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0 people agree with this review 2024/12/24
「周りを癒やす貴方の人生が永遠に続く春でありますように」…スーゼルの登場アリアの中のこのセリフは、このオペラ全体の精神を表すものだろう。タイトルに「友人」と冠せられているのがミソで、登場する人物は皆友達思いのナイスガイばかり。正にgood heartsのための後味の良い爽やかな作品だ。この作品はこれまで2002年にマスカーニの故郷リヴォルノで収録されたホセ・ブロス&テオドッシュウのコンビによる映像が出ていたが、それは古き良き昔日の牧歌的な雰囲気の中に、恋の純情と感激がストレートに伝わってくるもので、私はとても気にいっていた。そのリヴォルノの上演を映画のような正攻法の「静」の舞台とするなら、このフィレンツェの方は演出的意欲が前面に出た「動」の舞台と言えそうだ。エキストラの登場人物が多い上にアクションも多い。舞台装置は細かい所まで気が配られており、それをクリアな映像で確認できるのは良い点だろう。第二幕は、ファームハウスの窓外に広がる広大な農園(ワイナリーか?)や丘陵の風景が美しく、このオペラに必須の田園情緒を感じさせてくれる。二十世紀半ばのアメリカに置き換えられているとのことだが、この舞台設定はまずは成功しているように思う。ただしサロメ・ジチア演じるスーゼルのキャラクターの描かれ方には少し引っ掛かる部分もある。この作品で求められるのは、彼女がベッリーニで聴かせてくれたような高度な歌唱技術よりも、演技を含めた感情表現だろうが、この点ではどうも「動」の演出が一部裏目に出ている感がなきにしもあらずだ。幼い頃はおてんばだったらしいスーゼルも、今は恋の予感におののく年頃の娘に成長している。甘酸っぱいさくらんぼの実はそんな乙女心の象徴だろう。裕福なフリッツに対して劣等感すら抱いている、純朴で不器用、内気な女の子。そんなキャラクターであるはずのスーゼルが、所によっては、ブッファ調のドタバタした演技によって、どこか軽薄なplaygirlに見えてしまうのがどうにも残念だ。現代っ子…と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、まさか人物像まで二十世紀半ばのアメリカ女性に置き換えてしまったわけでもないだろう。特に気になるのは、第二幕、聖書のリベカのシーンにおけるオーバーアクションで、これでは「ナクソス島のアリアドネ」ではないが、セリアとブッファを同時にやっているようで、まるで「河童狸」でも見せられているような気になってしまう。ここは恋愛感情が大きく飛躍してはっきりした形を取る非常に重要なシーンなので、茶化さずシリアスにやってほしい所だった。確かにこれは幸福な物語だが、ロッシーニのドタバタ劇のブッファとは異なるので、私個人としては、すべて第三幕のような落ち着いた演出で良かったのではないかと思うのだが…。舞台に活気があって賑やかなのは結構だが、この物語は結局は、若い二人の恋愛感情の発生から希望と恐れ、焦燥、思いきった告白、そして幸福な結実までの心理的な紆余曲折の過程を描いたもので、その本線が紛れてしまっては元も子もない。リヴォルノの舞台を見ているだけに文句が多くなってしまったが、まあしかしこれはコインの表か裏か、どちらを見るかの問題だろう。「動」を演出過剰と取るか、意欲的なプロダクションと取るか…。何はともあれ、滅多に見られないこの名作の舞台をこういう形で世に出してくれたことに感謝。
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0 people agree with this review 2024/12/21
この「ロンドンのイタリア女」は、オペラ・ブッファの原型とされるペルゴレージの「奥様女中」から、ブッファの歴史がさらに一段階前へ進んだことを証明する作品のように思われる。まず「世界の旅人が集う宿」という非日常的な舞台設定自体が魅力的で、これはロッシーニの名作「新聞」や「ランスへの旅」に先んじている。さらに時代が下ると、ストーリーが錯綜しすぎて筋を追うのにストレスを感じてしまうようなブッファ作品も出てくるが、本作ではその心配は無用だ。何しろ登場人物はわずか5名で、それぞれのキャラクターは戯画化されており、明快そのもの。ストーリーは単純で、馬鹿馬鹿しい。(いい意味で) 従って音楽に集中しやすい。その音楽は、人生の隆盛期にさしかかった作曲家らしいみずみずしい輝きがあり、この作品が大成功したというのも十分にうなずける。大部分がシンプルな長調の曲で成り立っており、モーツァルトの晩年作品に見られるような深みのある陰影には乏しいため、いささか一本調子の感がなきにしもあらずだが、この能天気な典雅さこそがチマローザの持ち味なのかもしれない。ゲーテやスタンダール、ドラクロワらが愛したと言われる所以だろう。第一幕の長大なフィナーレの中で曲想が多彩に変化していく様などは、「ドン・ジョヴァンニ」を彷彿とさせて、なかなか印象的な場面である。当時としてはかなり前衛的だったのではないか? 舞台・演出は、一見手抜きかと思ってしまうほどシンプルだが、よく見るとうまく勘所を押さえていて無駄がない。計算された上でのシンプルさなのだろう。総じて見ると、正に「これぞオペラ・ブッファ」という見本そのもののような、教科書的な舞台の一つと言えるのではないだろうか?
