マニフィカト
聖書ではイエスの生誕をめぐる物語は意外と少なく、新約「ルカによる福音書」第1章にしかありません。そこでは、マリアが大天使ガブリエルから受胎を告げられたあと、高齢ながら洗礼者ヨハネを宿していた親類のエリザベトを訪ねたとき、祝福されたのにこたえて口にした賛歌が「マニフィカト・アエマ・メア・ドミヌム(わたしの魂は主をあがめます)」とはじまるマリアが神をたたえた歌「マリアの賛歌」です。全部で12節からなっており、過去にも思いをいたしつつ、十代の少女が胸をはずませて喜び誇るようすが伝わってくるような内容で、音画法を誘うような表現や対句も見られます。
マニフィカトがポリフォニーで作曲されるようになったのはおもに15世紀初頭からで、即興的に対旋律をつけたり和声化していたものがこのころから記譜されるようになり、ダンスタブル、デュファイ、バンショワ、ビュノワらの作品が手写本として残されています。その後教会礼拝用の優れた合唱作品へと変わり、19世紀になると演奏会用の作品も作曲されるようになります。
このセットでは、イタリア後期ルネサンス音楽の作曲家ルカ・マレンツィオから、ペルトなどの現代までの『マニフィカト』を収録、様々な時代の音楽様式を確認できるものとなっています。J.S.バッハの『マニフィカト』は、1723年に4曲の挿入曲が入った変ホ長調クリスマス版、その後現在よく演奏されるニ長調の改訂版の両全曲版も収録。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
1. J.S.バッハ[1685-1750]:マニフィカト 変ホ長調 BWV.243a(クリスマス版)
2. アントニオ・カルダーラ[1671-1736]:マニフィカト ハ長調
ライニッシェ・カントライ、ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指揮)
Disc2
1. ヨハン・クーナウ[1660-1722]:マニフィカト ハ長調(ヨハン・シェッレ[1646-1701?]によるクリスマス版)
2. クーナウ:マニフィカト ニ長調
ライニッシェ・カントライ、ダス・クライネ・コンツェルト
ヘルマン・マックス(指揮)
Disc3
1. ルカ・マレンツィオ[1553/4-1599]:マニフィカト
スティーヴン・クレオバリー指揮、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団
2. クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]:マニフィカト(『聖母マリアの夕べの祈り』より)
アンドルー・パロット指揮、タヴァナー・コンソート&プレイヤーズ
3. ハインリヒ・シュッツ[1585-1672]:我が魂は主をあがめ SWV.494(ドイツ語マニフィカトより)
ハインツ・ヘニッヒ指揮、ハノーファー少年合唱団
ヒリヤード・アンサンブル、ロンドン・バロック
4. J.S.バッハ:マニフィカト ニ長調 BWV.243
ルチア・ポップ(ソプラノ)、アン・パシュリー(ソプラノ)
ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)、ロバート・ティアー(テノール)
トマス・ヘムズリー(バリトン)、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団&合唱団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
5. フランツ・シューベルト[1797-1828]:マニフィカト ハ長調 D.486
ルチア・ポップ(ソプラノ)、ブリギッテ・ファスベンダー(コントラルト)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)、アドルフ・ダラポッツァ(テノール)
バイエルン放送交響楽団&合唱団、
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
Disc4
1. レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ[1872-1958]:マニフィカト
ヘレン・ワッツ(コントラルト)、アンブロジアン・シンガーズ女声合唱団
メレディス・デイヴィス指揮、オーケストラ・ノヴァ・オブ・ロンドン
2. クシシュトフ・ペンデレツキ[1933-]:マニフィカト
クラクフ・フィルハーモニー合唱団ソロイスツ&少年合唱団
クラクフ・ポーランド放送合唱団、ポーランド国立放送交響楽団
クシシュトフ・ペンデレツキ(指揮)
3. アルヴォ・ペルト[1935-]:マニフィカト
4. ジョン・タヴナー[1944-2013]:マニフィカト
スティーヴン・クレオバリー指揮、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団