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TOP > My page > Review List of フォアグラ
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2 people agree with this review 2017/07/16
「大地の歌」は交響曲か歌曲集か。近年交響曲と表記されないので、歌曲集よりに解釈されていると思うのだが、それならばまず歌手の出来が最優先されるべきだろう。ワルターのデッカ盤のようにいくらワルター/ウィーン・フィルが素晴らしくても歌手が駄目な演奏を高く評価するのはおかしい。このバーンスタイン2度目の「大地の歌」での2人の歌手は最上の一つ。若々しいコロのヤンチャな歌、ルートヴィヒの「告別」での格別の味わい、全く素晴らしい。バーンスタインの1回目でのキング、F=ディースカウをはるかに凌ぐ。かつてSQ4チャンネルで出たLPを持っていてイスラエル・フィルが随分粗く感じたのだがCDのリマスタリングで大改善、バーンスタイン入魂の唸り声とともに圧倒的な感銘を受ける。クレンペラーとともにベスト盤だと思うし、ジャケットのセンスも実にいい。
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1 people agree with this review 2017/07/01
ハイドンの作品20はあまり演奏される曲集ではないが、どれも魅力的。キアロスクーロはいつも通りノンビブラートでフレーズの中心を膨らます奏法をとっているのだが、私には古臭い印象を受けた。30年前のアーノンクールを聴いているような。イブラギモヴァはフレーズの処理に凝る割には曲自体に新鮮な風を送り込んでいるとはいえないように思える。作品20-5、6の終楽章はフーガ風な展開だが、もっと面白い音楽なんじゃないか。リズムが鈍い部分もあるのが気になった。
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1 people agree with this review 2017/06/24
ケンブリッジのチャペルに所属する合唱団としては、キングスカレッジのほうが知名度も評価も高いが、私はビクトリアもパレストリーナもこのゲスト&セントジョンズカレッジで知ったので強く愛着があり、ポツポツと集めていた。そこに思わぬボックスの登場。ゲストの録音で現在入手できるもの自体殆どなかっただけに朗報である。キングスカレッジのウィルコックスのおっとりとした指揮に比べるとゲストの指揮はシャープであり、今聴いても古さを感じない。ビクトリアのレクイエムにしても、タリス・スコラーズらの名演が出た後でも相変わらず屈指の演奏だと思うし、名曲「アベマリア」は現在現役盤がないだけに貴重でもある。ネヴィル・マリナー&ASMFの協力による演奏も多いが、ハイドンの7つのミサ曲に最上の成果がでている。トレブルによる技術的弱点は殆ど感じない。フランス物もとても良く、フォーレのレクイエムはコルボ/ベルン、フレモー/モンテカルロと並ぶ最高の演奏だと思う。聴いていて涙がぽろぽろ出てくる。録音もケネス・ウィルキンソンを中心としたデッカのベストスタッフによるもので悪かろうはずもない。最後の1枚のみASV原盤。合唱ファンには掛け値なしにお勧めする。
0 people agree with this review 2017/06/22
ヒンデミット好きとしては最近新譜が続いているのは嬉しい限り。やっとこの作曲家の面白さが理解されてきたのかな。このクラリネット協奏曲も職人的な腕の冴えを見せた作品でシニカルな中にもウィットのある佳作だ。演奏も優れている。ファノーステュイスはブリュッセル・フィルの首席だそうだが、安定した技巧と美しい音色で十全の演奏。指揮のロサレスはエル・システマから出てきた人でシモン・ボリバル・ユース響の音楽監督を務める俊英であり、ドライに演奏されがちなヒンデミットから精妙で潤いのある音楽を引き出している。ソロと木管陣が協奏交響曲的に展開する部分ではセントラル愛知響の木管が好演している。ヴァン・デル・ローストの協奏曲も肩のこらない楽しい秀作。ここでのファノーステュイスの妖精のように飛び回るクラリネットも聴きものだ。録音良好。
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2 people agree with this review 2017/06/22
シュミットといえば、第4交響曲と「七つの封印の書」が有名だが、メロディー・センスのない人だけに深刻な曲想の作品は正直かったるい。その点この第2交響曲は明るい曲調であり、メロディーが明確でなくてもはるかに聴きやすい。といってもかなり錯綜しているが。こういったロマン派終末期の爛熟した曲を振るなら、現在ビシュコフほど適任の人はいないのではないか。ティーレマンならもう少し骨ばったものになるだろうしパーヴォ・ヤルヴィならスリムになりすぎるかもしれないが、ビシュコフはウィーン・フィルの機能を最大限に活かし濃厚かつ分かりやすい演奏を実現している。ムジークフェラインでのセッション録音の割には音がもう一つなのが惜しいが、後期ロマン派ファンにはお勧めしたいし、今指揮者として絶頂期を迎えているビシュコフの録音の継続も期待したい。
