HMVインタビュー:Cypress Hill【後編】

2010年4月22日 (木)

interview

Cypress Hill

メンバーによるアルバム全曲解説(「Cypress Hill - RISE UP Inside Look」YouTubeより
Translated by: Yumi “Dzmama” Parks

「Shut ‘Em Down」はTom Morelloがくれた曲だ。俺たちはオルタナティヴ、ヒップホップを聴く若いファンや昔ながらのファンっていう幅広いファンベースを持った数少ないグループだからな。自分たちでも驚いちまう位だけど、若いファンもいれば年配のファンもいるし、昔はヒップホップなんか聴かなかったオルタナティヴ系のファンも、ヒップホップを聴いてもらうチャンスを与えたから、今じゃすごくヒップホップを気に入ってくれちまってるからな。この曲はまさに両方のファンが気に入ってくれる曲だと思う。 〜 B-Real

--- アルバム『Rise Up』について

BR: ワッツ・アップ! 俺たちは今、テンプル・スタジオにいるんだ。ニューアル バム『Rise Up』について話そうと思ってる。今回のアルバムは、ダークで、ハードコア、ロウでエッジーな、アグレッシブな内容にしたいと思ってたんだ。過去のアルバムはもう少しスローテンポでムーディーな感じのものが多かったからね。

SD: 今回アルバムに参加してくれた連中はみんな今B-Realが話していた様な雰囲気をきっちりキープしながらも、更にネクスト・レヴェルに押し上げてくれたんだ。リスナーの皆も驚いちまうと思うぜ。

EB: 今回のアルバムはCypress Hillにとっても足がかりとなる1枚、Cypress Hillの進化を表した1枚になった思うからね、最高の気分だよ。ファンのみんなにも喜んでもらえると思うぜ。

--- 「It Ain't Nothin'」

BR: この曲のコンセプトはKRS-Oneの曲にインスパイアされたんだけど、、確かこんな風にスピットしてて・・・「You been locked down get ya ass up, you been shot down…」みたいなヤツ。元々俺はKRS-Oneの大ファンなんだけど、あの曲を聴いた時に曲が扱ってるテーマにめちゃくちゃ共感したんだ。誰かにコケにされたり、ゴールを目指して努力してる時に邪魔されたりとか、どんな逆境も克服してかなきゃなんないってこと、倒れても、立ち上がって、体についた埃を払ってまたガンバラなきゃなんねえってことにな。

--- 「Rise Up」

BR: 次の曲はアルバムのタイトルトラックで、親友のTom Morelloがプロデュースしてくれたんだ。 Senと俺はこのトラックを聴いた瞬間にどんなことしたらいいか速攻思いついたし、どんなコンセプトの曲にしたらいいかってのもはっきり見えた。この曲でやった作業がその後、アルバム全体の作業を形作っていったと思う。ヒップホップな感じってのは既に出来上がってたから、それよりももっとヘビーな感じの曲をどんな風にそのヒップホップ的要素に上手くマッシュ(融合)していけるかかどうかってとこにあったからね。さっきもいったけど、この曲はタイトルトラックになって、その後の作業のペースを固めていってくれたんだ。

--- 「Armada Latina」

BR: 次の曲は、Jim Jonsinがプロデュースした曲で・・・。

SD: そう、この曲はラティーノ・カルチャーの影響を深く受けてると同時に、他のカルチャーにも反映できる、 人間特有の気分の良さ、みたいな部分を表現してるんだ。Jim Jonsinがプロデュースしてくれて、Corsby, Stills, & Nash(の「Suite」)をサンプルしてて、俺たち自身のカルチャーをありのままにレペゼンしてんだ。(客演してくれてる)ヤツらとジャムしてるってことで偽った自分を演じたりするんじゃなくな。 きっと長いことみんなに楽しんでもらえる曲になると思うぜ。

BR: 「Latin Lingo」や「Latin Thug」、「Tequila Sunrise」 とか彷彿させる曲になると思う。俺たちはいつだってラテン・フレーバーを持たせた曲を入れるようにしてんだ、っていうのも 俺ら自身がラティーノだからな。そこに固執しないようには気をつけてるけどな。ってのも俺たちは自分たちがどんなヤツなのかってとこ を押し付けるつもりはないからな。

--- 「Light It Up」

BR: この曲はPete Rockがプロデュースしてくれた曲で、彼とはずっと一緒にやりたいって思ってたんだ。このビデオを見てる皆の殆どが知ってると思うけど、彼はヒップホップ界の伝説のプロデューサーなんだ。 この曲のコンセプトはそれがステージであろうと、ジョイントであろうと、シーンであろうと、俺たちはライトアップ(註:盛り上げる、火を点けるの意)しちまうってことなんだ。

