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ブルーノート黄金期との拮抗だ!

Friday, September 17th 2010


High Five

 
Split Kick
 
 High Five / Split Kick
 EMI ミュージック ジャパン  TOCJ66543 2010年10月20日発売
 
 いまや名実ともに世界最高峰と呼び声高い実力派トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソを中心に現在ヨーロッパのジャズ・シーンの第一線で活躍する精鋭5人が集まったイタリア発、現代最強のジャズ・バンド、ハイ・ファイヴのブルーノート2作目。あの50年代のブルーノート黄金時代を彷彿せずにはいられないアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの傑作「クイックシルヴァー」、「スプリット・キック」、ホレス・シルヴァーの名曲「ピース」、ロマンティックな永遠のスタンダード「いつか王子様が」、リー・モーガン屈指のハード・バップ・チューン「サムシン・キュート」などスタンダードが満載。 (HMV レビュー)


「Split Kick」
収  録  曲


01. Split Kick スプリット・キック 
(Horace Silver) from Art Blakey 「A Night at Birdland vol.1」

02. Motorizzazione モータリゼーション 
(Piero Piccioni)

03. Some Day My Prince Will Come いつか王子様が 
(Frank Churchill / Larry Morey)

04. Il Testimone イル・テスティモーネ
(Piero Piccioni)

05. Quicksilver クイックシルヴァー
(Horace Silver) from Art Blakey 「A Night at Birdland vol.1」

06. Spirito Libero スピリト・リベロ
(Fabrizio Bosso / Luca Mannutza)

07. Sad Day サッド・デイ
(Daniele Scannapieco)

08. Something Cute サムシン・キュート
(Lee Morgan) from Lee Morgan 「Charisma」

09. Peace ピース
(Horace Silver) from Horace Silver 「Blowin' The Blues Away」





High Five


【パーソネル】 左から時計回りに

ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット、フュルーゲルホーン)
ダニエル・スカナピエコ(テナー・サックス)
ルカ・マヌッツァ(ピアノ)
トマソ・スカナピエコ(ベース) ※新加入
ロレンツォ・ツゥッチ(ドラムス)




High Five バイオグラフィ


 ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット、フュルーゲルホーン)、ダニエル・スカナピエコ(テナー・サックス)を双頭リーダーに、ルカ・マヌッツァ(ピアノ)、トマソ・スカナピエコ(ベース)、ロレンツォ・ツゥッチ(ドラムス)からなるイタリアの5人組ジャズ・バンド。それぞれ90年代より自身のリーダー作や、有名アーティストとのセッションなどでイタリアの若手実力派というポジションを獲得し、2002年よりハイ・ファイヴ・クインテットを結成。ネオ・バップ的な瑞々しくキレのある演奏で、同年に『Jazz For More・・・』をヴィア・ヴェント・ジャズからリリース。その後04年には、初代ピアニストのジュリアン・マッツァリエッロからマヌッツァに代わって『Jazz Desire』を同レーベルよりリリースしている。また、スケーマから06年にリリースされたジャズ・シンガー、マリオ・ビオンディのアルバム『Handful Of Soul』においてもバックを務め、その成功に一役買っている。08年にブルーノートに移籍し、通算3枚目となる『Five For Fun』を発表。ここ日本でもジャズ・チャート堂々1位獲得、同年スイングジャーナル誌の“海外ニュー・スター賞”を受賞するなど話題となった。09年にはブルーノート東京でのLIVEアルバム「Live For Fun」をリリース。同年、ベーシストがピエトロ・チャンカリーニからダニエルの弟であるトマソ・スカナピエコに代わり、いよいよ最新作をリリースする。メンバーはニコラ・コンテのセッションへの参加や、ツゥッチの参加するLTCでの活躍など、クラブ・ジャズ・シーンからも絶大な支持を得ている。





