Wednesday, September 30th 2009
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アンダーグラウンド・シーンにはまだまだ沢山の素晴らしいアーティストが存在しているよ。政治上の理由でなかなかこういったアーティストが日の目を見ないのが残念な現状だけどね
- --- まず出身地と生年月日を教えて下さい。
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ニューヨークのマウント・バーノンで生まれ育ったんだ。5月15日生まれ。年齢は秘密さ。
- --- 最近はどんな音楽を聴いているのですか?
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ウェブやiTunesを通して色々な作品を聴くように心がけているんだけど特に最近のお気に入りっていうのはないかな。プライベート用にプレイリストはほとんどがヒップホップ・クラシックさ。特に作曲する時はあまり他の作品の影響を受けないように他の作品をあえて聴かないようにしてるんだ。
- --- 子供のころからシンガーになりたいって思っていたのですか?
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子供のころは他の子供達と同じようにマイケル・ジャクソンみたいなシンガーになりたいって思ってたんだ。彼は幼いころの僕のアイドルだったね。ちょうど声変わりしたころにヒップホップやダンスに目覚めて方向を変えたんだけどその時の振付師が僕に自分のシンガーとしての資質を思い起こさせてくれたんだ。そのころから楽器なども使って自分のオリジナルの音楽について意識し始めたんだ。
- --- お気に入りのシンガーやプロデューサー、影響を受けたアーティストがいたら教えて下さい。
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もちろんマイケル・ジャクソン、それにスティーヴィー・ワンダーやボブ・マーレー、ダニー・ハザウェイ。彼らのメッセージ性の高い歌声には間違いなく影響を受けているよ。それにメッセージや哲学を組み込んで偉大なアート作品を仕上げる彼らの作曲技術もそうさ。プロデューサーではクインシー・ジョーンズだね。彼はレコードの制作について本当に長けているよ。いつか一緒に仕事してみたいね。
- --- いつごろからR&Bやソウル、ヒップホップを聴くようになったのですか?
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いつごろかははっきり覚えていないけど昔はラジオから本当に色々な音楽が流れていてそこからR&Bやヒップホップや様々な新しいサウンドを吸収していったんだ。何か新しい発見があるとすぐに友人たちと情報を交換してレコードショップに駆けこんでいって、そういった経験が今の自分の音楽を形成していると思うんだ。今はウェブサイトやブログが同じような役割をしているよね。僕の作品もこういったツールに乗って広がっていくといいなと思うよ。
- --- 歌い始めたのは?また作曲やプロデュースについては?
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昔からずっと色々なところで歌っていたけど本格的に始めたのはダンスの振り付けの仕事をしていた時期かな。教え子達から彼らのステージで歌って欲しいと言われて歌ったんだ。その頃からプロのアーティストを意識し始めて自分の作品を作ってみたいって思うようになったんだ。
- --- 制作については自分で学んだのですか?
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必要に応じて自分で学んだんだ。そうしないと制作にはものすごい費用ががかかるからね。それに僕は何でも自分で徹底的にやらないと気が済まないタチだから本を読んだり、他のプロデューサーに相談したり、試行錯誤して必要なスキルを磨いていったんだ。テクノロジーは常に進化しているから今でも日々学んでいるよ。
- --- シンガーとして正式にデビューする前は何をしていましたか?
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クリエイティヴな事が大好きだからずっとテレビの仕事やスタジオ関係の仕事をしてたんだ。それに学校で専攻してこともあってコンピューター・グラフィックやアニメとかの映像制作の仕事もしていたんだ。
- --- デビューすることになったきっかけを教えて下さい。
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デビューという言葉について特に明確な定義っていうのが思い浮かばないんだ。ダンスやラップや歌い始めた時もデビューって言えるしね。デビューっていうのは要は自分がアーティストとしてやっていくって決めた時だと思うんだ。
- --- 日本ではサウンド・トラック『25 Strong』に収録されている「The Road」がデビュー作じゃないかと言われていますが?
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『25 Strong』がリリースされる前に実は「The Last Demo」っていうCD作品をローカルのみでリリースしているんだ。評判はかなり良かったよ。「25 Strong」は初のインターナショナル・リリースっていうことになるのかな。
- --- UKのReel Peopleのアルバムにも参加していますよね。他にもこういったコラボレーション作品はあるのですか?
