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Review List of cevon 

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     2025/11/22

    現代オルガン作曲家として真っ先に挙げるべき旗手はメシアン(継承した象徴主義と創出した独自技法の両立は唯一無二です)には違いないですが、更に前衛寄りで探索するとこのErnst Helmuth Flammerが傑出者の一人だろうと思います。全曲それぞれが聴き物ですが、とりわけ強烈な最終曲が仰天です。Charles Tournemireのオルガン作品が好きな人はハマると思います、まさにあの音響を一層暴力的に領域展開した世界です。勿論それはTournemire作品の精神性とトレードオフではありますが、ここまで最強の音響を提示してくれたら何も言うことはない大満足です。激しく特級推薦です。

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     2025/11/17

    私が勝手に考える19世紀末迄の生年で括る、品質と作曲規模双方共に圧倒的な近代オルガン作曲家四天王(Charles Tournemire、Max Reger、Sigfrid Karg-Elert、Marcel Dupre/五人目以降はJoseph Jongen、Joseph-Ermend Bonnal、Frank Martin、Herbert Howells等傑出した作品を書いた人々が居るのですが作品分量がやや少ないです)の一角です。遂にCPOが既発をまとめてくれました。極めて個性的な作品群の大集成です。四天王の中で最も後継者が居ない類の音楽です(例えばBonnalはTournemireに一瞬音響が似通るケースがあります、勿論全然違う音楽ですが)、晩期ロマン派を幹に全音音階・五音音階・変幻する転調・ポリトーナリティを加え非機能和声的連結や音響の色彩性を重視して進捗します。自然主義・象徴主義的な標題性を掲げているものが多く、パイプオルガンはややもすると強い音色になるはずなのになんだか水彩のような淡いグラデーションを表出します。ハーモニウム作品でもそうです。ハーモニーが次から次へと変化する(慣れるとこのKarg-Elert節が癖になります)のですが、なぜか散漫な印象にはならず、一貫したドラマトゥルギーを感じます。演奏は全般的に良い意味で実に手堅く、Karg-Elertの音楽の魅力がストレートに伝わるものです。そして私が個人的にこのセットで強く推したいのがPiano Sonata No.3 Patetica op.105です。この作品が他の作曲家の誰からも聴くことが出来ない独自世界なんです。そのオリジナリティはことによるとオルガン作品以上かもしれません。極端に言えばjazzyにすら傾斜するのですが、晩期ロマン派の幹は微動だにせず高い格調をずっと維持します(語弊がある書き方ですが私はjazzは大好きです)、むしろこの曲の表題通り悲壮感がずっと漂い、それでいて同時に後期ロマン派的爛熟の暑苦しさはやや印象派的に希釈緩和され透明感が増し、摩訶不思議な余韻を喚起します。作曲者は全身全霊で書いたんだろうなあという珠玉の逸品です。

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     2025/11/14

    Maurice Durufleは言わずもがなですが、Jean-Jacques Grunenwaldの音楽が驚愕の素晴らしさです。まさにDurufle同様、麗しき印象派近代の伝統を現代へと継承しております。個人的には全く音楽傾向は異なるものの、Geirr Tveittのような音運びのセンスの良さを感じました。惜しむらくは余りにも作品録音が少ない。アンソロジー的にいろいろな作曲家を取り扱う1枚の内1作品というケースが僅かにという感じで、作品集が全然リリースされないことが残念です。本盤におけるVasari Singersの透明感と調和ある合唱は本当に癒されます。

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     2025/11/12

    かつてポセイドニオス堂サイトで紹介されていたことで知った作曲家で、そこでメシアンのオルガンの先生だったことを知りました。ただその作品内容は全く異なり、音友ムックでも触れられていたように、メシアンよりも遥かにやばい音楽です。ポセイドニオス堂管理人さんは確か接神体験というような表現を使っておられましたが、まさにそのような心持ちになります。どちらも信仰の音楽ですが、メシアンは色彩的な啓示と賛美の音楽、トゥルヌミールは自己省察的幻視典礼音楽とでも言えるようなイメージです。近代オルガン音楽中最もマッシブに響くことがある(特にop.69以降の作品群)のにも関わらず、その瞑想性と内観性の為にむしろ密やかさや静謐さが際立ちます。殊オルガン音楽においては作曲規模と内容双方で大バッハにすら比肩すると私は思っています。本盤での演奏時間(op.67)は幾つかある既録音の中でもゆったりめですが極めて高い集中を感じ、このテンポが最適だと思えた心地良さです、素晴らしいどころではなく私の中では決定盤になりました。トゥルヌミール独自のハーモニー変化がとても感動的です。今後状況がもし許すのであれば高橋さんにはぜひ、晩期の最高傑作群であるop.69、op.71、op.75、op.76の録音を希望したいです。