”古典更新”コンボ、ハイ・ファイヴにみる「ネオ・バップ」の真髄


 前作の来日公演ライヴ盤『Live For Fun』、さらには前々作のブルーノート移籍第1弾『Five For Fun』と、どちらも”ネオ・バップ”という形容がしっくりくる、アンサンブル、アドリブ共に実にフレッシュでキレのあるプレイが詰まった快作だった。と同時に、当代においてこれほどまでに「ブルーノート・カラー」がよく似合うコンボは存在しないのでは? と思わせてしまう、惹きのある”名門感”あるいは”王道感”をすでに漂わせていた。

 「ハード・バップ」という、1950年代半ばをピークに1960年代頃まで栄えたモダン・ジャズのいち音楽形態。それ以前の「ビバップ」の基本理念をもとに、よりハードで、よりメロディアスで洗練された方位にその美学を見出したハード・バップは、ピーク期から半世紀程を経過した現在において、はたしてどれほどの訴求力があるのだろう? と考えおもむろに楽器を手にした(レコードを漁り始めた)うら若き世代。それこそが90年代以降「クラブ・ジャズ」と名付けられて久しいジャズの新章をスタートさせた、当時を知る由もない世代による「古典更新術」の真髄でもあった。葛藤もなければ、お咎めもない、まこと自由に感性や情熱をスイングさせる、本当の「ニュー・スタンダード」は、彼らのようなアーティストの出現で約束された、ということが言えるのかもしれない。

 そうしたハード・バップのニュー・スタンダードを提示し続ける最旗手、それがまさに彼ら、ハイ・ファイヴと言えるだろう。「ハイ・ファイヴ・クインテット」を名乗っていたデビュー時からは早8年あまりが経とうとしているが、その「古典更新」の術は、時を追うごとに饒舌でキレのあるものになっている。脂が乗っている、というのはまさにこうした状態を指すのだろう。結成当時からの中心メンバーのトランペット奏者ファブリッツィオ・ボッソ、テナー・サックス奏者ダニエル・スカナピエコ、両者いずれも1970年代にこの世に生を受けた、謂わばリアルタイムにハード・バップが燃え盛っていた時期を当然ながら知らない世代。だからして「焼き直し」ではない、完膚なきまでに新鮮な息吹が込められるというもの。

 ハード・バップ、アフロ・キューバン、モード、新主流派など50〜60年代の「黄金期」と呼ばれるモダン・ジャズの系譜をオーソドックスに辿りつつも、そこに含まれるニュアンスは、非常に現代的もしくは先鋭的な感触に満ち溢れている気がする。イタリアという古くからジャズと懇ろ関係にある、欧州地域ならではのある種の風通しのよい土壌から発信されているということも多分にあり、また、この「古典更新」に長けた同郷先達の存在も彼らの精神的支えとなっていることは明らかだろう。

 「スタイリッシュ」と声を大にするのは些か気が引けるが、ボッソらと同年代、あるいは概ね似たような音楽的な価値観をもつ我々リスナー(プレ・リスナー)は、『Five For Fun』『Jazz Desire』で背伸びすることなく味わうことができる、こんな ”新しいヴィンテージ・サウンド” を待っていたのだと切に感じている。  



High Five
スタイル・カウンシルを想起させる宣材写真には、すでに ”脱ジャズ” のにおいも...



 さて、去る9月下旬には、ブルーノート東京にてファブリッツィオ・ボッソの単独来日公演が行われたばかりだが、このたびリリースされる本隊のニュー・アルバム『Split Kick』に先がけ、”クールなれどホット”なネオ・バップのカリテを散らしていたことは言うまでもない。ソロ・プロジェクトの共演メンバーもイタリアの精鋭ばかりを集め、ハイ・ファイヴのメンバーでもあるルカ・マヌンツァ(p)、ロレンツォ・ツゥッチ(ds)に加えて、エンリコ・ラヴァパオロ・フレズといった名トランペット奏者との共演歴を持つギタリスト、ロベルト・セチェートが、スピード感溢れるステージを届けてくれたという。11月にはニコラ・コンテ・ジャズ・コンボの一員として、ブルーノート東京公演に再び現れるということなので、そちらも愉しみに待ちたい。

