生誕100年を超えたいまもブルースのみならずロック・シーンにまで多大なる影響を与え続ける偉大なるブルース・マンが、27年というその短い生涯にレコーディングした全27曲、42テイクを収めたコンプリート・コレクション。十字路で悪魔に魂を売り渡した代わりに、ギター・テクニックを身につけたという“クロスロード伝説”からも伺えるように、その煌きは時を重ねても決して色褪せることはない。まさにその源流としてすべてのロック・ファン必携のアルバム。（2011年作品）

“キング・オブ・ロックンロール”と謳われる彼の記念すべきデビュー・アルバムにしてポピュラー音楽史上に残る名盤。白人のカントリーと黒人のリズム＆ブルースを融合させた革新的な音楽性と端正なルックス、そして攻撃的なパフォーマンスは全米中に衝撃を与えた。チャートにおいても10週連続No.1を記録するなど大ヒットした本作は、すべてはここから始まったと言っても過言ではないロックンロールの夜明けを告げた作品。ボーナス・トラック6曲収録。（1956年作品）

ポール・マッカートニーやU2を始め多くのアーティストからリスペクトされる偉大なるカントリー・シンガーである彼が、1968年1月13日にフォルサム刑務所で行なった慰問コンサートの模様を収録したライヴ・アルバム。周囲からの反対を押し切って実現された本作は、観衆である受刑者たちにあえて踏み込んでいくキャッシュと、それを受け止める彼らが一体となるさまを捉えた白熱のドキュメント。深い感動が拡がる歴史的名盤。（1968年作品）

その芳醇な歌声が“ヴェルヴェット・ヴォイス”と評され、ロックンロールの黄金時代を支えただけでなく、のちにジョージ・ハリスンらとトラヴェリング・ウィルベリーズを結成するなどして活躍した彼のデビュー作。エルヴィス・プレスリーらに代表される激しいスタイルとは一線を画したポップな作風が幅広い人気を集めた。初の大ヒット曲となった「オンリー・ザ・ロンリー」や日本でヒットした「カム・バック・トゥー・ミー」収録。ボーナス・トラック4曲収録。（1961年作品）

いまもなお偉大なる足跡を刻み続けるフォーク／ロックの巨人の2作目は米チャート22位、英では1位を獲得した出世作。その名を轟かせるきっかけにもなったプロテスト・ソングの「風に吹かれて」や「はげしい雨が降る」、アイルランド民謡をアレンジした「北国の少女」などの名曲を収録。どれも豊かなストーリーを紡ぎ出しており、詩人としての才能がすでに花開いている。フォーク・シンガー時代の傑作にして初期の代表作のひとつ。（1963年作品）

1962年にフォーク・ソングの旗手としてデビューした彼が初めてエレクトリック・サウンドを取り入れた通算5作目。初めて全米トップ10入り（6位／全英1位）した作品であるとともに“フォーク・ロック”という新たなジャンルを確立した作品としてロック史における最重要作。代表曲のひとつである「ミスター・タンブリン・マン」はバーズによってカヴァーされ、全米チャートで1位を記録した。歴史を動かした必聴のアルバム。（1965年作品）

当時のシングルにしては約6分という長尺の曲ながら、彼にとって初のトップ10ヒット（全米2位）となり代表曲のひとつにもなった「ライク・ア・ローリング・ストーン」を収録した通算6作目。時代の変革を捉えた内容でアーティストとしてのアイデンテティを確立したとされる本作は全米3位／全英4位を記録した。アル・クーパー、マイク・ブルームフィールドらも参加した“ロックの金字塔”であり、1960年代を象徴する作品。（1965年作品）

ロック史上初の2枚組アルバムとして発表された通算7作目。そのヴォリュームでありながら全米9位、全英3位を記録し、彼の長いキャリアのなかでも最高傑作との呼び声も高い作品。「ローランドの悲しい目の乙女」は旧アナログの片面すべてを使って収録されるなどクリエイティヴィティ溢れる画期的な試みが随所に見られる。のちにザ・バンドとなる面々も参加、ひとつのピークに到達したファンならずとも聴き逃せない名盤中の名盤。（1966年作品）

彼にとって15枚目のスタジオ・アルバムであるとともに1970年代のマスター・ピースとも言われる傑作。実は発売直前になって一旦キャンセルされ、数曲を録りなおしてリリースにこぎつけている。近作ではロック色を強めていたが、本作はアコースティック・サウンドに回帰して制作された。内省的で苦悩に満ちた内容ながら楽曲の出来は素晴らしく、全米31位を記録した「ブルーにこんがらがって」や「愚かな風」などの名曲を収録。（1975年作品）

残念ながら33歳の若さで非業の死を遂げた彼が残した大ヒット・アルバム。“ミスター・ソウル”と呼ばれ、数多のヴォーカリストが彼を信仰していることからもその影響の大きさがわかる。ロッド・スチュアートの名演でも知られ、全米9位を記録した表題曲を始め名曲が揃った充実の作品。近年ではトータス松本がアルバムをまるごとカヴァーして話題を呼んだ。何よりも彼のエネルギッシュでパワフルな歌声に圧倒される不屈の名盤。（1962年作品）

オーティス・レディングが憧れ、ジョン・レノンが愛した不世出のソウル・シンガーである彼の伝説のライヴ・アルバム。1963年1月12日にマイアミのハーレム・スクエア・クラブで行なわれたステージを収録したもので、その熱狂振りが当時のクックのイメージにそぐわないとお蔵入りにされていた作品でもある。彼の熱い歌声にバックを務めるキング・カーティス・バンドも熱演。のちにレノンがカヴァーした「悲しき叫び」も収録。（1985年作品）

デビュー作にも収録されていた「サウンド・オブ・サイレンス」にプロデューサーのトム・ウィルソンがオーヴァー・ダビングを施して発売したシングル・ヴァージョンが全米1位の大ヒットを記録したことを受けて制作された2作目。ふたりの名を一躍広めることになるとともに143週に渡ってチャート・インするロング・セラーになった記念碑的作品。デュオとしての活動をあきらめかけていた彼らにとっては起死回生の作品にもなった。ボーナス･トラック4曲収録。（1966年作品）

ポール・サイモンとアート・ガーファンクルのフォーク・ロック・デュオが放った3枚目のアルバムで全米チャート4位を記録。タイトルは収録もされたイギリス民謡の「スカボロー・フェア」の一節から取られている。当時の混沌とした社会へのメッセージを繊細なメロディと美しいハーモニーに乗せて展開する音世界は彼らならではのもの。多くのカヴァーを生んだ「59番街橋の歌」や名曲「早く家へ帰りたい」など名曲ばかりが並ぶ傑作。ボーナス･トラック2曲収録。（1966年作品）

