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Review List of Abbadian 

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  • 1 people agree with this review
     2012/04/19

    最近,注目すべき演奏が相次いで発売されている「復活」だが,これはその中でも最高のものといっていいのではないか。(ユロフスキ盤も,指揮者の強烈なカリスマ性と凄いオケのドライブ能力が忘れ難い印象を残すが。)個人的には,ハイティンクのライヴ音源の中でも,BRSOとのブルックナー/第5と並ぶ最高峰と評価したい。近年のハイティンクは,精緻な彫琢と古典的品格を柱としつつ,必要とあらば意外な程高揚した,正に「巨匠」に相応しい演奏を聞かせてくれているが,この演奏は20年近く前のものであるだけに,若々しさと音楽の成熟とが絶妙にブレンドされていて,バスを基本とした正にドイツ的などっしりとした音楽造りでありながら,そこここに聴かれる踏み込んだ表現が,強い音楽的感興を呼ぶ。第1楽章冒頭(低弦)こそやや慎重な足取りで始まるが,直ぐに音楽が熱を帯びてきて,「これは凄い演奏だ」と実感させられることになる。ゼンパーオパーでのライヴ,しかもバンダ・ソロ・合唱を伴う作品の演奏でありながら,マスの力で押すのではなく,細部まで磨き抜かれた音楽が,この曲のライヴ録音としては最高水準と思われる録音と相俟って,かけがえのない記録となっている。そして私が強く感じたのは,この時期のSKDの音楽性・合奏能力が如何に素晴らしいものだったかということだ。シノーポリのファンの方には叱られそうだが,私見ではこの後のSKDは,シノーポリによって不似合いなラテン気質が植え付けられ,アンサンブルは緩く,個々の奏者のレベルは低下し,深みに欠ける音・不要な力みが感じられる演奏が多くなったように思う。この録音では,そうなる前のSKDの,高貴な音楽性・柔らかいサウンド・緻密な合奏(ライヴ故の瑕はあるものの),ドイツ的な芯の強さ,明瞭な弱音と絶叫とは無縁の迫力ある最強音・・といった様々な美質が聴き取れ,嬉しい限りである。個々のパートについて言えば,特にホルンを筆頭としたブラスのブレンドされたサウンドとテクニックは圧倒的である。ティンパニも音楽的で意味深く,立派の一言。厚くしっかりとオケを支え,重要な部分では十分な主張をするコントラバスも凄みがある。声楽陣では,J.V.ネスのアルトが,ヴィブラートを抑制した内面的歌唱で素晴らしいが,惜しむらくは,合唱(特に高声部)の輝きが不足することである。終結部に至る息の長いクレッシェンドは,歌劇場の合唱団らしく,もっと張りのある歌唱で盛り上げてほしかった。また,「銀盤の狼」さんの仰るとおり,これがSACD(サラウンド)で聴けたら,更に感動は深まったかもしれない。とはいえこれらは,全体としてこの素晴らしい演奏の評価を下げるようなものではなく,声を大にして多くの方に一聴をお勧めしたい。

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  • 8 people agree with this review
     2012/03/25

     一皮むけたヴァンスカの,温かくしかも緻密で豊かな,従来のシベリウス演奏とは一味違う名演である。ミネソタに移ってからのヴァンスカの仕事には,正直個人的にはあまり納得できないものが多かった。何となく中途半端なベートーヴェン,世評は高いが,ハフの鮮烈なピアノの足を引っ張った感もある,ピンボケ気味のチャイコフスキーのバックなどがその典型だが,オケとの一体感が格段に高まったこのシベリウスは,そのような不満を一気に吹き飛ばしてくれる見事な演奏だ。言わばクール志向で押し通したラハティとの旧盤と比較して,オケの力もあってか,表現・サウンドのグラデーションがぐっと多彩になり,クールさより暖かさが感じられる。特に第2の第2楽章は,旧盤では感じられなかった豊かな人間的感情が表現されていて素晴らしい。また2曲とも,細部まで表現が詰められていながら,決して息苦しさや堅苦しさがみられないのが良い。次作以降も本当に楽しみだ。
      なお,シベリウスをヴァイオリン両翼配置で聴いたのは初めてだったが,随所に新しい発見があり,非常に楽しめた。個人的には,チャイコフスキーやドヴォルジャークのような,オーケストレーションが巧みなスラヴ系の作曲家の作品は,ヴァイオリン両翼配置によって弦と管がよくブレンドされるのみならず,音場の広がり・奥行きともぐっと豊かになると思っているが,シベリウスでもまた然りであった。更に,円熟期以前の第2にあっても,既にオーケストレーションの面で十分に個性的であり,特に第2ヴァイオリンを雄弁に語らせることで魅力的なサウンドが創られていることが分かり,驚きでさえあった。また,弦の動きが若干モヤモヤしがちな第5でも,内声部がきちんと分離することで不透明感が払拭されている。第2,第5といった聴き映えのする作品でも,スケール感を押し出すのではなく,音楽性を重視したBISの録音ポリシーも称賛されるべきであろう。 音楽性,テクニック,サウンド全ての面で,最近最も感動したシベリウス録音である。