1 people agree with this review 2023/05/14
黄昏迫り日中の暑さも和らぎ、湖が優しい暮色に包まれる頃、舞台に灯がともり、星空の下、豪華絢爛に繰り広げられる夏の一夜の夢のような祭典。輝く宝石のような極上の時間。時にステージ上に思いがけず飛来する野鳥や、湖上を渡る涼しい風に癒され、終演後は、夜空を束の間華麗に彩って消えて行く花火に、人生の美しさ、儚さを重ね合わせてため息をつく……そんなメルビッシュ音楽祭には、哀愁漂う演目がよく似合う。シュトラウスなら「こうもり」よりも「ジプシー男爵」(これはもう「ヴェネツィアの一夜」と並んでメルビッシュの「伝家の宝刀」と言ってもいいだろう)、レハールなら「メリー・ウィドウ」よりも「微笑みの国」「ロシアの皇太子」「ジュディッタ」…メルビッシュ音楽祭史上においてこれらの演目はいずれも忘れ難い感動の余韻を残してくれたが、 2019年の「微笑みの国」もまた有数の名舞台として数え上げてもいいのではあるまいか? この演目を普通に上演すると、ストーリー進行が早いため、いかにも慌ただしく、駆け足であっけなく終わってしまう感じがあるが、この上演は150分超というトータルタイムからも分かるように、メルビッシュ式に様々な肉付けがなされているため、ストーリーの性急な進行がかなり緩和されており、ゆったりと優雅に楽しむことができるのもいい。ハラルド・セラフィンの閑話コーナーはともかくとして、第一幕の終わりにワルツ「金と銀」をバックにスー・チョン殿下とリーザの華やかな結婚式のシーンが加えられているのは、なかなか説得力のある演出だと感心した。幸福を象徴するこのシーンが付加されていることで、最後の別れの抱擁がいっそう心打たれるものになるだろう。 舞台美術も美しく、殊に深みのある暗めの色調がシックで素敵だ。ダンサー陣の衣装や動きも含めて、視覚的なゴージャスさには例年にもまして圧倒される。そしてもちろん、耳に心地よい数々のナンバーを情感豊かに歌い上げる主役二人の熱演も素晴らしい。どこまでもロマンティックで、ムード満点、スケール満点の感動の舞台。2019年の夏、かの地でこの上演に立ち会えた人達を私は心底羨ましく思う。
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0 people agree with this review 2023/03/07
温厚な性格だったチレアが自身を投影したと言われるミショネ役だが、実はそのミショネこそがこのオペラの真の主役なのではないかと思えてしまうほど、アライモが冒頭から存在感を発揮していて、いい味を出している。カーテンコールの拍手がパラパラだった(ように聞こえる)公爵夫人とマウリツィオ役の歌手などはもうほとんど食われてしまっているようにさえ感じられるほどだ。個人的には、このオペラには、物語進行の方便のためのセリフが多いのと、一部言葉が錯綜して分かりづらくなりがちな欠点を抱えているように思うのだが、それだけに日本語字幕付きは殊更ありがたい。(蛇足ながら、マリア・ホセ・シーリはスカラ座の蝶々夫人の時の妙な動きは演出上のものと解釈していたが、これを見ると案外本人の癖もあるのだろうか?)
