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Review List of 一人のクラシックオールドファン 

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     2012/03/07

    クレンペラーのベートーヴェン交響曲は現代私たちがよくCDで聴くトレンディな演奏感覚からすれば随分「押し」が強く、勿論その運ぶテンポの遅さが特に第5番「運命」等においてベートーヴェン交響曲の確固とした構築性を力感をもって私たちに伝えてくれます。そういう特質だからかクレンペラー個性発揮が見つけ易いこの「運命」交響曲の録音はクレンペラーには大変種類が多く、その中でもライブ、モノラルを含めこのフィルハーモニアO(PHO)との演奏録音は代表的なものと申せましょう。本盤演奏(実タイム@8’46A11’04B6’08C13’20)もかつてEMIから出てたものでの焼き直しで1959年クレンペラー74歳の時のステレオ録音でありそれまでの演奏盤よりじっくり構えたものとなっております。アプローチ自体は従来通りやや彼独特の突き放して覚めた雰囲気がありそれが他に有無言わせぬ逞しさを余計生み出した結果となりました。第1楽章から当然ゴリゴリ骨太なラインで進みます、途中何故かちょっと躊躇ったフレーズも見受けられますがそんな事は過ぎれば気になりません。多分クレンペラーが重きを置きたかった第2楽章は宗教的響きすらしますが決して情緒に陥らない「意思」すら感じさせます。そして後半二楽章はまさに更なる壮大なスケールでもって堂々ゆっくり踏みしめる様に進み〆でのクライマックスでの高揚感はもう生半可な言葉では書き尽くせませんね。定評ある平林氏の復刻版でもあり勿論最高ランクの演奏かと思います。私の手元資料、HMVカタログ等でクレンペラー指揮「運命」交響曲のデータをメモしておきます・・・・1934年ライブLAPO@7’38A9’45B5’00C10’01、1951年ライブVSO@7’59A10’01B5’59C11’46、1955年モノラルPHO@8’04A10’06B5’43C11’07、1957年ライブPHO@7’52A9’40B5’35C11’02、1959年ステレオPHO本盤@8’46A11’04B6’08C13’20、1960年ライブPHO@8’07A10’03B5’46C11’36、1965年ライブBRSO@7’37A12’12B6’53C11’03、1966年ライブBPO@8’38A11’09B6’02C12’14、1968年ライブVPO@9’12A11’45B6’28C12’45、1970年ライブNPHO@7’31A11’27BC16’51・・・・、とにかくクレンペラーの「運命」交響曲は彼自身の内在するものとの闘いの反映の様で是非以上の各種盤何れでも良いので聴かれる事をおすすめします。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/07

    このアブラファネル/USOのアンダーソン作品集をヴァンガードLPベースで聴いていた者で1967年収録でギリシャ出身?のアブラファネルが64歳の時のポイントを押えた演奏でスラトキン/SLSO盤と併用しております・・・どちらも楽しいジャケットもいいですね・・・。ボストン・ポップスのアレンジャーとしても活躍したアンダーソンのこの擬音効果なども導入した作品集は、小粋でユーモアがあり、親しみやすい音楽は何れも一度はクラシックに縁の無い人でも聴いた曲集で本盤演奏は特にベストセラーとなったアルバムだそうです。指揮者のアブラファネルはかつてワルターにも師事したらしくマーラー交響曲集なども録音した経歴を有しておりマーラーの様な長大な作品での「聞かせ処」を心得た演奏で作品の本質をしっかり提示する手法は殊にアンダーソンの各短編には向いているのでしょう。各収録曲の演奏タイム(各曲は短いのでタイム的には他の演奏とはそう違いはありませんが・・・)を順不同にメモしておきましょう。「そりすべり」3’06、「ブルー・タンゴ」3’00、「トランペット吹きのこもり歌」3’00、「舞踏会の美女」2’57、「ラッパ吹きの休日」2’42、「忘れられ夢」2’21、「シンコペーテッド・クロック」2’32、「プリンク・プレンク・プランク」2’39、「フィドル・ファドル」3’43、「サンドペーパー・バレエ」3’38、「タイプライター」1’49、「サラバンド」3’58、「ベルの歌」3’44、「ジャズ・ピチカート」1’41、「セレナータ」4’01・・・・このアブラファネル盤は他の所謂一流どころでは味わえぬ数々あるアメリカオーケストラのいい意味でのローカル色が何とも言えずホッとします。レーベルもマイナーでも素晴らしいCDと思います(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/06

