ドヴォルザーク交響曲第９番「新世界」他　クラシック

ヨーロッパコンサート2002　ドヴォルザーク《新世界より》他

クラウディオ・アバドがベルリン・フィルの芸術監督就任直後、発案したヨーロッパ・コンサートの第１回1991年（プラハ）から、12周年目にあたる2002年、芸術監督として最後の演奏会となった、ヨーロッパ・コンサート2002は、シチリアの州都パレルモのマッシモ劇場で2002年5月1日に開催されました。再建成ったマッシモ劇場の美しい空間に繰り広げられた演奏は繊細な叙情と大胆な表情が奇跡的なバランスを形作り、ベルリン・フィルの団員達のアバドに対する敬愛の念、アバド時代を愛惜する聴衆の熱い思いをヴィヴィッドに伝えてやみません。
特典映像日本語字幕：松沢　憲


曲目
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
《エグモント》序曲 op. 84
ヨハネス・ブラームス(1833-97)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77*
アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)
交響曲第9番 ホ短調 op. 95《新世界より》
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)
《シチリアの晩鐘》序曲

●特典映像
パレルモのポートレート

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮：クラウディオ・アバド
ヴァイオリン独奏：ギル・シャハム*

2002年5月1日
マッシモ劇場（パレルモ）におけるライヴ収録

製品仕様
収録時間　　全プログラム132分（本編112分　特典映像20分）
特典映像字幕　　日本語・英語
ヴィデオ仕様　　16：9　カラー
本編音声仕様　　�@リニアＰＣＭ48kHz/16bit　ステレオ
�Aドルビーデジタル　5.1chサラウンド
�BDTS　5.1chサラウンド
ディスク仕様　　片面2層


ライナーノーツより（抜粋）
時代的にベルリン・フィルの1990年代の歩みはクラウディオ・アバドの芸術監督時代（1990〜2002）と重なることになるが、「ヨーロッパ・コンサート」はアバドを核としながらも実に多彩な指揮者陣が受け持つ形で続けられてきた。バレンボイム、ハイティンク、ヤンソンスらが登板、ベルリン・フィルの傑出した音楽性と磨き抜かれたテクニックとを駆使した感動的な演奏を作り出してきたが、2002年５月１日の「ヨーロッパ・コンサート」はアバドの故国イタリアはシチリアの州都パレルモのマッシモ劇場に場所をとり、ベートーヴェンの序曲「エグモント」、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、そしてドヴォルザークの交響曲第９番「新世界より」といった魅力的な作品がならべられた。
広く知られているようにアバドは2000年に苛酷な闘病生活を送った経過があるが、退院後は見事に復帰したばかりか、さらに音楽性を深めた演奏活動を繰り広げるようになり、聴き手を新たなる感動の領域へと誘っている。このパレルモでのコンサートは、先立つ同年２月ローマで行われたベートーヴェン・チクルスでも確認されたように、指揮者アバドの完全復活を告げる偉業であることはもちろんだが、20世紀最後の10数年間を芸術監督として立派に務め上げ、さらに21世紀へと橋渡しをしてきたアバドのベルリン・フィル芸術監督としてのほとんど最後の姿を記したものということになる。いわば12年のアバド＝ベルリン・フィルの軌跡を凝縮した感動がこめられた演奏会と言ってもよいであろう。
端正で、凛々しく、しかも情熱的気迫と慈しむような美しさを秘め持つマエストロ、それがアバドであると思われるが、このパレルモでのコンサートは、予想外のうねるような躍動感が横溢、いつになく演奏が晴れやかで、開放感に満ちている。アバドお気に入りの作品がならんだことも幸いしたことであろうし、ソリストにここ数年来、共演を重ねてきた若き名手シャハムが迎えられた点も、このコンサートを一段と幸福感あふれるものにしているように思われてならない。また長らく修復のため閉鎖されていたこの劇場が再オープンされた1997年、そのオープニングを飾ったのがアバド率いるベルリン・フィルの演奏会であったなど、何かといい思い出につながる地でのコンサートだったようである。（諸石幸生）