--- 「I Unlimited」

BR: この曲は俺がプロデュースした曲の1つで、Public Enemyみたいなフレーバーにインスパイアされて作った曲なんだ。 忙しなくてちょっと混沌とした感じで、実際俺とSen Dogは俺たちのルーツに戻ってみたんだ。(グループ結成時に)デモ(テープ)作ってた頃とか、互いのヴォーカルをやり取りしてたようなときの頃にな。そんなことをする連中は今はそんなにいないと思う。Beastie Boysはそんなアプローチを今でも取ってて、他の誰よりも彼らがベストだと思うけど・・・で、俺らも少し普段とは違 うことにチャレンジしてみようってことになったんだ。かなりアップテンポな曲で、ライブにぴったりの曲だと思う。Sen Dogの (この曲での)フローは信じらんねえほどの出来で、彼の攻撃っぷりは最高だぜ。アップテンポの曲でのフローは彼はトップに君臨できる ラッパーの一人だぜ。

--- 「Bang Bang」

BR: この曲は俺が始めてCypress Hillのアルバム用にプロデュースした曲なんだ。ソロ活動で色々仕事してきた際に後々Cypress Hillでも使えそうだなって思える曲が出てきて、他のメンバーが気に入ってるくれるかどうか分かんなかったけど、とにかく聴いてみれくれって感じでビート渡して、リリックを書き始めたらいい感じなったんだ。

--- 「Pass The Dutch」

BR: この曲はストーナーたちに捧げるアンセム。いつも俺たちは少なくとも2曲くらいはアルバムにこの手の曲を収録するようにしてるんだ。去年ジャマイカに行ったんだけど、ラスタの一人がヤツらは必ず左手で吸って、左側にそいつを回すって話をしてくれたんだ。っていうのも、左手はハートに近い方の手だから、アメリカでも結婚する際は左手の(薬)指 にリングをはめるだろ? だから左手に持って吸って、神に祈れば、ものすごくハイになれるって話を聞いて、そいつはクールだぜ!俺たちもそういうルールみたいなのをここアメリカで始めてやろうって思ったんだ(笑)。左手だぜ、ストーナー社会!レッツ・ゴー!!

--- 「Carry Me Away」

BR: この曲はMike ShinodaがCypress Hillのためにプロデュースしてくれた「Carry Me Away」って曲で、彼がくれたこのトラック自体がどんな曲にしようかっていうインスピレーションをくれたんだ。 俺たち自身でどんなコーラスを入れようか試行錯誤してた時に、彼がコーラスが入ったトラックをまた持ってきてくれたんだだけど、そのコーラスがすげえドープで、「一体誰がコーラス歌ってんだ?」っ て訊いたら(マイクが)「俺だぜ」って答えてきたから、「オマエが本当に歌ってんのか?」って訊いたら、「ホントだぜ」って・・・ あのコーラスは最高にクールだよな。

--- 「Armed & Dangerous」

BR: 次の曲は「Armed & Dangerous」って曲で、Jake Oneがプロデュースした曲。ドープなプロデューサーで今までにも最高の曲を世に送り出してるぜ。このトラックを聴いたときに、今までの俺たちの曲とはちょっと違う雰囲気を持った曲だって感じたんだ。(タイトルから想像すると)昔やってたみてーなハードコアな内容の曲だと勘違いさせちまうかもしれないけど、バウンス感のある、今までに味わったことないような感覚を味あわせてくれる筈だぜ。このトラックを聴いた瞬間、こいつはアルバムに収録しなきゃなんねえ曲だって実感したんだ、そんなインパクトのある曲だぜ。

--- 「Trouble Seeker」

BR: この曲は「Trouble Seeker」って曲で、System of DownのDaronがプロデュースしてくれた曲なんだ。すげえシックな曲だぜ、ヘビーでちょっと今までには無い曲。今までにもいろんなタイプのトラックで実験してきたけど、このトラックを聞いた瞬間気に入って、Sen Dogも絶対気に入るって確信したんだ。実はこの曲は殆ど偶然に出来た曲なんだけどな。そろそろアルバム制作も終盤ってとこ、最後の3曲を仕上げてるとこだったんだけど、もう一曲やってみようかって話になって、期待を遥かに上回る出来の曲が出来ちまったんだ。

--- 「Take My Pain」

BR: 「Take My Pain」はDJ Muggsがプロデュースした曲の1つで、Cypress Hillのフォーミュラーにぴったりはまる曲なんだ。それぞれのアルバムで俺らは音楽を介して自分たちのストーリーを表現していってる訳だ けど・・・この曲もクレイジーなストーリーがベースになっていて、みんなにアルバムを買って、聴いてもらってから自分で解釈してもらいたいからここで詳細を明かすつもりはないけどな・・・ ヴォーカルをレコーディングした後にコーラスを担当してもらうのはEverlastしかないって思ったんだ。この曲はEverlastが初めてCypress Hillのアルバムにフィーチャーされた曲で、彼自身はずっと 昔、91年か92年以来Cypress Hillファミリーの一員で、色々とコラボしてきたけど、サイプレスのアルバムに参加したのは今回が初めてだったんだ。でもこのタイミングでSoul Assassinsのファミリーを呼んで、結構ディープな内容の曲をやるべきだって思ったからね、コーラス担当してくれたEverlastには感謝してるぜ。みんなも「Take My Pain」を気に入ってくれると嬉しいぜ。