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     2012/03/21

     残念ながら,私の好みには合わない演奏だった。やや解像度の低い録音のせいもあるかもしれないが,細部までじっくり表現を煮詰めた感じの演奏ではなく,何となく流れてしまっている部分と,過剰に拘った部分(フィンランディアがその典型!)とが混在し,結局,指揮者がシベリウスをどう表現したいのかが伝わってこない。シベリウスの音楽に共感しているというより,外側から演奏を作っている印象が否めなかった。オケのサウンドも拡散気味(これも録音のせいかもしれないが)で,シベリウスに相応しいとは思えず,楽しめなかった。(なお余談だが,ヴァンスカ/ミネソタによるシベリウスの第2・第5の再録音は,一見地味ながら「お国もの」などというレベルを超え,旧録音を遥かに凌ぐ,深くて緻密で暖かい,真に素晴らしい演奏であった。)

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  • 3 people agree with this review
     2011/12/14

     これには参った。どのような調律法が使われているかなどの問題以前に,このピアニストはバッハを弾くための基本的テクニックを身に着けていないことが第1番のフーガから露になってしまう。特に,多くのピアニストが苦労して鍛えているはずの「3,4,5指」の独立性・運動性・均質なタッチが確保されていない(これはプロのピアニストとしては基本のテニクニックである)ため,フーガの各声部の弾き分けができていない,否,場合によっては弾けてさえいない。「3,4,5指」が絡む部分になると,殆ど,所謂指が「転んで」しまう有様で,音が団子になったり,急に音量・音色が変わってしまったり(「運指が良く分かる」ともいえるが)・・・・。更にペダルを少なめにしようとしているのはいいが,シフのような熟達のテクニックがないため,何ともブツ切れの,変に一部を強調したような不自然なフレージングになり,声部の絡み合いが全く楽しめない。ピアノを自ら弾かない人はどうか分からないが,ある水準以上までピアノ演奏に取り組んできた者にとっては,全曲聴き通すのはとても辛い盤である。

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  • 2 people agree with this review
     2011/12/08

     非常に高いレベルの演奏であることは間違いない。しかし・・・同じLSOとのライヴ録音としては,ブルックナーと同一線上で比較することはできないながら,充実の極みとも言えるベートーヴェンを採りたいし,ブルックナーなら,正に至高の名演であったBRSOとの5番に一歩を譲るという印象が免れない。最近のハイティンクにしては踏み込みが感じられず,何か無難に美しくまとめすぎたのではないだろうか。確かに低域が少し薄いし,あまりに滑らかに整理されたサウンドに,LSOの言わば「中性性」のマイナス面が出てしまった印象である。できることならBRSOとの演奏で聴きたかった。

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  • 13 people agree with this review
     2011/11/28

     この演奏自体は名演。極めて明晰で,寧ろいわゆる伝統的な「ロシア的」演奏からは遠いところにあり,新鮮でさえある。この曲集を敬遠していた向き(私もそうであった)にこそ是非聴いていただきたい。しかし,一言申し上げたいのはH氏のコメントについて。インターネットでは,確かに「小難しい」議論や「難しいものを如何にも難しそうにする」意見は敬遠されるだろうが,高度な見識や理路整然とした知的な議論が敬遠されるわけではない。前者が困りモノなのである。特にこのレビューは,購入者のための参考となるべきものであるから,分かりやすく,簡潔かつ趣旨の明瞭な文章や表現でお願いしたいものである。「分かりやすい」(安易や軽薄とは決して同義ではない)コメントを書くことは当然難しいが,せめて「難しい(かどうか分からない)議論を実態以上に難しく感じさせる」コメントや高踏的な議論,商品コメントを逸脱した(と感じられる),知識を披瀝するかのようなコメントは避けていただきたい。

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  • 4 people agree with this review
     2011/04/30

