ヨナス・カウフマン/『ドッペルゲンガー(影法師)』(CD+DVD)

2025年06月27日 (金) 17:00 - HMV&BOOKS online - Classical


カウフマンが挑むドイツ・リートの最高峰
コロナ禍で録音された『詩人の恋』と舞台化された『白鳥の歌』


世界で最も求められるテノール歌手として主要オペラ・ハウスから引っ張りだこのヨナス・カウフマン。着実に役柄と芸域を広げていくオペラへの出演と並行して、ドイツ・リートのリサイタルにも力を入れています。学生時代の師であり、今では盟友である名ピアニスト、ヘルムート・ドイチュをパートナーに、毎シーズン異なるレパートリーに挑戦し、ミニチュアのアリアを思わせるようなドラマをリートに盛り込む独自の解釈はリートの新しい可能性を指し示しているかのようです。
 そんなカウフマンが放つ最新盤は、ドイツ・リートの最高峰ともいえるシューマンとシューベルトの3つの歌曲集を組み合わせたもの。格段の繊細さと美しい声によって作品に内包された感情と詩のニュアンスを描き出した『詩人の恋』と『ケルナー歌曲集』は、2020年、コロナ禍のロックダウンの中でカウフマンの自宅で録音された音源で、2020年発売の『Selige Stunde(至福のとき)』と同時に収録されていました。シューマンの歌曲は言葉と音楽の感応が極めて密接で、歌手にも瞬発力が求められる難しいレパートリー。カウフマンの生地かつ綿密なキャラクター付けによって、聴きなれた子の2曲の歌曲から新たなドラマが浮かび上がってくるかのようです。
 DVDは、シューベルトの『白鳥の歌』を気鋭のドイツの演出家クラウス・グートが舞台作品化した『ドッペルゲンガー(影法師)』の映像を収録。『白鳥の歌』の最終曲をタイトルにしたこの舞台は、シューベルト最晩年の絶唱ともいうべき歌曲を集めたこの歌曲集を21世紀の演劇的な視点で捉えなおし、強烈な視覚的なイメージによって作品に新たな生命を吹きこみ、「シューベルト歌曲が想像力豊かに、しかも肺腑を抉られるような驚きをもって舞台化された・・・驚愕のあまり観客が息を止めるのが感じられた」と高く評価されました。2023年9月、ニューヨークのパーク・アヴェヌー・アーモリー(1880年に完成したアメリカ陸軍の武器庫をライヴ・イベント用に改装した会場)で初演された時の映像です。
 第1次世界大戦中の軍事病院を思い起こさせるセッティングの中で、カウフマン演じる一人の兵士が自分は死んでいたことに気づくという戦慄のドラマで、生きていることの切実さ、そして死とは急に訪れるエンドマークではなく、人生という旅の終着地点であるということを描いています。
 CDには、カウフマンがミュンヘン音楽大学でドイチュのクラスで学んでいた1994年に録音された『詩人の恋』の6曲が、カウフマンのプライヴェート録音からボーナス・トラックとして収録されています。

【プロフィール】
ヨナス・カウフマンは1969年7月10日、ミュンヘン生まれ。ミュンヘン音楽大学卒。1993年デビュー。2001年からチューリッヒ歌劇場のアンサンブルとして頭角をあらわし、2006年のメトでのアルフレード、コヴェント・ガーデンでのドン・ホセで世界的にブレイク。あらゆる歌劇場が登場を待ち望む現代屈指のテノール。(輸入元情報)

