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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第22号:2010/11年シーズンの予定が発表! ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2010年5月20日 (木)

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

2010/11年シーズンの予定が発表!
 5月12日、2010/11年シーズンのプログラムが発表されました。目玉は、マーラーの生誕150年および没後100年を記念したマーラー・ツィクルスで、2シーズンにわたってすべての交響曲が演奏されます。指揮はサー・サイモン・ラトルがひとりで担当。またピアニスト・イン・レジデンスには、レイフ・オヴェ・アンスネスが就任します。ジルベスター・コンサートには、小澤征爾が登場。ここでは、エリーナ・ガランチャの独唱でフランス・オペラのハイライトが取り上げられる予定です。さらに小澤は、定期演奏会でも指揮します。さらに日本人としては、佐渡裕がショスタコーヴィチと武満のプログラムでデビューすることになっています。  その他の指揮者としては、シャイーがヴァルトビューネ・コンサートで10年ぶりに再登場。またゲルギエフも、2000年以来初めてベルリン・フィルの指揮台に上ります。なおラトルは、ザルツブルク・イースター音楽祭で上演される《サロメ》も、コンサート形式で指揮します。  ベルリンでの演奏会は、ほぼすべてデジタル・コンサートホールで中継される予定です。プログラムと客演アーティストの詳細はこちらからご覧ください。

ベルリン・フィルの演奏会が映画館で中継
 ベルリン・フィルでは、演奏会のライブビューイング化を進めていますが、その最初の上演が8月27日のシーズン・オープニング演奏会で行われます。これはドイツの32の映画館で実施されるほか、ハンブルク、ドレスデン等ではパブリックビューイング(巨大画面によるオープンエア上演)として中継される予定です。

今後のCD録音計画&発売予定
 EMIにおけるラトル&ベルリン・フィルの録音計画が公表されました。この秋には、2009年ジルベスター・コンサートで上演されたチャイコフスキー《くるみ割り人形》抜粋が発売されるほか、上記マーラー・ツィクルスの交響曲第2番がライヴ収録されることになっています。

ドイツ銀行がパートナー契約を延長
 2002年よりベルリン・フィルのエクスクルシヴ・パートナーを務めるドイツ銀行が、援助契約を2015年まで延長しました。これにより、同社のサポートにより実現したデジタル・コンサートホール、および青少年活動「未来@ベルリン・フィル」の経済的基盤が確保されました。ドイツ銀行総裁のヨーゼフ・アッカーマン氏は、「ドイツ銀行とベルリン・フィルは、“情熱”と“ベスト・パフォーマンス”を目指すという点で、共に一致しています。それゆえパートナーとして、お互いにフィットする間柄なのです」と談話しています。

アバド、ロバートソンの演奏会がアーカイヴにアップ
 5月後半の2回の定期演奏会が、デジタル・コンサートホールのアーカイブにアップされました。アバドの回のメインは、ヨナス・カウフマンを迎えてのカンタータ《リナルド》。ほとんど上演される機会のないブラームスの秘曲を、アバドの荘重な解釈でお楽しみください。前半の《グレの歌》抜粋も、透徹したクリスタルな美しさに満ち、耳をそば立たされます。
 一方デイヴィッド・ロバートソンの回では、リゲティのコンチェルトで客演したルノー・カピュソンの演奏が光ります。CDになりにくい演目であり、カピュソンの流麗な演奏姿を体験できる貴重な映像でもあります。

アバドの演奏会のハイライト映像を観る!(無料)
アバドの演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!
ロバートソンの演奏会のハイライト映像を観る!(無料)
ロバートソンの演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!

