ドイツのレーベル、メンブランが復刻したオペレッタ・シリーズの一枚。
パウル・リンケの喜歌劇『ルナ夫人』の全曲盤である。
この作品、なんといってもベルリンの風が大変有名であるが、オペレッタ本体は殆ど録音がなく、手に入りやすい全曲盤はこれぐらいと言う大変貴重な音源。
ベルリンの風以外にも代表作だけあって、メロディの良い曲が次々と出てきて面白い。
演奏は、ヴィルヘルム・シュテファン指揮、ハンブルク放送管弦楽団。
指揮者のシュテファンは、ドイツ国防軍軍楽隊出身で、陸軍歩兵第59連隊軍楽隊隊長を務め、戦後はハンブルク放送で働き、後に軍楽隊の世界に戻り西ドイツ連邦軍軍楽総監になった人物です。
ハンブルク放送時代に多数の貴重なオペレッタを残しており、これもその一つ。
ドイツのオケらしいがっしりしたサウンドにメリハリのついた演奏、ベルリンの風は軍楽隊出身者らしい演奏で良いです。
後年、ドイツ連邦陸軍第6軍楽隊とも残したベルリンの風ですが、こちらの方が演奏は良いと感じます。
歌手も若き頃のローテンベルガーを初め、好演しています。
1954年録音なので音はイマイチな所がありますが仕方ないしょう。
またオマケとしてヴァルター・コロの喜歌劇『3つの古い箱』のハイライトが、フランツ・マルスツァレク指揮、ケルン・ダンス・ウンターハルトゥング管弦楽団の演奏で収録されています。
あまり録音のないコロの貴重な音源ですが、このCDに収められた音源は全曲からの抜粋で全曲盤を手に入れた方が良いでしょう。
演奏自体は悪くないのですが。