江戸水没 寛政改革の水害対策 ブックレット“書物をひらく”

渡辺浩一 (Book)

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784582364613
ISBN 10 : 4582364616
フォーマット
出版社
発行年月
2019年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
84p;22

内容詳細

人工都市江戸を、暴風雨や高潮が襲い、被害が繰り返される。水害は、ただに自然の脅威というばかりではなく、人為が、被害を大きくする要因となってもいた。田沼時代に隅田川に造成された中洲が洪水を激化させ、松平定信がこの殷賑の地を撤去する。そこに、どんな利害が、支配の意思が、住民の意図が、そして水害対策の知恵が、働いていたか。江戸の経験を今に生かす災害歴史学の試み。

目次 : 1 洪水の減災対策―三俣中洲富永町の撤去(寛政改革の都市政策/ 寛保二年大水害の教訓/ 明和八年の三俣中洲造成/ 天明六年大水害をもたらした気象現象/ 大水害の様相/ 減災対策としての三俣富永町撤去/ 三俣富永町撤去の経過/ 緊急避難場所の設置/ 三俣富永町撤去の意味)/ 2 高潮被災地の「復興」―深川洲崎のクリアランス(寛政三年の高潮/ 二つの復興案/ 町年寄の提案と幕府での協議/ クリアランスの実態/ その後の深川洲崎/ 安政東日本台風/ 空き地の減災効果の検証/ 何が問題なのか)/ 3 災害記録の管理と対策マニュアルの策定(洪水を記録する/ 洪水対策マニュアル/ マニュアル策定の意味)

【著者紹介】
渡辺浩一 : 1959年、東京都生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。現在、人間文化研究機構国文学研究資料館・総合研究大学院大学文化科学研究科教授。専門はアーカイブズ学および歴史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • アメヲトコ さん

    寛保2年(1742)の大水害の教訓は活かされたのか。災害都市・江戸がそれ以降どのようなかたちで水害と向き合ってきたかを論じたブックレットです。三俣中洲の開発と深川洲崎のクリアランスという対照的な事例は、東日本大震災の津波被災地の復興をめぐる問題を想起させ、現代を生きるわれわれにとっても重い課題を投げかけています。

  • パトラッシュ さん

    80頁弱の軽く薄い本だが内容は深く重い。寛政の改革を担った老中松平定信の江戸の水害対策は藤田覚氏の定信伝でも言及されていない地味なテーマだが、繰り返される水害に悩む現代日本にとって身近な話だ。1742年に4千人近い死者を出す大水害に襲われた教訓を生かさず、地元助成のため隅田川下流に土地が造成された。定信が本所深川地区をほぼ水没させた1786年の隅田川氾濫の原因としてこの田沼時代の造成地を撤去し、沿岸地嵩上げや洪水対処マニュアル作成などの対策を打つ有様は、縦割り行政が当時と変わらない事実を我々に突きつける。

  • 見もの・読みもの日記 さん

    寛保2年の水害で隅田川の浚渫が必要なことが意識されていたにもかかわらず、中洲新地を造成し、天明6年の大水害を招いてしまう。江戸の水害対策には、よい面でも悪い面でも現代に通じるものがあると感じた。また土地の歴史を知っていると、浮世絵の名所絵を見ても違った感慨が湧く。

  • bapaksejahtera さん

    寛政期に行われた三俣中洲(明和期に造成された江戸名所でもあった)撤去と深川洲崎水害除け地の設定という、江戸下町のうち極めて限られた地域及び時代の事業を取り上げて、今日にも通じる大きな都市防災問題を論ずる。本書の背景には利根川の東遷がある。私見ながら元和偃武は土木技術を軍事から農業目的に転じ、農業生産増と都市人口増を齎した。利根川東遷は近代に至るまで東京を悩ました防災大事業でもあった。本書は防災に係る都市行政政策と社会・財政的影響の相互関係をコンパクトな冊子に纏めて提示する啓蒙的な書籍となっている。

  • キミ兄 さん

    わずか100ページだが江戸時代の市井の実情が浮き上がる名作。最近の災害で感じるこの民衆の圧力って江戸時代と現代で変わってない。現代だっていくらでも暴動は起きる。☆☆☆。

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