アルゼンチン生まれのプリマドンナ、イナ・スパーニの全録音集
「marston」の新譜は、アルゼンチン生まれのプリマドンナ、イナ・スパーニの全録音集。イナ・スパーニは1890年、アルゼンチン、ブエノスアイレス近郊のプアンの生まれ。本名はイヒニア・トゥニャン。幼くして歌の才能を発揮し、ブエノスアイレスで学んだ後、ミラノに留学。1915年にミラノのスカラ座に初出演。1920年代にはイタリア各地と南米でプリマドンナとして大活躍しました。1924年にプッチーニが亡くなった時には、ミラノでの追悼式典でスパーニはアルトゥーロ・トスカニーニの指揮で歌っています。1928年には偉大なネリー・メルバの故郷オーストラリアでの楽旅に同行しています。イタリアでは1935年まで活動し、主要なヒロイン役をあらかた歌いました。またイタリア人歌手とは異なり、歌曲にも積極的に取り組みました。残念ながらロンドンを含めた英語圏であまり活躍することがなく、そのため実力に見合った国際的名声を受けられませんでした。
スパーニの声は中音域ではやや古めかしさも感じられますが、太く力強い声のまま輝かしい高音を鳴り響かせ、しかもそこに透明感すら感じさせる極めて優れたもの。加えて知的な表現力にも長けていて、このCDを聴けば、これほどのプリマドンナがなぜ半ば埋もれてしまったのか、誰でも不思議に思うのではないでしょうか。
余白に収録されているジャンニーナ・アランジ・ロンバルディ[1891-1951]は、スパーニとほぼ同世代のイタリアのソプラノ。彼女は当時のイタリアを代表するプリマドンナとして絶大な人気を誇り、SPの時代でありながらヴェルディ『アイーダ』、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』、ポンキエッリ『ジョコンダ』、ボーイト『メフィストーフェレ』といったオペラの全曲録音を残したほど。その力強い声はまさにヴェリズモ時代のプリマドンナの栄光そのもの。お得意のヴェルディのアリアが聴けます。なお彼女の姓はしばしばアランジ=ロンバルディ(Arangi-Lombardi)と繋げられて表記されますが、アランジ・ロンバルディ(Arangi Lombardi)が正しいとのこと。(輸入元情報)
【収録情報】
『イナ・スパーニ(ソプラノ) 全録音集』
【COLUMBIA GRAPHOPHONE COMPANY 録音】
● ヴェルディ:『仮面舞踏会』〜私は死にましょう
● 『アイーダ』〜ああ 私の祖国よ
● マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』〜お前がここに、サントゥッツァ/いいえ、トゥリッドゥよ(共演:パオロ・マジーニ:テノール)
● プッチーニ:『マノン・レスコー』〜この柔らかなレースの中で
● 『トスカ』〜歌に生き、愛に生き/『蝶々夫人』〜ある日見るでしょう
● ジョルダーノ:『アンドレア・シェニエ』〜死んだ母は
録音:1924年/ミラノ
【THE GRAMOPHONE COMPANY, LTD 録音】
● ロッシーニ:『ギヨーム・テル』〜暗い森(イタリア語)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1931年7月7日
● ワーグナー:『ローエングリン』〜悲しい日々にひとり(イタリア語)
管弦楽伴奏 録音:1928年4月10日
● ワーグナー:『ローエングリン』〜そよ風よ、私の嘆きを聞いておくれ(イタリア語)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月15日/ミラノ
● グノー:『ファウスト』〜彼は私を愛している
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1928年4月3日
● ヴェルディ:『仮面舞踏会』〜けれど乾いた茎から
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月11日
● ヴェルディ:『トロヴァトーレ』〜穏やかな夜
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月15日/ミラノ
● ヴェルディ:『トロヴァトーレ』〜愛は薔薇色の翼に乗って
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1928年4月10日
● ヴェルディ:『オテロ』〜あなたが 追放の生活を語った時
ジョヴァンニ・ゼナテッロ(テノール)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1926年11月8日、12月3日
● ヴェルディ:『オテロ』〜彼女は寂しい荒野で歌いながら泣いている(柳の歌)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1928年4月3日
● マスネ:『マノン』〜さようなら、私たちの小さなテーブルよ(イタリア語)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1929年5月3日/ミラノ
● レオンカヴァッロ:『道化師』〜私の運命を決めてくれ/いや、あなたは私を愛していないのだ
アポッロ・ジャンフォルテ(バリトン)
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月12日/ミラノ
● プッチーニ:『マノン・レスコー』〜この柔らかなレースの中で
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月10日
● プッチーニ:『ボエーム』〜あなたの愛の呼ぶ声に
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1927年3月12日/ミラノ
● プッチーニ:『トスカ』〜歌に生き、愛に生き
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1929年5月3日/ミラノ
● プッチーニ:『蝶々夫人』〜お前よ、小さな偶像よ
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1929年5月6日/ミラノ
● カタラーニ:『ワリー』〜ではここから遠くに行きましょう
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1928年4月3日
● カッチーニ:アマリッリ
● チャンピ:少女
● A.スカルラッティ:もしフロリンドが誠実なら
ジーノ・ナストルッチ指揮、弦楽合奏団 録音:1929年7月1日/ミラノ
● パラディエス:あのせせらぎ
● パリゾッティ(伝ペルゴレージ):もしあなたが私を愛して
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年4月14日/ミラノ
● ティリンデッリ:ああ春よ
カルロ・サバイーノ指揮、スカラ座管弦楽団 録音:1931年4月14日
● ブラームス:子供のための民謡集 WoO31〜眠りの精(イタリア語)
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年4月15日/ミラノ
● ブラームス:昔の恋 Op.72-1(イタリア語)
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年4月22日/ミラノ
● ドヴォルザーク:ジプシーの歌 Op.55〜弦の調子をあわせて/鷹の翼はタトラの峰高く
ジーノ・ナストルッチ指揮、室内管弦楽団 録音:1929年7月1日/ミラノ
● グラナドス:分別あるマホ
● ニン:山に住む人
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年5月2日/ミラノ
● ウガルテ:祝日
● ブチャルド:馬車引きの歌
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年4月17日/ミラノ
● オブラドス:クーロ・ドゥルセの唄
ジーノ・ナストルッチ指揮、二重の五重奏団 録音:1930年4月22日/ミラノ
『ジャンニーナ・アランジ・ロンバルディ(ソプラノ)、ヴェルディ・アリア集』
● ヴェルディ:『トロヴァトーレ』〜恋は薔薇色の翼に載って
管弦楽団 録音:1927年4月30日
● ヴェルディ:『運命の力』〜天使の中の聖処女よ
管弦楽団&合唱団 録音:1926年3月6日
● ヴェルディ:『仮面舞踏会』〜私は死にましょう
管弦楽団 録音:1933年12月7日
● ヴェルディ:『第1回十字軍のロンバルディア人たち』〜聖処女よ、私はあなたに願います/マリア様、お救いください!/もし祈りが無駄ならば
管弦楽団 録音:1933年12月9日
● ヴェルディ:『アイーダ』〜ここにラダメスが来るだろう/ああ青い空も
管弦楽団 録音:1928年11月14,15日
Producers: Ward Marston and Scott Kessler
Audio Conservation: Ward Marston, J. Richard Harris, and Christian Zwarg