If These Walls Could Talk

またもや最上級のスティーヴィー・フォロワーが登場。UKのハウス・ユニットREEL PEOPLEとの共演、インディ・ソウル・シンガー達によるコンピレーション「25 STRONG (A SOULFUL SOUNDTRACK)」への参加など一部の熱心なリスナーは既にご存知の存在と思われるが、これが本格的なソロ・デビュー作となる。生演奏を感じさせるトラックからは当然オールド・ソウルの影響が大きいと思われるが、本人のインタビューによるとヒップ・ホップが最初の啓示だったらしい。その他の影響としてルックスからも想像できるがボブ・マーリー、そして当然の事ながらスティーヴィーの名前が。言わずもがなソングライティングも自らこなしているが、ツボを得た楽曲のレヴェルはとにかく高い。ドレッド・スタイルとその瑞々しいテナーのギャップもまた長所となるだろう。才能豊かな新人、DARIENのデビュー作である。

オープニングの軽快なフェイク・ボーカルに乗ったイントロのミッド・ナンバーで、すぐに只者ではないことがお判りいただけるのでは。生音を強く意識した音作りなどUKソウルとの比較も出来そうなタイプだが、その他の曲を聴いていくとただの爽やか系のシンガーではない事に気付かされる。(2)はまるでJAHEIMのようなナンバーで、決して彼ほど熱くは無いが程よいソウルフルなボーカルを聴かせてくれる。続く(3)からいよいよスティーヴィーの影響を前面に出したナンバーが。美しく整ったメロディなのだが、どこか陰りを感じさせる曲調などはまさにあの世界。その他ややテンポを落とし、じっくりと歌い込んでいる(6)、コード進行がいかにもな(7)、メロディ・メイカーとしてだけでは無くリズム・センスのよさも伝わってくるグルーヴ・ナンバー(13)など正統派フォロワーとして質の高い曲がズラリと並んでいる。スロウは(14)(15)のみで後はほぼミッド・ナンバーで占められているが、雰囲気に流されずそれぞれの曲のキャラが立っているので、一気に聴けてしまう。これはなかなか出来ない芸当だと思うのだが、どうだろうか。

ジャケ写のドレッド・ヘアに騙されそうになるが、ここは一つ内容をしっかりと確認してぜひご判断を。まだここ日本ではほとんど無名だが、大きな確率でブレイクが期待できる実力者として、ぜひお見知りおきをお願いします。

レーベル・インフォより