小学校の同級生だったポール・サイモンとアート・ガーファンクルによるデュオの4作目。旧アナログA面は「ブックエンドのテーマ」に挟まれる形でアメリカの現実をテーマにした組曲が収められ、モーグ・シンセサイザーやサウンド・コラージュを使用した実験的な試みがなされている。その一方でヒット・シングル「冬の散歩道」や「サウンド・オブ・サイレンス」の新ヴァージョンも収録され、全米／全英でともに1位を獲得した名盤。ボーナス･トラック2曲収録。（1968年作品）

全米チャートで10週連続1位を記録しただけでなく世界各国でもナンバー・ワンを獲得した大ヒット作であり、さらにはグラミー賞の最優秀アルバム賞を始め6部門で栄冠に輝いた通算5作目にして最後のオリジナル・アルバム。最早スタンダードとなった表題曲や「ボクサー」、ロス・インカスの演奏に歌を乗せた「コンドルは飛んで行く」など名曲が目白押しの本作は、名実ともに彼らの代表作であるとともに音楽史上に残る不朽の名盤。ボーナス･トラック2曲収録。（1970年作品）

サイモン＆ガーファンクル解散後にリリースされたソロ・アルバムで通算2作目。デュオ時代の「コンドルは飛んで行く」の流れを継承してフォルクローレと対峙した「ダンカン」はまだしも、ジャマイカ録音やジャンゴ・ラインハルトのパートナーであったステファン・グラッペリ、ブラジルのアイアート・モレイラとの共演など、ソロ・アーティストとしての活動のショウ・ケースを提示するがごとく全方位にアプローチして見せた意欲作。（1972年作品）

サイモン＆ガーファンクル解散後としては2枚目、通算3作目のソロとして発表されたアルバム。マッスル・ショールズ専属のミュージシャンやフュージョン系プレイヤーを起用してのレゲエ／スカからディキシー・ハミングバーズとの共演によるゴスペルへの接近など、ディオ時代のフォーク・ロック・サウンドから脱却し、その後に展開される多彩な音楽性を予見させるかのようなバイタリティ溢れる作品。全米2位、全英4位を記録。（1973年作品）

スティーヴ・ガット、マイケル・ブレッカー、ボブ・ジェームスら名うてのミュージシャンを起用して制作された5枚目のソロ・アルバム。サイモン＆ガーファンクル解散後としては初めてアート・ガーファンクルとデュエットした「マイ・リトル・タウン」は先行シングル・カットされ、全米9位を記録して話題となった。同じくシングルとして発売された「恋人と別れる50の方法」は1位を獲得。ソロとしては初のグラミー賞に輝いた傑作。（1975年作品）

南アフリカのミュージシャンとともに制作したことで、当時反アパルトヘイトの動きを妨げるものとして物議を醸し出したソロ8作目。そうした喧騒を抱えながらも全米3位、全英では1位を獲得する大ヒット作となり、1986、87年にグラミー賞を連続で受賞するという快挙を成し遂げた名作。ワールド・ミュージックと言う新たな潮流を生み出しただけでなく、その音楽の力で世界の人道的見地の在り方に一石を投じた歴史的な重要作。（1986年作品）

1964年にロサンゼルスで結成された5人組による瑞々しいデビュー作。ボブ・ディランとビートルズの融合とも評された音楽性で人気を博した。ロジャー・マッギンの奏でる12弦ギターの響きも印象的な表題曲はディランのカヴァーで全米1位を獲得。バーズ・サウンドと言っても良い独特のサウンド・メイキングでフォーク・ロック・ムーヴメントを牽引しただけでなく、後進に多大なる影響を与えた作品。全米チャート6位を記録した。ボーナス・トラック6曲収録。（1965年作品）

旧約聖書をモチーフにしたピート・シーガーのカヴァーで、デビュー曲「ミスター・タンブリン・マン」に続いて全米1位を獲得した表題曲を収録した彼らの2作目。前作に続きテリー・メルチャーのプロデュースのもと試行錯誤して制作された本作はメンバーのそれぞれの個性も主張され、より幅広い音楽性を提示して見せたアルバムであり、のちのウエストコースト・サウンドの萌芽をも感じさせる充実作。全米チャートで17位を記録した。ボーナス・トラック7曲収録。（1965年作品）

フォーク、カントリー、サイケデリックといったさまざまな音楽性と実験性が内包された通算5作目。プロデュースを手がけたゲイリー・アッシャーの手腕もあって、曲間をなくすなどトータル・アルバムに仕上げたことからザ・バーズ版『サージェント・ペパーズ〜』とも言われる傑作。レコーディングの過程でデヴィッド・クロスビーを失うことにもなったが、彼らの初期の集大成という評価は揺るぎない。全米チャート47位を記録した。ボーナス・トラック7曲収録。（1968年作品）

1960年代のカリフォルニアが生んだ奇跡のアルバムにしてミレニウムとともにソフト・ロックを代表する作品。カート・ベッチャーが書いた曲に、ビーチ・ボーイズやザ・バーズとの仕事で知られるゲイリー・アッシャーが手を加えて完成させたアルバムで、のちのミレニウムのメンバーやグレン・キャンベル、ブルース・ジョンストンらが参加したプロジェクト作。ポップで美しいメロディと複雑なコーラス・ワークに誘われる音の万華鏡。（1967年作品）

“ハーモニーの魔術師”カート・ベッチャー率いる7人組の唯一のアルバムにしてサジタリアスとともにソフト・ロックの金字塔として評価が高い作品。当時としては最先端だった16トラックのレコーダーを駆使しての実験性とポップでドリーミーな楽曲が融合した内容は、リリース時に前衛的と評され商業的な成功を収められなかったことが信じられぬほどの完成度を誇る。時代を超えて輝き続けるまさにエヴァー・グリーンな1枚。（1968年作品）

1967年に結成され、チキン・シャック、サヴォイ・ブラウンらとともに“英国3大ブルース・バンド”と謳われた彼らのアメリカでのデビュー・アルバム。女装したミック・フリートウッドのジャケットも強烈な本作は初期の代表曲を収めた編集盤。全英ナンバーワン・ヒットのインストゥルメンタル「あほうどり（アルバトロス）」やのちにサンタナがカヴァーして大ヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルなどを収録。（1969年作品）

