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プロフィール

1965年生まれ、兵庫県出身。1987年関西学院大学卒業。2023年写真集『留萌線の記憶』北海道新聞社。リコーイメージングスクエア新宿・大阪、富士フイルムフォトサロン札幌、道新DO_BOXなどで個展開催。「レイルマガジン」「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」「Jトレイン」「旅と鉄道」「月刊カメラマン」「フォトコン」等雑誌掲載。道内で詩情あふれる鉄道風景を撮影している(本データはこの書籍が刊行された当時...
根室線の記憶 富良野〜新得間 空知川に沿って』より

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  • 2021年4月1日、日高本線の鵡川−様似間116kmが廃止さ...

    投稿日:2021/04/13

    2021年4月1日、日高本線の鵡川−様似間116kmが廃止された。2015年1月の高波被害により一部の路盤が流出、その後、JR、行政の双方の「放置状態」により、被害個所は拡大し、そのまま復旧しないまま廃止となった。悲運の線路と言って良い。日高本線は、車窓の美しい北海道の鉄道路線網の中でも、秀でで素晴らしい車窓を持つ路線だった。もちろん、北海道には他にも風光明媚な路線が多く存在する。かつての国鉄線も含めると、数え上げるのも大変なくらい。現役線では、狩勝峠、馬主来沼、厚岸湖、チライベツ湿原などが見渡せる根室線、釧路湿原、斜里岳、オホーツク海が見渡せる釧網線、大沼・小沼と駒ヶ岳、内浦湾、ニセコの山々を望める函館線、天塩川、日本海に浮かぶ利尻島を遥かに見渡す宗谷線、遠景に大雪山系、十勝岳連峰、近景に田園と花々の彩溢れる富良野線、函館湾の風景、津軽海峡の夜景が見える道南いさりび鉄道。鬼籍に入った線路に目を移せば、羽幌線、名寄線、興浜北線、興浜南線、湧網線、士幌線、富内線、万字線、胆振線、瀬棚線・・・。これらの路線に引けをとらないどころか、ベストを争う車窓を持っていたのが日高本線。では、ちょっと紹介してみよう。苫小牧を出た線路は、臨港工業地帯と勇払原野を見たのち、苫東厚真火力発電所の巨大設備のすぐ横を通り、鵡川駅に至る。その後、線路は太平洋岸に出て、海に面して急峻な岩山の下を進む。日高町では、豊郷駅、清畠駅と太平洋べりを進む。厚賀駅を過ぎて、厚別川橋梁はまるで海の中の一本道のよう。海の真横にある絶景駅、大狩部駅を過ぎてからも、線路は太平洋にぴったりと沿って続く。車窓からは見渡す限りの水平線が広がる。沿線最大の町、静内を過ぎると、今度はしばしば内陸側に進路を取るようになる。すると、車窓をにぎわすのは、沿線にある様々な個人農場で放牧されているサラブレットたちだ。サラブレットたちは、時に軽やかにギャロップしたり、ゆったりと遠くを見たりと、自由だ。ふと、いつのまにか自分が異世界に来たような気分になるだろう。あたりの駅舎たちには、昭和の国鉄時代の雰囲気をしっかり残しているものが多い。日高東別駅、本桐駅など味わい深い。蓬栄駅の手前では、蓬莱山と呼ばれる奇妙な岩山の真横を通る。近づく日高山脈。初夏になってもまだ白い残雪を頂いて輝いて見えるだろう。牧場に囲まれた絵笛駅は、まるで絵本の中の世界。物語の中にさ迷い込んだような駅だ。やがて日高の中心地・浦河に至る。浦河駅も、趣深い駅舎と跨線橋が美しい。広い構内は交換可能だった時代の名残だ。浦河の街中にある東町駅を出ると、ハイライトと言っても良い海岸の砂の上を線路は行く。岩山と太平洋の隙を通って、海に反射する光の中を走り抜けると、その先に見えてくるのは、名峰アポイ岳。日高幌別駅を出ると、もう一度線路は内陸に向かう。かつては森林資源の集積地だった西様似駅を出て、ついに終点、様似駅に到着する。そこでは、もう目の前にアポイ岳が見えている。襟裳岬めがけて、日高山脈に近づいてきた線路が行き着く町。様似。日高線沿線では、もっとも人口の少ない町だが、それゆえの旅情に溢れている。・・・そんな美しい日高線が、永遠に失われた。私が日高線を惜しいと思うのは、風光明媚な観光資源としてのポテンシャルが掘り起こされていない、というだけではない。そもそも、日高沿岸には、人口1万2千の日高町、人口2万3千の新ひだか町、人口1万3千の浦河町が並び、北海道の他地域と比較しても、相応の人口があり、かつ日高線はこの地域唯一の鉄道交通なのである。かつては、札幌から直通する急行列車が1日に3往復も運転され、相応の乗車率もあったのであるが、これらが廃止された要因としては、千歳線の列車密度の問題で間引きされたことが大きい。札幌直通運転を取りやめられただけではく、長く静内での乗り換えがきわめて不便なダイヤをあえて運用した時代があり、日高線のポテンシャルは、様々な外的要因で下げられた面があった。そして、最後は高波被害から復旧せず、そのままなし崩し的な廃止である。これほどの不遇に見舞われ続けた鉄道線は、他にないと言って良い。私個人的には、地域間をつなぐ長距離鉄道路線網については、ヨーロッパの多くの国がそうしているように、国営化、もしくは駅・線路等の施設は公営化した上で、鉄道運行のみを民間委託する形で保持すべきと考えている。それは、鉄道が、冬季でも安定な地域間交通を担っていること、鉄道の経済的効果は、運賃だけでなく、鉄道利用者による交流人口の増加による地域への貢献等を含めたより広い見地から検討すべきことなどを踏まえての考えである。しかし、日本では、そのような公的感覚に乏しく、単に一私企業の収益性という観点で議論が主導されてしまう。どう考えても、「そういうものではない」と思うのだが。と、いろいろ書いてしまったが、この写真集は本当に美しい。日高線の魅力を端的に集約し、「一目見て分かる」ものとして、これだけ完成度の高い本というのは、ちょっとないかもしれない。写真の力強さが凄い。これぞプロの写真だ、と感嘆させられる。黄金色に染まった勇払原野を行く気動車、真っ暗な太平洋を背に、か細い明かりをともす夜の大狩部駅、雲と波の中、ただ一本伸びる厚別川橋梁を渡る列車、海霧や朝焼けの中、海岸を走る単行気動車、サラブレッドたちがくつろぐ新緑の中を走る日高線、日高昆布が干される海岸を見ながら走る列車、そして味わい深い駅舎、列車にかかわる人々の豊かな表情。それらすべてが、活き活きと、かつ鮮明な色彩感で捉えられており、感嘆するしかない。これほどの写真家を魅了し続けた日高線。その思いが、全編から伝わってくる素晴らしい一冊だ。海、湿原、川、波、海岸、断崖、岩山、星、暗闇、光、花、雪、レトロな駅、サラブレット、人。。。すべてが、去りがたい捨てがたいものとして、刻まれている。

    ココパナ さん

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