 そして、10月に到着するニュー・アルバム『Split Kick』。ベーシストが、ピエトロ・チャンカリーニから、ダニエル・スカナピエコの弟であるトマソ・スカナピエコに交代してから初めてのスタジオ録音となる。前スタジオ作『Five For Fun』では、すでに当時のライヴ・レパートリーとしておなじみだったシダー・ウォルトン「Ojos De Rojo(オホス・デ・ロホ)」マッコイ・タイナー「Inception」、さらに日本盤ボーナス・トラックとしてジョー・ヘンダーソン「A Shade Of Jade」アントニオ・カルロス・ジョビン「Ligia」といったカヴァーが披露されているが、こうしたカヴァーを軸にして今作を捉えた場合顕著なのが、自身の所属レーベルでもあるブルーノート、その歴史の重みに対するさらなるリスペクトや挑戦だ。

 ハード・バップあるいはボサノヴァの名演でカヴァー・レパートリーを固めつつも、「A Shade Of Jade」やいくつかのオリジナル曲以外においては、ブルーノートとはそれほど直接的な関係性を物語ることのなかった前作だが、今回の『Split Kick』に関しては、高ぶる一方のハード・バップ熱をそのまま「ブルーノート愛」というものにコンバートしながら、そのある種熱狂・偏愛ぶりを全面的に押し出している。そんな作品集に聴こえる。

 表題にもなっている冒頭の「Split Kick」や「Quicksilver」は、ご存知、ハード・バップ時代の到来を告げたアート・ブレイキー『A Night at Birdland vol.1』からの2曲。さらに、ホレシ・シルヴァー『Blowin' The Blues Away』から「Peace」と、いずれもブルーノートを代表する銘盤からの大名演。60年代ブルーノートの「古典更新」世代に人気のリー・モーガン『Charisma』からは、「Something Cute」を採り上げる目敏さも彼らならでは。

 クリフォード・ブラウンブルー・ミッチェルリー・モーガンといった歴戦の殿堂入りトランペッターの遺志を受け継ぐかのように、ボッソは確信に満ちた鋭いハイノートを場外にかっ飛ばし、ときにモーダルなムードに身を寄せて哀愁たっぷりにむせび泣く。そこにもはや「トリノのヤング・ライオン」という躍動表現だけでは形容しきれない、どこか神懸かり的に飛躍しようとするボッソの「次へ向かう姿」が見てとれるはずだ。

 また例えば、 「若き天才」と称されたブラウニーの雄姿をそのままボッソに重ねるのはややお門違いかもしれないが、ハイ・ファイヴというコンボが一体となって生んだ熱や波動に、「1954年2月21日のN.Y.バードランドの現場に匹敵するものがある」と形容することには、あながち大袈裟とも言えない雰囲気が漂っているような気もする。言葉ではうまく説明できない、何かが生まれる瞬間のスリリングでホットな空気がアルバム全体に充満していると感じるのは、ただの贔屓目だけではないはず。さらに、「Spirito Libero」、「Il Testimone」、「Motorizzazione」、「Sad Day」と、オリジナル曲の数自体は、前作と較べて目減りはしているものの、その分の密度の濃さが反映しているとも言えそうな、いずれもグレードの高いハード・バップ・チューンが並べられ、先達の名曲群と1枚のアルバム内で拮抗し合う。

 これは、単にブルーノート黄金期を懐かしむための蘇生論ではない。あくまで「古典更新」を目論みながら、ブルーノートあるいはジャズもろとも次なるステージへ進もうとするしなやかな世代の決意表明、なのかもしれない。





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 ブルーノート・デビュー作品となる通算3枚目のオリジナル・アルバム。2007年末、ブルーノート東京にてマリオ・ビオンディと共にステージに立ち、強烈なインパクトを与えました。それぞれが高いテクニックを持ちつつ、エネルギッシュで、パワフルで、爽やかなプレイは、注目度大。ジャズに今風のテイストを吹き込んだ彼らオリジナルのスタイルは、まさに洒脱。シダー・ウォルトン、マッコイ・タイナー等の曲を交えながらもハードバップ度の高いオリジナル曲を中心とした構成。冒頭のタイトル曲から実にクール。  