    本盤は北欧オーケストラであるスウェーデンのエーテボリSO首席指揮者を務めるあのドゥダメル(ベネズエラ出身)が29歳の2010年に振って演奏した時のシベリウス交響曲第2番その他いろいろ盛り込んだライブ録音ものであります。私は偶々このシベリウスを聴いておりますので少しメモを入れさせていただきます。演奏タイムとしては@10’15A14’16B6’04C14’02と特に目立った特徴はなく少し雑な演奏になったのはライブ故で仕方なく、思った程ドェダメルらしさ?・・・勢い「乗り」程度は薄いとは思いました。第1楽章比較的ゆるりとした感覚でスタートし重い管の合図から弦が入りますがその弦が中々突き抜けないのが意外で続く第2楽章は慎重に進めているのかボリューム感が低く思われました。ただ情景的な処はきっちりポイントが押さえられ後段は表情もちゃんと見せてくれます。第3楽章は弦中心の親しみある高揚感を覚えるメロディを比較的「溜め」では引っ張らずアッサリ処理するもののそれなりに爽やかで美しく逆に合間であの堂々勝利感溢れる最終楽章への準備段階的にスローになる処は間延び寸前でそうはならず緊張感を保った持続弱音もドゥダメルらしい楽章となりました。切れ目なく続く最終楽章はお定まりのコースを若干レガート含み気味に堂々と〆に向かいます。全体繰り返しますがややオーケストラのボリューム感が感ぜられなかったのが物足らかったです。他の収録曲ブルックナー交響曲第9番(2008年録音、タイム@25’29A10’42B29’04)、ニールセン交響曲第5番(2008年録音、同@8’49A8’55B5’52C10’11)、同第4番(2009年録音、同@11’18A4’55B9’57C9’18)は未聴でありちょっと価格的な点もありますので当面OKランクとしておきましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/05

    本盤は現在廃盤なのですが印象的な演奏ですので参考メモを入れさせていただきます・・・ペルゴレージの「スターバト・マーテル」は元々ソプラノとアルトの各単独女声によるものとなっているらしいのですが本盤は一部に女声合唱を導入したものでそれなりの効果を示した出来上がりになってはおります。録音年は1966年でBRSO(当時このオーケストラのCMは豊田耕児だったと思います)を振ったマゼールがまだ36歳の若き頃、独唱者E.リアー(S、当時40歳)、C.ルートヴィヒ(A、同38歳)共に歌い手として油の乗り切った頃で演奏タイムは12曲トータル41’46とマァ個々の曲はさておき全曲トータルとしては普通と思います。第1曲スタートはテンポ的には割りと軽い感じですがオーケストラはシンフォニックな響き・・・S独唱者が美しく入ります、第2曲でのトリルではSとバックオーケストラが交互に実に印象的な募ってくる悲痛さを訴えます。第5曲では詠嘆的なS、Aと後段ゆっくりしたオーケストラに巧みな取り合わせを聴きました。第7曲のAはゆっくりしたペース進行の内に「間」をつけて説得性を増して行きます。第8曲では合唱(RIASCO)が弦合奏と釣り合いを取って参加します・・・この辺りは後年こそ豪腕指揮で鳴らしたマゼールのまだ若い清冽な表現が聴き処ですね。オペラチックな第9曲、極めてシンフォニックな前奏から歌唱はゆっくり間を作りつつ「悲しみの聖母」情景の重々しさに彩られた第10曲・・・いよいよ最終第12曲前半は独唱S、Aがメロディを歌い上げ、後半テンポ速くなってからは合唱がこの曲を実に感動的に閉じます。この曲自体の持つ本質的なものもありますがやはり「若い」マゼールの漲った溌剌さがこの曲を更なるものに昇華させた演奏かと思います。それとイタリアの演奏家による演奏とは異なる事を意識しつつイタリア的なものも追求した仕上がりになっている様であります。全体、若いからこそ発露するものがあり老齢指揮者ではとても求められないのでは・・・。マゼールに関しても1960年代頃のバッハ演奏盤(管弦楽組曲、ブランデンブルグ協奏曲、ロ短調ミサ曲、復活祭オラトリオ・・・)にも私は重厚な演奏の中に若さ・スリリングな似たような感激を覚えたものであります。クラシック音楽にも夫々作品への演奏適齢期って・・・適齢期ほどではなくても若いか年取っているかくらいかの妥当性があるのでしょうか・・・最近私は何となく「有る」様に思えて来ております。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2012/03/05