 次回のデジタル・コンサートホール演奏会

ラトルのシベリウス・ツィクルス完結編。交響曲第5〜7番を演奏
(日本時間5月23日早朝3時)


 2月にスタートしたラトルのシベリウス・ツィクルスの最終回です。今回のプログラムは、後期の交響曲3曲。後期ロマン派のスタイルから脱却した独自のスタイルが支配的なこれらの作品で、ラトルが見せる手腕に興味が集まります。人工的とも唯美的とも言われる作風は、ラトルのモダンな音作りと完璧に一致するのではないでしょうか。ラトルは2002年の就任時に、ベルリン・フィルでシベリウスがほとんど省みられていないことを指摘していますが、今回のツィクルスによりカラヤン時代からの欠落がついに修正されます。現地紙の『ターゲスシュピーゲル』は、2月の演奏会を「ベルリン・フィルがついにラトルの楽器になったことを証明した」と称しており、最終回にも大いに期待がかかります。

【演奏曲目】
シベリウス:交響曲第5番変ホ長調
交響曲第6番ニ短調
交響曲第7番ハ長調

指揮:サー・サイモン・ラトル


放送日時:5月23日(日)午前3 時(日本時間・生中継)

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キタエンコの定期では、バボラクのグリエール「ホルン協奏曲」が聴きもの
(日本時間5月30日早朝3時)


 キタエンコは1969年にカラヤン・コンクールの入賞者としてベルリン・フィルにデビューしていますが、それ以降の登板は比較的まばらでした。72年および78年に客演した後は、87年に1回出演したのみ。それに続く4回目の出演は、なんと20年後の2007年でした。しかしこの演奏会は好評を博し、今シーズンの招聘へとつながっています。スクリャービンの主要作、交響曲第3番《神聖な詩》でのロシア的音色に期待したいところです。
 一方、プログラム中盤では、グリエールのホルン協奏曲が演奏されます。ソリストは、今シーズン、残念ながらベルリン・フィルを退団したバボラクが務める予定です。グリエールがベルリン・フィルで最後に演奏されたのは、何と1948年とのこと。バボラクの並み外れた技量が発揮される作品ゆえ、実に楽しみです。

【演奏曲目】
バルトーク:ハンガリーの風景
グリエール:ホルン協奏曲
スクリャービン:交響曲第3番《神聖な詩》

ホルン:ラデク・バボラク
指揮:ドミトリー・キタエンコ


放送日時:5月30日(日)午前4時(日本時間・生中継)

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 アーティスト・インタビュー

トン・コープマン
「音楽演奏において最も重要なことは、作曲家への敬意だと思います。なぜなら作曲家は、我々よりもずっと偉大なのですから」
聞き手:ユルゲン・オッテン
定期演奏会(2010年1月28〜30日)


【演奏曲目】
ハイドン:交響曲第98番
バッハ:管弦楽組曲第3番
モテット《主を称えよ、すべての異邦人よ》
マニフィカト

独唱:クラーラ・エク(S)、ラヘル・フレンケル(Ms)、インゲボルク・ダンツ(A)、ヴェルナー・ギューラ(T)、クラウス・メルテンス(Bs)
合唱:リアス室内合唱団
指揮:トン・コープマン


 1月の定期演奏会では、トン・コープマンがベルリン・フィルにデビューしました。曲目は、バッハが中心でしたが、本インタビューでは、モダン・オケへの「接し方」の違いを、古楽指揮者の立場から語っています。今日、シンフォニー・オーケストラでのピリオド奏法はかなり普及してきましたが、コープマンはその傾向を歓迎し、結果にも満足しているようです。ベルリン・フィルとの演奏も、かなり進んだピリオド・サウンドとなっています。
 周知の通り今シーズンは、ラトルが《マタイ受難曲》をピーター・セラーズの演出付きで上演しました。質問者の「舞台化は良いと思いますか?」というイジワルな問いに、彼が「私自身がやらないですむのなら、反対はしません」と答えていることには、苦笑いさせられます。

オッテン 「バッハのモテットは、しばしば特定の機会に上演されました。例えば葬儀の時にですが、バッハの音楽では、どこで演奏されるかは重要な問題でしょうか。上演される場所により、作品の内容が変わるということはありますか」