 2008年ブルーノート東京公演で繰り広げられた圧倒的なライヴ・パフォーマンスの模様を収録した、初のライヴ・アルバム。新曲や大ヒット・アルバム『Five For Fun』からのヒット・チューン、過去の人気曲、さらにはカヴァー曲までもを収録した絢爛豪華な内容。




  • Jazz Desire

    High Five
    『Jazz Desire』

    ハード・バップやモードといったモダン・ジャズが再評価されているイタリアのクラブ・シーン。そのなかで注目を集める若手の精鋭で構成されたのが、このハイ・ファイヴ・クインテット。新世代の感覚で歌心あふれる演奏を聴かせている・・・

  • Jazz For More

    High Five
    『Jazz For More』

    イタリア・ジャズ・シーンの俊英が集まり結成されたハイ・ファイヴ・クインテットによる2002年の初アルバム。トランペットのファブリッツィオ・ボッソ、テナーのダニエル・スカナピエコの2管を中心に、フレッシュで力強いイタリアン・ハードバップを繰り広げている快盤・・・

  • Black Spirits

    Fabrizio Bosso
    New Project
    『Black Spirits』

    ファブリッツィオ・ボッソが多大なインスピレーションを受け、自身の音楽にとって大きな指標となっている偉大なトランペッター、フレディ・ハバードに捧げたニュー・プロジェクト・アルバム。ハバードの「Up Jumped Spring」のようなメロウ曲や、いたってクールな「A Night In Tunisia」、歌うように吹くサッチモの「Do You Know What It Means To Miss New Orleans」などバラエティ豊かなレパートリーが並ぶ・・・

  • Coffee Time

    Max Ionata
    / Fabrizio Bosso
    『Coffee Time』

    イタリアン・ハードバップの最新モードを体現するマックス・イオナータ(ts)が、ルカ・マンヌッツァのハモンドと朋友ファブリツィオ・ボッソ(tp)を迎えた完全無欠のヒップな2管カルテット作品・・・

  • Inspiration

    Max Ionata
    / Fabrizio Bosso
    『Inspiration』

    ファブリツィオ・ボッソ(tp)、ルカ・マンヌッツァ(p)を迎え、現代最強・最新鋭のイタリアン・ネオ・ハードバップを聴かせる名品。明快且つとめどなく溢れ出る力強いフレージングを身上とするイオナータとボッソのコンビネーションも痛快。ビバップ・スキャットの名匠ジェジェ・テレスフォロも1曲参加・・・

  • Stunt

    Fabrizio Bosso
    / Antonello Salis
    『Stunt』

    ドン・チェリー、ミッシェル・ポルタルらと共演歴のある鬼才アントネッロ・サリスとボッソとのデュオ・アルバム。ボッソもミュートで遊んでみたり、エレクトロをかまして吹いてみたり、アイディアをめいっぱい盛り込んで普段とは異なるアプローチで新しいジャズを生み出そうとしている・・・

  • Cool Trane

    Fabrizio Bosso
    / Gianni Basso
    『Cool Trane』

    ボッソとジャンニ・バッソ、イタリア新旧スター・コンビによる2006年クインテット・セッション2連作の1枚、ベルガモ録音のコルトレーンの愛奏曲集。哀愁を帯びたハートウォームなハードバップ・セッション・・・

  • Mare Mosso

    Fabrizio Bosso / Luca Mannutza / Nicola Muresu...
    『Mare Mosso』

    ボッソ、ルカのハイ・ファイヴ組に、ニコラ・フレス(b)、マルコ・ヴォルペ(ds)というリズム・セクションが絡んだ「マレ・モッソ」名義としてのアルバム。急造カルテットなだけにアンサンブルにやや難があるものの、ボッソの抑揚あるトランペットはやはり見事・・・


  • Rome After Midnight

    Fabrizio Bosso
    『Rome After Midnight』

    ボッソの単独リーダーとしての2枚目、通算3枚目のリーダー・アルバム。フィル・ウッズとの共演で有名なベテランピアノ奏者マイク・メリロを迎えて、現代の感性を代表するボッソの活きのいい音が咆哮する。彼が敬愛するトランペッターの先達ゆかりの曲も演奏・・・

