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Review List of uuri 

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  • 7 people agree with this review
     2015/11/25

    まさに「時至れり!」といってよいすばらしく熟し、かつみずみずしい演奏が登場しました。

    ベートーヴェンの後期ソナタの演奏のなかでも、スケールの大きさと余分な力の抜けた自然さでは、これ以上ないほど。

    そして、田部京子のこれまでのシューベルト、シベリウス、ドビュッシーなどの演奏のなかにあった音を言葉に変えてしまう卓越した感性が、全編にわたって適材適所にちりばめられた演奏でもあります。

    まるで、これまでの田部京子のすばらしい録音を回想しながら聞いているかのよう。30番のソナタの冒頭の秘めやかな開始は、シューベルトのピアノソナタD.664の息をのむ開始のすばらしさを思い出させ、第2楽章のリズミカルな運びは、ドビュッシーの「雨の庭」の地に足の着いているにもかかわらず軽やかなリズム運びを想起させ、第3楽章の人間臭さを乗り越えた境地で初めて得られるような清澄な響きからは、シベリウスの樹の組曲の香りがよみがえります。

    ベートーヴェンという古典派からロマン派への道を切り開いた巨匠の晩年の境地のなかに、古典から現代にいたるまでの数多くの要素が内包されている驚きと同じように、田部京子の後期ソナタ集には、田部京子の、そして音楽の持つ表現の世界の広さ、深さ、音を言葉に変える力が随所にしかも正確な位置に無限にちりばめられています。

    音楽は全編にわたり、謙虚かつ挑戦的で、聴く者の心と時間をしっかりとらえて離すことがありません。素晴らしい名演だと思います。

    なお、コマーシャル通り、録音も秀逸。開放型ヘッドホンでていねいに聴くと、ピアノのハンマーや弦、筐体がまさに目の前に広がるかのようです。硬い音、柔らかい音、近い音、遠い音、大きい音、ささやく音・・・あまたあるピアノの録音の中でも、傑出した一枚ではないかと思いました。 

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  • 4 people agree with this review
     2015/01/10

    樹齢百年の木の幹から、樹液がにじみ出るような渋くて決してすべらない摩擦力の強いこの演奏に触れ、このコンビの第1番があれば・・・とふと思ってしまいました。

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  • 8 people agree with this review
     2015/01/10

    ベートーヴェンの英雄の第一楽章を聴いて、その音楽の優しさ、潤いに感動。端正でオーソドックスなようでスケールが大きく大胆、心意気がオケの楽員みんなのすみずみまで行きわたっているのが手に取るようにわかります。

    小品からシンフォニーまで、丹精込めて紡ぎだされていることがわかる20枚でした。

    ケンペ独特の語りかけるようなフレージング、アーティキュレーションは、時として「あれっ?」と思うものの、それが人間味なのでしょう。

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  • 4 people agree with this review
     2015/01/10

    ビーチャムの音楽は、どれも勢いと潤い、お洒落さがあって、聴いていて音楽の歓びをダイレクトに受け取ることができます。

    録音は、時代を経てやや曇りがあるものが多いのですが、トータルな響きが美しく、残響も豊かで、臨場感や自然さがあり、全体としては大変聴きやすいものです。  

    こんなうちとけた音楽をいつも聴かせてくれる演奏家は、今いるのかなぁ・・・とふと思ってしまいました。  

    ビーチャムがPROの後任に人間味にあふれたルドルフ・ケンペを指名したのもわかる気がします。

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  • 13 people agree with this review
     2015/01/10

    3/4以上すでに既発売盤を所有していたので、かなり躊躇しましたが、音質改善を期待して購入。

    結果は、非常によくなったものも、あまり変わっていないものもありましたが、これまで最も音質が悪くレンジが狭かった平面的な音質の1960年代末〜70年代前半の録音の多くが、すっきり曇りがとれて、分離と響きがよくなっていました。これは、本当にうれしかった!!

