

ついにボックス化! ワーグナーの初期歌劇集
セバスティアン・ヴァイグレ&フランクフルト歌劇場
『妖精』はカルロ・ゴッツィの原作「へび女」からワーグナー自らが台本を作成し、1833年から34年にかけて書き上げた大作。中世の架空の国トラモントで起きた若き王子アリンダルと妖精アーダの物語。アリンダルが「禁断の質問」をしてしまったために2人に様々な苦難が降りかかるというお話で、先人であるマルシュナー、ウェーバー、メンデルスゾーンなどの影響が強く感じられますが、やはりワーグナーらしく、彼が生涯を通じて追求した「愛、禁じられた質問、救済」の原型がここにあります。また音楽的にも『ローエングリン』を思わせるメロディがあったりと、なかなか興味深い作品です。
『恋愛禁制』はワーグナーがマクデブルクで指揮者としての修業を重ねていた時代の1834年〜1836年に書かれ、その直後、彼自身によってマクデブルクで初演されています。物語は16世紀のシチリア島パレルモ。総督フリードリヒは恋愛を禁じ、違反したものは死刑に処すとし、手始めに貴族クラウディオを捉えます。それを知った彼の妹の修道女イザベッラはフリードリヒに助命を乞いますが、フリードリヒは「それなら恋愛の素晴らしさを教えてくれれば許してやろう」と彼女に言うのです。そこでイザベッラは、昔フリードリヒに捨てられたという修道女仲間のマリアーナを使ってフリードリヒを懲らしめる作戦を立てるのです。さて、物語の行く末は・・・
ワーグナー唯一のオペラ・ブッファ的な作品であり、音楽も多分にヴェルディ風ではありますが、なかなか楽しめる軽いオペラです。歌手たちも伸び伸び歌い、ヴァイグレも幾分力を緩めた楽しい音楽を奏でています。
『リエンツィ、最後の護民官』。この作品は堂々たる序曲が良く知られていますが、内容もまた豪勢なもの。最初の構想では全曲を演奏するのに5時間以上も掛かることもあって、現在では大抵短縮版(この録音も)で上演されています。後のワーグナー作品のような半音階的な音楽ではなく、どこかヴェルディをも思い起こさせる明快なメロディですが、甘い愛のデュエットや、攻撃的な金管楽器の使い方はワーグナー独自のものであり、ヴァイグレはそんな部分も存分に生かした、迫力ある世界を描き出しています。ベテランと若手をバランスよく配した歌手たちの歌唱にも大満足です。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1-3(OC940)
● ワーグナー:歌劇『妖精』全曲
妖精の王…アルフレッド・ライター(バス)
アーダ…タマラ・ウィルソン(ソプラノ)
アリンダル…ブルクハルト・フリッツ(テノール)
ツェミーナ…アーニャ・フレデリカ・ウルリッヒ(ソプラノ)
フェルツァーナ…ファニータ・ラスカーロ(ソプラノ)
ローラ…ブレンダ・リー(ソプラノ)
モラルド…マイケル・ネイジー(バス)
ドローラ…クリスティアーネ・カルク(ソプラノ)
ゲルノット…トルステン・グリュンベル(バス)、他
録音:2011年5月3,6日(ライヴ)
Disc4-6(OC942)
● ワーグナー:歌劇『恋愛禁制』全曲
シチリアの総督フリードリヒ…マイケル・ネイジー(バリトン)
貴族クラウディオ…チャールズ・ライド(テノール)
その妹イザベッラ…クリスティアーナ・リボア(メゾ・ソプラノ)
貴族ルチオ…ピーター・ブロンダー(テノール)
アンジェロ…フランツ・マイヤー(バリトン)
修道女マリアーナ…アンナ・ガブラー(ソプラノ)
ブリゲーラ…トルステン・グリュムベル(バス)
ダニエリ…シム・キーワン(バス・バリトン)、他
録音:2012年5月2,4日(ライヴ)
Disc7-9(OC941)
● ワーグナー:歌劇『リエンツィ、最後の護民官』全曲
コーラ・リエンツィ:教皇の公証人…ペーター・ブロンダー(テノール)
イレーネ:リエンツィの妹…クリスティアーネ・リボル(ソプラノ)
ステファーノ・コロンナ:コロンナ家の当主…ファルク・シュトゥルックマン(バス)
アドリアーノ:コロンナの息子…クラウディア・マーンケ(ソプラノ)
パオロ・オルシーニ:オルシーニ家の当主…ダニエル・シュムツハルト(バリトン)
教皇の特使…アルフレッド・ライター(バス)、他
録音:2013年5月17,20日(ライヴ)
フランクフルト歌劇場管弦楽団&合唱団
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
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※表示のポイント倍率は、ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。