1 people agree with this review 2023/02/13
あまり知られていない作品だが、ベッリーニらしい個性は既に七分〜八分咲きくらいの印象で、清新で心地よい音楽を存分に堪能させてもらった。Salome Jiciaという歌手を初めて聴いたが、素晴らしい技巧と表現力を兼ね備えた美声のソプラノで、これだけでも十分購入した価値があった。 ウーゴ・デ・アナの演出は、コロナ禍も関係しているのだろうか、哲学的と言えば少し大袈裟だが、何やら意味深長で暗示的な舞台である。演出家本人による説明でもあれば納得できる部分もあるのだろうが、そうした特典映像もついていないし、解説書にもそこへの言及はなかったので、私の生半可な能力ではなかなか理解できない部分も多かった。自分はオペラの舞台には何よりも美感を求めるタチなので、この手の演出はどうも苦手だ。 というわけで、作品=4、歌手=4.5、演出=2で、日本語字幕付きという点も勘案すると、総合的には星4つくらいが適当か?
1 people agree with this review 2022/06/25
イタリア・オペラの夭折の天才と言えば、真っ先に思い浮かぶのが、ペルゴレージ、ベッリーニ、そしてこのカタラーニだ。(マスカーニも「カヴァレリア・ルスティカーナ」レベルの作品を書き続けていたら多分早世したのではないかと思うが。)彼らの作品には、「大家」ヴェルディの骨太な作品群には決して見当たらない儚げな透明感が感じられることでも共通している。中でも「清教徒」と「ラ・ワリー」は特にその傾向が強く感じられるように思うが、そうした類稀な名作でありながら、ワリーの映像はこれまで何故か作品の舞台であるチロルの歌劇場からのものしか出ていなかった。そのインスブルック歌劇場の盤は、特典映像の関係者らのインタビューからも伝わってくるように、ローカル・レベルながらも、熱意に溢れた意欲的な公演で、私は嫌いではなかったが、さすがにすべての面においてベストの域に達しているとは言い難かったので(字幕の出方等も含めて)、今回のこの盤の登場はこの上ない朗報だった。 作品は「夢遊病の娘」や「シャモニーのリンダ」と同系列の「アルプスの乙女」オペラで、例の有名な「さようなら、ふるさとの家よ」はかなりゆっくりめのテンポで歌われている。(その際家に火を付けるという野暮な演出はご愛敬。)これまでこのアリアだけ単独でいろいろ聴いてきた中では、クリスティーナ・ガヤルド=ドマスの歌唱が好きだったが、このアリアもやはり物語の中で合唱を伴ってこそ感動が倍増し、真価が発揮される、というものだ。さらに言えば、このアリアだけではなく、聴き所は全編に溢れている。きれいな映像に日本語字幕付き。上述の演出のような細かいことを抜きにすれば、そしてワリーという主人公がある意味「嫌な女」であるということが気にならなければ、まずは安心して気持ち良く見られるのではないかと思う。
0 people agree with this review 2022/05/10
ベルガモはコロナ禍の最初期において相当数の死者を出していたので、これはもうオペラどころではなくなるのではないかと危惧していたが、その心配を払拭してくれたのがコレ。前年の「ニシダの天使」に続いて、劇場の座席を取り払った平土間を舞台にした上演で、歌手はマスクをして出演、歌唱時のみマスクを外す。また、本来なら恋人同士抱き合うようなシーンでも「社会的距離」を取る。無観客の中、最後には関係者が一堂に会して自分たちで自分たちに拍手を贈る……などなど、この映像はコロナ禍のオペラ危機における芸術家たちの格闘の記録になっている。その敢闘精神は星五つに値するが、それはそれとして、ドニゼッティの一作品として見た場合は習作レベルの域を出ておらず、とりたてて特筆すべきほどのものはなかった、というのが正直な感想。愛の妙薬、連隊の娘、ドン・パスクワーレへと通じていく軌跡の初期の萌芽を発見する面白さはあるかもしれないが、それはよほどのコアなドニゼッティ・ファンに限られるだろう。