    もう今更申し上げる必要のないくらいの1960年ムラヴィンスキー(当時57歳)/LGPSOが西側DGセッションで録ったチャイコフスキー後期交響曲集名演奏からの一つ第5番の重量LP盤の登場です。本演奏、LP時代からCDへ何回も何種類もフォーマットも改善を重ねながらの登場。私も昔からLPでも聴いていますが各交響曲での緊迫感と叩きつけるような冷徹な演奏に正しく固唾を呑んだものでムラビンスキーのオーケストラに対する専制的支配の厳しさをも感じました。今回の復刻LPは先の後期交響曲三曲中、ムラヴィンスキー(オーケストラは九割以上LGPSO)指揮の第5番にはライブ中心にCD盤の種類が多分現在一番が多く(今や20種類近くになっているのでは?)、そういう観点で本LPも第5番を取り上げたのでしょうか。この1960年演奏(演奏タイムは@14’28A11’46B5’26C11’03)分はその安定性や録音面などを考慮して、他のいろいろあるライブ盤が各々「最高」ランクにそれなりに挙げられる際にセットで必ずチェック・対比される位のこれも「最高」ランクのものと申せましょう。第1楽章から容赦ない運びで感傷に陥らないスタンス、その途中での厳しい寂寥感は凄いです。第2楽章の初めの方の美しいホルンや対照的な途中でのオーケストラ高揚感も効果満点!・・・弦楽器群の圧倒的な低音を核とする重量感は本当に抗し難いですね。そして最終楽章では管楽器群もその本来の迫力ある物凄さを発揮・・・。本演奏、マア後年の各ライブ演奏よりは整っていて一つの「ムラヴィンスキー基本ライン」として座右に置いておくべきものでLPならではのサウンドを聴く楽しみも本盤で是非・・・。他の演奏盤の例によってタイム(ライブ盤によっては最終楽章拍手が入っているものもありましょう)を少しだけ参考までにメモしておきましょう・・・1956年モノラルセッション(@14’34A11’52B5’39C11’46)、1973年ライブ(@13’27A11’30B5’22C10’54)、1977年ライブ(@13’44A11’53B5’34C11’26)、1982年ライブ(@13’08A11’32B5’24C10’50)、1983年ライブ(@13’59A11’50B5’36C11’30)等々の状態です。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/04

    アバド指揮のチャイコフスキー交響曲は比較的明るくメロディを歌わせチャイコフスキーの西欧への憧れとマッチングした様にスラブ色が当然薄い趣向がある意味聴き処となっております。後期交響曲三曲については1970年代、1980年代、1990年代に各々オーケストラを替えて録っており交響曲第5番についてメモしますと、1970年LSO(演奏タイム@14’53A12’27B5’50C12’06)、1985年CSO(同@14’35A12’40B6’14C12’02)、1994年BPO(本盤ライブ演奏アバド当時61歳、同@14’55A13’04B5’51C12’06)となっており敢えてタイム特徴を申せば何れも前半二楽章が短め、後半二楽章がじっくり目の印象であります。本盤演奏の第1楽章、管楽器クラリネットの低い音域でのテーマからスタートし弦楽器が加わる頃にはBPOの引き締まった機動力が発揮されて行きます。第2楽章ホルンの出だしが何か懐かしい響きです、ティンパニーを伴ってのクライマックスでオーケストラの底力を見せますが弦管の落ち着いたバランスの取り方でのアバドの手腕の良さがここでも垣間見れます。 ワルツ第3楽章では旋律を上手く扱うものの後段テンポを落とし単調さを回避します。循環主題で始まる最終楽章はティンパニー連打からアレク゜ロ・ヴィヴァーチェに入って行くわけですが更に緩急・強弱等と巧みな弦フレーズを主体としたオーケストラBPOの機能美は素晴らしいです。有名なマーチは過度に重々しくならず最後〆への充実管楽器群の威力がダメ押しされます。ロシア色が薄くややBPOの力勝ちな演奏で逆にもう一押しやはりイタリア指揮者らしい処が欲しかったというのも私の贅沢な実感です。なお、他の収録曲ムソルグスキーの歌曲「死の歌と踊り」(A.コチェルガ(B)歌唱、4曲トータルタイム18’53)は未聴であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/04

