クルト・マズア　音楽と平和のための人生〜コンサートとドキュメンタリー集（５ＤＶＤ）

クルト・マズアDVDボックス

クルト・マズアのドキュメンタリーDVD1枚と、コンサート映像のDVD4枚からなる5枚組DVDボックス。内訳は、Disc1がドキュメンタリー、Disc2･3･4が、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮したコンサート映像、Disc5がヴェルビエ祝祭管弦楽団を指揮したコンサート映像というものです。
　コンサート映像の曲目は、下記の通り盛りだくさんなもの。

● ムソルグスキー／ゴルチャコフ編：組曲『展覧会の絵』
● メンデルスゾーン：交響曲第4番イ長調 op.90『イタリア』
● メンデルスゾーン：『真夏の夜の夢』序曲 Op.21
● メンデルスゾーン：ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64
● メンデルスゾーン：交響曲第3番イ短調 Op.56『スコットランド』
● メンデルスゾーン：『真夏の夜の夢』 Op.61より結婚行進曲
● ニコライ：『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
● モニューシュコ：『ハールカ』〜マズルカ
● ブラームス：愛の歌−ワルツ op.52より
● ドヴォルザーク：スラヴ舞曲ホ短調 op.72-2
● チャイコフスキー：イタリア奇想曲 op.45
● バーンスタイン：『ウェスト・サイド物語』〜マンボ
● ガーシュウィン：『ポーギーとベス』より
● デュカス：交響詩『魔法使いの弟子』
● ビゼー：『カルメン』前奏曲
● ジョビン：イパネマの娘
● メンデルスゾーン：ピアノ協奏曲第1番ト短調 Op.25
● メンデルスゾーン：交響曲第3番イ短調 Op.56『スコットランド』

Disc2、1993年のゲヴァントハウスでのライヴ映像のメインは『展覧会の絵』。『展覧会の絵』といえば、ピアノ原曲をラヴェルがオーケストレーションした「ラヴェル編曲版」が一般的でレコーディングも多く、映像ソフトでは大多数がラヴェル版なのですが、このDVDに収められているのはセルゲイ・ゴルチャコフによる編曲版というものです。
　モスクワ音楽院の教授だったセルゲイ・ゴルチャコフによる編曲(1950年)は、あまりに華麗になり過ぎたラヴェル版から、より原曲のロシア的な要素を生かすことを目的とした、とされています。実際、ラヴェル版より色彩は地味に抑えられ、どこか暗く重厚な趣がまた違った味わい。ラヴェル版ではカットされたり、音程を変えられたりしていた箇所が原曲どおりに演奏されたり、ソロを取る楽器が違うなど新鮮です。マズアはゴルチャコフ版を好んで取り上げている指揮者で、かつてのCD録音でも同版で演奏していました。
　このコンサートの最初の曲は、ゲヴァントハウスゆかりの作曲家、メンデルスゾーンの交響曲第4番。こちらもマズアの得意曲です。

　クルト・マズアは東ドイツの歌劇場指揮者としてキャリアをスタートした、いわゆるカペルマイスター・タイプの指揮者ですが、40代からはコンサートでの指揮がメインとなり、ゲヴァントハウス管弦楽団との名コンビぶりで知られたほか、海外オーケストラへの客演活動も熱心に展開、西側の流儀もどんどん取り入れながら芸域を広げ、東ドイツを代表する指揮者としてその存在感を高めていきました。
　東西ドイツ統一の際にも、東ドイツ芸術アカデミーの会員で国家からの受賞も多かったマズアさんの発言と行動は影響力が大きかったようで注目を集めてもいました。
　統一後、ほどなくしてニューヨーク・フィルの音楽監督となり、2000年にはロンドン・フィルの首席指揮者、2002年にはフランス国立管弦楽団の音楽監督となって2008年まで務めあげます。
　その後はフリーとして各国のオーケストラに客演するという多忙な日々を過ごしていましたが、2012年にはパーキンソン病であることを公表、80代半ばという高齢にも関わらず、また、転倒や落下といった事故や怪我にも負けずに不屈の闘志で指揮活動を続けていましたが、2015年12月19日、パーキンソン病の合併症によりついに力尽きて亡くなられてしまいました。壮絶な指揮者人生でした。（HMV）