史上に残る女性ロック・ヴォーカリストである彼女が、ビッグ・ブラザー＆ザ・ホールディング・カンパニーの一員として放った記念すべきメジャー・デビュー・アルバム。前年に出演したモンタレー・ポップ・フェスティヴァルですで注目を集めていたこともあり、いきなり全米8週連続1位を獲得するなど一気にスターダムへと駆け上った作品。「サマータイム」「心のカケラ」などジョプリンの“魂の叫び”が収められた不滅の名盤。（1968年作品）

伝説の女性ロック・ヴォーカリストとしていまだに唯一無二の存在感を誇る彼女が、新たに結成したコズミック・ブルース・バンドとともに制作した初のソロ・アルバム。自らがつくり出した造語でもある“コズミック・ブルース”を追い求め、新たな音楽を創造しようする姿が感動的な作品。「トライ」や「リトル・ガール・ブルー」などの代表曲やビー・ジーズの「トゥ・ラヴ・サムバディ」でも名唱が耳に残る。全米チャート5位を記録。（1969年作品）

本作の制作途中に27歳の若さで夭逝したロック・クイーンのラスト・アルバム。その衝撃的な死の翌年に発表されると全米チャートの9週連続1位を記録し、シングル・カットされた「ミー・アンド・ボビー・マギー」も1位を獲得した。プロデュースはドアーズなどで知られるポール・ロスチャイルドが手がけ、遺作にして最高傑作の呼び声が高い。「生きながらブルースに葬られ」は人生を猛スピードで駆け抜けた彼女へのレクイエム。（1971年作品）

1965年に結成、翌年にデビューを果たした彼らが、女性ヴォーカリストのグレイス・スリックを迎えるなどのメンバー・チェンジを経てリリースしたセカンド・アルバム。全米5位に輝いた「あなただけを」や同8位を記録した「ホワイト・ラビット」といった大ヒット・シングルをフィーチャーした本作も全米3位を獲得。彼らの人気を不動のものにするだけでなくサンフランシスコの音楽シーンが一躍注目されるきっかけにもなった。ボーナス・トラック6曲収録。（1967年作品）

1966年、ギタリストのカルロス・サンタナを中心に結成された6人組による衝撃のデビュー・アルバム。ローカルな存在だったが本作発表と同時期にウッドストック・フェスティヴァルに出演したこともあって一気にブレイクし、全米チャートの4位を記録する大ヒットとなった。シングル・カットされた「イヴィル・ウェイズ」も全米9位を記録。現在も活動を続ける偉大なるロック・バンドの第1歩が記された重要作にして必聴盤。（1969年作品）

“ラテン・ロック”とも評される新たなジャンルを確立した作品として史上に燦然と輝くセカンド・アルバム。初の全米チャート１位を獲得した作品であり、世界中で空前のヒットを記録した定番中の定番。フリートウッド・マックのカヴァーながら別解釈に生まれ変わった「ブラック・マジック・ウーマン」は全米4位のヒットを記録し、彼らの代名詞とも言えるアンセムになった。ラテンのリズムと“泣きのギター”に血湧き肉踊る傑作。ボーナス・トラック3曲収録。（1970年作品）

『天の守護神』に勝るとも劣らない完成度を誇る４作目は、一大コンセプト・アルバムにして初期の名盤のひとつ。官能的なインプロヴィゼーションが展開されるインストゥルメンタルは本来の意味でプログレッシヴであり、来るべきフュージョンやワールド・ミュージックを先取りしたかのような多彩で芳醇なサウンドを聴かせる。ドラマティックなバンド・サウンドのなかでカルロス・サンタナの哀愁を帯びたギターが際立つ作品。全米８位。（1972年作品）

67年、ロンドンで結成。ジャズ・ロックというカテゴリーに色分けされるバンドだが、その音楽性は幅広く、あらゆる音楽の要素を取り入れ、ロック・ミュージックの可能性を追求。3枚目の本作は4曲各20分弱からなる大作でLP2枚組で発表、'07年のCD化ではライヴ音源を収めたボーナス・ディスクが追加収録。ホーン・セクションとキース・ティペット・グループからエルトン・ディーンが加わり、ホーン、オルガンにヴァイオリンと言う編成は瞑想するのに相応しい空気感を持ち、彼らの中期の傑作となった。（1970年作品）

ロックとファンクを融合させた初のグループであり人種混合の編成もあって、その統合運動の象徴としても立ち向かっていた彼らの代表作。政治的、社会的なテーマを内包しながら全米13位を記録するなどエンタテインメントとしても成立させた稀有な存在である本作は、1960年代のアメリカン・ミュージックを代表する作品のひとつ。躍動する「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ア・ハイヤー」ほか4曲のヒット曲を収録した名盤。ボーナス･トラック5曲収録。（1969年作品）

それまでの高揚感溢れるサウンドから一転して暗鬱なアプローチを見せた作品ながら、華やかだった1960年代からシリアスな70年代への突入を描いた歴史的な傑作として評価が高い名盤。シングル・カットされた「ファミリー・アフェア」とともに全米1位を獲得。タイトル・トラックに演奏時間がないのはスライ・ストーン曰く「いかなる暴動も起こってほしくない」故のこと。本作から多くのサンプリングが誕生したのも名盤の証明。ボーナス･トラック4曲収録。（1971年作品）

そのキャリアはすでに50年を超える“100万ドルのブルース・ギタリスト”による鮮烈のメジャー・デビュー・アルバム。各レコード会社争奪戦の末、鳴り物入りで登場した本作は、ウォルター・ホートンやウィリー・ディクソンらが参加し、6曲のカヴァーと3曲のオリジナルからなるストレートなブルース・アルバム。直後に出演したウッドストック・フェスティヴァルでの熱演もあって、全米24位を記録するなど注目を集めた。ボーナス･トラック5曲収録。（1969年作品）

前作から4ヶ月で発表されたメジャー2作目は、ブルースに加えてハード・ロックの要素も加わったアルバム。オリジナルのみならずチャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」やボブ・ディランの「追憶のハイウェイ61」もウィンター流に料理し、イギリスのブルース・ロック・バンド勢に対抗する存在として注目を集めた。あまりの音圧のためアナログ1枚に収まらず、2枚組3面という変則な仕様で発売されたエネルギッシュな作品。ボーナス･トラック2曲収録。（1969年作品）

クリームを手がけたプロデューサーのフェリックス・パッパラルディが、巨漢ギタリストのレズリー・ウェスト、コーキー・レイングらと結成した4人組の2作目にして1970年代のアメリカン・ハード・ロックを代表するアルバム。映画『バニシング・ポイント』にも使われて大ヒットした「ミシシッピ・クイーン」（全米21位）や「想像されたウェスタンのテーマ」など名曲、名演が満載。全米チャートでは17位を記録した大傑作。ボーナス・トラック1曲収録。（1970年作品）