    ゼルキンはモーッアルト、ベートーヴェン、ブラームス弾きとしてそうレパートリーの広いピアニストではありませんでしたが彼自身の録音その他への誠実さから来る処もあつたのでしょう。DGでのモーッアルト・ピアノ協奏曲集はアバド/LSO等のバックで進められましたが全曲には到りませんで15曲?止まり・・・残念。さて、私にとって第20番は数多ある同曲盤で初めて接した・・・勿論LPで・・・のがゼルキン/セル盤(1961年収録)で曲の悲劇的ドラマチック性にぞっこんの上に演奏が比較的整然と・・・ゼルキンの唸り声は相変わらずではありますが・・・した処が大変気に入ったものでした。不安を煽る様な出だしなのに決して情だけに流れずベートーヴェンによるカデンツァは誠実なゼルキンにより余すところなく進められます。有名な緩徐章・・潤いは過度ではないもののたっぷりした整然さがそれを補います。本盤1981年収録のアバドとの共演分も懐かしいく小さないうなり声が始終つきまといますが気にはならずかえってホッとしました。第1楽章最終コーナーじらすようなカデンツァを経てフィナーレへ・・・思わずウーンと・・・・聴いたこちらが唸り声の始末(タイムは@14’47A9’47B8’03 )。なお、ゼルキンはこの第20番を先述の通り1961年セル/コロンビアSO(タイムは@14’24A9’47B7’18 )とそしてその後年1966年シュナイダー/ECO(同@13’41A10’12B7’28 )などと・・・そして一連協奏曲収録で1981年にアバド/LSOと再録したのが本盤でバックのアバドがレガート気味に流し時には流麗過ぎる処も面白く、ゼルキンが80歳近くの演奏だとは思えない位タッチがソフトなのにも面白く聴きました。第21番もゼルキンの小さな低い唸り声は相変わらずでこの演奏でのカデンツァはゼルキン自身の作ということでリアル感が増しますね。1982年収録のこの第21番、タイム的には@15’21A7’55B7’00でゆっくり気味の第1楽章での中ほど短調部分の移ろいに思い入れが感ぜられます。又、夢見心地な第2楽章・・・往年の映画「みじかくも美しく燃え」に引用された楽章ですね・・・の演奏も印象的。決して変なことはしていない演奏です。この第21番協奏曲も前の第20番同様1966年シュナイダー/ECO(同@14’44A7’57B7’03)との収録盤もありますしDVDでは1963年演奏で珍しくオーマンディがVPOを振ってのバック物がある様です。正直な処モーツァルトには少し野暮ったい印象だったゼルキンがアバドと上手く化学反応した演奏になりました。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/03

    本盤、いつもながらのパールマンの鮮やかなテクニックと美音、そして豊かな表現力が満喫出来特に私はスペイン交響曲についてこの曲を見直した演奏でもあります。先のレビューで東京都の方が書かれている様に私もフランチェスカッティ/ミトロプーロスのLP盤で長くこの曲を聴いていましたが四楽章収録版であり本盤パールマン/バレンボイムの1980年演奏は通常カットされる事が多い第3楽章(サラサーテが初演時省略した事にも原因)も入れて五楽章全部が録音されています(演奏タイム@7’51A4’11B6’13C7’06D8’06)。第1楽章、艶やかなパールマン(当時35歳)のヴァイオリンとPOを振ってのバレンボイム(同38歳)のやや重いしっかりしたサポートがゆっくりと進めて行き時折の陶酔感を伴った「粘っこさ」は時折この曲他演奏で聴かれる荒っぽい異国情緒とは一線を画しています。第2楽章はヴァイオリンが旋律線をたどり中盤では語る様でもあります。さて、第3楽章はオーケストラ前奏が何かありそうな様子を遠く近く交代にカルメン舞曲風に展開します、そしてヴァイオリンが分かりやすいテーマから入って変奏風に進めて行きます。〆は静かに足踏みを残しながらフェードアウトします。第4楽章もややゆったり目のバックに情緒的歌謡的なヴァイオリンが実に映えます・・・起承転結的メリハリ感も・・・。最終楽章も民謡風な感じで早めのテンポの内にヴァイオリンがしっかり縫って行きます。最後はピチカートを噛ませて鮮やかに閉めます。とにかくパールマン、バレンボイムこの両者は共演機会も多かっただけにピッタリ息が合って開放的な演奏に仕上げております。サン=サーンスのV協奏曲第3番は1983年の録音でタイムは@8’28A8’25B10’58とこの曲でもたっぷり感が味わえます。即低い音でのヴァイオリン・ソロから始まる第1楽章は途中メロディ・ラインを描きつつ縦横無尽なヴァイオリンの乗りが素晴らしいです・・・古典的でちゃんと整ったこの曲でもサン=サーンスらしい華麗な雰囲気を余す処なく表現しています。第2楽章はゆったりペースのヴァイオリンに様々な管楽器が絡んでホッとする楽章、そして前楽章から一転、ややキツメのヴァイオリンからスタートする最終楽章はテーマメロディを見え隠れで示しつつ最後の〆は華やかな管楽器を打ち出して高揚感を伴いつつ終わります。完璧なテクニックで雄弁に進める演奏は実に説得力がありますね。両曲とも本盤私は最高ランクにしたい演奏であります(タイムについては盤により多少異なる場合があります)。