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     2025/11/07

    究極の音楽の至高の全集です。シベリウスの音楽は耳を(研ぎ)澄まさないと決して語りかけてこないように思います、私は10年以上交響曲第4番と第6番が全く理解出来ませんでしたが、本録音でかなり分かるようになりました。恣意性を排除した呼吸の深い自然な演奏です。シベリウス本人は「私は音楽的な思考とその発展が私の魂の中で自らの形を決定付けるようにするつもりです」と言っており、その為か主題提示展開的な輪郭が予め決定付けられず、内側から自己生成変容しつつ進捗するように聴こえる音楽です。「音楽素材の現代性が一種の発芽と増幅・多様化を含み、その過程で内容が最終的に構造を定義する」という論考もありました。つまり聴き手は意識的なテーマ素材探しをせず、シベリウスが提示する音響のありのままを感じるようにする方が、その音楽を理解し易いように思います。私個人としては彼の音楽を受け取る側なのに主体的に発振しているかのような感覚になります。まさにカイヤ・サーリアホが言った「音楽から離れ時間を超えて音楽空間へと足を踏み入れる(第7番)」感覚で、この内的に生じそこで移動するような空間性は戦後最前衛の外的空間構想からさえも先んじるものです。そのことをカムさんの演奏は完璧に実現しているように思います。森や湖、動物たちといった自然と共鳴的であることをシベリウスは追究していました。その共鳴する意識の生成に焦点を当てるのがシベリウスの孤高性であり、他の誰もが成し得ない音楽に結実しました。そこでこの全集で驚いたのが第4番です。私は今迄他のどの録音を聴いてもその陰鬱さが印象に残るだけだったのですが、カムさんの演奏を聴いていると、まるで自分自身を聴いているかのような、そして全幅の共感を(シベリウスの音楽から)得たような感覚になり、第7番に匹敵する程の感動がありました。シベリウスは人間の脳波や生理現象まで音化したのかと思えて、心底びっくりしました。普段からクラシック音楽史上の頂点に位置する作曲家だと思っていましたが、ここまでとは思っていませんでした。なので第4番(シベリウス本人が心理的交響曲と呼んだようです)が難解で茫洋としていてなんだか暗いだけだなあとお思いになっている方は、突然かなり分かると思える時が来ますので、一度聴いたら時間を空けてまた聴く等の方法を採ってみて下さい。セシル・グレイの絶賛の言葉は奇を衒うものではなく、真意のようです。

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     2025/11/03

    ずっと理解が出来ずに聴かずじまいでしたが、久々に聴くと、これはカッコ良過ぎます。表現主義においてウェーベルンの後継者と言われているそうです。総音列主義と言うんでしょうか、そういう聴きづらい音の跳躍のみを感じることは僅かで、完全にゲンダイオンガクが美しく昇華されております。私としてはシベリウスの交響曲第4番の延長上にあるような静謐と沈黙を感じました。音数が抑制された凝縮した音世界が好きなお方には宝物になると思います。これからGyorgy Kurtagの音楽にハマりそうです。