【収録情報】
CD
シューマン:
● 歌曲集『詩人の恋』 Op.48

 第1曲:うるわしい、妙なる5月に
 第2曲:ぼくの涙はあふれ出て
 第3曲:ばらや、百合や、鳩
 第4曲:ぼくがきみの瞳を見つめると
 第5曲:ぼくの心をひそめてみたい
 第6曲:ラインの聖なる流れの
 第7曲:ぼくは恨みはしない
 第8曲:花が、小さな花がわかってくれるなら
 第9曲:あれはフルートとヴァイオリンのひびきだ
 第10曲:かつて愛する人のうたってくれた
 第11曲:ある若ものが娘に恋をした
 第12曲:まばゆく明るい夏の朝に
 第13曲:ぼくは夢のなかで泣きぬれた
 第14曲:夜ごとにぼくはきみを夢に見る
 第15曲:むかしむかしの童話のなかから
 第16曲:むかしの、いまわしき歌草を

● ケルナーの12の詩 Op.35
 第1曲:楽しき嵐の夜
 第2曲:愛も喜びも滅するがよい
 第3曲:さすらいの歌
 第4曲:新緑
 第5曲:森の方を焦がれて
 第6曲:亡き友にの盃に寄せて
 第7曲:さすらい
 第8曲:秘めたる恋
 第9曲:問い
 第10曲:人知れぬ涙
 第11曲:おまえを傷つけたのは誰か
 第12曲:懐かしい響き

 ヨナス・カウフマン(テノール)
 ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)

 録音時期:2020年4月20-23日
 録音場所:ドイツ、オーバーバイエルン州、ヘルシング・アム・アンマーゼー
 録音方式:ステレオ(デジタル)

(ボーナス・トラック)
● 歌曲集『詩人の恋』 Op.48より
 第1曲:うるわしい、妙なる5月に
 第2曲:ぼくの涙はあふれ出て
 第3曲:ばらや、百合や、鳩
 第4曲:ぼくがきみの瞳を見つめると
 第5曲:ぼくの心をひそめてみたい
 第7曲:ぼくは恨みはしない

 ヨナス・カウフマン(テノール)
 ヤン・フィリップ・シュルツェ(ピアノ)

 録音:1994年3月19日、ミュンヘン
DVD
● ドッペルゲンガー(影法師)

 シューベルト『白鳥の歌』をドラマ化した舞台
 ニューヨーク・パーク・アヴェニュー・アーモリー委嘱作

01. オープニング

シューベルト:
02. 白鳥の歌 D.957〜第2曲:戦士の予感
03. 白鳥の歌 D.957〜第1曲:愛の使い
04. 白鳥の歌 D.957〜第6曲:遠国にて
05. 白鳥の歌 D.957〜第3曲:春の憧れ
06. 白鳥の歌 D.957〜第4曲:セレナード
07. 秋 D.945
08. 白鳥の歌 D.957〜第5曲:住処
09. 白鳥の歌 D.957〜第7曲:別れ
10. ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960〜第2楽章:アンダンテ・ソステヌート
11. 白鳥の歌 D.957〜第9曲:彼女の肖像
12. 白鳥の歌 D.957〜第8曲:アトラス
13. 白鳥の歌 D.957〜第10曲:漁師の娘
14. 白鳥の歌 D.957〜第12曲:海辺にて
15. 白鳥の歌 D.957〜第11曲:街
16. 白鳥の歌 D.957〜第13曲:影法師

17. 拍手とエンディング・クレジット

 ヨナス・カウフマン(テノール/兵士)
 ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)

 看護師:ジャクリーヌ・カイル、アヤコ・カメイ、ニコル・リュング、ベリンダ・マクガイア、他
 兵士:グザヴィエ・アレクザンダー、ナイク・ベイカー、マテウス・バルボーサ・ダ・シルヴァ、他

 演出:クラウス・グート
 オリジナル曲・サウンド作曲:マティス・ニチュケ
 舞台装置:マイケル・レヴァイン
 衣装:コンスタンス・ホフマン
 照明:ウルス・シェーネバウム
 音響:マーク・グレイ
 映像:ロカフィルム
 振付:ゾンマー・ウルリクソン

 収録時期:2023年9月22-28日
 収録場所:ニューヨーク、パーク・アヴェヌー・アーモリー(ライヴ)


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