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     2012/03/02

    1969年に56歳の若さで亡くなったルーマニア出身のシルヴェストリは爆演指揮者の異名もとって存在感のある録音も残しております。本盤はチャイコフスキー後期交響曲集という事で1957年彼が44歳の時PHOを振って録ったもので私はLPで第4番を聴いております。多分この4番が三曲の内特に彼らしい大変個性的な仕上がりになっているのではないかと思われます。演奏タイムは@20’13A10’20B5’11C9’07と少し第1楽章が長く第3楽章が短めといった印象ですがそのようなタイムよりも先ず第1楽章の冒頭の管楽器の運命動機ファンファーレにおいて3連符よりも次の2連符の方に溜めとアクセントをつけ意表を突きこの処理方針が以降何回か繰り返されるのがとにかく大きな特徴であります(HMVレビューにもメモされている通りです)。テンポの緩急も著しく融通性あるオーケストラPHOであるからこそよくついて来ておりますね。やや焦らす様にもテンポの緩急が付けられた第2楽章に続く第3楽章は先述の様にやや速めに弾む弦のピツィカートと聴く側もついて行くのに忙しくある覚悟が要るみたいです。最終楽章も例の運命動機ファンファーレが再登場し〆はこの曲の持つ畳み掛けを強調してくれました。作曲もしたシルヴェストリだからこそ敢えて為したアプローチだったのかもしれませんね。初めてこの曲を聴かれる方にはちょっと第一推薦というわけには行きませんが何種類かの演奏盤に接した方でまだ聴かれていない場合は是非一聴をお試しあれ・・・。本盤現在廃盤であり又私自身第5番、第6番は未聴ですのでOKランクということにさせていただきます。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/03/01

    シノーポリが亡くなって早や十年が過ぎ、存命ならいろいろ話題になるCDも多くリリースされていた事でしょう。まだまだ普及途中のエルガー交響曲でエルガーが初演指揮者H.リヒターに「真の芸術家」として捧げられた第1交響曲の本盤演奏は1990年シノーポリ44歳の頃にPHOを振って収録したもので演奏タイムは@20’41A7’08B14’11C13’23と全体テンポとしてはやや遅めで第1楽章序奏から出てくるエルガー得意の「威風堂々」風のしょっちゅう手を替え品を替えるマーチテーマを巧みな色彩感としなやかさでブレンドしながら紡いで行く手腕は流石でありこのテンポペースは他指揮者の演奏に見られるもう少し遅ければまさにダレきったものになるでしょうし逆にもう少し速ければ続出する楽想に焦点が更に絞れなくなった事を思えば本演奏は他の指揮者とは一線を画した純音楽風に運んだ説得力ある名演であると申せましょう。第1楽章での弦楽器間、管楽器間の各やりとりは録音の良さが手伝って中々立体感がありますね。この楽章での最後の〆の余韻も素晴らしいです。第2楽章では重低音の中をこまごまと高音弦が動く処から別の分かりやすいマーチ風のテーマが浮かんで来て支配します。第3楽章は弦がカンタビーレ風に美しくメロディを歌います。BGM風にもなって〆は静かに引っ張りながら冒頭テーマをかすめて終わります。最終楽章は第2楽章のテーマや勿論冒頭テーマが次々現れ各楽器の重なりが著しい楽章ですが結局は念押しする様に堂々と冒頭テーマの輪郭をはっきりさせて閉じられます。以上の経過経緯で変幻自在なこの曲の細部を克明に描いたシノーポリらしい演奏であります。しかし正直な処、複雑で下手すれば見通しの難しいエルガーの管弦楽法を明快に聴き取る実力にはまだ及ばない私にとっては中々つかみどころが見つからずとりとめない時間が一時経過したことも事実であり更なる聴き込みが私には必要と思いました。1991年録音の「威風堂々」第1番(タイム6’33)、第4番(同5’21)もイギリス風とは異なる濃厚な味わいがありました。なお、交響曲第2番(1987年録音、演奏タイム@20’45A18’24B9’00C17’21)は未聴でありますので当面OKランクから聴き続けましょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/02/29

