作曲家、高橋宏樹が書いた作品から行進曲を集めた内容のCDとなります。
演奏は海上自衛隊東京音楽隊、指揮は音楽隊長の樋口好雄2等海佐。
本CDには行進曲15曲と、ボーナストラックの2曲を含めた17曲を収録しています。
作曲者は現代の吹奏楽界では中々の数の行進曲を書いていると思いますが、行進曲集はこれが初めてのようです。
基本的にはスタンダードでオーソドックスなスタイルから、イギリスの式典行進曲を思わせる荘厳なスタイルの作風が多く、不協和音バリバリのコンサート・マーチスタイルの作品はありません。
『ファイヤーメンズ・ホリデー』あたりは正統派行進曲と言った言って良く、こういう作品が新たに書かれたというのは画期的ではないでしょうか。
とはいえ行進曲集と銘打っている割には行進曲ではない曲が収録されているのは気になります。
この他にも行進曲は幾つかあり中には海上自衛隊からの委嘱作品もある中あえてコラールとギャロップを入れる(ボーナスとはいえ)のはどうかなと思います。
企画はムジカ・エテルナ合同会社で吹奏楽コンクール課題曲を除くと全て同社からの出版作品のため参考演奏集としての側面もあるのでしょうが、かと言って課題曲でも『イギリス民謡による行進曲』『ストリート・パフォーマーズ・マーチ』は収録されておらず選曲面ではちょっと中途半端な印象を受けます。
演奏はさすが、普段から行進曲の演奏をよく手がけているとあり、手慣れた演奏といえます。
どれもが、安定した水準なのはさすがでしょう。
2016年8月、東京音楽隊隊長に就任して以来、ブレーンやユニバーサルに数枚の録音を残した樋口隊長ですが、本CDが在任中最後の市販録音だった模様。
また東京音楽隊のマーチ・アルバムは2009年4月録音に、当時の熊崎音楽隊長が振ってポニーキャニオンへ録音したマーチ・フォーエバー以来10年ぶり。
特定の作曲家の行進曲ばかりを集めた内容のCDとしては1995年に日本クラウンより発売された軍楽隊とともに歩んだ日本の吹奏楽シリーズ以来かと思われます。
本CDはの録音は2019年12月16日から19日、東京音楽隊奏楽堂にて。
録音をワコーレコードが担当しています。
セッション録音のはずですが、ちょっと音が悪く、細部が不明瞭な所があり、最高の録音とは言えないのが残念です。