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     2025/10/20

    凄まじい程の天才です。ちょうどフランス近代音楽といわゆるゲンダイオンガクの中間辺りの私の最も好きなラインを、しかも最上級のクオリティーで届けてくれます。Charles Koechlin、Joseph-Guy Ropartz、Maurice Durufle、Desire-Emile Inghelbrecht、Herbert Howells(英)、Lennox Berkeley(英)、Pierre Villette、Roger Calmel、Thierry Escaichと連なる麗しき印象派近代の伝統を現代へと継承する綺羅星の作曲家の音楽傾向に属しています。これより後ろの年代に多くなる音楽傾向が新ロマン主義化し、非常に美しくはあるものの19世紀的重みがやや損なわれてくる(もちろんこれらのライトな儚さも私は好きです)為、本当に貴重な音楽だなあと日々思いながら聴いています。なんだか失われた技術みたいなものを聴いているようで、ラピュタ的な気分になります(実際は今もこのラインで作曲している方々はおられるようですが、なかなか録音としてはリリースされません)。この皆様の中では生年が二番目に後ろであり、初期の作風が一番ゲンダイしていて、後年になるほどその音楽は近代に近付きます。本アルバムは後年のものになりますが、究極に洗練されていて、陶然となります。初期の作品は個人的には一番好きなもので、まだ中古市場にはMagnificat(メロディを残してギリギリまでゲンダイに近付けた超傑作です)等の曲目を収めたERATO盤がありますので、ご興味ある方はぜひ。Magnificat作曲の直後の大作であるAsunはフランス本国では確実に演奏録音が(おそらく研究者向けの資料用に留め置かれて)存在するのですが、私は長年調べていますが日本からでは非常に入手が困難です。演奏録音の抜粋版としてはDVDで存在はしております。私は最近もう楽譜を入手してMIDI化しようかとも思っています。

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     2025/10/17

    今はどんな音楽でも幾らでも聴ける時代なので、ルネサンスから現代音楽まで手当たり次第に聴き、それぞれ良いなと思うわけです。そして、ここに戻ってきます。するとこれが最高だと思います。クラシック音楽史上最高の音楽と演奏であり、常に鑑賞の終着点です。

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     2025/08/16

    レノックス・バークリー卿はまじもんガチもんの巨匠です。楽器のみの音楽は印象派風の聴き易いものですが、こと声楽入りの宗教音楽になると本領を発揮、とんでもない繊細な綴れ織りを披露してくれます。これらの曲目はその白眉に当たります。ぜひ心してお聴きになって下さい。

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     2025/06/01

    ケクラニアン/ケクラニストの皆様欣喜雀躍の音盤登場です!
    遂に交響曲第1番の現代録音が出ました。
    今迄は仏Forgotten Recordsでの盤起こしでしか聴けなかった代物です、配信が出ていたので早速入手、勿論物理CDもここで買い、今日届きました。
    指揮者のマティアクさんはなんとケクランの4曲の交響曲を全て録音する予定だとのこと、Capriccioではこの盤を含めこれで2曲が出たことになるので、讃歌交響曲と交響曲第2番を残すことになります。
    なんとこの交響曲第1番を音盤化するのに1年半かかったんですね…ということはおそらくですが4曲全ての録音が完結するのには3、4年は待つ必要があると思います、ええ幾らでも待ちますとも!
    この交響曲第1番は弦楽四重奏曲第2番を編曲したものだそうです、私の中ではケクランの音楽は2タイプあり、1つは軽妙洒脱な印象派系、もう1つは重厚なケクラン本気モード系、本曲は後者に属すると思われます。
    本気モードは私が近代音楽にハマるきっかけを作って下さったぷーれんさんの言葉を拝借しますと、当時の最前衛の技術を縦横無尽に使用しながら表出される音はおそろしく柔和というウルトラCをやってのけている音楽です。
    よく言われる仙人的、瞑想的な音楽です、最初は茫洋としていて全くよく分からないのですが、慣れてくるとその独自の響きに参ってしまい、ケクラン沼に浸かりっ放しになります。
    交響曲第1番も例外ではなく、終楽章終局は実にケクラン節が炸裂しております。
    ピアノ五重奏曲、古風な様式による15のモテット、燃える茂み、BACHの名による音楽の捧げもの、ファブリシウス博士等と共に、まさにケクランの最良です。
    その音楽は一聴アンビエント的なのですが、中身は刺激に満ちておりエッジが効きまくっております、なのでこれが好きな人はケクランと聞くだけで興奮してくるわけです。星50個です。
    近現代音楽がお好きな方、またこれから近現代音楽を聴こうとなさる方は是非このケクランの、ジブリを純音楽的に100年先取りした音楽(私は時々なぜかジブリっぽいと思います)を聴いていただきたいと思います。

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