    先月グスタフ・レオンハルトが亡くなった事が報じられました、83歳ということで・・・ああ、もうそんな年齢かなとも思ったりしました。レオンハルトと言えばバロック音楽の普及演奏活動、教育活動に勤しんだ事が知られていますが何よりも残された多くのバッハ音楽の演奏録音盤がその存在感をいまだに主張しております。ほぼ同年生れのアーノンクールとのカンタータ全集も大きな業績でありますね。私が最初に彼の演奏盤に接したのは本盤アルバムに含まれるハープシコード協奏曲集と「アンナ・マグダレーナ」小品集であり当時はテレフンケンレーベルでのLP盤で何枚か出ており、それまで聴いていたバッハとは少し異なった・・・つまり今では当り前の古楽器での演奏ながら新鮮というか現代的で「凛」とした演奏に好感を持ったものであります。先ず本盤CD2、CD3のハープシコード協奏曲集は1960年代半ばから後半にかけてレオンハルトがまだ三十歳代後半の時のステレオ録音で彼がレコード上で本格的に登場し出した頃のものであります。本盤収録曲の内、私が聴いているのはBWV1059(トータルタイム10’51)、BWV1060(同14’00)、BWV1062(同14’41)、BWV1063(同13’56)、BWV1064(同11’50)、BWV1065(同10’16)の6曲のみですが才気走ったところがなくやや速いテンポながらも何故かどっしりとしていて昨今のやたらとチャラチャラした演奏よりは聴き疲れがしなくてバッハの真意が伝わる強さを実感します、それにこのレオンハルト合奏団の演奏(LPで聴いても)はシャープな音の左右分離のよい録音と相俟って歯切れのよい闊達な演奏が新風を送り込んだものです。他の収録協奏曲は未聴なのですがそれらも方向感、姿勢は同じと思われ、通常、同じジャンルの曲集を同じ演奏者で聴き続けますと私は飽きるというか疲れるのですがレオンハルトのバッハ・ハープシコード協奏曲集については(私の場合6曲なのですが)充実感が伴いました。これら協奏曲作品は原曲が他の諸協奏曲からの転用もあればカンタータへの転用がありマニアには楽しいでしょう。次にCD8の小品集もほぼ同年位にステレオ収録されたものでこれらの作品で勿論レオンハルト自身のハープシコード演奏と主にソプラノのA.ギーベル(録音当時四十歳代半ば)歌唱の清澄且つ濃厚な宗教的高揚感が聴き処であります。またHMVレビューにもありますようにレオンハルトは1967年映画「アンナ・マクダレーナ・バッハの日記」に出演、ヨハン・ゼバスチャン・バッハに扮していますね。さて、少しわずらわしいでしょうがLPで聴いているBWV作品番号と演奏タイムを各々併記(本盤と順不同)して参考に供します→BWV927(0’42),BWV524(9’35),BWV937(1’42),BWV929(1’03),BWV515a(3’14),BWV940(0’49),BWV1075(0’30),BWV1078(0’37),BWV925(1’17),BWV511(4’14),BWV1073(1’15),BWC1077(1’11),BWV400(1’14),BWV384(2’22),BWV299(2’46),BWV939(0’34),BWV952(2’07),BWV423(3’15),BWV505(1’35)であります。レオンハルトは歌手を替えて後年これらの「アンナ・マグダレーナ」作品を再録しておりますが本盤演奏の新鮮さには及ばないと私は思いました。以上のごとく本盤アルバムのほんの一部しか私は接していないのですがレオンハルトの業績に今更ながら敬意を表すと共に「ご苦労さんでした」と言ってあげたいですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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     2012/02/28