2 people agree with this review 2017/05/10
教会での録音かと思うぐらい残響が長い。それ故トゥッティで響きが飽和状態になる部分もあるが、一方でホールを揺るがせるような重低音が出てくる。「典礼風」の「ディエス・イレ」での弦のばく進は恐怖さえ感じさせ鳥肌が立つし、グランカッサは部屋を揺らす。優秀録音かはわからないが、凄い録音だ。ヴェンツァーゴの表現自体は透明、明晰なもので、「3つのレ」ではこの曲のペシミスティックな表層から一旦離れ、コンチェルタントな面白さを引き出しているのも感心した。「ラグビー」の面白さも出色。「典礼風」で感じた恐怖はオネゲルの恐怖をそのまま演奏がストレートに伝えたのだろう。近年まれにみるオネゲル。
2 people agree with this review 2017/05/07
ロンバーグの代表作なのに意外に全曲盤は見かけなかった。演奏はオリジナルのミュージカル劇場での上演形態によるもので、オケも小編成。カーメン・ドラゴンやマントヴァーニのゴージャスサウンドで親しんできた人が聴くと、おや?となるだろう。でもロンドンやニューヨークで聴くミュージカルはこんな感じだ。歌手はさほど魅力的でないが、まあ健闘している。ただ、台詞の大半がないのは感心しない。ドイツ人主体のため軽妙なやりとりは難しかったのかもしれないが、アルバニーから出ている米国のライト・オペラ勢に比べて楽しさはどうしても半減する。
7 people agree with this review 2017/05/05
ジュリアス・カッチェンは20世紀最高のピアニストの一人である。デッカにはベートーヴェンのピアノ協奏曲全集がカッチェンの他にバックハウス、グルダ、アシュケナージ、ルプーがあるが、この中でカッチェンが最高と言ったら驚かれるだろうか。それは是非聴いて判断していただきたいが、前のレビュアーの方も指摘されているようにカッチェンがデッカからそれ相応の扱いをされてこなかったのもその後の評価に影響しているように思われる。ここでの収録曲を見ても、ブラームスのピアノ曲全集といういかつい大物がある一方、マントヴァーニとのガーシュインや「イスラメイ」を得意曲として嬉々として弾くカッチェンにどういうピアニストかイメージが湧きにくくなるのも事実。ベートーヴェンのソナタ収録も少ないし。なんかフィリップス時代の後輩コヴァセヴィチと重なるな。しかし、虚心に聴けば、その磨き抜かれたタッチ、抜群のテクニックとともに、ブラームスのソナタで聴けるスケールの大きな音楽構築、常に明晰でありながら深い含蓄のある表現など、その素晴らしさは容易に実感できる。レパートリの偏りはデッカもこんなに早く亡くなるとは思ってなかったのかな。それにしても、プリントミスもあるしオリジナルジャケットを使用しないとか手抜き感を拭えないのは残念だ。
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3 people agree with this review 2017/04/19
これは凄い演奏だなあ。レビュアーの皆さんの仰る通りの他では聴けない強烈個性の演奏だ。ただ、速いテンポのテクニックの冴えだけではなく、2番の第2楽章における宝石のようなタッチによる詩情溢れる味わいにも耳を傾けていただきたい。3番では女流にもかかわらず長いほうのカデンツァを弾いているのも素晴らしい。この曲はこのカデンツァじゃないと聴いた気がしないのだ(先日レビューを書いたルガンスキーは短いカデンツァで大きなマイナス)。そして何よりも表現の新しさに充ちていることに感心した。パーヴォ・ヤルヴィの指揮もブニアティシヴィリに刺激されてのフレッシュな表現があり万全以上のパートナーぶりだ。
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2 people agree with this review 2017/04/16
有名な演奏であり、もともと持っていたのだが、美しいオリジナル・ジャケットの復刻に惹かれて第1集ともども購入した。ブラームスの後年のピアノ曲集は、若いころは「随分暗い曲だな」と思い敬遠ぎみだったのだが、年を経るにつれ心に沁みるようになってきて、作品117と118のスコアを買ってきて仕事終わりの夜更けにピアノをサイレントにしてたどたどしく弾いていた時があった。優れた演奏も多いが、ケンプはその中でも最も素朴で虚飾のないものであり、なにげない演奏のようで充分味わい深く何回も聴きたくなる。今後の復刻は、この盤のようにオリジナル・ジャケットを正確に再現してほしい。オリジナルズのような斜めカットは意味不明だ。