    もともと音質が良かった奥行があって自然な残響の旧ホールでの60年頃の初期盤の音質は、大きくは変わっていませんでした。

    ただ、これまでよく聞いていた「常任指揮者を務めていた10年間で、オーケストラトレーニングにはあまり力を入れず、1960年代末にはすっかりNYPが荒くなった」という話が、今回のリマスタリングで必ずしもそうではなかったことがわかり、マスタリングというものは本当に大きな要素だなぁと痛感。

    凡庸だったと思っていたアイーダ行進曲、ペールギュント、アルルの女、オペラ序曲集などが、奥行きとパンチある色彩感に満ちた演奏だったんだとわかり、バーンスタイン、NYPのすばらしさを再認識しました。それだけでも値打ちのある買い物でした。

    交響曲ボックスはあまり音質改善がなかったとのレビューが多かったので、購入していませんが、永く語り継がれ愛聴される後世に残る遺産とするためにも、リマスタリングには、細心の注意を払ってほしいものです。

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  • 9 people agree with this review
     2013/01/08

    何とも興味深い全集だ。ここのあるのは完成された音楽ではなく、まさに現在進行形で熱中しながら音楽を創りあげていくそのドキュメンタリー。安定感や精密さ、スタイリッシュさを求めるとあちこちで痛い思いをするが、そんなことよりもどの曲のどのフレーズをとってもまさに生身の音楽家が今出た音をモニターし、次の瞬間にどんな音楽を紡いでいったらよいか、全身全霊で音楽づくりに没頭している。この点が、このセットならではのすばらしさある。

    まさに、「ライブ」な全集に出会えた。ただ、別の機会に同じコンビが演奏したら、その都度違った演奏が生み出されるような気がする。それゆえ「標本」「見本」のような演奏を求めるのであれば、他にもっとふさわしい全集があると思う。しかし、この現在進行形的なライブ感に大変感銘を受けた。

    「熱中時代」という言葉が似合うヤンソンスらしい全集である。

    なお、ヤンソンス独特の急なクレッシェンド、ディクレッシェンド、アクセントなどが素人っぽいという評論家がいるが、自分にはライブな良さとして聞こえる。

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  • 5 people agree with this review
     2013/01/08

    実に久しぶりに一枚一枚ジャケットに見入りながら楽しめ、感慨に浸れるセットに出会った。

    音楽を聴くとその音楽に出会ったころの感情がまるで今体験しているかのように心の中に沸いてくるものだが、このセットからは、音楽だけでなく、ジャケットからもそんな懐かしい思い出が一気によみがえった。

    「巨人」の貼り絵のコラージュのようなジャケット、35年前に米CBS輸入盤LPのきめの粗いボール紙のジャケット、紙製のスリーブに入った決して良好とはいえない盤質のLPの香り(?)までも思い出した。
    そう、針を下ろしたときに聞こえてきたのは、盤質同様演奏もやや荒っぽいものだったが、むせ返るような香り立つ「またとはない青春の歌」だった・・・

    ○楽天的で開放的な第一楽章。主旋律を聞いたとたん、眉間のしわも肩の凝りも吹っ飛んで体全体がリラックスし自然体に・・・。

    ○いきなり引っ掛かりのある三拍子で始まる第二楽章、思わずいたずらっぽい笑みがもれ、一緒に引っ掛かりながら揺れたっけ・・・(それにしてもこんな筋金入りののこぎりのようなコントラバスやチェロ、当時のバーンスタインとNYPのトレードマークだったなぁ)。

    ○冒頭から、あらら?ちょっとオンチなティンパニとチェロが怪しげに歌い始める第3楽章、何だこの不安感・・・。中間部のとりとめのない足取りも何ともステキ。イマドキはこんな演奏はありえない、出会えない。

    ○そして、何度も大見得を切りながら、決して疲弊、退屈しないまさに青春のエネルギー全開、屈託ない自信満々の第4楽章。このジェットコースター、何回頂点があるの???

    ・・・気がつけば、30年以上前の印象とほぼピタリと一致。これは、きっとこの音楽によって自分の気持ちも一気にタイムスリップして若返ったんだろう。ありがたや。

    晩年のバーンスタインも大好きだが、壮年期のバーンスタイン、これまたやっぱりステキだったんだ。


    巨人1枚でこんなにすばらしい体験をさせてくれたこのセット。実はLPや国内盤CDで同演奏はほとんど持ち合わせているけれども、1枚1枚取り出すごとに初めてLPを手にしたときの光景や気持ち、シチュエーションまでもが鮮明によみがえってくると思う。

    こんなすばらしい企画をしてくれたSONYクラシカルに感謝!

    ・・・コレクションとはこんな超個人的な大切な思い出の濃縮パックなんだろうと思う。そして、こういった企画がネット配信に負けないディスクのコレクションという文化を将来に確実につなぎとめてくれるものだと感じている。

    これからもこういったコレクター冥利に尽きる企画を続けて欲しいものだ。

    バーンスタインのCDはすでに300枚くらい所有しているが、こういった初めて聞いたときの新鮮な感動や情景をいっしょに連れてきてくれる企画が登場すれば、きっとまた手に入れてしまうに違いない。

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