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実はReel People以外にもUKのアーティストとのコラボ作品がいくつかあるんだ。Soulpersona との「Showya」と「Can’t Hide」。それにDomu/Bakura とのMistaken”っていうプロジェクトやRealmの「One Step」とかね。
- --- アルバム『If These Walls Could Talk』についてご自身ではどう思いますか?
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I LOVE IT!!長年の夢がかなったって感じだね。制作が終了した時にはまさに自分が思い描いていた以上の作品が出来上がったって感じたし、とても満足しているよ。
- --- このアルバムが日本でリリースされることについてはどのように感じていますか?
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日本でのリリースについてもとてもエキサイトだし、それ以上に日本に行ってライヴをすることを今からものすごく楽しみにしているんだ。日本のカルチャーにも触れてみたいし沢山の人に会ってみたいよ。
- --- アルバムのコンセプトを教えて下さい。
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実は全体のコンセプトみたいなものは事前に考えてなくて、むしろこれまでや現在の自分自身の持っているものを全て詰め込んだようなアルバムにしたかったんだ。
- --- アルバム・タイトルに込められた意味を教えて下さい。
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このアルバムは中断しなくていいようにほとんど夜中から朝方までの時間を使って制作したんだ。この時間については本当に自分ひとりの時間、世界だったと思うんだけど、僕の目の前にあった"Walls"(壁)だけがこうしたストーリーを全て見て記憶していると思うんだ。もしこの"Walls"が物事を伝えられるとしたらそれはまさに僕に代わって全てのストーリーを伝えてくれるし、それは僕のこれまでの人生についても言えることでこの"Walls"は全てを知っているんだ
- --- いつも作曲はどのように進めるのですか?メロディーが最初?歌詞?ビート?
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特に決まったスタイルはないよ。最初にインスピレーションが湧いたパートからどんどん曲を作っていくんだ。もしメロディーを最初に思いついたならすぐにそれを録音してひたすらループしながら聴いて歌詞やビートを考えるんだ。心の中を本当に無にしてまるでトランス状態だね(笑)。だから常にレコーダーは持ち歩いているよ。
- --- いつもどんな時、どんな風に曲のアイデアが浮かんでくるのですか?
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特に人と会話している時に浮かんでくることが多いかな。相手が何かを言った瞬間にそれが引き金みたいになって突然インスピレーションが湧いてきたりね。テレビを見たり読書をしている時にも浮かんでくるけど本当に素晴らしいアイデアが浮かんできた時にはごく自然と全てのパートが湧き出てくるんだ。まるで何かに導かれているかのようにね。 不思議な感じだよ。
- --- 制作をしている時に特に留意している点があったら教えて下さい。
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キーはまずメロディーさ。歌詞ももちろん大事だけどまずメロディーで人に感動を与えないとそこから先を聴いてもらえないからね。それから自分のスタイルを出すことかな。一つの事柄を伝えるのに千差万別なスタイルがあって、そこでいかに自分流を表現出来るかが作品作りのポイントだと思うんだ。全ての作品に自分流を見せるように心がけてるよ。
- --- 将来コラボレイトしてみたいアーティストはいますか?またその理由も教えて下さい。
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トップはスティーヴィー・ワンダーだね。彼の作品から本当に多くの事を学んだし、彼には質問してみたいことが山ほどあるんだ。
- --- 色々なプロデューサーと作品を制作していますよね。プロデューサーはどうやって選んだのですか?
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音楽性とタイミングかな。同じヴァイブで制作協業できるかどうかがポイントだと思うんだ。実はこのアルバムに参加しているプロデューサーでまだきちんと会ったことがない人もいるんだ。でも彼らとは音楽で繋がっているのさ。
- --- ではこのアルバムに参加しているプロデューサーをアナタの言葉で紹介してもらえますか?