  • Fast Flight

    Fabrizio Bosso
    『Fast Flight』

    ボッソの初リーダー作品。ヴェツディ音楽院を卒業後、多くのバンドで働いたのち1999年から率いた自己のバンドで録音された本作。当時弱冠26歳の若さが溢れる演奏ながら、5歳からトレーニングしてきたというトランペットという楽器の扱いを含めて、その後の飛躍を十分に期待させる何かを感じさせる。ピアノのサルバトーレ・ボナフェデ以外はすべてイキのいい若手メンバーで編成されており、2000年代に新しいイタリアン・ハードバップが世界中で開花することを占った1枚ともいえる・・・

  • Look Out: Tribute To Basso / Valdambrini

    Schema Sextet
    『Look Out』

    1999年、仕掛け人ニコラ・コンテの緻密なプロデュース・ワークによって甦った、現代版「バッソ=ヴァルダンブリーニ」サウンド。ハイ・ファイヴ・クインテット結成前夜のボッソ、ツゥッチに、ロザリオ・ジュリアーニ(as)、ジャンルカ・ペトレラ(tb)、ピエトロ・ルッス(p)、ジュゼッペ・バッシ(b)といった当時のイタリア・ジャズのエース達が勢揃いしたスケーマ・セクステット。過去遺産からのスピリットを、巧みに現代の新芽に注入した、現代イタリア・ジャズ・シーンにおけるエポックメイキングとなった1枚・・・

  • Lifetime

    Daniele Scannapieco
    『Lifetime』

    フロント陣に、ステファノ・ディ・バティスタ(ss,as)、フラビオ・ボルトロ(ts,flh)を擁したスカナピエコの痛快3管ハード・バップ盤。ハイ・ファイヴ・ファンにはまさにド真ん中の誂え。ベテラン・ドラマー、アンドレ・チェカレリのタイトでヒップなプレイもアクセントに・・・

  • Never More

    Daniele Scannapieco
    『Never More』

    名手ダド・モロニ(p)に米国辣腕リズム陣と組んだカルテットを基本に、2曲では盟友ボッソが参加した2005年リーダー・アルバム。ストリング・アンサンブルを交えたロマンティックな一遍から、十八番の熱血ハードバップ・チューン、コルトレーン・ナンバーまで幅広し・・・

  • Adventures Trio

    Alessio Menconi / Aldo Romano / Luca Mannutza
    『Adventures Trio』

    アレッシオ・メンコーニ、ルカ・マヌンツァ、アルド・ロマーノという伊・強豪3人が集まった新ユニット。ジャズ・ファンク〜ジャム・バンド的な音を想像させる編成だが、よりハーモニーを重視しているのが彼らの特徴。”アドベンチャーズ・トリオ”というグループ名に偽りのない、冒険的な、それでいてジャズの王道をいくサウンドをたっぷり楽しむことができる・・・

  • Round About

    Sound Advice
    『Round About』

    ルカ・マンヌッツァの人肌心地良いピアノに、マックス・イオナータの豪放テナー、アンディ・グラビッシュの華麗なるハイノート。ホレス・シルヴァーのモーダル古典などを交えながら展開する第3次イタリアン・ハードバップの音世界。クラブ・ジャズにとどまらない全方位的な会心作・・・

  • Tributo Ai Sestetti Anni 60

    Luca Mannutza Sound Six
    『Tributo Ai Sestetti Anni 60』

    ルカ・マンヌッツァが、さまざまなプロジェクトに参加する傍ら長年に亘り思い描いてきた自身の“本命”プロジェクト。もはや切っても切り離せない相方マックス・イオナータ(ts)、NYのヴェテラン、アンディ・グラヴィッシュ(tp)、さらに若手アルト奏者パオロ・レッキアをフロント3管に迎え、自らのルーツとなる60年代のサウンドに本気で挑んだ、炎のモーダル〜ハードバップ・セクステット作・・・

