この値段設定ならば少し背伸びして３ＣＤセットの“Ｌｉｖｅ”がお薦め。そうすればトリノ大学でのライヴ二枚ぶん余計に楽しめるので。もっともいちばん美味しいのはこの一枚だけれども。

最高！ですが、アレア初心者が「買ってはいけない」アルバムのダントツNo.1アルバムでもあります。バンドの背骨であるリズムセクションが参加していませんので他のアルバムのような暴走ジャズロックは聴く事ができません。最低でも「Maledetti」を聞き通し、最後の「カオス・パート２」に馴染んでから手を出しましょう。しかし、骨抜き軟体動物となったアレアとゲスト・ミュージシャン達の作り出す混沌は、ハマるととても心地良いです。デメトリオのボーカルは勿論ですが、ファリセッリとトファーニの非凡なセンスも聞き逃せません。

ついでに一言すれば本品は三枚組ボックスセットで、単品発売された『パリ・リスボン』および７６年（７７年にあらず）トリノ大学での二枚組ライヴとを組み合わせたもの。評価は下記リヴューと同じ。

ブートレグ並の潰れたまんじゅうのような劣悪な音質ながら演奏はロック界で最高、 魂が思わず震える。単純に演奏水準のみ較べればキング・クリムゾンの上を行き、マグマと覇を争うだろう。しかも最近のテクニック至上派の感性の無いサウンドとはわけが違う、楽曲としての素晴らしさ。ああ、これで音質さえ良ければエレクトリック・マイルスと並ぶ一生もののライヴなのだが...。

まだ聴き込まぬうちに書いた６月１８日の意見は無視してもらっていい。１２月１０日のリヴュアーの言う通りでデメトリオのヴォーカルが強く押し出されていたため、当初は少々面喰ったが本アルバムもやはり独特の緊張感が漲っておりアレア最後の傑作の名に恥じない。緊密な構成美からデメトリオのヴォーカルの味わいがひしひしと伝わってくる。デメトリオとファリセッリ、アレアには世界最高の歌い手と鍵盤奏者がいた。

私はこのアルバムでアレアにハマリました。デメトリオ・ストラトス存命中のアルバムの中ではライブ盤を除けば一番時間が長いですが、捨て曲無し、全編非の打ち所無しの傑作です。デメトリオのヴォーカルが最も前面に出ているアルバムですので、イタリア語の響きが好きな人やデメトリオのヴォーカルに興味がある人はこのアルバムからアレアを聴き始めるのが良いでしょう。

アレアの音盤の中では聴きやすい。 LPレコードの時には気づかなかったけど、デメトリオ・ストラトスの歌声が１２センチの円盤に入れられてるのを考えると狭苦しくてかわいそうな気がした。記録メディアがコンパクトになるほど、生で聴いておきたかったバンドが明らかになってくるよね。

たしかに先着の短評通りでたいする付言はひとつも無いのだが、残念ながら音質には大いに不満を抱かざるを得ない。これでは魅力半減である。絶頂期のマイルス・デイヴィスやマグマ、1972年のキング・クリムゾンにも匹敵する大迫力、演奏力、渾身の音によるメッセージなので惜しいといえばあまりにも惜しい。

アレアの、というよりロック史上最も前衛的かつ過激なライヴとなった。デメトリオの肉声によるさまざまな擬音も挑発的で聴きものだが、バンドの双頭の鷲のいま一つの頭脳であるファリセッリの鍵盤奏者としてのロック界随一ともいうべき非凡な腕前をここでは強調したい。きわめて高度な演奏技術に裏打ちされたアルバムで、こういった前衛作品が陥りやすい観念先行形とは確実に一線を画す。

彼等が七十年代という旅路において表現したすばらしい音の数々を言い表すことなんて、とてもできない。これは選曲において『アレ(ア)ツィオーネ』を上回る決定版ライヴ、お役人どもが目覚めていればイタリアの国宝的存在だろう。ただし音質を問わなければ。