0 people agree with this review 2021/11/02
先日他界されたグルベローヴァさんを偲んで、彼女のキャリアを辿ったドキュメント映像を久しぶりに見直してみた。この一時間近いドキュメンタリーは、リハーサルシーンも豊富でなかなか見応えがあるが、華やかな栄光に彩られた大スターの裏側の孤独といったものが、旅から旅の日々の映像の中に図らずも浮き彫りにされていて、私にはそれが今回最も印象に残った。ついでにオペラの方にも言及しておくと…この上演は先発の「ロベルト・デヴリュー」に比べると、プリマは衰えたと言うよりは、何かモチベーションが低下しているような印象を受けた。とは言え、彼女の美質が最も発揮されるドニゼッティである。わざわざモチベーションを上げなくともルーティンのようにこなしてしまえるところが、彼女の凄さであり、ベルカントの女王たる所以なのかもしれない。また、裏返せば、「ロベルト・デヴリュー」のエリザベッタが、キャリア後期にさしかかった彼女にとってそれだけ入魂に値するやり甲斐のあるロールであったという見方もできるだろうか。息子役のテノールはジョセフ・カレヤだとばかり思い込んでいたが、別の歌手だった。しかしこの二人はよく似ていると思う。彼も含めた歌手陣は磐石だが、問題は演出だ。私には、高い評価を得ているこの演出家の良さがどうしても分からないのだが、この舞台などその最たるものだ。しかし、商品としてはドキュメント映像の付加価値も加味して星4つとさせていただいた。グルベローヴァさん、長い間お疲れ様でした、御冥福をお祈りします。
0 people agree with this review 2021/07/30
怨霊の話は、日本の舞台芸能(特に能)ではよく見かけるが、オペラでは意外に少ない気がする。一番有名なのは「ドン・ジョヴァンニ」の騎士長だろうが、怨霊はやはり男よりも女の方が怖い。この上演では、失礼ながら、これがパリの歌劇場で歌う歌手かと疑ってしまいそうなコワモテのいかつい面々が揃い、しかも終始黒尽くしの舞台で進行するので、オペラの華やかなイメージをくつがえされてしまいそうだ。しかしながらストーリーは面白いし、グノーの音楽も「ファウスト」に劣らず充実している。演出もこういうやり方以外にもいろいろな可能性がありそうなので、もっと上演されてもよさそうな作品だと思う。暑い夏の夜に涼気を求めて鑑賞するのも一興かも?
0 people agree with this review 2021/07/27
歌手や演出に関しては、正にキングインターナショナルの説明にある通りで付け加える事は何もないので、作品について。最近ようやくこの作品こそヴェルディのベストという声も聞かれるようになってきたが、それでもまだまだその真価が正当に認知されているとは言い難い状況だと思う。ほとんどのオペラ作品には多かれ少なかれ、グランドオペラに顕著なように、娯楽作品としての聴衆へのサービス(意地悪く言えば受け狙いの)が含まれているものだ。ヴェルディ作品群の中の最高峰、仮面舞踏会や運命の力はもちろん、あのドン・カルロにすらそれを指摘する事ができる。しかし、シモンにはそれが一切ない。「この世の喜びの一切はまやかしにすぎない。人の心とは尽きることのない涙の泉である」という最終幕のフィエスコのセリフに収斂されるストーリーはどこまでも真情に溢れている。そしてそのドラマを完璧に支える音楽は「椿姫」のように覚えやすい単純なものではないから、聴くほどに新しい発見がある。ヌッチはその斬新さをベルクの音楽になぞらえているほどだ。私も、もしヴェルディがこれ一作しか書かなかったとしてもオペラ史に不朽の名を残していただろうと思う。最近もザルツブルクやチューリヒから新しいDVDがリリースされたようで、それによってこの作品の魅力がさらに世に広まるのは喜ばしい事だ。ただ、私はこのパルマのヌッチの盤に加えて、ドミンゴ、ミルンズの三人の千両役者の 映像でもう十二分に満足しているので、これ以上新しいものを見たいとは思わないのだが。
0 people agree with this review 2021/07/24
