CD

交響曲第1番、第2番、ゲッセマネの夜に 湯浅卓雄&アイルランド国立交響楽団、神谷郁代

松村禎三(1929-2007)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
NYCX70337
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

松村禎三:交響曲第1番、第2番、ゲッセマネの夜に

京都で生まれ、尺八や筝をたしなむ両親のもと幼い頃から音楽に興味を示した松村は、1949年に旧制第三高等学校理科を卒業後、作曲家への道を目指して清瀬保二を頼って上京。当時清瀬の家に出入りしていた武満 徹と親交を結ぶも、結核のために東京藝術大学の受験に失敗し、5年間の療養生活を余儀なくされました。その頃から俳句も手掛け、この分野でも才能を発揮します。退院後は次々と作品を発表、1970年より藝大音楽学部作曲科にて教鞭を執るまでになりました。

本来なら輝かしい青年時代を過ごすはずであった20歳代の始めに、結核のため5年半もの療養生活を送ったことが、彼の作風に大きな影響を及ぼしているといいます。身動きのできないベッドの上で、一つのものを徹底的に見つめるという「作業」は音楽だけでなく、言葉を自在に操ることにもつながり、その後の彼は俳句の世界にも大きな足跡を残すこととなりました。

1965年に作曲された『交響曲第1番』は、日本フィルハーモニー交響楽団の日本の作曲家への委嘱初演企画「日フィルシリーズ」第14作目として作曲されたもの。当時携わっていた映画音楽で培った管弦楽法と、彼独自の思想「アジア的な発想をもった、生命の根源に直結したエネルギー」が見事に結実した作品であり、湧き上がる音の奔流に圧倒されるのは間違いないところでしょう。
 『交響曲第2番』はサントリー音楽財団の委嘱を受けて作曲されました。1999年に再演(その時に第3楽章を改訂)。2006年には湯浅卓雄指揮によるこのレコーディングのために再改訂を行い、これが結果的に最終稿となりました。列車の中で、偶然、興福寺の金剛力士像のポスターを見た松村は、その筋肉隆々の恐ろしい姿の中に、哀しみの光を見出したといいます。第1番の交響曲から35年の月日が流れ、彼の視点も「アジア的」なものからもっと大きなものへと移っていきました。人間の持つ苦悩、哀しみ、希望・・・。そのようなものが根底に流れています。ピアノを伴う管弦楽の響きは様々なものを聴き手へと伝えゆきます。
 『ゲッセマネの夜に』は彼の最後の管弦楽作品。当時オーケストラ・アンサンブル金沢のコンポーザー・イン・レジデンスであった松村は、同団の委嘱を受けてこの曲を作曲。ゲッセマネとは、キリストがイスカリエオのユダの裏切りにあい、捕えられた場所であり、ユダが銀貨30枚でキリストを売り渡してしまう場面を緊迫感を持った音で描いています。この頃キリスト教の洗礼を受けていた松村が、ジョットの絵の複製を見ながら構想を練ったというもので、イエスのまなざしは、ユダだけでなく、全ての人間の持つ哀しみまでを見通し、曲の最後は美しいヴァイオリン・ソロで祈るかのように終わりを迎える感動的な曲です。

西 耕一氏によるオリジナル解説も読みごたえ充分です(解説、演奏者プロフィールは既発売商品(8570337J)のブックレットから転載となります)。(輸入元情報)

【収録情報】
松村禎三:
1. 交響曲第1番(1965)
2. 交響曲第2番(1998/1999年改作、2006年最終稿)
3. ゲッセマネの夜に(2002)


 神谷郁代(ピアノ:2)
 アイルランド国立交響楽団
 湯浅卓雄(指揮)

 録音時期:2006年9月18,19日
 録音場所:アイルランド、ダブリン、ナショナル・コンサート・ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
 プロデューサー:ティム・ハンドリー
 解説:西 耕一
 旧品番:8570337J

【神谷郁代(ピアノ)】
井口愛子氏に師事。桐朋学園高校卒業の年に毎日音楽コンクール第一位受賞。エッセン音楽院卒業。クラウス・ヘルヴィッヒ、ステファン・アスケナーゼらに師事。1972年、エリザベート王妃国際音楽コンクールに入賞。その後、ヨーロッパ各地で音楽祭、リサイタルなど活発な演奏活動を展開。レパートリーはドイツ古典からから現代曲までと幅広い。(輸入元情報)

【湯浅卓雄(指揮)】
大阪府に生まれ、シンシナティ大学音楽院作曲理論科を経て、ウィーン国立音楽大学指揮科でハンス・スワロフスキーに師事。長年ロヴロ・フォン・マタチッチの助手を務める。NAXOS日本作曲家選輯での一連の演奏は、どれも「比類なき名演」として知られる。(輸入元情報)

収録曲   

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投稿日:2011/04/25 (月)

松村禎三は好みの作曲家です。交響曲第1番(その当時は番号はなかった)はLP発売時に購入しました。一昨年は山形交響楽団を中心とした現代日本作品の演奏会にこの曲目当てで聴きに行きました。交響曲2番とともにFMのエアチェックもしました。このCDの演奏は少し元気がないと感じます。もっとエネルギーに溢れた曲だったのではないか。また、細川のCDにはなかった日本語の詳細な解説が復活したのは喜ばしいことですが、今度は英語の解説が亡くなりました。ナクソスのこのシリーズに対する方針が変わったのでしょうか。残念です。

美晴児 さん | 山形県 | 不明

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テリーヌ さん | 兵庫県 | 不明

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投稿日:2010/12/18 (土)

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レインボー さん | 不明 | 不明

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