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メジャー・アーティストだとヒットを生むために色々な制限があるだろ。僕は自分にインスピレーションを与えてくれるような人たちと仕事が出来たんだ。彼らと仕事が出来たことをとても誇りに思っているよ。
Joey Adarkwah "Where It’s At":彼は僕の友人でエンジニアもプロデュースも出来るとてもマルチなアーティスト。今回も一緒に色々議論しながら仕事したんだ。
Jeremy Mage "Just Can’t Wait":彼はとてもグレートなプロデューサーで同時に素晴らしいキーボード・プレイヤーでもあるんだ。
Noel Zancanella "Gone" and "Saturday":彼はこのアルバムにBoom Bopの要素を吹き込んでくれたプロデューサーでとても重厚なビートを作るアーティストでもあるんだ。
Marcus Fugate "The Road", "Sail Thru", "If These Walls Could Talk":彼は古くからの友人で素晴らしいピアニストなんだ。彼は僕のことをとてもよく理解してくれていて常に何をすべき知っている数少ないパートナーさ。メロディーを渡しただけで残りの全てを上手く仕上げてくれるようなね。
Phil "Philosophy" Lees. "All Kinds of Things", "Composure", "My Door":彼とは友人づたいで知り合ったんだけど"Composure"を初めて電話ごしに聴かされた時には本当にたまげたね。そのままブルックリンまで彼に会いに飛んで行ったのを今でも憶えているよ。
Soulpersona "Showya", "Can’t Hide":彼らとはMyspaceで知り合ったんだ。彼らは本当にオリジナルなソウルを表現できるアーティストだよ。彼らの曲にはすべて彼らならではのソウルが宿っているんだ。
Mike Patto "Magic": 彼とはReel People仕事で知り合ったんだけど伝統的な手法で作品を仕上げていく今どき珍しい本当のプロデューサー。レコードの作り方を本当によく知っている人だよ。
Terry Lewis "Seasons":彼と仕事をすることになった経緯は何故だかよく思い出せないんだ。彼のビートCDをたまたま持っていてその中にこのアルバムで必ず使いたい何かを感じたんだよ。最終的にはそれが"Seasons"に完成したってわけさ。 - --- バンドのメンバーを紹介してもらえますか?
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Robert Stephens III –:彼はキーボード・プレイヤーで同時に僕のMDでもあるんだ。アルバムにライヴのアレンジを沢山吹き込んでくれた。彼は本当の天才だよ。
Derek Wright/Larry Peoples – Drums :彼らはここではとても人気のドラマーなんだ。色々なアーティスト達と沢山のキャリアを積んでいてスキルもセンスも最高なんだ。今回一緒にプレイして彼らが何故人気なのかよく分かったよ。
Nate Jones/Dwayne Wright –Bass:彼らはとても才能に溢れたベース・プレイヤーでこのアルバムに最高にレイドバックしたボトムを敷いてくれたんだ。
Hannan Rubenstein/Mark "Lace" Gibbs –Guitar:二人とも最高にイカしたギタリスト。僕の作品に最高にフィットしたチョップw見事に吹き込んでくれたよ。
Tyzelle/Darius Booker/Keisha Gumbs –Vocals:三人ともソロでも十分にイケる実力を持った素晴らしいヴォーカリストなんだ。このアルバムでもまるでライヴ・ステージを思わせるような最高のハーモニーを聞かせてくれてるよ。 - --- アルバム中で自分自身をもっとも反映している曲はなんですか?
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どの曲もそれぞれ違った自分を反映しているけど強いて今を象徴するなら"Gone"かな。アルバムをリリースするにあたってこれまでの自分の殻を破って新しい自分と向かい合うっていう今の心情にぴったりな内容なんだ。
- --- アルバム中で一番気に入っている曲を教えて下さい。
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この質問は難しいな。状況によって変わるんだ。例えば先日のBlue Noteのライヴの時は3人のホーン・セクション編成で演った“Whole Lotta Love”が一番のお気に入りだったな。
- --- 今回のアルバム制作を通して一番の収穫は何ですか?
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無事にアルバムを完成させたっていうことかな。曲を作ったり、アイデアを考えている時よりも最終的にアルバムをまとめることの方が遥かに難しいんだ。あと一歩で完成ってところで何度も躓いたり迷ったりしたよ。
- --- アーティストとして常に心がけていることがあったら教えて下さい。
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人の話をよく聞いて感じ取るっていうことかな。言葉は時として多くの人の心を動かすだろ。それは偉大な楽曲と同じ事なんだ。そういったポイントをなるべく自分のスタイルだけで囲わないでオープンに吸収するよう心がけているんだ。
- --- 将来はどんなアーティスト/シンガーになりたいですか?
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具体像はないけど常に自然に成長していければいいな。そうすることで常に自分をフレッシュに保てるしね。新しいスタイルには敏感でありたいと思うけど、その中で流行やセールスに左右されずに常に自分のスタイルを持っているようなアーティストになりたいね。
- --- 最近のUSのR&Bやソウルのシーンについてはどう感じていますか?
