ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット、フュルーゲルホーン)、ダニエル・スカナピエコ(テナー・サックス)を双頭リーダーに、ルカ・マヌッツァ(ピアノ)、トマソ・スカナピエコ(ベース)、ロレンツォ・ツゥッチ(ドラムス)からなるイタリアの5人組ジャズ・バンド。それぞれ90年代より自身のリーダー作や、有名アーティストとのセッションなどでイタリアの若手実力派というポジションを獲得し、2002年よりハイ・ファイヴ・クインテットを結成。ネオ・バップ的な瑞々しくキレのある演奏で、同年に『Jazz For More・・・』をヴィア・ヴェント・ジャズからリリース。その後04年には、初代ピアニストのジュリアン・マッツァリエッロからマヌッツァに代わって『Jazz Desire』を同レーベルよりリリースしている。また、スケーマから06年にリリースされたジャズ・シンガー、マリオ・ビオンディのアルバム『Handful Of Soul』においてもバックを務め、その成功に一役買っている。08年にブルーノートに移籍し、通算3枚目となる『Five For Fun』を発表。ここ日本でもジャズ・チャート堂々1位獲得、同年スイングジャーナル誌の“海外ニュー・スター賞”を受賞するなど話題となった。09年にはブルーノート東京でのLIVEアルバム「Live For Fun」をリリース。同年、ベーシストがピエトロ・チャンカリーニからダニエルの弟であるトマソ・スカナピエコに代わり、いよいよ最新作をリリースする。メンバーはニコラ・コンテのセッションへの参加や、ツゥッチの参加するLTCでの活躍など、クラブ・ジャズ・シーンからも絶大な支持を得ている。
前作の来日公演ライヴ盤『Live For Fun』、さらには前々作のブルーノート移籍第1弾『Five For Fun』と、どちらも”ネオ・バップ”という形容がしっくりくる、アンサンブル、アドリブ共に実にフレッシュでキレのあるプレイが詰まった快作だった。と同時に、当代においてこれほどまでに「ブルーノート・カラー」がよく似合うコンボは存在しないのでは? と思わせてしまう、惹きのある”名門感”あるいは”王道感”をすでに漂わせていた。
ハード・バップあるいはボサノヴァの名演でカヴァー・レパートリーを固めつつも、「A Shade Of Jade」やいくつかのオリジナル曲以外においては、ブルーノートとはそれほど直接的な関係性を物語ることのなかった前作だが、今回の『Split Kick』に関しては、高ぶる一方のハード・バップ熱をそのまま「ブルーノート愛」というものにコンバートしながら、そのある種熱狂・偏愛ぶりを全面的に押し出している。そんな作品集に聴こえる。
ファブリッツィオ・ボッソが多大なインスピレーションを受け、自身の音楽にとって大きな指標となっている偉大なトランペッター、フレディ・ハバードに捧げたニュー・プロジェクト・アルバム。ハバードの「Up Jumped Spring」のようなメロウ曲や、いたってクールな「A Night In Tunisia」、歌うように吹くサッチモの「Do You Know What It Means To Miss New Orleans」などバラエティ豊かなレパートリーが並ぶ・・・
ルカ・マンヌッツァのピアノトリオ作品。冒頭のスティング「Message In A Bottle」から、そのスケールの大きさを体感。正統的なピアノ表現を基調としつつ、ヨーロッパ特有の空気をたっぷり含んだ味わい。ジャンルカ・レンツィのベース、ニコラ・アンジェルッチのドラムスも水を得た魚のようなプレイで、生きのいいビートを送り出している・・・
マリオ・ビオンディの「This Is What You Are」の作者であり、ギタリスト、コンポーザー、プロデューサーとしての顔を持つマルチな才、アレッサンドロ・マグナニーニのデビュー・アルバム。ロザリア・デ・ソウザ、ステファニア・ラヴァといったシンガー連に加え、ボッソ、ダニエル、ルカらハイ・ファイヴ組も好バックアップ・・・
マイルスの音楽に多大な影響を受けたというドラマー&コンポーザーのMARTUX_X(マウリツィオ・マルトゥシエロ)が、ボッソをはじめとするイタリア勢に、元ニルス・ペッター・モルヴェル・グループのメンバーのノルウェイ人ギタリスト、アイヴィン・オールセットを加えて、『In A Silent Way』の世界観にアプローチした精緻なエレクトロ・アルバム・・・