    昨日夕刊でかつての名トランペッターであったM.アンドレが亡くなった記事が載っていました・・・78歳だったとの事で私たちがLP時代からいろいろ主にバロック音楽で親しんだフランスの代表的管楽器奏者ランバル、ランスロそしてアンドレと本当に過去の人となってしまいました。さて、本盤・・・この演奏、華やかではあるけれど決して典雅というイメージではありません。「フルート・ハープ協奏曲」は1963年録音なのでパイヤール35歳、ランパル41歳、ラスキーヌ70歳という事で演奏タイムは@10’37A9’45B9’49であります。第1,3楽章のカデンツァの見事さは正しく彼らの舞台でしょう。やヽ終楽章はオーケストラ共々粗い気味がありますがフランス出身メンバーによるモーツァルトの素晴らしい演奏です。各ベテラン独奏者の多少押し付けの強いたくましいどっしりとした落ち着きがありますが明る過ぎる?ランパル・フルートに高齢のラスキーヌ・ハープが如何に大御所ラスキーヌと言えども追いかける印象になったのも正直な処であります。なお、この曲は同じ組み合わせメンバーで1956年のモノラル時代にも収録されている様です(タイム@10’27A9’25B9’36)。一方ほぼ同年録音のランスロ(当時43歳)独奏「クラリネット協奏曲」(タイム@12’27A7’09B8’49)では何と言っても中間楽章の深い味わいでしょう、モーツァルト辞世の歌とも位置づけられているこの楽章をクラリネットは過度に感傷に流されずにゆったりと進めております。この曲は名曲だけにいろんな名人クラリネット演奏家による名盤(ランスロ自身も他のバックでも何度か録音しております・・・)がひしめいておりますが当時の代表的フランス管楽器演奏者としてランパルとセットで長く聴き伝えられるでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2012/02/27

    LP時代から知られた盤で私はミュンヒンガー盤と両建てで楽しんでいます。この演奏、華やかではあるけれど決して典雅というイメージではありません。「フルート・ハープ協奏曲」は1963年録音なのでパイヤール35歳、ランパル41歳、ラスキーヌ70歳という事で演奏タイムは@10’37A9’45B9’49であります。第1,3楽章のカデンツァの見事さは正しく彼らの舞台でしょう。やヽ終楽章はオーケストラ共々粗い気味がありますがフランス出身メンバーによるモーツァルトの素晴らしい演奏です。各ベテラン独奏者の多少押し付けの強いたくましいどっしりとした落ち着きがありますが明る過ぎる?ランパル・フルートに高齢のラスキーヌ・ハープが如何に大御所ラスキーヌと言えども追いかける印象になったのも正直な処であります。なお、この曲は同じ組み合わせメンバーで1956年のモノラル時代にも収録されている様です(タイム@10’27A9’25B9’36)。一方ほぼ同年録音のランスロ(当時43歳)独奏「クラリネット協奏曲」(タイム@12’27A7’09B8’49)では何と言っても中間楽章の深い味わいでしょう、モーツァルト辞世の歌とも位置づけられているこの楽章をクラリネットは過度に感傷に流されずにゆったりと進めております。この曲は名曲だけにいろんな名人クラリネット演奏家による名盤(ランスロ自身も他のバックでも何度か録音しております・・・)がひしめいておりますが当時の代表的フランス管楽器演奏者としてランパルとセットで長く聴き伝えられるでしょう。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2012/02/26

    最古のオペラは1600年上演のペーリの「エウリディーチェ」と言われておりますが本盤収録のモンテヴェルディ「オルフェーオ」は対を成す作品の如く1607年に作曲されたらしいです。あら筋はギリシャ・ローマ神話に基づくもので竪琴を持つ音楽の神オルフェーオとその妻エウリディーチェの物語で日本のイザナキ&イザナミの神話に良く似たストーリーですね。音楽作品としては各楽器指定が本格的に為された最初の作品ともされ本盤演奏は指揮者ヴェンツィンガー自身の版によるものだそうで(私は他の版というかこの曲の他演奏を聴いてはおりませんのでどの位異なるのかは不案内でありますが・・・)彼の学術的な面もポイントでありましょう。録音は1955年、ヴェンツィンガー50歳の頃で合奏は1955年ヒッツァ夏季音楽祭器楽合奏、合唱はハンブルク国立音大合唱団、独唱者はオルフェーオ役のH・クレブス(T、録音時43歳)、エウリディーチェ役のH・マック=コザック(S、同推定40歳)その他で演奏タイムはトッカータ0’40、プロローグ5’23、第一幕12曲17’08、第二幕10曲23’40、第三幕13曲24’31、第四幕8曲12’30、第五幕8曲13’40となっておりスタートのトッカータは勝利祝典ムードで始められます。続くプロローグはこの曲の悲劇的要素を予感させる様なバックで音楽の女神役のソプラノが挨拶を兼ねて概要説明を行います。第一幕はオルフェーオとエウリディーチェの華やかな結婚場面、第二幕はオルフェーオと羊飼いの遊びの途中での妻エウリディーチェの死を告げるニンファの悲劇的登場、第三幕はオルフェーオが地界から冥土門そして三途の川への道くだり、第四幕は冥土の王から許しを得てエウリディーチェを取り戻しに行きますが約束を違えて後ろを振り返ってしまい妻は不帰の人に、第五幕は一人原野を嘆き彷徨するオルフェーオをアポロ神が天国へ・・・そしてフィナーレ・コーラスにというわけで演奏全体としては作品自体から受ける劇的要素もありますが少人数の古楽器合奏、合唱(共に三十人位)だけあって、かつモノラル録音のせいもあって落ち着いた雰囲気の内に進められ本当はヴェンツィンガーの先述の学術的なアプローチも味わえたらと思います。名盤の一つである事は間違いありません。ヴェンツィンガーにはこの様な初期バロック音楽としてストラデッラの「クリスマス・カンタータ」等もアルヒーブ・レーベルであったのですが・・・。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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     2012/02/25

