優れた吹奏楽CDを世に送り出したSRCレーベルですが、その中で人気となったシリーズが、バンドスタンドシリーズでした。
イギリスの軍楽隊ではバンドスタンドという野外演奏会が行われて、好評を博しておりその演奏会で演奏される曲を集めたのがバンドスタンドシリーズのCDです。
SRCではまず近衛軍楽隊のアルバムを初めにリリースしましたが、その次にリリースされたのがこのCDで、イギリス王立砲兵隊軍楽隊の演奏で収録されたもの。
指揮者はマルコム・トレント中佐です。
演奏団体は近年ナクソスでスーザ吹奏楽作品全集の初期のアルバムに参加していた事で知られていますが、本CDの企画者及びレコーディングエンジニアは全く同じで、豊かな残響と優秀な録音が特徴です。
本CDは砲兵隊の軍楽隊ですが、海や旅をテーマにした曲が多いのですが、これは録音当時トラファルガー海戦から200年を記念する年であったためそれらの関連曲を中心に選曲されたとの事です。
指揮のトレント中佐は1966年に砲兵隊軍楽隊のコルネット奏者としで軍楽隊生活をスタートさせ、1981年に指揮者に転向し、イギリス陸軍副総監部軍楽隊、イギリス近衛騎兵ライフ・ガーズ軍楽隊の音楽監督等を歴任した後、2003年に古巣のこの軍楽隊の音楽監督になり2005年10月に退官しました。
本CDは2005年6月の録音で恐らく最後の録音でしょう。
上記の通り録音自体優秀なのですが演奏も吹奏楽らしいダイナミックさを持っており、スパークのオリエンタル急行や、アンセルの帆船らは表現力も見事で、そしてツェーレのトラファルガーを初めとした行進曲はさすが軍楽隊というべき堂々とした名演です。
行進曲ファン、吹奏楽ファンはもちろん、イギリス音楽ファン、選曲に少しでも興味を持った人はお勧めのアルバムです。