HMVインタビュー:Cypress Hill【中編】

2010年4月19日 (月)

interview

Cypress Hill

サイプレス・ヒル オフィシャル・インタビュー
質問・文  二木崇(D-ST.ENT)

Slayer のDave Lombardoとは高校が一緒なんだ。 SlayerとCypress Hill が同じネイバーフッドの出身だっていうのが、けっこう自慢(笑)。新譜も最高だしな!なぜか昔からロック系の音にひかれるんだ。本格的に自分でやろうと思ったきっかけは、Godsmackのステージに呼ばれて飛び入りした時、すごい高揚感を味わったことだね。〜 Sen Dog

--- 『Rise Up』のタイトルやコンセプトについて教えてください。

BR: このアルバムはかなりアグレッシブな内容になってるし、挑戦的な内容を含んだレコードを作りたいって俺たちは思ってたからね。Rise Upっていうタイトルはそういう俺たちの姿勢にマッチしたんだ。Tom Morelloとスタジオに入ってたときに、それまでに出来上がってた音を聴いてもらったんだ。で、その時に聴いた音をベースに彼自身が自分のスタジオに戻って彼が思うところの、Cypress Hillと彼がどんな風に組んで音楽を作っていくべきかみたいなところから作業を始めてくれて、俺たちは「これがヒップホップが進むべき方向だって俺たちは思ってるんだ。それをベースにオマエが考えるそういう俺たちにあったトラックを作って欲しい」って伝えたんだ。で、2〜3ヶ月後にSenと俺は丁度ヨーロッパで彼が作ってくれたトラック(Rise Up)を聴いて、こっちに帰ってきてからリリックを書き出すやいなや、「Rise Up」っ ていうタイトルが頭に突然浮かんだんだ。(Rise Upって言葉には)様々な意味があるし、人によって捉え方は違うと思うんだ。聴いてる人が自由に解釈してくれて構わないんだけど。 俺たちにとっては6年間のブランクを経て、そろそろ立ち上がって仕事しなきゃって意味であって、俺たち(の音楽)を聴いてもらわなきゃって感じなんだ。もしくは世界中で色んなことが起こってて、人々は自分たちの意思や意見を聞いてもらいたいって思ってるかもしれないから、もし自分の声を聞いてもらいたいなら、立ち上がって声にしてみなきゃならないっていう様なメッセージもこめられてるんだ。そんな風に俺は捉えてるんだ。

SD: 俺らの世代も立ち上がって、世の中に対して声を上げなきゃいけないからな。ロックの連中はその辺りを良くわかってるからよかったよ。

--- 古くからハードコア・ バンドBiohazardなどとの関係や、自身のバンド=SX10など、ロック畑とサイプレスの関係はSenがリードしていますよね?

SD: そう考えてもらってOK。Slayer のDave Lombardoとは高校が一緒。SlayerとCypress Hill が同じネイバーフッドの出身だっていうのが、けっこう自慢(笑)。新譜も最高だしな!なぜか昔からロック系の音にひかれるんだ。本格的に自分でやろうと思ったきっかけは、Godsmackのステージに呼ばれて飛び入りした時、すごい高揚感を味わったこと。

--- Tom Morello とも長い付き合いですよね?

SD: そう、Snoopみたいにかなり長い付き合いなんだ。Rage Against The Machineの初期の頃のツアーに参加したのをきっかけにそのまま友達で居続けたんだ。常 に互いに連絡をとりあってたんだけど、ある日、彼からCypress Hillは最近どんな活動してるのか訊かれて、ニュー・アルバムの制作中だって話をして、きっと彼はCypress Hillにもってこいのトラックがあるからって話をしてきて、俺 は「是非チェックアウトさせてくれ」って応えたんだ。いいトラックに違いないって分かってたからね。彼はいつでもグッドスタッフを書 いてくるから。

--- Tomはどんな人間ですか?

SD: クールな人間だよ。レイドバックでチルしてるような落ち着いたヤツだぜ。狂ったようなヤツじゃなくて、グレートガイだぜ。B-RealやBoboや俺と同じタイプの人間だぜ。もし俺たちが同じバンドにいたとしても喧嘩することなく上手くやってけると思うぜ。アス・ホール(註:卑怯/アホ)なところが全くないヤツだぜ。

--- Rage Against The Machineとは93年にUSツアーを共にしましたよね?初共演、ステージでの思い出は ?