  • Longin'

    Luca Mannutza Trio
    『Longin'』

    ルカ・マンヌッツァのピアノトリオ作品。冒頭のスティング「Message In A Bottle」から、そのスケールの大きさを体感。正統的なピアノ表現を基調としつつ、ヨーロッパ特有の空気をたっぷり含んだ味わい。ジャンルカ・レンツィのベース、ニコラ・アンジェルッチのドラムスも水を得た魚のようなプレイで、生きのいいビートを送り出している・・・

  • Different View

    LTC
    『Different View』

    ピアノのピエトロ・ルッス、ベースのピエトロ・チャンガグニーニ、ドラムのロレンツォ・ツゥッチからなるイタリアン・トリオ=LTC(それぞれの頭文字から命名)。このトリオにボッソを加えるとニコラ・コンテのコンボとなる。クラーク=ボランのM-1、ボビー・テイモンズのM-6、他オリジナル曲をハードパップ、ファンキー、ボッサなど多様なテクスチャを用い、リズミカルでスタイリッシュなサウンドに仕上げている・・・


  • Touch

    Lorenzo Tucci
    『Touch』

    ロレンツォ・ツゥッチのラテン・ジャズ・アルバム。ボッソをはじめとするハイ・ファイヴのメンバーや、ニコラ・コンテ、アリーチェ・リチャルディ、ウォルター・リッキといった若き男女ヴォーカリストらが一堂に介し、明るい色彩のラテン・ムードを演出。クラーク=ボーラン楽団的なスタイルを基調に、ジャズ、ファンク、ボサノバ、ラテン、ポップスの要素をちりばめたグルーヴィー&スウィンギーなアルバム・・・

  • Sweet Revelation

    Lorenzo Tucci
    『Sweet Revelation』

    ダニエル・スカナピエコがフロント独壇場と化した、ロレンツォ・ツゥッチの2001年ワンホーン・カルテット作。「Adam's Apple」、「Fee-Fi-Fo-Fum」という2曲のショーター・ナンバーが白眉・・・

  • Handful Of Soul

    Mario Biondi
    『Handful Of Soul』

    マーク・マーフィーを彷彿とさせる歌声で注目を浴びていたシシリア出身のソウルフル・シンガー、マリオ・ビオンディが、ハイ・ファイブ・クインテットをバックに従え作り上げた2006年のアルバム。「A Child Runs Free」、「On A Clear Day」といったクラブ・ジャズ・クラシックのカヴァーを交えたグルーヴィ・チューンが満載・・・

  • D'improvviso

    Rosalia De Souza
    『D'improvviso』

    Schema設立当時からクインテット Xやニコラ・コンテ諸作で活躍するブラジリアン女性シンガー、ロザリア・デ・ソウザの色とりどりの心地よいスウィングに満ちた未来型ジャズ・ボッサ・アルバム。プロデュースは、ハイ・ファイヴのルカ・マヌッツァで、そのハイ・ファイヴやLTCの面々を中心に編成されたバックもキレキレ。ニュー・ブラジリアン・ジャズの最高峰だ・・・

  • Someway Still I Do

    Alessandro Magnanini
    『Someway Still I Do』

    マリオ・ビオンディの「This Is What You Are」の作者であり、ギタリスト、コンポーザー、プロデューサーとしての顔を持つマルチな才、アレッサンドロ・マグナニーニのデビュー・アルバム。ロザリア・デ・ソウザ、ステファニア・ラヴァといったシンガー連に加え、ボッソ、ダニエル、ルカらハイ・ファイヴ組も好バックアップ・・・

  • About A Silent Way

    Martux_m
    『About A Silent Way』

    マイルスの音楽に多大な影響を受けたというドラマー&コンポーザーのMARTUX_X(マウリツィオ・マルトゥシエロ)が、ボッソをはじめとするイタリア勢に、元ニルス・ペッター・モルヴェル・グループのメンバーのノルウェイ人ギタリスト、アイヴィン・オールセットを加えて、『In A Silent Way』の世界観にアプローチした精緻なエレクトロ・アルバム・・・