     こんなことは書きたくないのだが・・・・この演奏の本質的な凄さは,フィルハーモニーで生を聴いた者以外には分からないかもしれない。何と言ってもDGの録音が,この演奏の具現している異様なまでの真実・迫力を十分伝えてはいないからだ。特に,ホール全体を満たした充実し切った音楽とその空気感―例えば,冒頭のCbの,人間の存在を押し潰すかのような強烈な弓圧,アルマの主題を奏する,徳永氏率いるVnパートの溢れるような歌(これらは皆,ラトルによってBPOから完全に失われた),椅子から転げ落ちそうになった,Hrnの強烈としか言いようのない吹奏,また第3楽章(第2,第3楽章の順序については意見もあろうが)の,正に室内楽的な透明かつ遠近感の見事な演奏,そして最後にやってくるカタストロフィー―これらが皆,一回りも二回りも小さくなり,ホールが震えるような音圧を伴って聞えてこないことが残念である。しかし,音場の再現力に優れた装置で聴けば,かなりの部分それは補えると思われる。少なくとも私の,最高級とは言えない装置でも,あの日のフィルハーモニーの空気を思い出すことはできた。この音盤に記録されている情報だけでは分かり辛いが,バーンスタインやテンシュテットとは異なった方法でアプローチされた,虚仮脅しでない,間違いなく最高度に音楽的な「悲劇的」である。

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  • 9 people agree with this review
     2011/04/10

     S.ハフのピアニズムは,ロルティエなどとは比較にならない高みにあることは,過去の彼の多くの録音やライヴで明らか。真のヴィルトゥオーゾとは彼のためにある賛辞であるようにも思われる。(ちなみに,ピアノを長年弾き,多くのピアニストの演奏を聴いてきた小生にとっては,ロルティエは「弾けない」ピアニストの一人に過ぎない。)このアルバムは,その彼としても未踏の沃野を開拓してくれるのではないか,との絶大な期待を抱かせるに十分な内容である。しかし,またもH氏の高踏的・高尚なレビューが付されていて,購入を躊躇してしまう。そして,必ずいる,グループと思われる4人程度の同調者・・・。強くお願いしたい。購入者を戸惑わせるような,購入を検討する際却って邪魔になる,小生のような浅学者に理解困難なレビューはやめてほしい。そのような感想は,自らのブログなどで思う存分やってもらえばいい。そのため,★一つ減点とする。

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  • 6 people agree with this review
     2011/02/27

     高評価の方が多いが,ヤング女史は,ブルックナーとブラームスの音楽の特質・様式感等の違いを全く理解していないか,その違いを過剰に意識したのではないか。とにかく,違和感のあるブラームスだ。アタックが常に「ふわっ」としていることで,アンサンブルやフレージングがもやもやし,またピラミッド型のサウンドではなく,中低域全体が膨らんで締りがなくなっている結果,「壮大」ではなく,芯がない肥満気味の音楽になってしまった。オケに戸惑いのようなものも感じられ,しばしば縦の線がずれることも気になる。彼女のブルックナーでは,こんな違和感はなかった。残念である。

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  • 9 people agree with this review
     2010/11/28

     素晴らしいの一言。ハイティンクの長い音楽家人生が,今円熟の極値を迎えつつあることが痛感させられる感動的な演奏である。ここにはブルックナーの音楽に必要な全てがあり,如何なる過剰もない。BRSOも,ブルックナーの音楽への確信を持ってリードするマエストロに全面的な信頼を寄せていることがよく分かり,(ファンの方には申し訳ないが)ヤンソンス指揮の時とは比較にならない,ブルックナーに相応しい充実したサウンドを創造している。それにしても最近のハイティンクのライウ録音には本当に外れがない。LSOとのベートーヴェン全集(凄い!)やR.シュトラウス,フランス国立Oとのマーラー,そして今回のBRSOとのブルックナーと,いずれも最大限の賞賛を与えられるべき見事な出来栄えである。以前はハイティンクを軽視していた自らの耳を恥じつつ,今後の彼の録音は全て傾聴するつもりである。BRSOも,ハイティンクとの録音をもっともっと行ってほしい。

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  • 2 people agree with this review
     2010/11/27