【収録情報】
Disc1（120分）
● ドキュメンタリー「平和革命とドイツ統一」（1999年制作　オリヴァー・ベッカー監督）
● ドキュメンタリー「二つの都市、一人のマエストロ」（1992年制作　アラン・ミラー監督）
● ドキュメンタリー「名曲発見〜メンデルスゾーン：ヴァイオリン協奏曲」（2007年制作　/アンゲリカ・シュティーラー監督）

Disc2（71分）
● メンデルスゾーン：交響曲第4番イ長調 op.90『イタリア』
● ムソルグスキー／ゴルチャコフ編：組曲『展覧会の絵』

　ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
　クルト・マズア（指揮）

　収録：1993年9月15,16日　ライプツィヒ（ライヴ）
　監督：エリザベス・ビルケ＝メルツァー

Disc3（82分）
『ライプツィヒ・ゲヴァントハウスのガラ・コンサート』
● メンデルスゾーン：『真夏の夜の夢』序曲 Op.21
● メンデルスゾーン：ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64
● メンデルスゾーン：交響曲第3番イ短調 Op.56『スコットランド』
● メンデルスゾーン：『真夏の夜の夢』 Op.61より結婚行進曲

　フランク＝ミハエル・エルベン（ヴァイオリン）
　ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
　クルト・マズア（指揮）

　収録：1997年　ライプツィヒ、ゲヴァントハウス（ライヴ）
　監督：ボブ・コールス

Disc4（90分）
『クルト・マズア／ライフ・イン・ミュージック〜アニヴァーサリー・ガラ・フロム・ライプツィヒ』
● ニコライ：『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
● モニューシュコ：『ハールカ』〜マズルカ
● ブラームス：愛の歌−ワルツ op.52より
● ドヴォルザーク：スラヴ舞曲ホ短調 op.72-2
● チャイコフスキー：イタリア奇想曲 op.45
● バーンスタイン：『ウェスト・サイド物語』〜マンボ
● ガーシュウィン：『ポーギーとベス』より
● デュカス：交響詩『魔法使いの弟子』
● ビゼー：『カルメン』前奏曲
● ジョビン：イパネマの娘

　ハラルト・シュミット（司会）
　MDR放送合唱団
　ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
　クルト・マズア（指揮）

　収録：2007年6月15,16日　ライプツィヒ、ゲヴァントハウス（ライヴ）
　監督：ゲオルク・ヴューボルト

Disc5（100分）
『メンデルスゾーン・イン・ヴェルビエ』
● メンデルスゾーン：ピアノ六重奏曲ニ長調 Op.110
● メンデルスゾーン：ピアノ協奏曲第1番ト短調 Op.25
● メンデルスゾーン：交響曲第3番イ短調 Op.56『スコットランド』
● ストラヴィンスキー：『ペトルーシュカ』からの3楽章（特典映像）

　ユジャ・ワン（ピアノ）
　キリル・トルソフ（ヴァイオリン）
　デイヴィット・アーロン・カーペンター（ヴィオラ）
　マクシム・リサノフ（ヴィオラ）
　ソル・ガベッタ（チェロ）
　レイ・メッシュ（コントラバス）
　ヴェルビエ祝祭管弦楽団
　クルト・マズア（指揮／協奏曲と交響曲）

　収録：2009年7月29日（六重奏曲）、30日（協奏曲、交響曲）、8月1日（特典映像）　スイス、ヴェルビエ音楽祭（ライヴ）
　監督：フランソワ＝ルネ・マルタン、フィリップ・ベジア、ピエール＝マルタン・ジュバン

　画面：カラー、4:3（Disc1,3）、16:9（Disc2,4,5）
　音声：PCMステレオ（Disc1,2）、PCMステレオ＆DTS5.1（Disc3,4,5）
　字幕：英、独（Disc1）
　NTSC
　Region All