コープマン 「埋葬モテットは、今回ベルリン・フィルで演奏するモテットとは、ちょっと事情が違いますね。というのは《主を称えよ、すべての異邦人よ》は、喜ばしい内容ですから。モテットは、マグニフィカトと同様に、演奏するのが難しい作品です。宗教曲を教会で演奏した場合には、もちろん特別な意味や効果が生まれます。しかし教会の反響が長すぎた場合、曲がまったく分からなくなってしまう、ということもあるのです。一方ベルリンやアムステルダムのように、コンサートホールの音響が良いところでは、すべてが明瞭に聴き取れます。ちなみにライプツィヒのトーマス教会は、とてもドライな音響でした。つまりいわゆる“大聖堂の音響”とは違うのです。当時そこで埋葬のモテットを演奏した時、人々はすべてを聴き取ることができました。つまり宗教的、世俗的な場所ににかかわらず、バッハを演奏する場合にはまず優れた音響が必要なのです。例えば私は、オイゲン・ヨッフムの指揮で《マタイ受難曲》のチェンバロ・パートを何度も弾いたことがあります。会場は音響の良いコンセルトヘボウでしたが、それは素晴らしい体験でした」

オッテン 「《マタイ受難曲》を舞台化する試みがありますが、それについてはどう思われますか」

コープマン 「私自身がやるのでなければ、反対する理由はありません」

オッテン 「お好きではないのですね」

コープマン 「私自身の意見は、“それは必要ないのではないか”ということです。受難曲を曲に忠実に演奏すれば、既にすべてが表現されていると思います。演劇的にもです。もちろん目には見えませんが、音楽から情景を想起することができます。聴衆が自分でそれを思い起こし、自ら想像するのは素晴らしいことだと思いませんか?私は以前、《マタイ受難曲》をテーマとした映画に参加するよう、頼まれたことがあります。映画の主人公は、言葉を失った50歳の女性でした。彼女は失語症になったのですが、監督のアントニー・ミンゲッラは、この物語を《マタイ受難曲》と結び付けようとしました。彼女は51歳の誕生日に《マタイ受難曲》の演奏会を聴きます。そこで私が指揮する、という設定でした。私はこの申し出にとりあえずOKしましたが、結果的に映画は実現しませんでした。ひょっとすると、それで良かったのかもしれません」

オッテン 「コープマンさんはフレキシブルな純粋主義者、といったところでしょうか」

コープマン 「初めてモダン・オケでバッハを演奏した時は、まるでエホバの証人になったような気持ちでした。最近では、さすがにそういうことはなくなりましたね。私は、オケがどのように演奏するべきかコントロールする“バッハの警察”でありません。心がけているのは、自分の信念をオーケストラに伝える、ということです。だからと言って、オケの仲間の一人、ということではありません。指揮者の役割には、それ以上のものがあります。このような状況で、自分と波長の合う音楽家に合うととても嬉しいですね。演奏の結果も、当然良くなりますから」

オッテン 「クリスティやルセ、あるいはアイムといった指揮者は、あなたと同様にチェンバロ奏者です。チェンバロ出身の指揮者が多いことには、理由があると思いますか」

コープマン 「私は偶然だと思います。アーノンクールはチェリストでしたからね。しかしチェンバリストであることには、利点もあります。というのは我々は、バスから考えるからです。コンティヌオを演奏する場合、単にチェンバリストというだけでなく、打楽器奏者としての役割も担います。私の父はジャズ奏者でしたが、私はアーティキュレーションと同様、リズムに大きな関心を寄せています。例えばティンパニー奏者と即興的に合わせて、リズムの輪郭を鋭くするのです。バッハもオルガニスト、チェンバリストであるだけでなく、ヴィオラ奏者でもありました。そうしてオーケストラの真ん中から、他の楽器に合わせて演奏していたのです。これは大きな利点だと思います」

