「天皇機関説」事件 集英社新書

山崎雅弘

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087208788
ISBN 10 : 4087208788
フォーマット
出版社
発行年月
2017年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
254p;18

内容詳細

【推薦!】
作家・半藤一利氏(『日本のいちばん長い日』『昭和史1926-1945』著者)
「これは昭和史の重要な分岐点だ。現在と酷似する状況に慄然とする」

天皇を神格化する政治家と右翼組織が結びついたとき、事件は起こった

「天皇機関説」事件は、この学説を主張する憲法学者の美濃部達吉に対する、天皇を崇拝する退役軍人や右派政治家による攻撃が発端となっている。一九三五年二月に始まり、約半年に渡る「機関説」排撃運動の中で、美濃部に対する政治的な弾圧が行われただけでなく、言論や学問の自由も奪われ、立憲主義が事実上停止した。その結果、「権力の暴走」を止める安全装置が失われ、日本は破局的な戦争へと突き進む。
この事件は、社会がどのように「壊れて」いくのかを物語る昭和史の重要な分岐点である。現在の政治・社会状況との類似点に戦慄が走る……!

【目次】
第一章 政治的攻撃の標的となった美濃部達吉
1 貴族院の菊池武夫が口火を切った美濃部攻撃
2 美濃部攻撃の陰の仕掛け人・蓑田胸喜
3 美濃部達吉が述べた「一身上の弁明」
4 当代随一の憲法学者・美濃部達吉
5 国会の内外でエスカレートする「美濃部叩き」

第二章 「天皇機関説」とは何か
1 天皇機関説と天皇主権説(天皇神権説)
2 上杉慎吉と美濃部達吉の「機関説」論争
3 文部省も加わった天皇機関説の排撃運動
4 美濃部擁護の論陣を張った「帝国大学新聞」
5 昭和天皇も認めていた天皇機関説の解釈

第三章 美濃部を憎んだ軍人と右派の政治活動家
1 「陸軍パンフレット」に対する美濃部の批判
2 軍人勢力各派は「機関説問題」にどう反応したか
3 右翼団体による「機関説排撃運動」のエスカレート
4 騒動を岡田内閣打倒に利用しようとした立憲政友会
5 美濃部が『憲法撮要』に記した「統帥権」の意義

第四章 「国体明徴運動」と日本礼賛思想の隆盛
1 次第に追い詰められた岡田啓介首相
2 急激に力を持ち始めた「国体」というマジックワード
3 岡田首相の第一次国体明徴声明の発表
4 さらに激しさを増した美濃部と機関説への糾弾
5 消えかけた火を大きくした美濃部の「第二の弁明」

第五章 「天皇機関説」の排撃で失われたもの
1 窮地に立った岡田内閣と第二次国体明徴声明
2 天皇機関説事件から二・二六事件へと通じた道
3 美濃部の学説と共に排斥された、自由主義と個人主義
4 際限なく称揚される「天皇」「国体」という錦の御旗
5 実質的に機能を停止した日本の「立憲主義」

【プロフィール】
山崎 雅弘 (やまざき まさひろ)
一九六七年、大阪府生まれ。戦史・紛争史研究家。二〇一六年七月に刊行した『日本会議―戦前回帰への情念』(集英社新書)で、大手メディアが報じてこなかった同組織と政権の関わりや、改憲に向けた活動の詳細を明らかにし、注目を浴びる。このほか、『戦前回帰 「大日本病」の再発』(学研プラス)『5つの戦争から読みとく日本近現代史――日本人として知っておきたい100年の歩み』(ダイヤモンド社)など、著書多数。

【著者紹介】
山崎雅弘 : 1967年、大阪府生まれ。戦史・紛争史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 榊原 香織 さん

    1935年、憲法学者、美濃部達吉の天皇機関説が文脈を無視して揚げ足取りのように攻撃された事件。 それがダイレクトに二・二六事件につながる。 さらに太平洋戦争へ。 日本の立憲主義の暗転の原点か。

  • rico さん

    名前だけ覚えた「天皇機関説」。何が起こったのか知りたくて読んけど、正直、この理論のどこが問題なのかわからない。排撃する側は「けしからん」と言ってるだけで、美濃部の理路整然とした反論とは全く噛み合ってないし。でも執拗で組織的な攻撃は成功。わずかな期間で「立憲主義」は完全崩壊、日本は二・ニ六を経て「国体護持」を錦の御旗の下、絶望的な戦いへと突き進むことに。後から見れば、ここがその分岐点。ブレーキは踏むべき時に踏まないと取り返しがつかない。最近もこんな展開あったような。歴史に学ぶということは、多分こういうこと。

  • hatayan さん

    日本が軍国主義に進むきっかけとなった1935年の「天皇機関説事件」。国家を法人として天皇を最高の機関と考える美濃部達吉の思想は合理的なものでしたが、天皇を崇拝する右翼、軍人に国家に殉ずる大義を与えたい軍部にとって個人主義を認める美濃部は攻撃の対象となりました。美濃部が煽動的なイデオローグの蓑田胸喜に次第に追い詰められ、天皇機関説を扱う本は発禁処分に。皇道派を勢いづかせ翌年の2.26事件につながります。戦前を懐古する日本会議が発言力を持つ2020年代と1930年代が地続きになっている感を強くさせる一冊です。

  • seki さん

    天皇機関説事件について分かりやすく、深く掘り下げた意欲作。事件が大きな政治的、社会的問題であったことを知る。説を唱えた美濃部博士は、国家は法人であり、天皇は国家の頂点として君臨しているとする。対して、博士を攻撃する人達は、天皇は国家を超越した存在であり、国家の機関とするのは甚だ無礼と主張する。科学的理論としては博士の方に分があるのだが、時代は博士を舞台から降ろしてしまう。それからの日本は2.26事件、第二次大戦へと進む。科学的理論が暴力に負けたときの恐ろしさ。今の日本は大丈夫だろうか。

  • おかむら さん

    天皇機関説から国体明徴運動までの流れ、日本が戦争まっしぐらに進むきっかけともなる重要事件を学べます。「機関」とか「明徴」とかなんか難しくて萎えそうな用語なのでだいぶ怯みましたが、一般人向けにわかりやすく当時の国会答弁、政府の対応、右翼軍人マスコミの動き等時系列に沿って解説、今とビミョーに重なる部分が多くてグイグイ読めた。理性より感情に訴える感じ、なんか安倍さんぽい。怖いな。そして今でも「国体(くにがら)」とか言ってる連中、日本会議一派のことですが、どうかしてるぜと改めて思わされます。

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