SD: 2005年か2006年だったと思うけど、彼らが活動休止に入る前の最後の2ステージにB-Realと俺を呼んでくれて、ステージでRage Against The Machineヴァージョンの「How Could I Just Kill A Man」を一緒にやっ たんだけど、ステージでそれをやってる最中には、これがもしかしたらRage Against The Machineの最終ステージになるかもなんてことは思いもしなかったんだけど、だからその事(活動休止)について聞いてからは更にあのステージが特別なものに感じられたんだ。最終ステージかもしれなかったその場所にCypress Hillを呼んでくれたって事実がものすごく嬉しかったし、ものすごく大きな意味を持ってると思うんだ。でも嬉しいことに、また彼らがみんな元通りライブステージをやっ てくれてるからね、クールだよ。

--- Tomとは「Rise Up」と「Shut ‘Em Down」の2曲をこのスタジオで録音されたようですが、どんな雰囲気でレコー ディングしたのですか?

BR: 実は2曲ともトラックを彼が書いて俺たちに送ってくれたんだ。だから一緒にスタジオで 作業をしたわけではないんだ。それぞれ別々のスタジオで仕事して、俺たちはヴォーカル部分をTempleでレコーディングしたんだ。トラックを聴いたらすぐにペン持って曲書き出して、最高の2曲が出来上がったんだ。

--- 「Armada Latina」のプロデューサーJim Jonsinとは何がきっかけで一緒にやることになったのですか?

SD: 実際のところ、レコード会社の勧めで彼とはやることになって、もちろんその件に関して全然問題なかった、彼は最高のプロデューサーだからね。まず「Get It Anyway」をフィニッシュし て、あの曲(Armada Latina)はもう少しで完成するってところだったんだけど、彼が手を加え始めて、「ピットブルとマーク・アンソニーが加わったら最高のサウンドになる」って言ってきて、彼自身が直接PitbullとMarc AnthonyにEメール送って、丁度良いことに音楽の神も俺たちの味方になってくれたみたいで、2人ともLAに居るところで、2人ともスタジオに来てCypress Hillのレコードに参加したいって思ってくれたみたいで、Jim Jonsinって男はきっちり仕事をやってのけちゃうタイプの人間だからね。

--- 3人はそれぞれどんなタイプの人間なのか教えてください。

SD: みんなクールな人たちで、覚えてて欲しいのが、俺たちみんなラティーノだってこと。ラティーノ同士は何があろうと互いにフレンドリー、親しみを持って接するからね、例えば5分前に会ったばっかだったとしても、5年来、20年来の友人だったとしてもね。俺自身はMarc Anthonyにはそれまで会ったことなくて、Pitbullとは以前から面識あって、会えばいつもいつか一緒に何かやりたいって話してたんだ。だから俺とピットの間では既に友人関係みたいなのが築かれてて、でもMarc Anthonyとは全くの初対面だったん だけど、彼がスタジオに来て10分もしたら、まるで長い間彼と知り合いだったみたいな感じになって、彼は冗談とか言ってみんなを笑わせたりして、その場を和ませてくれたからね。彼はそういうタイプの人間なんだ。

---ラテン・ナンバーを入れることはやはり意識した?

SD: 俺たちはラティーノだからね。(ラティーノの)人々、カルチャー、ランゲージや俺たち のスタイルなんか全てをレペゼンするってことは俺たちにとっても重要なんだ。ラテン系の曲は今回が初めてじゃないしね。ファースト・ア ルバムでは「Latino Lingo」をやってるし、Cypress IVでは「Tequila Sunrise」をやったしね、だから俺からしてみたらラテン曲を今回フィーチャーしたのは別にサプライ ズではなかったと思うんだけど、でもPitbullとMarc Anthonyをフィーチャーできたこと、これはヘビー・ラインナップであるこ とは間違いないよね(笑)。

--- またスパニッシュ・アルバムを作る予定は?

SD: 今、俺たちの土俵(活動範囲)はかなり広いと思うんだ。俺たちがフォーカスしようって決めた分野、俺 たちみんなが同意できる音楽、それがロックっぽいものであれ、またスパニッシュアルバムを作るっていうならそれでもいい、みんながパンクロックアルバムが作りたいって思ったらそれでもいいし、とにかく俺たちがやりたいものをやればいいと思ってるんだ。俺個人としてはオール・スパニッシュ・アルバムも全然ありだと思ってるけどね。

BR: いつか絶対に作ると思うよ。

--- 「Carry Me Away」のMike Shinodaとは、何がきっかけで一緒にやることになったのですか?

