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TOP > My page > Review List of たんかし
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0 people agree with this review 2025/01/28
ベートーヴェンのソナタと言い、このバッハの無伴奏と言い、初見は驚くほどあっさりで希薄さを感じる聴者もいると思う。ただ、この無伴奏は単にバッハ時代の演奏の再現を試みるという意図に留まらない。カヴァコスの演奏は聴者を導いてはくれない。聴者自ら考え、彼の意図に辿り着かねばならない。その最たるものがこれだと感じる。極限まで弱められた弓圧で掠れる弱音。彼にしかできないであろう独特の弓使いで奏でられるバグパイプのような音色。これらを味わい、また反芻することで得られる極地とは、どれほど素晴らしいのか。聞きがいのある演奏に感謝したい。 録音に関してだが、音場の残響はかなり良い。しかし、良すぎてやや酔うかもしれない。録音自体の質は申し分なし。
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0 people agree with this review 2025/01/27
マティルデ夫人に入れ上げていた頃の作品は独特の曲想を湛えた官能的なものとして有名。ワーグナーにはオーケストラを使わずともその様な作品を書ける才能があるということを改めて感じることができた。ヴィルトーゾ的要素が苦手なワーグナーにとってはその曲想とオーケストレーションが最大の武器。であるが故これはある意味素手のワーグナー。 一方、作曲家として、よちよち歩きだった頃の作品は正直才能のある子供なら書けるレベルかも知れない。シューマンの19歳前後の作品とワーグナーの同時期の作品を比べれば大人と子供。しかし、この頃から人を喜ばせる、いや喜ばせ、【させる】精神を感じる。その沸る炎があの歌劇、楽劇群に反映されたにだろう。なぜかウキウキさせられる。 演奏、録音もそれらに華を添える素晴らしいもの。
0 people agree with this review 2025/01/15
ヴェーゼンドンク歌曲集の録音は多くあるが、これはワーグナーがオペラを書き始める前の歌曲を収録している点で非常に貴重なもの。しかし、肝心の歌手のピッチがおかしい。明らかに狂っている。ペトラ・ラング、レベルならまだしも度を超えている。聞いているうちに、こちらの顔が斜めになって来そうだ。 ワーグナーのこの頃の作品は習作以前の問題と断じてしまう人がいるかもしれないが、意外にうっとりしてしまうメロディラインもあり中々楽しめる。だが、歌手の音痴具合がそれを台無しにしてしまった。何とも悔やまれるCDだ。
0 people agree with this review 2021/03/12
モーツァルトを聴いて明るく朗らかな気持ちになれなかった初めての演奏です。最近、ロマン派前期以前の作曲家をピリオド楽器を使い、その奏法で演奏する演奏家、団体が多いですね。しかし、この演奏のように過度に徹してしまうとモーツァルトの曲想が損なわれる気がします。その上、朗読してほしいのに棒読みしているかのような演奏。元々、日本のオケはそういう傾向にあるけどそれらが相まって寒々しさまで感じます。確かに当時は楽器、奏法、こうだったのかもしれません。でも仮にそうだったとしても、モーツァルトの音楽って楽しいな、だからもっと明るくもっと朗らかに演奏したいな。演奏家をそういう気持ちにさせる音楽だったからこそ今日の演奏スタイルになったのでは?とも思います。モーツァルトの音楽ってそういう気持ちにさせるんです。私はモーツァルトに遠赤外線のようなほのかな暖かさと心地よさを求めて聞くので申し訳ないですがいい評価はできませんでした。 評価できたのはライブと全く気付かないほど観客ノイズがきれいに取り除かれていること。音質も手触り感を感じれるほど鮮明で鮮やかです。
4 people agree with this review 2020/01/27
まずはこのような作品集に出会えて感謝です。 元々ブラームスが好きで全作品を網羅すべくこの全集にも行き着きました。 この世にこんなにも美しい芸術があるのかと感動しました。合唱団の透き通るような神々しい歌声たちがブラームスの深くやさしい旋律に覆いかぶさります。音場も非常に良くさらにこの二者を包み込みます。これら全てがこの最高芸術を作り出しています。これだけのものをここまで安価で手に入れて申し訳ないとも思います。 日本の、特に男性クラシックファンはどうしても交響曲や管弦楽曲に興味が偏りがちのように思います。ブラームスが最大の声楽作曲家と評価されることがあまり知られていないのも残念に思います。ほぼ人の声のみでこれだけの感動を与えることができるということに気づいてほしいと思います。
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3 people agree with this review 2019/11/24
マーラーが復活したきっかけとして名高いこの全集。是非!一度きいてみたいと思い購入した。恥ずかしながらマーラー音楽を愛して憚らない私がバースタインのマーラーを聞いたことがなかった。厳密に言うと新盤とほぼ同時購入だった。 過剰すぎる感情移入が私を遠ざけていたのだ。しかし、この全集を聴いて頭の下がる思いになった。マーラーの音楽はこれぐらい感情移入し、頭から飛び込まないと躍動しない!ただ、もっと入り込めたのではないかと思う場面もある。剛と柔の柔の部分である。剛の部分はこれでもか!?というぐらい激しい。しかし柔の部分はもっと溜めて、あるいはもっとやわらかくしてほしいと感じた。全体的に音楽が直線的であるとも感じた。しかし、それは反省点として新盤にしっかり踏襲されている。 マーラー演奏はこのバースタインやテンシュテットのものが人気があり評価も高い。それは上記で述べた理由からであろう。多くの聴衆を本当のマーラーの世界に連れて行ってくれるのは間違いなくこの種の演奏だと確信した。 もう一つ特筆したいのは音質の高さ。「ほぼ60年前の録音なのに。。ぇ!え!60年前!!」と二度見してしまうほどの驚きにさらされる。DSDリマスタリングの効果は当然あるだろうが米コロンビアの360サウンドが物を言っていると思う。一つ一つの楽器の音が明確に聞き取れる。さすがにトッティでは音圧を下げているが、当時の録音にありがちな平面的でないいい響きだ。70年代に録音されたショルティの5.6.7番と比べるとその質の高さは歴然である。 演奏、録音ともに歴史的価値のある名盤であることは間違いない。
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