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アンダーグラウンド・シーンにはまだまだ沢山の素晴らしいアーティストが存在しているよ。政治上の理由でなかなかこういったアーティストが日の目を見ないのが残念な現状だけどね。最近のお気に入りはEric Roberson とPJ Morton の二人だね。
- --- 最近のUSの音楽シーンについてはどう感じていますか?
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残念ながら多くのグレートなアーティストがいても彼らの作品がラジオでプレイされることはないというのが現状だね。全てが商業ベースで動いてしまっているんだ。作品よりも彼らがどんなアソシエーションと繋がっているかっていうことの方がセールスを左右するようになってしまっているんだ。色々な現場で素晴らしい作品が次々と生まれてきているのにね。
- --- 最近のUSのR&Bやヒップホップのシーンについてはどう感じていますか?良い点と悪い点を挙げて下さい。
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良い点としてはここにきて多くの人々がライヴの魅力を再認識してきてるってことかな。スポットライトの下で新たな才能を発揮しているアーティストが沢山出てきているんだ。 悪い点は音楽業界のいたるところで贈賄によってヒットが作られてるってところかな。それによって粗悪な作品が一日に何回もラジオでプレイされているんだぜ。それ以外の作品はインターネットやミックステープに追いやられて最終的にはそれを求めている本当のファンには届きにくくなっているんだ。これは悪いというより醜い点だね。
- --- UKのアーティスト達と交流があるようですがどのような繋がりがあるのですか?
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Reel Peopleとの仕事をきっかけに様々なプロジェクトから参加のオファーが来るようになったんだ。"Alibi"と"Upside"というシングル曲に参加しているよ。彼らと仕事をして自分のスタイルにもより広がりが出来たしね。僕の歌はUKではかなり評判が良いみたいだね。
- --- UKをツアーしたことはありますか?またUKとUSのシーンの違いは何ですか?
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UKをツアーしたことはないけどぜひ行ってみたいね。UKはライヴ・ミュージックを伝統的にサポートしているし新しいアーティストに対してとてもオープンで温かく迎え入れてくれるんだ。今のUSのシーンは対極で手形が無いと表舞台には出ていけないような雰囲気があるからね。
- --- 日本のシーンについてはどう思いますか?日本のアーティストについて知っていたら教えて下さい。
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残念ながら日本のシーンについてはあまりよく知らないんだ。ダンスをしていた頃には友人がダンサーとして招待されていたから少しは知っているけど。今回のリリースでもっと日本のシーンに近づけたら嬉しいね。それに日本のアーティストとも交流を持てるようになりたいよ。
- --- 日本のアーティストとコラボレーションしてみたいと思いますか?
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このアルバム自体がコラボレーションで構成されているしモチロン日本人とも将来一緒にやってみたいね。異文化のアーティストということもあるしどんな作品になるのかとても興味深いよ。
- --- あなたのファッションやスタイルについても教えて下さい。好きなブランドはありますか?
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特にブランドにこだわりはないんだ。素材と着心地が良くて自分の好みに合えばそれだけでグッドだね。
- --- どんな女性がタイプですか?
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常に新しい事にチャレンジしているようなアドベンチャー・タイプの女性が好みだね。モチロン内面から美しさがにじみ出ているような人さ。それにユーモアのセンスも大事かな。
- --- 俳優業には興味はありますか?
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今は音楽に集中していきたい時だけどアートに関わることなら何でも興味があるんだ。将来機会があれば演技は間違いなくチャレンジしてみたい分野だね。
- --- 日本についての印象を教えて下さい。
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日本にはまだ行ったことがないけどいつか必ず行ってみたいと思っているんだ。マンガや日本食、それに日本のカルチャーは大好きだしね。テレビや本でしか触れたことがないけど他の国のカルチャーやアートにとても寛容な国っていう印象があるんだ。
- ---日本のファンへメッセージをお願いいたします。
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サンキュー!このアルバムを手に取って聴いてくれた全ての人たちに感謝しているよ。日本でライヴが出来る日が待ち遠しいよ。沢山の人たちと自分の音楽をシェアしたいんだ。 See You Soon!
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- If These Walls Could Talk
Darien - 2009年10月4日発売
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- If These Walls Could Talk(輸入盤)
Darien - 2009年3月発売
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- Seven Ways To Wonder
Reel People - 2007年12月発売
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- 25 Strong
OST - 2005年発売
- 関連サイト(外部サイト)