BR: 確かBoboがMikeに直接、俺たちがニュー・アル バムのレコーディング中だって話をしたんだと思う。丁度BoboとMikeがFort Minorのツアーに参加してるときかなんかだったと思うけど・・・。

EB: そうなんだ。Mikeは元々Cypress Hillのトラックを作るのにすごく興味を持っててくれてて、でもファーストアルバムみたいなオールド・スタイルのものをやればいいのか、それとももっとダークな感じのトラックを作ったらいいのか・・・みたいな迷いがあって、でも最終的に彼が完成させてきたトラックはグレートだったと思う。彼もすごくエキサイトしてたし、俺もすごくいい曲に仕上がってると思うよ。

Sen: 俺たちが用意していたライムに刺激を受けて、あいつがコーラス・パートを自分で書いて歌うって言い出したんで、こっちも驚いた。ハートから直送の親密感が、この曲のメッセージ。それをちゃんと表現したくて、あいつは3度も自分のパートを書き直してた。『まだ親密感が足りない』って言いながら。あの熱意があるから、あいつは成功したんだって実感したよ。

--- Mikeはどんな人間なんですか?

EB: 彼はクールな人間で、スタジオに入るとすごくシリアスだし、テクニカルなんだ。彼をよく知るようになると面白い。きちんとフォーカスできる素晴らしいミュージシャンで、クールガイだよ。

--- Linkin Park との初共演、ステージ の思い出は?

BR: Linkin Park とは大分前に一緒にツアーもしたけど、彼ら とは楽しい時間を過ごせたし、あのツアーは今まででも最高に面白かったツアーの1つだったと思う。メンバーとも仲良くなれたし、そ の後もよき友人で居続けられてるしね。今回Mikeが俺たちのレコードに参加してくれて嬉しく思ってるよ。

--- 「Trouble Seeker」のDaron Malakianとは、何がきっかけで一緒にやることになった のですか?

BR: 彼らとはマネージメントが同じで、間違いなく彼らのファンだったからね・・・Tomとのトラックを完成した後に、もう1曲こんな感じの曲をやるべきだって話になって、 「一体誰に声掛けられるか?」ってことになったんだけど、元々マネージメントが一緒だったてところからも自然にそういう話が持ち上がって、彼の演奏や曲の書き方とか全てすごく気に入ってたからね、彼に声掛けてみようって話になったんだ。結果、彼はめちゃくちゃパワフルな曲を送ってくれたんだ。その ことに感謝してる。

SD: 彼はこの曲でもギターとドラムの両方をやってるんだ。器用なミュージシャンだね。曲 のメッセージはタイトル通り、モッシュピット奨励のバッド・ボーイ・ソング。

--- 「Light It Up」ではPete Rockとやってますが、何がきっかけで一緒にやること になったのですか?Peteと一緒に仕事をしてみてどんな感じでしたか?

BR: 彼と一緒に仕事できてクールだったよ。俺たちは長年Peteのファ ンだったからね。プロデューサーとして互いをすごくリスペクトしてたし、やっと一緒に仕事ができて嬉しかったぜ。彼からはあれ以外の曲も数曲もらってて、今後作品としてリリースすると思うよ。彼からトラックを貰った瞬間にこれはCypress Hillそのものってトラックだって思ったんだ。Peteからあんなに凄い曲をもらえて幸運だったと思う。

--- Cheech & ChongもTempleに呼び寄せて、あの名スキットを録音したんです か!?

BR: そうだよ。Tommy Chongとは長年の知り合いで、多分6年とか8年のつきあいだと思う。彼とは以前一緒に仕事したことがあって、Cypress IVだったと思う。あのレコードでスキットをやってくれたんだ。彼らは丁度ツアーに出る予定だったから、このレコードに2人を呼ぶのに相応しいと思ってね。幸運にも彼らは時間を割いてくれて、俺たちのために(スキットを)やってくれたん だ。

--- アルバム1曲目でもあるティーザー・トラック「It Ain’t Nothin」でSoul Assassinsの若手Young Deをフィーチャーした理由は?

BR: 実際のところYoung Deは俺のキャンプ、Audio Hustlazに所属してるんだけど、彼はSoul Assassinsのレコードにも参加 しててね。その二つは1つのファミリーみたいなもんだからね。Young Deは俺と2〜3年程仕事してて、まずは俺のソロ・レコードで一緒にやって、その後も色んなプロジェクトに参加して、今は彼のソロ・レコードにプロデュースをやってる最中なんだ。

--- 最後に来日してからも大分時間が経ってると思います が、日本公演での思い出はありますか?

BR: 日本公演はグレードだったよ。オーディエンスはすごくエネルギッシュだったし、また来日できる日を待てないよ。

---今後の来日の予定はありますか?

BR: Oh Yeah! 間違いなく来日する予定、スケジュールを決める作業をするだけだよ。

SD: 日本のファンには長年俺たちをサポートしてくれたことを感謝してるっていうのを伝えたいし、 ニュー・アルバムをリリースしたら間違いなく日本に行きたいと思ってるから。時間を作って、日本に行って、日本のファンの みんなとパーティーしたいと思ってるぜ。だから楽しみに待っててくれよ。

---今日はありがとうございました。

全員: ありがとう。