花降る森〜福士則夫:室内楽作品集 II
1996年から2004年にかけての福士則夫による室内楽作品集。
音響構造が溶解し変形していく過程を暗示、バッハのコラールからの引用(マタイ受難曲の中心素材)を音楽素材に取り入れた「とぎれた記憶」。霧雨、秋雨、雷雨、慈雨、驟雨など多くの雨にかかわる言葉が存在すしますが、その雨がもたらす蘇生力に感嘆し、インスピレーションを受け作曲された「春霖」。そして森の音を映すのではなく、室内オーケストラを森に喩えて福士自らが探している音を考えてみたという「花降る森」。
ピアノ・ソロや室内オーケストラ作品など、新たな試みを感じさせる福士則夫の現在が収められています。(カメラータ・トウキョウ)
・とざされた記憶〜ピアノ・ソロのために(2000)(*)
・パラタクシス〜クラリネットとダブルバスのために(1996)(#)
・春霖〜フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ヴィブラフォン、ピアノのために(1999/2001)(+)
・タイム・サークル〜ヴァイオリン、ファゴット、ハープのために(2004)(**)
・透明な空へ〜アルト・フルートのために(2002)(##)
・花降る森〜室内オーケストラのために(2003)(++)
渋谷淑子(p:*/+/++)
篠崎史子(hp:**;++)
小泉浩(アルトfl:##)
アンサンブル・ノマド(#/**/++)
厳しく切り詰めた音から、過剰なき豊穣さへ。90年代から現在に至る、福士則夫の作風の変化を捉えたアルバム。それを端的に示すのが、最後に置かれた室内オケによる「花降る森」。絶妙な佐藤紀雄の指揮のもと、腕利きの演奏者たちが美しく奏でている。(教)(CDジャーナル データベースより)