漂流日本左翼史 理想なき左派の混迷1972‐2022 講談社現代新書

池上彰

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065290125
ISBN 10 : 4065290120
フォーマット
出版社
発行年月
2022年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
佐藤優 ,  
追加情報
:
192p;18

内容詳細

労働組合の攻防、衰退する社会党、国鉄解体の衝撃。もう左翼は存在感を取り戻せないのか。左派の未来の可能性を問う。

目次 : 序章 左翼「漂流」のはじまり/ 第1章 「あさま山荘」以後(一九七二年〜)/ 第2章 「労働運動」の時代(一九七〇年代1)/ 第3章 労働運動の退潮と社会党の凋落(一九七〇年代2)/ 第4章 「国鉄解体」とソ連崩壊(一九七九〜一九九二年)/ 終章 ポスト冷戦時代の左翼(一九九〇年代〜二〇二二年)

【著者紹介】
池上彰 : 1950年、長野県松本市生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。報道記者として、さまざまな事件、災害、消費者問題、教育問題などを担当する。1989年、記者キャスターに起用され、1994年からは一一年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーになり、執筆活動を続けながら、テレビ番組などでニュースをわかりやすく解説し、幅広い人気を得ている。また、九つの大学で教鞭をとる

佐藤優 : 1960年、東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア日本国大使館勤務などを経て、本省国際情報局分析第一課に配属。主任分析官として対ロシア外交の分野で活躍した。2005年に著した『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で鮮烈なデビューを飾り、翌2006年の『自壊する帝国』(ともに新潮文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞。2020年、菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    あさま山荘事件で新左翼が完全に国民から見離されて以後、いわゆる左派は労働運動に突破口を見い出した。しかし左翼を率いてきた社会党は国鉄ストの失敗や民営化、ソ連崩壊などで目標とすべき理想を見失って事実上消滅し、共産党も組織防衛を優先して国民の信頼を得られる未来像を提示できていない現状が浮かび上がる。日本で左派の「失われた20年」が続く一方、中南米や欧州では格差拡大やインフレへの不満を受け左翼政権誕生や議会選勝利が相次ぐ。なぜ日本の左翼は停滞から脱せられないのか、現代史の碩学というべき2人に分析してほしかった。

  • trazom さん

    3巻に渡った「日本左翼史」を読み終えて、多くのことを思う。「「労働力の商品化」という資本主義が内包する絶対的矛盾にどう対峙するかで左翼か否かが問われる」という佐藤さんの指摘は鋭い。今こそ、働き方や生き方の問題として「労働力」を見つめ直す運動が必要ではないのか。対談の最後で、二人は「現在の左翼の元気のなさ・影響力の弱さは、もはや彼らが「大きな物語」を語りえなくなっていることにある」と言うが、それは左翼の問題というより、大きな物語を捨て、小さな差異と目前の金儲けに走る新自由主義を選択した我々の責任である。

  • HANA さん

    シリーズ最終巻は七十年代から現在まで。本書は学生運動が大衆に背を向けられてからソ連崩壊、社会党の凋落から左翼が環境運動等に活路を見出した事が語られている。個人的な感想を言うと左翼は学閥ムラやマスコミの一部にのみ生き残ってるジャングルの日本兵状態だと思っているが、本書でますますその感を強くする。エリート意識だけを強くした結果、労働運動にコミットする事がなくなり、アメリカだとトランプが大統領になるし日本でも大衆から遊離しているし。とあれ現在も様々な所で現実を二分している運動の軌跡、詳しく知れて良かったです。

  • ちくわ さん

    これは面白かった。様々な組織や運動を左翼という括りで一緒くたに見ていたけど、歴史や背景、登場人物を知り己が不明を恥じるばかりだ。ただこう再認識した…人には人の数だけ理想があり、それはそもそもが妄想なので、左翼は主導権争いや分裂が発生し易かった。また、掲げる理想の崇高さに反比例して、過激化したり上層部が腐敗したりで、民衆の支持を失っていった。そして何より、時代が求めて生まれたので、求められなくなり衰退した…自然の流れなのかな? 個人的には、左翼労働運動が今のトラック輸送時代への契機になったのは興味深かった。

  • yamatoshiuruhashi さん

    シリーズ3部目。現代に至る。本書の書き出し(全巻の末)は自分は中学3年の終わり。高校受験の最中に浅間山荘事件、高校に入ったらすぐに「総括」と言う単語が飛び交った。そうして左翼が求心力を失っていく時代を選挙権を持つ大人として投票行動に結びつけつつ見て来たのだが、今回はその自分の時代を客観的に解説してくれる。私は保守的人間であるが、業界の締め付けにも拘らず民社党を支持していた。その頃「社公民」などという野党枠組みもあったのを本書で思い出したが、「公」は風を見るに敏であったわけか。

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人物・団体紹介

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池上彰

1950年長野県生まれ。1973年にNHKに記者として入局。松江、呉での勤務のあと、東京の報道局社会部記者。事件、事故、気象、災害、教育、消費者問題等を取材。1994年から11年間、NHKの「週刊こどもニュース」のキャスターとして、大人の世界のニュースを、小学生にもわかるように伝える番組の責任者を務

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