。その光景は何とも感動的で美しく、目頭が熱くなる。


2セット目のセットリストは
1.baby blue
2.スロウライダー
3.サマー・ソルジャー
4.若者たち

「スロウライダー」のギターのリフはやはり最高だし、「渋谷の2010年の夏にこの曲を捧ぎます」と始まった「サマー・ソルジャー」は特別で、お客さんもそれぞれの想いで聴いていたんだろう。そして最後は「若者たち」で締められた。"アンコールはそれぞれの心の中でやってよ" と気持ちよくステージから去って行った。

閉店後

曽我部さんはこの日、朝の8時にHMV渋谷に来て準備を開始してくれていた。そして終わったのが閉店時間を過ぎた11時30分ごろ。
曽我部恵一BAND 、藤原ヒロシと曽我部恵一、サニーデイ・サービスのライブはもちろん、イノトモ、PSGのLIVEへのゲスト出演にトークセッションと計6回のステージに登場している。さらに、他のアーティストのPAまで担当している姿は何度も目撃された。お客さんがはけた後のステージの撤収も誰よりも率先してやっていた。おまけに、サニーデイのお客さん入れ替えの際には、スタッフにチオビタを振舞って歩いていたと言う。
人に対する気遣い、愛情、配慮。こういう人柄だから、この日のような素晴らしいフェスを開催する事が出来るのだろう。曽我部さんがこういう人だからこそ、あの日の会場の雰囲気はあんなにも温かかったんだろう。


全ての撤収が終わり、HMV渋谷を後にしようとする曽我部さんに、スタッフ一同から挨拶をした時の事。僕らの「今日は一日中、本当にお疲れ様でした。」という一言に対し、こんな風に答えてくれた。
「いやいや、全然疲れてないですよ。ただただ本当に今日は楽しかったなと。」
そう言う曽我部さんは、本当にいい顔をしていた。

曽我部さん、出演していただいたアーティストのみなさん、このフェスを支えてくれたみなさん、そして来ていただいたみなさん、本当に本当にありがとうございました!

 曽我部恵一 オフィシャル・ウェブ・サイト


当日のタイムテーブル

<2F>
10:00〜 OPEN & DJ
10:20〜 曽我部恵一BAND
10:50〜 MOROHA
11:10〜 中村ジョー
11:25〜 cinnabom + 青芝和行 + POP鈴木
11:55〜 おとぎ話
12:10〜 前野健太 with おとぎ話
12:35〜 豊田道倫
13:05〜 ワッツーシゾンビ
13:30〜 イノトモ
14:00〜 堂島孝平
14:30〜 片寄明人(GREAT3/Chocolat & Akito)
14:55〜 直枝政広(カーネーション)
15:15〜 やついいちろう(エレキコミック)【DJ】
15:45〜 松本素生(GOING UNDER GROUND)
16:20〜 藤原ヒロシと曽我部恵一
16:35〜 松田chabe岳二【DJ】
17:05〜 トーテムロック(かせきさいだぁ≡ & 木暮晋也)
17:30〜 青山陽一
18:00〜 渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT16)
18:40〜 カジヒデキ
19:05〜 北沢夏音 × 坂口恭平 × 曽我部恵一 × 磯部涼【トークセッション】
19:55〜 NORTHERN BRIGHT
20:10〜 FROG
20:35〜 ホフ・ディラン
20:55〜 西村道男(Nur./e)【DJ】
21:25〜 ノーナ・リーヴス
21:50〜 【DJ】
22:20〜 サニーデイ・サービス

※終日 全日本ポスト・サブカルチャー連合
(大橋裕之 大原大次郎 小田島等 箕浦建太郎)
【ライブペインティング】                                                                                                                                                                              

<1F>
17:50〜 松本素生(GOING UNDER GROUND)【DJ】
18:20〜 片平実(Getting Better)【DJ】
19:00〜 DJ YOGRUT【DJ】
19:50〜 PSG
20:10〜 環ROY
20:30〜 TRAKS BOYS【DJ】
21:20〜 SUGIURUMN【DJ】