福井 敬/愛を抱いて
「皆様の前で『歌』を歌い始めてから30年が過ぎました。
その間に、本当に沢山の方から『愛』を頂き、抱き、抱かれながら、共に音楽を創り上げて来たように思います。
数限りない皆様からの『想い』がなければ、私が今日まで歌い続けることは出来なかったでしょう。
このアルバムは、そのような皆様へのお礼、『アンコール』として選曲しました。心からの『感謝』を込めて。」〜福井 敬(販売元情報)
【収録情報】
01. 木下牧子:しぬまえにおじいさんのいったこと
02. 木下牧子:竹とんぼに
03. 木下牧子:鷗
04. シューベルト:音楽に寄せて
05. ヴォルフ:もう春だ!
06. R.シュトラウス:愛を抱いて
07. R.シュトラウス:万霊節
08. R.シュトラウス:明日!
09. R.シュトラウス:献呈
10. マスネ:君の青い目を開けて
11. ドビュッシー: 星の夜
12. フォーレ:リディア
13. チマーラ:海のストルネッロ
14. レオンカヴァッロ:朝の歌
15. ガスタルドン:禁じられた音楽
16. ララ:グラナダ
17. ロッシーニ:踊り
18. アーン:クロリスに
19. ダッラ:カルーソー
20. 中島みゆき:糸
福井 敬(テノール)
谷池重紬子(ピアノ)
有志女声コーラス(20)
録音時期:2023年8月
録音場所:神奈川県、相模湖交流センター
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
【ブックレットから 宮谷尚実 (国立音楽大学教授 】
「福井 敬といえば、いまや日本におけるクラシック音楽界の大黒柱といってよいだろう。
1992年にオペラ《ラ・ボエーム》のロドルフォ役でデビュー以来、二期会やびわ湖ホールや新国立劇場のさまざまなオペラで主役を務め、《第九》のソリストやNHKニューイヤーオペラコンサートでは年末年始の華やぎを彩る、実に魅力的なテノール歌手である。豊かな響きの美声、安定した音程、音楽性、表現力、舞台上の演技力、実直かつ朗らかな人柄、音楽への情熱、さまざまな美点が挙げられる 。けれども、福井さんの出演するリサイタルやオペラ公演には遠方からでも足を運びたくなり、新しいCDを楽しみに待つ、そんな気持ちにさせられるの は、もっとまだ 他にも「なにか」があるからだろう。
福井さんが数年前に国立音楽大学の新入生および専門課程に進んだばかりの3年生を対象に「歌うとは?」と題したお話のなかで、「理想的な発声」の形としたのは「赤ちゃんの発声」だった。また「歌うということの根源」を学生たちに伝えるために、福井さん自身が大学受験準備講習会を初めて受けた夏に遡り、「師匠である平野忠彦先生に『おい、福井君、呼気と吸気っていうのがあってだな…』と教えて頂いた」というエピソードを紹介している。福井さんによれば、「吸気」とはただ息を吸うことではなく、五感を駆使して取り入れたさまざまな情報を知覚することに他ならず、そこから人は思考し、感情や思いが生まれてくるという。そして、それらの思考や感情や思いが「呼気」によって言葉をともなった呼びかけとなり、歌となる。このように捉える福井さんにとって、まさに「歌うことは生きること」なのだ。そして、赤ん坊のように自然体で世界からさまざまなものを吸収し、世界に呼びかけることを、福井さんはその歌の根源かつ理想としている。
オペラ作品でも歌曲でも、ひとつの言語圏に留まらず、イタリア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、日本語、各地の空気を胸いっぱいに吸い込みながら福井さんは歌い、表現しつづける。今回のCDは、福井さんが長年にわたり全幅の信頼を寄せるピアニスト谷池重紬子さんとともに巡ってきた音楽の世界の素敵な旅のアルバムだ。「こども」の純粋さを忘れず自然体で世界を深呼吸するテノール歌手福井敬の旅に終わりはない。次はどんなチャレンジを見せてくれるだろう。目と耳と心が離せない。」(販売元情報)
【福井 敬(テノール) 略歴】
岩手県奥州市出身。国立音楽大学及び同大学院、文化庁オペラ研修所修了。文化庁在外派遣等により渡伊。イタリア声楽コンコルソ、ミラノ大賞第1位 、芸術選奨文部大臣賞新人賞及び文部科学大臣賞、五島記念文化賞オペラ新人賞、ジロー オペラ新人賞及びオペラ賞、出光音楽賞、エクソンモービル音楽賞本賞等、受賞多数。 2022年岩手日報文化賞、 2023年宮沢賢治イーハトーブ賞を受賞。
東京二期会『ラ・ボエーム』ロドルフォ役での鮮烈デビュー以来30年以上に渡り、新国立劇場『ローエングリン』『トスカ』『罪と罰』『修善寺物語』、二期会『オテロ』『蝶々夫人』『カルメン』『ホフマン物語』『ファウストの劫罰』『トリスタンとイゾルデ』、びわ湖ホール・神奈川県民ホール『アイーダ』『椿姫』『タンホイザー』『ワルキューレ』等、豊潤なレパートリー、英雄的かつノーブルな存在感、深い苦悩の表現で聴衆を魅了。各々の異なる様式感を的確に表現し切り、プロダクションの全てを高いレベルで成功に導いた。特に『トゥーランドット 』カラフ役は様々なプロダクションで絶大な称賛を得ている。近年も『パルジファル』『フィデリオ』『サムソンとデリラ』『エドガール』『サロメ』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』等、果敢に挑戦を続けている。 2023年共同制作オペラでは、狂言師野村萬斎演出による喜歌劇『こうもり』アイゼンシュタイン役で新境地を披露。
「第九」や宗教曲のソリストとしても小澤征爾、ロリン・マゼール、若杉 弘等多くの国際的指揮者から信頼を得ており、ズービン・メータ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との「第九」のソリストを務めるなど、国内外の主要楽団と共演。オリジナリティ溢れるリサイタルも好評を博し、その世界観に多くの人が共感し続けている。
CDは「君を愛す」、「悲しくなったときは」、「美しき水車小屋の娘」(日本語詞、松本 隆) 、「朝は薔薇色に輝き」 クラウドファンディングによる「宮澤賢治歌曲全集 イーハトーブ歌曲集」等多数。
国立音楽大学教授。東京藝術大学非常勤講師。二期会会員。奥州大使。(販売元情報)