アメリカン・ハード・ロックの雄として彼らの人気を決定的にしたサード・アルバム。クラシックの要素を取り入れるなどバラエティに富んだ楽曲を収め、文学的な詩世界の深みと相俟って更なるスケール・アップを遂げたアルバム。ライヴでも定番となった表題曲は不滅のアンセムとして愛され続けている。当時はレッドツェッペリンをも凌駕すると評され、のちのマイケル・シェンカーにも大きな影響を与えた本作は全米16位を記録。ボーナス・トラック1曲収録。（1971年作品）

アル・クーパー、スティーヴ・カッツらを中心に1967年に結成され“ブラス・ロック”の祖と評される彼らのデビュー作。クーパーの幅広い音楽性に加え、ロック・バンドにホーン・アンサンブルを加えた画期的な編成から繰り出すサウンドはジャズ、ブルース、カントリーなどさまざまなジャンルを内包しており、新しいアメリカン・ロックを提示して見せた革新的なアルバム。プロデュースはジョン・サイモンが手がけた。全米47位。ボーナス･トラック3曲収録。（1968年作品）

アル・クーパー、ランディ・ブレッカーの脱退とデヴィッド・クレイトン・トーマスらの加入といった激動を経て発表されたセカンド・アルバム。ピンチをチャンスに変えて送り出された本作は、名曲「スピニング・ホイール」「アンド・ホエン・アイ・ダイ」「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー」というヒット・シングルを生み、アルバムも7週連続全米1位を記録。さらにはグラミー賞の4部門を受賞する栄誉にも輝いた。ボーナス･トラック2曲収録。（1969年作品）

ブルース・プロジェクト〜 ブラッド・スウェット＆ティアーズのアル・クーパー、バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴ・スティルス、ポール・バターフィールド・ブルース・バンド〜エレクトリック・フラッグのマイク・ブルームフィールドの3人が集まって制作されたセッション・アルバム。ロック変革の時代に呼応した若きアーティストの溢れんばかりの創造性を自由に表現した画期的な作品として歴史的意義を持つ名盤。（1968年作品）

アル・クーパーとマイク・ブルームフィールドが1968年9月26〜28日にサンフランシスコのフィルモア・ウェストで行なったステージの模様を収録したライヴ・アルバム。『スーパー・セッション』の延長線上に位置するセッションとして計画され、最終日に体調を崩したブルームフィールドに代わってエルヴィン・ビショップ、カルロス・サンタナらも加わっている。当時、世界にセッション・ブームが起きるほどの影響を与えた。（1968年作品）

多彩な活動で知られる彼の作品のなかでは最高傑作に位置する6枚目のソロ・アルバム。ギター・プレイも心に残る「時の流れるごとく」やメランコリックな「人生は不公平」、ジョン・ブラインのペンによる「サム・ストーン氏の場合には」などシンガー・ソングライターとしての魅力が溢れた作品。クインシー・ジョーンズの娘に贈られた「ジョリー」はのちに日本で再評価され新たなファンも獲得。いまもなおリスペクトされ続ける名盤。（1972年作品）

ロック変革期にさまざまなアプローチでその可能性を切り拓いてきた彼が満を持して発表した記念すべきファースト・ソロ・アルバム。初作にしてすでにシンガー・ソングライター然としたスタイルを見せるなかで、ハリー・ニルソン、トラフィック、ビル・モンローらのカヴァーも収録し、そのマルチな音楽的嗜好の趣くままを表現したバラエティに富んだ内容。自由の女神に自分の顔をアレンジした印象的なジャケットはあまりにも有名。（1969年作品）

ニューヨークが生んだ女性シンガー・ソングライターとして多くの人々に愛された彼女のセカンド・アルバム。フィフス・ディメンションがカヴァーしてヒットさせた「スイート・ブラインドネス」「ストーンド・ソウル・ピクニック」やスリー・ドッグ・ナイトが取り上げた「イーライがやって来る」などソングライターとしての魅力溢れる楽曲を収録。作家としての才能に加え、個性的でエモーショナルな歌声が深く心に染み入る名作。ボーナス･トラック3曲収録。（1968年作品）

惜しくも1997年にこの世を去った女性シンガー・ソングライターのサード・アルバム。タイトルどおり都会に生きる女性の光と影を鋭い感性で綴った内容で、独特のクールネスを漂わせている傑作。溢れる感情をそのままに表現した緩急自在のヴォーカルは冴え渡り、その絶望と希望が交錯したストーリーへと誘う。レコーディングへの参加を依頼したマイルス・デイヴィスに「俺がつけ加えるべきものはない」と言わせしめた完璧な1枚。ボーナス･トラック2曲収録。（1969年作品）

1960年代にはヒット・メイカーとして活躍していた彼女がシンガー・ソングライターとして発表した2枚目のソロ・アルバム。全米チャート15週連続1位を獲得、トップ100に302週連続チャート・インしただけでなくグラミー賞でも4部門を制覇するなど時を超えて支持され続ける永遠のベスト・セラー。女性の日常的な感情の機微をナチュラルに描いた作品としてシンガー・ソングライター時代の幕開けを飾った歴史的名盤。ボーナス･トラック2曲収録。（1971年作品）

女性シンガー・ソングライターの草分けとして1970年代のシンガー・ソングライターの時代を牽引した彼女のサード・アルバム。『つづれおり』の陰に隠れがちではあるがこちらも全米1位を獲得した名作。シングル・カットされた「スウィート・シーズンズ」は同9位を記録。「イッツ・ゴーイング・トゥ・テイク・サム・タイム」はカーペンターズかカヴァーしてヒットさせた。ジャズ、ソウルの影響も感じさせる完成度の高い作品。ボーナス･トラック1曲収録。（1971年作品）

シンガー・ソングライターとしての充実期にリリースされた通算4作目。デヴィッド・T・ウォーカーを始めとする新進気鋭のミュージシャンの起用やホーン・セクションの導入、また曲作りにおいてもチャールズ・ラーキーやトニ・スターンらとの共作が半数を占めるなど新たな試みをもって制作された意欲作。さりげない作風なかに光る彼女の個性はそのままに、より洗練されたアルバムに仕上がった本作は全米チャートの2位を記録した。ボーナス･トラック1曲収録。（1972年作品）