オッテン 「18世紀の音楽を演奏する場合、アムステルダム・バロック・オーケストラとベルリン・フィルではまったく条件が異なります。オーケストラへの接し方には、どのような違いがありますか」

コープマン 「私の言うことを理解する、という意味では、もちろん大きな違いがあります。アムステルダムでは、もう多くのことを説明する必要がありません。オケは常設の団体ではなく、私たちは常に一緒に仕事をしているわけではありませんが、長い付き合いのおかげで共通の基盤があります。あまり共演したことがないオーケストラの場合、重要なのは、団員が私の言うことに耳を傾けてくれるか、ということです。とは言うものの、私がやってほしいことは、それほど難しくありません。何も完全にビブラートなしでやってくれ、と言うわけではないので。私が頼むのは、ゆっくりと、持続的なボーイングで弾く、ということだけです。これは室内楽に通じているオーケストラならば、すぐできることです。大抵の楽団には、私の希望をすぐに実践できる人々がいます。そうなれば、しめたものです。重要なのは、この試みを共に成功させよう、とお互い努力しあうことです。指揮者がやりたいことだけを言っても、うまく行きません。一緒に作り上げていかなければならないのです」

オッテン 「今日、“指揮台上の独裁者”的指揮者は減ってきています。オケ団員も、そうしたやり方に慣れていますが、これはあなたのモットーには合うわけですね」

コープマン 「その通りです。音楽演奏において最も重要なことは、敬意だと思います。演奏者がお互いに感じる敬意、作曲家に対する敬意。なぜなら作曲家は、我々よりもずっと偉大なのですから」

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 ベルリン・フィル演奏会批評(現地新聞抜粋)

メータ復調?カヴァコスは美音のピアニッシモで勝負
(2009年12月4〜6日)

【演奏曲目】
シューベルト:交響曲第3番
バルトーク:《中国の不思議な役人》
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス
指揮:ズービン・メータ


 今号の批評コーナーでは、昨年末に客演したズービン・メータとレオニダス・カヴァコスの演奏会を取り上げます。メータはこの時期、ベルリン国立歌劇場で《こうもり》の新演出を指揮していますが、ベルリン・フィルにも登場。演奏は、近年やや波のある彼としては、気合充分のものだったようです。今回、『ベルリナー・ツァイトゥング』には評が載りませんでしたが、他のベルリン2紙では好意的な評価が下されています。《中国の不思議な役人》は、美しさと壮絶さを融合する演奏と評されており、その様子はハイライト映像でも伺えるでしょう。
 一方カヴァコスのベートーヴェンは、ピアニッシモが批評家諸氏の印象に残ったようで、ロマンティックで夜想曲のような演奏と判断されています。確かに第1楽章は大部分が叙情的な曲調であり、「こうした解釈もあり」ということのようです。

「《中国の不思議な役人》では、ベルリン・フィルは弦が特に素晴らしい弾きぶりを見せた。メータは意図的に騒々しく書かれているスコアを、一種の“美しさ”と融合することに成功していた。そこでは法悦的な音楽が、壮絶な美を垣間見せたのである。その音響は、実に見事なものであった。シューベルトの第3交響曲では、楽章間に拍手が起こるというハプニングもあったが、トリオでのオーボエとファゴットのデュエットはきわめて美しいものだった。一方ベートーヴェンのコンチェルトを弾いたカヴァコスの音色は、ヴァイオリンで聴くことのできる最も美しい音と言えるかもしれない。とりわけ弱音は、明るい黄金のように輝いた。演奏のスタイルは、古典派的というよりは、ロマン派に片足を突っ込んだような表現である。彼の弾きぶりは、演奏に集中しているというよりは、夢のなかを彷徨っている、という様子であった。彼は言わば“自分の響きに恋するナルシス”といったところで、その美しさゆえに聴衆からも愛されたのである。メータは伴奏の役割を心得ており、必要な個所でアクセントをつけることに徹していた(2009年12月6日『ターゲスシュピーゲル』ジビル・マールケ」

