長恨歌 不夜城完結編 角川文庫

馳星周

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784043442072
ISBN 10 : 4043442076
フォーマット
出版社
発行年月
2008年07月
日本
追加情報
:
15cm,552p

内容詳細

歌舞伎町の中国黒社会で生きる武基裕。彼は残留孤児二世として中国から日本へやってきた。しかし、その戸籍は中国で改竄された偽物だった。ある日、武の所属する東北人グループのボス韓豪が、日本のやくざ東明会との交渉の席で、バイクで乗りつけた二人組に銃殺された。麻薬取締官の矢島茂雄に脅され、武はクスリの利権が絡むこの事件を調べるはめに陥る。手掛かりを求め、武は情報屋・劉健一のもとへと足を運んだ―。

【著者紹介】
馳星周 : 1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。96年、『不夜城』でデビュー。翌年、同作品で第18回吉川英治文学新人賞を、98年、『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞を、99年、『漂流街』で第1回大薮春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    『不夜城』の完結編。ここでも劉健一はもちろん物語のキーコードなのだが、本編の主人公は語り手でもある「おれ」(武)。日本国籍を持ち、中国語と日本語とを操る偽残留孤児だ。頭は悪くはないが、力も地位も何もないあぶれ者に過ぎない。その上、いつも誰かに、また何かに追われている。その負のエネルギーが持つ緊迫感が最初から最後まで全編にわたって持続する。ヴァイオレンス続きなのだが、読者を飽きさせることがない。馳星周の筆力の高さを証するものだろう。武と健一がそれぞれに抱えるトラウマもまた物語に緊張を強いる。

  • のっち♬ さん

    戸籍の秘密と幼馴染を守る為に健一に立ち向かう武。7年越しの完結編。過去は仄めかし程度で前二作読了者としてトラウマや偏執は察するしかなく、それで通す分主人公の魅力はない。筋はストレートになり暴力性も控えめで、疲労を覚えずに読み進められる。かつての有無を言わさぬ凄みは根無し草視点では体現されない。偉民の栄枯盛衰やサブキャラの再登場などピースを埋める要素もあってファン向けな印象。マイナスエネルギーをスピード感や緊張感に転化させる手腕は円熟。不明瞭で呆気ない幕切れが虚無へ誘う。完結編らしい重みがもっと欲しかった。

  • あさひ@WAKABA NO MIDORI TO... さん

    とうとう終ってしまった?ベストセラー『不夜城』、その2年後を描いた『鎮魂歌』に続く完結編『長恨歌』。『不夜城』を読んだときの衝撃が忘れられずに本作まで。シリーズものの宿命で、読者のテンションを上げ続けることは難しい。本シリーズもある意味『不夜城』で完結していたのかもしれない。しかし、第二部で見せた別作品とも思える衝撃、そして第三部の本当の意味での静かな終焉は、ファンとしては見逃せないところか。歌舞伎町を舞台に、どの道を選んでも救われることのない世界で見せてくれた男たちのロマン。大切に心に留めておきたい。

  • ゆいまある さん

    大好きな馳星周。大好きな不夜城シリーズなのに、主人公の李基がどういうキャラか掴む前に、李基の思い出の女性が現れてあっという間にキャラ崩壊。流れがいつもと違っていて本当に馳星周が書いたのかなと思いながら読む。暴力シーンも殆どなし、セックスシーンもなし、片想いはあっても成就しない。淡々としたこの暗さ。健一が李基に執着する理由も、李基の過去の女性のエピソードもピンとこない。でも段々その意味が分かってきてその世界に浸れる。ラストの救いのなさはやっぱり馳星周。

  • Tetchy さん

    劉健一はさらにその得体の知れなさに拍車がかかっている。全てを見通すかのように部屋に籠っては情報を集め、彼に関わる人たちの過去を、秘密を暴く。物語の前面に出るわけではなく、あくまで影の存在として人を、いや物語を操る。『不夜城』シリーズは劉健一の物語。だからこそ完結編である本書で劉の始末をつける必要があった。しかしそこにはいわゆるシリーズの結末が着いたことで得られるカタルシスや爽快感はない。劉健一という人物が最後の最後まで報われない存在だったことを思い知らされるだけだ。これほど救いのないシリーズも珍しい。

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馳星周

1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。96年、『不夜城』で衝撃的なデビューを飾る。翌年、同作品で第18回吉川英治文学新人賞を、98年、『鎮魂歌 不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞を、99年、『漂流街』で第1回大藪春彦賞を、2020年、『少年と犬』で第163回直木賞を受賞。ロマン・ノ

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