のちに「フットルース」や「デンジャー・ゾーン」などのヒットでも知られるケニー・ロギンスのデビュー作として制作が始まった本作だったが、プロデュースを担当した元バッファッロー・スプリングフィールド〜ポコのジム・メッシーナがロギンスの才能を買って結成したユニットによるデビュー作。ロギンス作でニッティー・グリッティー・ダート・バンドがヒットさせた「プー横丁の家」が再演され、彼らを代表する曲のひとつとなった。（1971年作品）

シカゴやブラッド・スェット＆ティアーズらと並び称される“ブラス・ロック”の旗手によるデビュー作にして空前のヒット・アルバム。最高位こそ22位だったが全米年間チャートの1位を獲得する快挙を成し遂げた。ハイ・ノートを吹きまくる4本のトランペットをフィーチャーしたシャープなサウンドとジャズ寄りのアプローチが他のブラス・ロック・バンドとは一線を画した魅力を放つ。シングル・ヒットした「黒い炎」は彼らの代表作。（1971年作品）

モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーによるツイン・ヴォーカルで1970年代に一世を風靡したファンク・バンドによる同名映画のサウンドトラックにして初の全米チャート1位を獲得した記念碑的アルバム。全米ナンバーワン・シングル「シャイニング・スター」と同12位を記録した表題曲、名曲「リーズンズ」などハイ・クオリティな楽曲をフィーチャーした強力盤で日本のディスコ・カルチャーにも大きな影響を与えた作品。ボーナス･トラック5曲収録。（1975年作品）

アフリカン・ミュージックとスピリチュアルな理想主義の融合を標榜した彼らの真骨頂とも言うべき“神殿と宇宙”をテーマに制作された7枚目のオリジナル・アルバム。EW&Fの代名詞でもある「宇宙のファンタジー」を始め名曲のオン・パレードという内容が当時グループとして絶頂を迎えていた証となる名盤。宇宙サイズで繰り広げられる至福のグルーヴが堪能できる本作は全米3位を記録した。印象的なジャケットは長岡秀星によるもの。ボーナス･トラック4曲収録。（1977年作品）

デヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドンといった作家陣やスティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロといったTOTOのメンバーもセッションに起用してAORへの接近を図った通算8作目のオリジナル・アルバム。全米2位を記録した「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」やエモーションズも参加して同6位のヒットとなったキラー・チューン「ブギー・ワンダーランド」などを収録。ひとつの転換期を迎えつつも全米3位を記録した。ボーナス･トラック3曲収録。（1979年作品）

15歳でデビューした早熟の天才少女がその後の紆余曲折を経て発表した通算7作目。自身の経験を歌ったとされる「17歳の頃」は全米シングル・チャートの3位の大ヒットとなり、本作も全米1位を獲得。グラミー賞の最優秀女性ヴォーカル賞にも輝いた彼女の代表作。ジャズ、ボサノヴァを取り入れたサウンドに私小説のような歌詞を乗せ、室内楽を思わせるアンサンブルが色を添える。繊細な感性とたおやかな歌声に心洗われる作品。ボーナス・トラック1曲収録。（1975年作品）

繊細な感性と柔らかい歌声で人気を博した彼女の8枚目のアルバム。全米チャートで12位を記録した。日本では「恋は盲目（ラヴ・イズ・ブラインド）」がテレビドラマ「グッド・バイ・ママ」の主題歌に起用されて大ヒットし、本作もオリコン・チャートの1位を獲得するなど本国以上の支持を得た。彼女らしい憂いを含んだメランコリックな曲調の楽曲のほかにサルサを取り入れるなどシンガー・ソングライターとして飛躍作となった。ボーナス・トラック1曲収録。（1976年作品）

ビートルズのメンバーからも愛された稀代のシンガー・ソングライターの2作目にして彼の才能が花開いた出世作。フレッド・二ール作の「うわさの男」は1969年公開の映画『真夜中のカーボーイ』の主題歌に起用されて全米6位を記録。初のヒット曲となりグラミー賞最優秀コンテンポラリー・ヴォーカル・パフォーマンス男性部門も受賞した。アストラット・ジルベルトやスリー・ドッグ・ナイトがカヴァーした楽曲も含む初期の名盤。ボーナス・トラック3曲収録。（1968年作品）

“七色の声を持つヴォーカリスト”と評されたその歌声でユーモアとセンス溢れるグッド・タイム・ミュージックを聴かせた彼のサード・アルバム。全米34位のヒットとなった「孤独のニューヨーク」やメリー・ホプキンにカヴァーされた「子犬の歌」などのオリジナルと、ジェリー・ジェフ・ウォーカーやランディ・ニューマンらの作品が違和感なく収められた構成も見事。シンガー・ソングライターとしての才能と魅力が詰まった傑作。ボーナス・トラック3曲収録。（1969年作品）

第2期ジェフ・ベック・グループのデビュー作。ボブ・テンチ、クライヴ・チャーマンら黒人アーティストを加入させ、それまでのブルース・ロックのスタイルからブラック・ミュージックへのアプローチを見せた革新性溢れる作品。メンバーの高い演奏力に支えられた強烈なアンサンブルと独創的なクリエイティヴィティはロックとソウルの融合という新しい音楽を生み出すことに成功。その洗練されたサウンドはシーンに大きな影響を与えた。（1971年作品）

ブッカー・T&ザ・MG'Sのギタリストであるスティーヴ・クロッパーをプロデューサーに迎えてメンフィスで制作された第2弾。ボブ・ディランの「今宵はきみと」やスティーヴィー・ワンダーの「アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング」、ダイアナ・ロスの歌唱で知られる「帰らぬ愛」などのカヴァーも収録。前作から続くソウル、ジャズ的なサウンドのなかにフュージョンを先取りしたかのような方向性も示している。全米19位。（1972年作品）

天才ロック・ギタリストのジェフ・ベック、元ヴァニラ・ファッジ〜カクタスのティム・ボガートとカーマイン・アピスの3人からなるパワー・トリオのデビュー・アルバム。重戦車の如き重厚なリズム・セクションであるボカート＆アピスに対峙するベックというスタイルが話題を呼び、本作も全米チャートの12位を記録した。スティーヴィー・ワンダーの「迷信」や「レディー」など怒涛のハード・ロック・チューンに圧倒される名作。（1973年作品）

1973年5月18、19日に大阪厚生年金会館で行なわれた来日公演の模様を収録した2枚組ライヴ・アルバム。ロック史上に残る最強のトリオが残した本作は当初、日本でのみ発売が許可された。スタジオ作には到底収まりきらなかった凄まじいエネルギーによって繰り広げられる壮絶なパフォーマンスは圧巻のひと言。ロック黄金時代における伝説の日本公演の模様を記録した貴重なドキュメントとして世界に誇るべき歴史的名盤。（1973年作品）