--- 「K.U.S.H.」

BR: このギャングスタ・ジョイント「クッシュ=K.U.S.H.」、Keep Us So Highって意味だぜ。誰もあれについて完璧な曲作ってないだろ、俺たち以外にそんな曲を作れるヤツらはいねーからな。クールなのは、このアルバムでちょこちょこ顔を出 してくれてるCheech & Chongがこの曲を題材に実際にスキットをやってくれてるってこ と。

--- 「Get ‘Em Up」

BR: 次の曲は「Get ‘Em Up」って曲で、俺のフェイバリットな曲の1つだぜ。Cypress Hillがいつもライブで提供しているようなロウでエネルギッシュな部分を表現できてる曲だと思うからね。ライブの時にオーディエンスが思わず立ち上がって、ピットでぶつかり合ったり、サーフしたり、ダイブしちまう様なCypress Hill特有のエレメント、俺らはそういうエネルギーを与えちまうってことで知られてるからな。だからこのトラックを作ってるときに、そういうサイプレスの部分を引き出すにはパーフェクトな曲だって思ったんだ。

--- 「Get It Anyway」

BR: 次のジョイントは「Get It Anyway」で、Jim Jonsinがプロデュースした曲なんだ。今までJimと一緒に仕事したことはなかったんだけど、色んなアーティストとやってる彼のプロダクションワークは耳にしてきた。彼は2〜3個、アイディアを持ってきてくれて、トラックを何曲か聴かせてくれたんだけど、その中でも壮大なスケールのサウンドを持ってるトラックを最終的に使うことになって、このトラックなら俺たちもクールなリリックを書けるって思ったからね。俺らが今まで経験したこと全てをね・・・。

SD: 「Get It Anyway」はとにかくハッスルしてグラインドし続けて、金稼ぐんだぜってメッセージを伝えようとした曲で、そういうメッセージを伝えることが重要だって思ったからな。

BR: Jim Jonsinには感謝してるぜ。彼は全体の指揮をとってくれただけじゃなく、グレー トなレコードを作り上げてくれたからな。「Get It Anyway」だぜ。

--- 「Shut ‘Em Down」

BR: 「Shut ‘Em Down」も(Tom)Morelloがくれた曲で、このアルバムをトップにのし上げるために必要だと思ったヘビーなサウンドを持った曲なんだ。俺たちはオルタナティヴ、ヒップホップを聴く若いファンや昔ながらのファンっていう幅広いファンベースを持った数少ないグループだからな。自分たちでも驚いちまう位だけど、若いファンもいれば年配のファンもいるし、昔はヒップホップなんか聴かなかったオルタナティヴ系のファンも、ヒップホップを聴いてもらうチャンスを与えたから、今じゃすごくヒップホップを気に入ってくれちまってるからな。この曲はまさに両方のファンが気に入ってくれる曲だと思う。っていうのも、Tom Morelloが作ってくれたこのトラックは過去の作品と比べても最もアグレッシブなトラックだからね。

--- 最後に

BR: これがニューアルバム「Rise Up」のスニペットだぜ。このアルバムをリリースを楽しみにしてるし、み んなが買ってくれることを楽しみにしてるし、みんなの前でパフォームする日を楽しみにしてるぜ。

SD: これは約6年ぶりのスタジオ・アルバムだからな、このアルバムをリリースできるチャンスを持てたことは俺らに とってもスペシャルだし、ここ数ヶ月間、俺らがこのアルバムを作る際や、出来上がったアルバムを聴く際に楽しんできた様 に、皆も楽しんでくれることを期待してるぜ。みんなの成功を祈ってるし、俺らのニューアルバム『Rise Up』をエンジョイしてくれること期待してるぜ。

BR: それからEMIがこいつ(註:アルバム)がどんな結果をもたらすかちゃんと信じてくれたことに感謝してるぜ。

新譜Rise Up
スヌープ・ドッグが昨年、ウェッサイ重要レーベル、プライオリティ・レコーズのクリエイティブ・チェアマンに就任したのを受け、スヌープとは古くから交流のある西海岸の最重要ベテラン・ヒップホップ・グループ、サイプレス・ヒルが移籍! 前作から6年ぶりとなる8thアルバム『Rise Up』は、 ゲストにはレイジ・アゲインスト・ザ・マシンのトム・モレロが2曲でフィーチャーする他、ピットブル、リンキン・パークのマイク・シノダ、システム・オブ・ア・ダウンのダロン・マラキアン、エヴァーラスト、エヴィデンスが参加。 プロデューサーはDJマグス、B-リアルの他、ピート・ロック、ジム・ジョンシン、DJカリルなどがバックアップ。ヒップホップとロック、絶妙なバランスで収録曲が構成された強力盤!