廃道探索 山さ行がねが じっぴコンパクト文庫

平沼義之

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784408456713
ISBN 10 : 4408456713
フォーマット
出版社
発行年月
2016年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
351p;16

内容詳細

日本中に「車道」が作られるようになってから約150年。無数の道が生まれた一方、放棄された道も数限りなく存在する。道が廃れる要因は色々あるが、どんなに栄えた幹線道路であっても、役目を終えれば後は自然に還るだけ。そこには文明社会の道具としての非情が満ちている。そんな「廃道」に情熱を傾ける男が「ヨッキれん」こと平沼義之。全身全霊を込めた探索と、詳細な文献調査、膨大な蓄積からの考察。あまりに莫大な文章量と写真数から書籍化は不可能と思われたWEBサイト「山さ行がねが」が、ここに新たな読み物として誕生!

目次 : 第1章 加須良林道(岐阜県・富山県)/ 第2章 数坂隧道(群馬県)/ 第3章 三郷スカイライン(長野県)/ 第4章 千頭森林鉄道大間川支線(静岡県)/ 第5章 束松新道(福島県)/ 第6章 鵲橋(栃木県)/ 第7章 鳥越林道(三重県)/ 第8章 武陵洞(千葉県)

【著者紹介】
平沼義之 : 1977年千葉県松戸市生まれ。2000年に開設した廃道系サイト『山さ行がねが』は、現在(2016年7月)までに3500万アクセスを数える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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膨大な情報量とともに精緻な「廃道・道路」...

投稿日:2021/04/12 (月)

膨大な情報量とともに精緻な「廃道・道路」の探索・調査報告を行っている有名なサイト、「山さ行がねが」の管理人である平沼義之氏による著書で、同サイトの「書籍版」である。シリーズ第1弾であり、投稿日現在、続編にあたる第2弾も刊行されている。当該サイト内では紹介されていない(重複していない)もの計8編が収録されている。 著者の平沼氏は、すでにその筋の人の間ではとても有名な人物であるが、一応、紹介しておくと、本書の末尾で紹介されているように、「廃道探索で生計を立てるプロ・オブローダー(廃道探索者)への道を現在も探索中!」とある。そして、私の知る限り、氏の現在は、限りなくその目標に近い。私が第一に感心するのはその点である。趣味を極め、その面白さを世にプレゼンテーションすることで、一定の収益化が行われ、また、イベント等への出演などでも活躍中だ。私も趣味を深めたいと考える人間だが、どうしても仕事に多くの時間を割かなければならないので、氏の勇敢な生き方には、憧れと敬意の双方を感じるのである。 下記に、私が本書において、こういうところが魅力というところを書き出してみた。 ・古い地形図の紹介 平沼氏の探索の多くは、氏自身による古い地形図の調査からはじまる。(ちなみに私も新旧問わず地形図は大好き)。例えば、第1章で紹介されている加須良と桂の2つの集落の姿など、地形図を見るだけで、様々な物語が胸に去来する。氏の巧みな説明も手伝って、読み手は、今、ここがどうなっているのか知りたい、と興味をかき立てられる。 ・実地の写真と撮影地のリンク 実地調査時の写真は核だ。氏だからこそ訪問できる個所の写真は、読者にとってかけがえのないもの。ただ、ここで「書籍」というツールの限界も感じられる。写真のサイズには制約があり、白黒印刷のため情報量は限られる。Webサイトならワンクリックだった「現在地」も、本書ではQRコードを読み込まねばならない。ただ、必ずしもその必要はなく、当該地がある程度絞られれば、ネット上で地理院地図と見比べながらの読書でも十分に楽しい。 ・難所の乗り越え 廃道は当然のことながら荒廃が進んでいる。時には事前通告もなく、崩落等により、通行の難所が出現する。しかし、本書ではこれを「見せ場」として、巧みに演出。いくつもの難路を攻略してきた著者は、自身の経験を踏まえて、何に注意すべきか、どのような方法でこれをクリアするかを語っており、なかなかの冒険譚に仕上がっている。時には日没というタイムリミットと戦いながら、いかにして目的を回収するか。なかなかスリリングな味わいがある。 ・発見 当然のことながら発見の喜びがあちこちに満ちている。それは道路のストラクチャに限らず、その道路の由来や歴史にかかわるものなど様々だ。それらが、その道路を必要とした人と集落に肉付きを与え、読み手の想像力を刺激してくれる。そして、「今、ここがどうなっているのか」と沸き上がった興味を、鮮やかに回収してくれる。 ・謎解き 想像力を刺激するだけではなく、探索の過程では、新たな「なぜ」が発生する場合もある。そんなとき、氏はこれを持ち帰り、様々な文献を当たって、解明の光を当てていく。 こうして書いていくとわかるが、氏の探索は、知力と体力の融合したきわめて高度な遊びであり、同じように堪能できる人はなかなかいないだろう。書籍という制約を踏まえて、精いっぱいのエンターテーメント精神が反映されているし、それになにより、いつもの著者ならではの面白味が伝わってくる。というわけで、文句なく、推薦です。