ビートルズとの仕事で知られるジョージ・マーティンをプロデューサーに迎えて制作され、初のソロ名義作品として発表されたアルバム。マハヴィシュヌ・オーケストラにインスパイアされたジャズ・ロック的なアプローチを昇華させて創りあげたギター・インストゥルメンタル・アルバムの最高峰。スティーヴィー・ワンダーが書き下ろした「悲しみの恋人達」をフィーチャー。全米チャート4位を記録し名実ともに彼の代表作となった。（1975年作品）

前作『ブロウ・バイ・ブロウ』と並び証される名盤にして、よりクロスオーヴァー・サウンドへと傾倒したアルバム。ナラダ・マイケル・ウォルデンやヤン・ハマーら腕利きのミュージシャンとのセッションで繰り拡げられるスリリングなプレイに感嘆する究極の作品。代表曲ともなった「レッド・ブーツ」や「蒼き風」などでのダイナミックなプレイから哀愁を帯びた「ラヴ・イズ・グリーン」まで高いポテンシャルに貫かれた内容。全米16位。（1976年作品）

ロックンロールのスタンダード・ナンバーとして燦然と光り輝く表題曲を収めた5作目にしてすべてのロック・ファンに捧げる名作。その過激なライヴ・パフォーマンスでファンに支持されながらも商業的な成功を収められずに解散を決意した彼ら。それを惜しんだデヴィッド・ボウイの助けによって発表された作品。英チャートの21位を記録、米でも初めてトップ100入りし一躍世界的なバンドへと飛躍を遂げたまさに起死回生のアルバム。（1972年作品）

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退した彼が、デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンの協力を得て制作した2枚目のソロ・アルバム。グラム・ロックの最重要作として、また彼の名を世に知らしめた代表作としても評価が高い名盤。シングル・カットされた「ワイルド・サイドを歩け」は米チャート16位、英でも10位を記録。アルバムも米29位／英13位に達するなど英米両国のロック・シーンに多大な影響を与えた作品。ボーナス・トラック2曲収録。（1972年作品）

通算3枚目のソロ作は、退廃の都市ベルリンを舞台に主人公と娼婦キャロラインが織り成す悲恋を描いた一大コンセプト・アルバムにして稀代の名盤。アリス・クーパーとの仕事で知られその後彼とも名作の数々をつくりあげる名匠、ボブ・エズリンがプロデュースを担当。ロック界有数のストーリーテラーとしての面目躍如たる堂々の作品。母国アメリカよりもイギリス／ヨーロッパで大きな成功を収め、英チャートの7位を記録している。（1973年作品）

“ニューヨーク・パンクの女王”が放った衝撃のデビュー・アルバムにして傑作中の傑作。プロデュースは元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルが手がけた。鋭敏な感性から生み出される詩（ポエトリー・リーディング）と刹那的なロックンロールが溶け合った奇跡の作品。いまやパンクという概念や性別をも超えたロック・アートの発信源として活躍する彼女の原点と言うだけでなく時代に風穴を開けた強烈な作品。ボーナス・トラック1曲収録。（1975年作品）

ブルース・スプリングスティーンと共作し全米13位を記録するヒットとなった「ビコーズ・ザ・ナイト」を収録したサード・アルバム。これまでライヴやレコーディングをともにしてきたパティ・スミス・グループとしての充実ぶりが反映され、クオリティの高い楽曲と一体感溢れる演奏を聴かせる。全米20位獲得して著名人からも賛美されるなどある種のポピュラリティを獲得した作品ながらその舌鋒に衰えのないヒリヒリした傑作。ボーナス・トラック1曲収録。（1978年作品）

1976年に結成されロンドン・パンクの象徴的存在となった彼らのデビュー・アルバム。その内容はいまもなお刺激的で永遠に色褪せない名盤。当時のイギリス社会が抱える矛盾に敢然と立ち向かう姿勢は新世代の旗手となる一方で、そのラジカルなアプローチが物議を醸し出した問題作でもある。その証拠にアメリカでは発売が見送られ、再構成されたアルバムが発売されたのは2年後のこと。全英12位という数字を超えた問答無用の名作。（1977年作品）

反体制のヒーローとして支持を集めた彼らの3作目は2枚組の大作。ロカビリーやR&B、スカ、レゲエといった幅広い音楽性を提示することで全英9位／全米27位を記録。商業的な成功を収めるとともにパンクを超越した存在を勝ち得ることとなった画期的な作品。エルヴィス・プレスリーのデビュー作をモチーフにしたジャケットや鬼才ガイ・スティーヴンスのプロデュースも重要なファクターであるロック・ファン必携のアルバム。（1979年作品）

旺盛な創造力とバンドとしての充実、さらに信頼し続けてくれるオーディエンスに対して少しでも多く自分たちの楽曲を提供したいという想いはアナログ3枚組全36曲という超大作のリリースへ結実した通算4作目。前作『ロンドン・コーリング』で披露した多彩な音楽性をさらに拡大させながら、ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線という政治的なテーマでそれを見事に纏め上げた傑作。このヴォリュームにして全英19位を記録した。（1980年作品）

幅広い音楽性を咀嚼した大作を続いたが一転してコンパクトに纏められた本作は原点回帰のアルバムとも言われ歓迎された通算5作目。エルサルバドルのフェラブンド・マルティ民族解放戦線に着目するポリティカルな側面もありつつ、全米チャートで8位を記録した「コンバット・ロック」の影響もあって全英2位／全米7位を獲得した後期の名作。しかし不動のラインナップとしては最後の作品となった。ミックスは名匠グリン・ジョンズ。（1982年作品）

現在も世界屈指のロック・バンドとして君臨する彼らの記念すべきデビュー・アルバム。発売当初は苦戦したものの、名曲「ドリーム・オン」がシングルの発売から3年をかけて全米チャートの6位を記録。その勢いをかった本作も21位まで駆け上がった。ボストン出身が頷ける荒削りなサウンドのなかにものちの大成功を予想させるだけの可能性に満ちた作品で、いまでは不滅のロックンロール・クラシックとなった「ママ・キン」も収録。（1973年作品）

