日没

桐野夏生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784000614405
ISBN 10 : 4000614401
フォーマット
出版社
発行年月
2020年10月
日本
追加情報
:
332p;19

内容詳細

あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は―。

【著者紹介】
桐野夏生 : 1951年、金沢生まれ。93年「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞受賞。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞。『ナニカアル』で10年、11年に島清恋愛文学賞と読売文学賞の二賞を受賞。1998年に日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』で、2004年エドガー賞(Mystery Writers of America主催)の候補となった。2015年、紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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この本が発売された2020年から2021年にかけ...

投稿日:2021/04/15 (木)

この本が発売された2020年から2021年にかけて世界の政治に目を向けると中国新疆ウイグル自治区の少数民族への人権侵害、ロシア政敵への襲撃、アメリカの大統領選挙に纏わるフェイクニュースなど島国の日本人にとってなかなか理解しがたい事実が次々と報道される。しかし、報道が正しければこれはファクトであると自分で判断するしかない。そしてこの本に現れる日本の小説家を描いた現在とも近未来とも思われる物語。これを非現実のフィクションと捉えるか現実に起こり得ることかは読者の判断と思われるが、今の世界もしくは日本の政治を見ると私は到底「非現実」とは思えない。但し、この本を読もうと思うにはそれなりに勇気が必要。何せ岩波書店である。主要な大手出版社はこのようなテーマには手を出しませんと宣言しましたか?言論の自由をまで放棄しませんようと願うばかり。桐野夏生の小説はほとんど読んでいない私とっては新聞の書評を頼りに買わざるを得ない。心に暗く重く圧し掛かるテーマだったが読んでよかったと思う。この本を出版した著者、出版社を讃えたい。

yukidaruma さん | 新潟県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    最初から最後の1行に至るまで徹底して恐ろしい小説だった。しかも、物語の時間の経過とともに(当然主人公の境遇にも変化があるのだが)私たち読者が持つ不安の質も変容してゆくのである。冒頭はカフカや安部公房を思わせるが、そこからは一気に桐野夏生の小説世界に突き進んでゆく。この作品を書いた当時、桐野は齢70歳に近いはずだが、凄まじいばかりの情念とエネルギーである。しかも「書くこと」の意味を自らに問いかけつつも、あのエンディングを選ぶ。これまでの桐野にも通底しつつ、しかしこれは全く新しい境地に踏み込むものである。

  • starbro さん

    桐野 夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、本書は作家ブラックユーモア不条理ホラーでした。スティーブン・キングの「ミザリー」に通ずるものがあります。作家の先生達は、本書をどのような気持ちで読むのでしょうか(笑) 作中作、【読メエロ部】的作品、木目田 蟻江の「みつねむる」を読んでみたい。 https://www.iwanami.co.jp/sunset/

  • bunmei さん

    世の陰の部分を浮き堀にする印象の桐野作品。今回はどうしようもないくらいのイヤミスで、主人公を除く登場人物が嫌悪感満載のキャラクター。主人公が崩壊していく様をリアルに描写している。設定にはやや無理もあると感じながらも、『表現の自由』というテーマにおいては、日本学術会議の拒否問題とリンクしてしまう。本当にこんな国家権力が、日常を侵し始めているのか…。作家・桐野夏生が、本書を書こうとした背景には、執筆活動に際して、何か蟠りがあったのではないのかと勘ぐってしまう。あまりに衝撃的なラストに、言葉もなく本を閉じた。

  • 青乃108号 さん

    「ドグラ・マグラ」は昔読んだけど、全然記憶にない。けれどこの本は。物凄い没入感、まるでバーチャル体験。マジで精神に異常をきたしそうな本。しかしそんな艱難辛苦を乗り越えて無事に読み終えた時に初めて噛み締める事が出来る、今の自分の境遇の幸せ。何て有難い。普通に図書館で自由に読みたい本が読める今の時代の幸せ。何て有難い。この本を読む事が出来た事に感謝。何て有難い。日常の少々の辛い事は乗り越えて行けそうな、自分が少し強く変われたような、そんな気がする本。 但し、読み切る為には決して諦めない強い意思が、必要です。

  • まこみや さん

    私に赤紙が来たら、鉄砲をとって人を殺すのだろう。それが嫌なら他人に殺されるか、さもなくば自死するしか道はない。『日没』を読みながら浮かんできたのはそのようなことだ。妄想だと人は笑うかもしれない。しかし特定秘密保護法から学術会議任命拒否、2020年の東京オリンピック中止という歴史の流れは、戦前の治安維持法から滝川事件、1940年の東京オリンピック中止という歴史にダブって見える。腹立たしいのは、お偉方は以前もそうだったし、今度もまた、自死も責任も取る気はないということだ。ツケは全てこちらに回される。

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桐野夏生

1951年石川県生まれ。作家。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな〓』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式

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