ココパナ さん | 北海道 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ジンベエ親分 さん

    廃道、廃鉄道、廃隧道、そして廃橋マニアである著者の探索記録の本。webサイト「山さ行がねが」にある膨大な記録での文章ほどテンションは高くないが、それでも十分すぎるほどヤバくアツく「廃」への愛に溢れた本。「廃」を愛するということは、それに携わり関わって今は世間から忘れ去られてしまった人々を愛することであり、著者の廃道を探索し、そしてその歴史を丹念に調べ上げ、熱量を持った文章にする行為に、その愛が溢れている。値段が倍になっても良いから、写真がカラーであったならもっと良かったのだが、それはwebサイトでw

  • hatayan さん

    廃道探索のウェブサイトを運営する著者がより抜きの記録を書籍化。 地誌の記録を頼りに目標を設定。崩れ落ちそうな橋を恐る恐る渡り、使われなくなったトンネルでは入口の土砂を乗り越えて内部を探索。崩壊した法面は時間をかけて慎重に通過。一歩間違うと事故と隣り合わせの状況でも臆することはありません。 著者を駆り立てるのは、苦労して道を切り開いた先人への敬意、廃道になった後も残る石垣やトンネルなどの構造物への好奇心。 文庫本ゆえ写真がモノクロであることが惜しまれますが、濃密な記録はウェブサイトで堪能することができます。

  • みほ (o^−^o) さん

    巻機山に登った際に気になった清水峠への道を検索していて、偶然見つけたヨッキれんのWEBサイト「山さ行がねが」があまりにも面白くて、平山義之さんの本を三冊購入しました。その一冊目。やはり素晴らしい!往時人々の夢と希望で開通した多くの道が、やがて時代の流れと共に使われなくなり、忘れ去られていく。そんな廃道をひたすら探索する冒険譚です。多くの資料を読み込み、当時の人々の暮らしに思いをはせ、その歴史を辿ります。ヨッキれんの洞察力と、共感力に驚かされます。もちろん実行力にも!自分にはとても真似できない冒険に出発!

  • タカボー さん

    この人のブログ「山さ行がねが」で無想吊橋の回を見て、これが凄かった!もう板が外れてる恐怖の吊橋で、私も登山をするので危険な場所は割と好きですが、これは俺は無理だわ〜と思った(興味ある方見てください。後悔させません)。そんな場所を踏破するこの人の勇気を讃えて、この本を買いました。この本の中では華厳の滝の鵲橋、いいな。整備して遊歩道として復活させてほしい。2018年おすすめランキングの1位に山村正光「車窓の山旅」を選びましたが、じっぴコンパクト文庫、やるなぁ。いい仕事してますね。

  • shamrock さん

    著者はすげえ愛と行動力と体力をお持ちの様子。楽しい読書であった。華厳滝に行きたい。

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