のちに“6人目のメンバー”とまで言われたジャック・ダグラスを初めてプロデューサーに迎えて制作されたセカンド・アルバム。シングル・カットもされた「セイム・オールド・ソング・アンド・ダンス」や「支配者の女」、敬愛するヤードバーズも取り上げた「トレイン・ケプト・ア・ローリン」などステージでも重要なレパートリーとなる楽曲を収録。ふつふつと湧き上がるエネルギーが、バンドのブレイク前夜を感じさせる重要作。（1974年作品）

全米チャートの11位を記録しその後も3年に渡ってチャート・インし続けるなど通算3作目にしてついに世界的な成功を収めることとなった初期の代表作。ロックとラップを初めて融合させたと言われるファンキーな「ウォーク・ディス・ウェイ」が10位の大ヒット。のちに同曲はランDMCにカヴァーされ（86年）、第2期黄金時代を築くきっかけにもなったキャリアにおける最重要曲でもある。他にも表題曲「トイズ・イン・ジ・アティック」や「スウィート・エモーション」など代表曲が並んでおり“エアロ・サウンド”を確立した名作。2012年の新作『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション！』で再び組んだジャック・ダグラスの見事なプロデュース・ワークとシングル・ヒットにより、70年代のエアロで最も「売れた」アルバムとなった。（1975年）

エアロスミス史上最強の作品にして1970年代を代表するモンスター・アルバムでもある4作目。全米チャートの3位を獲得し「ラスト・チャイルド」「ホーム・トゥナイト」「バック・イン・ザ・サドル」の3曲のヒット・シングルも生んだ。まさにアメリカン・ハード・ロックの頂点に上り詰めた瞬間を切り取った作品であり、異様なまでに張り詰めたテンションのなか縦横無尽に暴れまくるバンドが作りあげた完全無比の傑作。2012年の新作『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション！』で再び組んだジャック・ダグラスとの相性が最高であることを決定づけ、彼らの野獣性剥き出しの初期衝動とロック・アルバムとしての質の高さを両立させた歴史的名盤。このアルバムを引っさげ1977年に遂に初来日を果たす。（1976年作品）

大都会にうごめく人間模様を美しい調べに乗せて歌い続ける“永遠のピアノ・マン”がコロンビア・レコード第1弾として発表した通算2作目。デビュー作がうまくいかず、一時はピアノの弾き語りで生計を立てていた彼の出世作にして原点と言える名作。その弾き語り時代の体験をモチーフにした表題曲は時代を超えて愛され続ける言わずと知れた名曲。全米チャートの27位を記録し、彼の輝かしいキャリアの第一歩を飾ったアルバム。（1973年作品）

都市生活者の哀愁を歌ってきた彼を一躍世界的な存在へと押し上げた通算5作目。ポール・サイモンを手がけたフィル・ラモーンをプロデューサーに迎えより洗練されたサウンドをつくりあげることに成功した。シングル・カットされて全米チャートの3位を記録した「素顔のままで」はグラミー賞の最優秀レコード賞も獲得。「ムーヴィン・アウト」「シーズ・オールウェイズ・ウーマン」などもヒットしアルバムも全米2位を記録した。（1977年作品）

通算6枚目のアルバムにして初の全米チャート1位を獲得した名盤。グラミー賞では最優秀アルバム賞と男性ポップ・ヴォーカルの2部門で栄冠を獲得。本作からも「マイ・ライフ」「ビッグ・ショット」「オネスティ」などのヒット曲を連発した。マンハッタン52丁目のA&Rスタジオでレコーディングされたことがタイトルの由来になるなどまさに大都会ニューヨークの街の息吹を描いた作品としてポピュラー史上に燦然と輝き続ける傑作。（1978年作品）

それまでのやや落ち着いたサウンドから一転しロックンロールのテイストを強調した通算7作目。シングル・カットされてキャリア初の1位を獲得した「ロックンロールが最高さ」や7位を記録した「ガラスのニューヨーク」、19位に入った「ドント・アスク・ミー・ホワイ」などこちらも充実のアルバムとなり全米チャート6週連続1位を記録。また3作連続でグラミー賞（最優秀男性ロック・ヴォーカル賞）を受賞する偉業を成し遂げた。（1980年作品）

1960年代から活動を始めていた彼の名を一躍有名にさせるきっかけとなった通算7作目。腕利きのスタジオ・ミュージシャンによって制作された洗練されたサウンドとR&Bを体現した彼の歌声でアダルト・コンテンポラリーというジャンルを世に広めたアルバムでもある。シングル「ロウダウン」は全米3位のヒットとなりグラミー賞の最優秀R&B楽曲賞も受賞。アルバムは2位を記録した。名曲「ウィアー・ロング・アローン」収録。（1976年作品）

『シルク・ディグリーズ』の大ヒットによってアダルト・コンテンポラリーを代表するアーティストとなった彼の通算8作目。前作同様、優秀なスタジオ・ミュージシャンを集めて制作されたアルバムだがファンキー＆メロウなサウンドを強調しより高い完成度を示した。前作から参加のジェフ・ポーカロと本作からのスティーヴ・ルカサーはTOTOを結成している。「ハード・タイムス」などのヒットも生んだ全米11位を記録した作品。（1977年作品）

『シルク・ディグリーズ』から本作までを彼の充実期に重ねて3部作とするなかで、その最後を飾るハイセンスなロック・アルバム。メリハリの利いたシティ・ポップとも言うべき洗練されたサウンドをの核となったのは6曲を共作したデヴィッド・フォスターの存在。全米チャート15位を記録した「ジョジョ」や同じく15位となった「ブレイクダウン・デッド・アヘッド」など珠玉の名曲を含む。アルバムとしても8位を記録した充実作。（1980年作品）

稀代のポップ・マエストロであるジェフ・リンを中心とした彼らの通算7作目。ビートルズの影響を受けた美しいメロディとコーラス、ストリングスを大胆にフィーチャーした芳醇なサウンドが魅力の作品。シングルとしてもヒットした表題曲や彼らの代表曲のひとつでもある「テレフォン・ライン」、また前身バンドのムーヴの曲をリメイクした「ドゥ・ヤ」などを収録。全英6位／全米5位を記録し初のプラチナ・ディスクにも輝いた名盤。（1976年作品）

アナログは2枚組で発表された通算8作目はELOミュージックの集大成的作品であり英米ともに4位を記録する大ヒット作となった。ジャケットのごとくまさに宇宙を駆け巡るかのようなファンタジックなアルバムで「ターン・トゥ・ストーン」「スウィート・トーキン・ウーマン」「ミスター・ブルー・スカイ」といったヒット・シングルも収録。ジェフ・リンの類稀なる才能を全編に発揮したポップ・ミュージックの最高峰のひとつ。（1977年作品）