     これは素晴らしい!どの曲もきわめてレベルの高い演奏だが,特筆すべきはブラームスの「第1」だ。バレンボイムは多忙すぎて,時として密度の低い演奏をすることがあるが,この「ブラ1」は・・・・あのラトルとの抑圧され飼い慣らされきったBPOによる,一見重厚・実は生命力欠如の軽薄かつ退屈な演奏とは比較にならない,マグマのような熱い音楽が奔流のように溢れ出る,正にこの曲に相応しい名演だ。物珍しいことは一切していないが,BPOの各団員がこんなに全力で弾き,吹いているのを久し振りに画面で見,まだまだいい指揮者の下では凄い演奏をするオケだということが確認できてほっとした。樫本の初々しいコンマスぶりも好感が持てる。バレンボイムこそ現在BPOのシェフとして最も相応しい指揮者の一人だと思う。なお,ワイラースタインの弾くエルガーも,あのヂュ・プレの演奏とは味わいは異なるが,若々しくしなやかで,しみじみとした情感にも欠けていない,見事な演奏だ。これは「アンチ・ラトル」派必見・必聴の1枚だ。

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  • 10 people agree with this review
     2010/10/16

     このような歴史的名演は,一部の輸入盤のようなセンスのいい「持つ喜び」を感じさせるジャケットを使って,セットにして発売してほしいものである。

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  • 5 people agree with this review
     2010/05/04

     皆さん,あまりの高評価の連続で,ちょっと引いてしまうが,私にはこの演奏は非常に違和感が強かった。全体に演奏が乱暴である。また,BDSOの演奏レベルが,残念ながらBPO,MPOと比較すると大きく見劣りする。ヴァントの演奏は,音楽の各パートを緻密に積み上げつつ,その中でオケの積極的音楽性を活かして,構築性と柔軟性を両立させているという演奏だと思うが,この演奏は,ヴァントがオケを十分掌握せず,ブラスや打楽器が勝手に突出している演奏が耳につく。音色もヴァントの演奏とは思えないほど,融合せず生のままである。ヴァントはこのような演奏を望んだのだろうか?特にブル/5は,オケの能力不足が甚だしく,BPOとの演奏を凌駕する部分は見つけられない。

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  • 14 people agree with this review
     2010/04/06

     いつもこの方々は難しいことを書かれますね。そもそもSさんの仰る「中心和音」って何でしょうか?私も少々音楽を勉強しましたが,「中心和音」なる用語は浅学にして知りませんでした。この言葉の意味が分からないので,この演奏の評価の意味が良く分かりません。また,極端なダイナミズム記号は別にドビュッシーに限ったことではありませんし,主題の「連続変形」なる用語もどの曲のどの部分を指しておられるのか不明で,この演奏の特性とどのように関連付けられるのか分かりません。私の頭が悪いのでしょうか・・・?また,Hさんの「練習曲集は「こんな曲だったけ?」というほどハーモニー構成が違う」とのレビューですが,それは例えば,和音の各構成音の音量・音質のバランスが非常に特殊だという意味でしょうか・・・?でも,そんな演奏は「変」ではないかと・・・。更に,「20世紀の名演群の凄さと問題点」と仰るのですが,そもそも「前奏曲」におけるギーゼキングとミケランジェリという,凡そ性格的に異なる2つの演奏をいっしょくたにされて「凄さと問題点」と言われているのであれば,どう理解すればいいのか分かりません・・・・。もう少し凡人が読んでも分かるようなレビューをお願いします。現時点では,この演奏を購入するのにはリスクがあるように思われてしまいます。

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  • 1 people agree with this review
     2010/01/24

     サロネンの指揮者としての能力がいきなり全開となった,画期的名演である。村井様のご指摘どおり,サロネンの目指す方向性にしっかり沿ったソリストは勿論素晴らしいが,サロネンの巨大編成オケ・合唱の統率力の見事さは,アバド盤と双璧であろう。特にここで私が指摘したいのは,最近力任せのラフな演奏を聞かせることの多かったPO―インバルとの来日公演のマーラーなど,インバルの無統制もあって,「ドンガラガッシャン」という感じの,ブラスや打楽器が勝手に暴れまわり,弦は粗いアンサンブルに終始するといった,とんでもない代物であった―を,短期間でここまで緻密で音楽的なオケに変身させるとは,驚嘆すべき音楽性とトレーニング能力である。また合唱も,ラトルとの「第9」や「千人」で,思わず失笑するような子供っぽい演奏をしていたCBSO合唱団(他)に,豊かで音楽的な歌唱をさせていたことも特筆したい。そして音楽全体を,LAPOとの来日公演で聞かせたように,緻密でありながら壮麗で熱く描き尽くした感があることが本当に見事である。今後のこのコンビの成功は約束されたと言っていいだろう。

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