「アメリカ・ツアーから帰還したばかりのベルリン・フィルは、メータの指揮のもとで素晴らしい演奏会を行った。それも“正統的な勝利”といった感じである。コンサートは、18歳のシューベルトのニ長調交響曲でスタートした。ジョナサン・ケリーは、メヌエット楽章のオーボエ・ソロを、耳に残る印象的な音色で歌い上げた。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲では、カヴァコスが素晴らしい音色を聴かせた。彼が弾くストラディヴァリは、愛嬌があり豊かで、見事なピアニッシモを放つ。それはまるで夢のなかを彷徨うといった風情であり、詩のような香りを湛えていた。ピアニッシモよりも超絶技巧が聴きたい聴衆は、後半に登場するクライスラーのカデンツァで満たされたに違いない。彼はそれを、きわめてダイナミックで華麗に弾き切ったのである(2009年12月6日『ベルリナー・モルゲンポスト』クラウス・ガイテル)」

シューベルトの交響曲第3番のハイライト映像を観る(無料)
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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

キリ・テ・カナワがオペラ引退!ケルン・オペラでの《ばらの騎士》
 キリ・テ・カナワが、4月17日、ケルン・オペラでの《ばらの騎士》でオペラから引退した。これは公演前から新聞等で非公式に報道されていたが、5月中旬に彼女自身がイギリスのメディアで認めている。彼女は80年代に同地でアラベラを歌い、シュトラウス歌手としての名声を確立。今回は《ばらの騎士》2公演の他、リサイタルとマスタークラスに出演した。『ゲネラル・アンツァイガー』紙は、「終幕の3重唱でこそ、一息付く瞬間も見られたが、声はいまだに真珠の輝きを持っている」と評している。ちなみにコンサート活動は今後も続けてゆくそうで、全面的な引退というわけではない(写真:©Paul Leclaire)。

ベルルスコーニ政権の補助金カット宣言で、ミラノ・スカラ座がストライキ
 イタリアでは、ベルルスコーニ政権が文化予算(補助金)の3分の1をカットし、大問題となっているが、そのあおりでミラノ・スカラ座の公演がキャンセルされた。これまでにドミンゴ主演の《シモン・ボッカネグラ》1公演と、5月13日に予定されていた《ラインの黄金》プレミエ(共にバレンボイム指揮)が、労働組合のストライキにより中止となっている。劇場の前では、スカラ座職員が棺を取り囲み、「このままではイタリア文化が死んでしまう」とプロテスト。同様のストライキは、他のイタリア各地の劇場でも予定されている。スカラ座総監督のステファヌ・リルネルは、「スカラ座の財政は黒字である。そのレベルを保つためにも、劇場が必要とする職員は維持されなければならない」と主張している。

ロイヤル・オペラが3D中継をスタート
 ロイヤル・オペラではオペラ上演のライブビューイングを行っているが、さらに3Dによる映像の上映を予定している。投影技術は、映画『アバター』と同じRealDと呼ばれるシステムで、最初に公開される演目は《カルメン》。6月に上演が収録され、秋に世界の映画館で封切られるという。

ロサンゼルス・オペラの《リング》で、歌手が演出家を名指しで批判
 ロサンゼルス・オペラの《リング》で、歌手と演出家が舞台をめぐって正面衝突している。ブリュンヒルデ役のリンダ・ワトソンとジークフリート役のジョン・トレレヴァンが、ドイツ人演出家アヒム・フライヤーの舞台を批判し、「衣装が歌手の演じる可能性を殺している」と訴えた。フライヤーは、オペラをサーカスのような装いで舞台化することで知られるが、2人の歌手は「ピエロのような衣装は、肉体的にも危険」と論じているという。しかし劇場側は演出家を援護し、降板はない模様である。


次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2010年6月2日(水)発行を予定しています。

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