ドイツの出版社ルンデルと、日本のブレーン社がコラボしたルンデルシリーズの最新作。
演奏は前作、前々作と素晴らしい演奏を披露した、海上自衛隊東京音楽隊と、隊長、河邊一彦2等海佐の指揮によります。
今回はドイツの作品を集めたと帯に書いてあるのですが、イタリアやデンマークの作品があったりします。
東京音楽隊がこのシリーズを担当するようになってからこのシリーズには、めったに演奏されない珍しいクラシックが取り上げられるようになりましたが、今回もワーグナーの『祝典音楽』やフチークの『愛の炎』と言った珍曲が収録されています。
特に愛の炎は他に録音が見た事がないので初録音かもしれません。
逆に新曲の吹奏楽オリジナル曲については前回同様、厳しめの評価になります。
例えばタイトルのウィルデンシュタインの伝説はドイツに伝わる古い民話を音にしたドラマチックな今時の曲なのですが、前後を重厚なワーグナーで挟まれているので軽く聴こえます。
他の曲も正直微妙で後述する音楽隊の演奏の良さにだいぶ助けられています。
とはいえ、オリジナル曲でもベテラン、ベーゼンドルファーは良いと思いますし、前作『アルカス』収録の新曲に比べれば多少は良くなっています。
今最もホットな海上自衛隊東京音楽隊の演奏は、いつもながら素晴らしいのですが、特にクラシック系の曲と相性が良いようで、ワーグナーの重厚なこれぞブラスというサウンド、フチークのウィンナ・ワルツさながらの軽やかなサウンド、そして吹奏楽と言えばマーチ、『ヴェネチア』『サンクトペテルブルグ万歳』はこれぞマーチというべきお手本のような名演!
今までこのシリーズ、日本語解説がありませんでしたが、このCDより楽曲解説が付きました。(といっても折り畳まれた紙が付いているだけなのですが)
ブレーンの録音は良いと感じた物は少ないのですが、このCDは曲と合っていて良いと思います。
ブレーンののCDは、どこか参考演奏集、録音も優れない、繰り返しの鑑賞にも耐えれるかと言った手放しで誉める事の出来るCDは少ないのですが、このCDもいわゆる参考演奏集ではありますが、演奏、録音、選曲ともに鑑賞耐えれるCDとして、吹奏楽好きはもちろん、クラシックファンにもおすすめの一枚だと思います。