    カラヤン、バーンスタイン亡き後いささかスター指揮者?に祭り上げられた「観」のあるヴァントにはベートーヴェン交響曲の録音はその経歴・活動に比しそんなに多くなくこの第3番「英雄」交響曲についてメモしますと1956年にケルン・ギュルツェニヒOを振った盤(モノラル)から空白期間が長いのか本盤1985年NDRSO(タイム@18’07A14’45B5’46C11’30)、1989年同じくNDRSO(ライブ@17’44A15’34B5’45C11’42)、1994年BDSO(ライブ@17’13A16’25B5’53C12’45)と言った具合で一気に1980年代以降までの録音盤しかHMVカタログには見当たらないのが冒頭の「観」に結びついたわけであります。さて、この第3番は前記した1985年頃ヴァントが73歳頃の演奏で幾分速めで先ず彼らしい理詰めな迎合感のない演奏・・・そう曖昧な処が見出せぬ演奏がベートーヴェンに何となくフィットし更に録音の良さがこの演奏のランクを上位にあげざるをえなくしていますね。第1楽章、スタートの短い二発からその毅然とした簡潔な演奏が予測されます。展開部に入り巧みなクレ・デクレを経ながらNDRSOの渋めの音色(直接的ではない篭り気味のティンパニーの音色も印象的)が時としてこの曲に付きまとう押し付けがましさを軽減しております。反復演奏で速めのテンポながら決して勢いまかせにはしていない演奏です。第2楽章も若干速く運ばれ重さがなく所謂葬送の悲しみを表してはいない様です。ここでも先述のティンパニー音が暗躍しています。これ又テンポ速い第3楽章ではトリオの懐かしくも豊かなホルンにホッとさせられます。最終楽章も歩調は軽く進みます。第1楽章でも感じた事ですが時折パッセージで管楽器パート音がセクションの明確さが際立ったのか殊更目立つ場合がありその辺りはヴァント自身の意図なのでしょう。この最終楽章〆では大テーマを堂々と踏みしめて終わります。全体この曲にしては聴きようによってスケール感が欲しいなぁとも思う演奏ですが一方で力み・くどさがないのも救いとなっております。晩年猫背の容姿から派手なパーフォーマンスとは無縁だったヴァントの本質の語り口の一端が窺える演奏かと思いました。なお、併録の交響曲第8番(1987年録音、タイム@9’26A3’49B4’43C7’45)は未聴であります。それと本盤レビュー欄をお借りして以前カタログ番号BVCC8921で触れていなかった1986年録音の交響曲第1番について少しメモさせていただきます。全体印象は単刀直入的演奏・・・第1楽章は大きくゆったりとスタートし展開部へ入って行きますがこの曲にしては大変シンフォニックな扱いで第3番でも書いた様に巧みにクレ・デクレを噛ましつつベートーヴェン第1作?の意気込みを表しています。懐が奥深い第2楽章、そしてトリオを何気なく過ごし大げさでない第3楽章そして最終楽章は軽妙な滑り出しから後段で聴くティンパニーの扱いはこれも又第3番に見られたものであります。交響曲第1番も1956年にケルン・ギュルツェニヒOを振った盤(モノラル)、本盤1986年NDRSO((タイム@8’42A8’32B3’26C5’49)、1994年MPO(ライブ@8’50A6’40B3’51C6’08)、1994年BDSO(ライブ@9’01A6’50B4’08C6’58)、1997年NDRSO(ライブ@9’03A6’35B3’49C5’56)と言った具合です。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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