4 people agree with this review 2017/04/05
あまり知られていないのが残念だが、これは優れた演奏である。ハイティンクは例によって謙虚な音楽作りで、金管は控えめであり、解釈としての新しさは全くないといってよい。にもかかわらず、シューベルトの美しさ、そしてときに痛切な音楽は確実に伝わってくる。ハイティンクの誠実さがプラスに働いている。それに加えてオーケストラが大変美しい。弦はもちろん、木管、ホルンの味わい深いこと。コンセルトヘボウは今も超一流のオケだが、シャイー、ヤンソンスでこれほどコクのある響きを聴けたことはない。オリジナル・ジャケットを復活も嬉しいが、そこに興味のない人にも一聴をお薦めしたい。
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10 people agree with this review 2017/03/23
プレヴィンの愛聴盤は、メンデルスゾーン「夏の夜の夢」全曲、ブリテン「春の交響曲」、アシュケナージとのプロコフィエフ、ラフマニノフの協奏曲、それにこのラフマニノフ交響曲全集。いずれも70年代、LSO時代のものだ。この時期のプレヴィンは実に冴えていた。このラフマニノフでも大衆的なセンチメンタリズム、ロシア的な濃厚なロマンティシズムと洗練された現代感覚のバランスが絶妙であり、推進力のある軽めのリズムも新鮮だった。ロイヤル・フィル、ウィーン・フィルを振るころからこのリズム感が薄れてしまいプレヴィンの魅力は大きく後退した。この中では2番の演奏が有名だが、70年代ならともかく今は優れた演奏が沢山ある。むしろ1番、3番、シンフォニック・ダンス、鐘がいまもベスト演奏の一つだと思う。ルガンスキーの録音では、協奏曲でのオラモ/CBSOがプレヴィンと比べるといかにも浅い。ルガンスキーのピアノも聴きどころでなぜかあっさり引いてしまうところがあり、欲求不満が残る。ルガンスキーではエラート時代の前奏曲集、楽興の時が名演。協奏曲を求めるなら他をお勧めしたいが、オリジナル・ジャケットが復刻されてこの価格ならプレヴィンの演奏を聴くだけでも大推薦だ。
10 people agree with this review
3 people agree with this review 2017/03/15
現代音楽の守護神であったロスバウトは、HMVの紹介にもあるようにぶっきらぼう、激辛指揮者というイメージだ。しかし私の印象はやや違って、とびきりの職人指揮者というもの、近年ではスクロヴァチェフスキに近い。このブルックナーも知的で明晰な演奏であり、ハース版に基づく原典版を使用し、厳格な中にも歌うべきところは十分歌い、オケのバランスもほぼ完ぺきである。ドイツの放送オケは、70年代まではミュンヘンを除きさほど上手くはなかった。50年代にこれだけのレベルの演奏をしている点でロスバウトの実力は明らかであり、少し前予想以上の好演に驚きレビューを書いたマズアと比べても、断然ロスバウトが上だ。演奏はどれもよいが、音質良好な3番、8番が特に感銘が深い。次いで7番。一番古い5番は音質の厳しいところがあるし、2番は他局の混信があるのが残念(エアチェック音源なのだろう)。音質を考慮して星4つとするが、ロスバウトに興味がある人にはお勧めできる。
2 people agree with this review 2017/03/09
ブルックナーはハース版による演奏。意外といっては失礼かもしれないが、名演だ。第1楽章から音楽は早めのテンポで颯爽と進むが、テンポの揺らしもなく真っ当なブルックナー。終楽章は逆に遅めのテンポをとり、複雑になった曲構成を丁寧に描き出す。ロサンゼルス・フィルも大健闘。特にホルン。終楽章最後でホルンのテーマ咆哮に対しオケのリズムが混濁せずに聴こえるのもいい。これが案外ないのだ。LP発売当時どう評価されたか全く知らないが、アメリカ・オケのブルックナーが高く評価されたためしがないから予想はつく。掘り出し物の一品。
6 people agree with this review 2017/02/27
チョイスに疑問あり。ロニー・アルドリッチはたしかにフェイズ4の看板ではあったが、LP11枚分は多すぎ。基本アレンジは変わらない人だったし。一方でスタンリー・ブラックの「フィルム・スペクタキュラー」がVOL2だけとは。「ウエストサイドストーリー」や「サウンドオブミュージック」は素晴らしい出来だったと記憶しているが、今入手困難なだけに入れて欲しかった。また、もう一人の看板、ウェルナー・ミューラーがドイツ・デッカ音源がワーナーに移ったために収録なしになってしまったが、なんとかならなかったのか。まあ、それでもフェイズ4の良さは第1集のクラシックではなくイージーリスニングにあるのは間違いなく、これだけまとめて出て、データもわかる限り載っているのは嬉しい。
6 people agree with this review
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