最初に見た時には、ワーグナーの習作時代の作品にしてはよくできていて面白いと思ったが、二回目に見ると冗長で退屈な部分が目立った。作品を見る時のこちらのテンション次第で作品の印象そのものが変わるのはよくある事だとしても、あるいはこの作品はそういう作品なのかもしれない、と思ったりもする。つまり最初の面白さはあるが、繰り返しの鑑賞に耐えるだけの力には欠けるかな、と。それでもこの上演はホルテンの楽しい演出によって救われている部分はある。また本作はワーグナーにしては珍しく、登場人物が普通の人間であり、そして俗なる愛を賛美する喜劇でもあるので、親しみやすさはあると思う。もしかするとニーベルングの指環よりもこちらの方がいい、という人もいるかもしれない。星の数は、マイスタージンガーとの相対的な比較で辛めにした。
0 people agree with this review 2021/07/21
「夢遊病の女」の舞台映像は4つ見たが、私は総合的にはこれが一番良かった。その第一の要因は何と言ってもスイスの自然を表現した舞台の美しさだ。変なおふざけもなく、哲学的な意味合いを求めて深読みする必要もない、ただただ美しいだけの舞台。ベッリーニの極上の音楽にはそれだけで十分ではないだろうか?こういう本来なら当たり前のはずの演出が近頃少ないだけに逆に新鮮に感じた。アミーナはエヴァ・メイが一番上手いと思ったが、このグティエレスという歌手は、明るい鈴のような美声のメイとは対照的に暗めの声が印象的だ。シラグーサはメトロポリタンのフローレスと甲乙つけがたい。アライモの安定感もさすが。願わくば、こういう演出でロッシーニの「ウィリアム・テル」を見てみたいものだ。
1 people agree with this review 2021/07/13
この「サウル」は長大なオラトリオで、外面的な出来事が比較的少なく、どちらかと言えば心理劇的要素が強い。ここにオペラ的なドラマトゥルギーを期待すると多分幻滅することになる。これをオペラ的に演出するために、ともすれば殺風景になりがちなところ、様々な工夫と努力が試みられている。もしこのコスキーという演出家がこの姿勢で「ジュリオ・チェーザレ」を手掛ければ、おそらくマクヴィカーに匹敵するような素晴らしい舞台を見せてくれることだろうと思う。しかし、如何せん、オラトリオはオラトリオである。オペラ的に演出しようとするチャレンジ精神は買いたいし、成功している箇所もあると思うが、やはり全体として見ると少々無理があるように思えた。ただし、映像で見る限り、グラインドボーンの聴衆の反応は熱狂的に見えたので、一応その事だけは付け加えておきたい。
0 people agree with this review 2021/07/12
この作品は初期の「幸運な間違い」と同じ台本作者によるもので、ストーリーは同工異曲といってもいいだろう。演出には最初からあまり期待していなかったので、音楽に集中して鑑賞した。隆盛期に向かっていく時期の作品だけに、ロッシーニの音楽は生気がみなぎっていて聞き応えがある。ペレチャッコは、フローレスと共演した「マティルデ・ディ・シャブラン」が印象に残るが、ここでも素晴らしい歌唱を聴かせてくれる。もちろんペーザロの常連バルチェッローナやシラグーサの存在感も抜群で、演奏・歌唱面だけに限定すれば星五つにしてもいいくらい。
0 people agree with this review 2021/07/11
埋もれていたマイナーな演目を発信してくれるのは、オペラ・ファンとして非常にありがたいことだ。その興味に加えて私の場合は特にイタリアのローカルな公演が好きなのでこれを購入した。約一時間という長さといい、パリを舞台とした恋愛劇といい、その甘い音楽といい、何かプッチーニの三部作の中の一作を見ているような気になった。レハールの「微笑みの国」を思わせるようなところもある。まあ、肩肘張らず気楽に楽しめる内容だった。
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