シンセサイザー・サウンドに比重を置き、コンパクトな楽曲で構成された9作目は全英チャートで5週連続1位、全米でも5位という大ヒットを記録した。「シャイン・ラヴ」「ロンドン行き最終列車」「ドント・ブリング・ミー・ダウン」「コンフュージョン」「ホレスの日記」といった5曲のヒット・シングルも収録。ジャケットのアートワークにある幻想的なアラビアン・ナイトの世界をポップなサウンドで具現化して見せた傑作。（1979年作品）

大ヒットした『ザナドゥ』のサウンドトラックを挟んで発表された通算10作目のアルバム。バンドとしての充実期に発表された本作は、21世紀の未来社会から1980年代を回想するという“時間”をテーマにしたコンセプト作。シングル・ヒットした「ホールド・オン・タイト」や日本ではテレビドラマ「電車男」のオープニング曲として使用され話題を呼んだ「トワイライト」などを収録。全英チャート1位、全米16位を記録した。（1981年作品）

アメリカン・プログレッシヴ・ハードのパイオニアである彼らの最高傑作と謳われる通算5作目。大陸的なアメリカン・ロックのサウンドとヨーロッパのプログレッシヴ・ロックの様式美を融合させて人気を博したバンドが名実ともにピークを迎えた時期に発表され全米チャートの4位を記録した。シングル・チャートの6位を獲得し彼らの代表曲となった名バラード「すべては風の中に」を始めドラマティックなサウンドに酔いしれる名盤。ボーナス・トラック2曲収録。（1977年作品）

彼らとともに武道館の名を全世界に轟かせるきっかけとなった作品であり、わが日本が生んだ歴史的名盤。1978年4月に行なわれた初来日公演の模様を収録したライヴ・アルバムで当初は日本限定企画であったが本国アメリカに輸出されたレコードが話題となり正式発売にまで至る。最終的にそれは全米チャートの4位にまで達し、バンドのブレイクに大きく貢献した。ロックの奇跡を生んだ魔法の一夜を体現できる時代を超えた名作。（1978年作品）

トム・シュルツ率いるロック・バンドの衝撃のデビュー・アルバム。シュルツの多重録音によるハードで壮大なサウンド・スケープとポップなメロディ、美しいコーラス・ワークは瞬く間にオーディエンスの心を捉え全米チャートの3位を記録。142週もの間チャート・インするなどデビュー作にしては異例とも言える大ヒット作となった。シングルとしても発売されチャートの5位を記録した「宇宙の彼方へ」は彼らの代表曲となった。（1976年作品）

『幻想飛行』の爆発的ヒットにより、カンサスやジャーニーらとともにアメリカン・プログレッシヴ・ハードを担う存在となった彼らの2作目。シンセサイザーもコンピュータも使用していないと宣言した前作同様、音楽への妥協を許さないトム・シュルツの姿勢に感嘆させらる作品。その濃密なサウンド・プロダクションで初の全米チャート1位を獲得した。表題曲と「ア・マン・アイル・ネヴァー・ビー」という2曲のヒット・シングル収録。（1978年作品）

1973年にサンフランシスコで結成されたアメリカを代表するロック・バンドである彼らがリリースした通算6作目。情報バラエティー番組「スッキリ!!」のテーマ曲に使われている「お気に召すまま」（全米23位）、「ウォーク・ライク・ア・レディ」「グッドモーニング・ガール」といったヒット曲も収録。全米チャートの8位を記録し300万枚以上を売り上げた弩級のロック・アルバムにして1980年代の幕開けを飾った名作。（1980年作品）

ハードなサウンドとキャッチーなメロディでアメリカン・ハード・ロック・バンドの頂点を極めることになった通算7作目。初の全米ナンバーワンを獲得した本作にはマライア・キャリーがカヴァーしたり日本の映画『海猿』の主題歌にも起用されたことでも知られる「オープン・アームス」や自動車のCM曲として使用された「ドント・ストップ・ビリーヴィン」、全米4位の大ヒットとなった「クライング・ナウ」など普遍の名曲を収録。（1981年作品）

1980年代という時代を象徴するバンドとなった彼らが発表した通算8作目。全米チャートで9週連続で2位を記録し前作『エスケイプ』と並んで彼らの代表作の呼び声も高い。表題曲はもちろんアルバムの冒頭を飾り、全米シングル・チャートの8位を記録した「セパレイト・ウェイズ」や「限りなき世界」などハードなアプローチが目立つ本作はのちに続くメロディアス・ハード・ロック・バンドのお手本になったとも言われる名盤。（1983年作品）

デヴィッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ルカサーら優秀なスタジオ・ミュージシャンが結集してつくられた画期的なバンドのデビュー作。高度な演奏技術と幅広い音楽性、それをまとめる見事な構成力によって送り出された本作は、全米チャート9位を記録。シングル・カットされた「ホールド・ライン」はチャートの5位となるヒットとなった。初作にしてTOTOサウンドのすべてが凝縮されていると言っても過言ではない名盤。（1978年）

メンバー各々がアダルト・コンテンポラリー・ブームを支えた立役者でありつつも、バンドの2作目の方向性として打ち出したのはロック・バンドとしての姿だった。ギリシャ神話をテーマとした本作はテクニカルなプログレッシヴ・ロックを彷彿させる超絶の作品。ヴォーカル以外は一発録りとされており、それは彼らがいかに卓越した才能を持ったミュージシャンであるかを証明している。いまも多くのファンから支持され続ける名作。（1979年作品）

スティーヴ・ルカサーが新たなギター・ヒーローとして注目を集めた3作目。ヘヴィ・メタル・ブームに対抗するかのようにルカサーを前面に押し出したハード・ロッキンな作風は多くのギター・キッズのバイブルとなった作品。イントロから強烈な「ギフト・ウィズ・ア・ゴールデン・ガン」を皮切りに、目まぐるしい展開を見せる「イングリッシュ・アイズ」、名バラードの「ミリオン・マイルズ・アウェイ」など聴きどころ満載のアルバム。（1981年作品）

通算4作目となる本作は収録された10曲すべてがシングル（AB面）としてもカットされた完全無欠のアルバム。全米アルバム・チャートではタイトルと同じ4位を記録。最優秀アルバム賞を始めグラミー賞の6部門を独占した作品としても語り継がれる、彼らの最高傑作にしてロック史上最強の名盤。シングル・チャートで1位を獲得した「アフリカ」、同2位の「ロザーナ」、同10位の「ホールド・ユア・バック」などすべてが名曲。（1982年作品）