富田安紀子 レビュー一覧

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  • 大ヒット漫画『日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおと...

    投稿日:2015/12/15

    大ヒット漫画『日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおとめ)』の著者、女性漫画家の富田安紀子氏の著書。『日之丸街宣女子』発表の顛末だけに留まらず、これまでの自身の漫画家人生を振り返る自伝的な内容となっている。彼女は以前は「富田安紀良」名義で漫画を描いていて、ヤンママとかホストとかが主人公の一見保守思想とは関係なさそうな作品を発表していた。しかしすでに日本と韓国の歴史観の違いなどについて取り上げたりしていて、彼女が保守思想の元で作品を執筆していくようになるのは自然の成り行きだったといえる。(『Night blood 4 (モーニングKC)』を参照してみて下さい) いわゆる「ぱよちん隊」一味による言論弾圧への抗戦、「ヘイトスピーチ」なるものの実態、朝日新聞を筆頭とするメディアの隠蔽・捏造とそれに対するカウンターなどがつぶさに描写されており、読み応えは十分。卑劣な弾圧にもめげず「日本が好きでなぜ悪い!」という信念を貫いて戦う富田氏には頭が下がる思いだ。そして彼女の思いをよく理解し支えているのが夫君の高岩ヨシヒロ氏。夫婦二人三脚で共に歩き、共に戦う姿勢は感動的で、美しい夫婦愛の物語としても読める本である。 富田氏は漫画家という自身の職業に誇りを持っており、漫画家としての特性を生かした独自のスタンスによる活動を展開している。在特会やチャンネル桜などの”行動する保守”を支持し応援する立場ながら、完全に”中の人に成りきらずにある程度の距離を置いている。「漫画家という性質上、半「活動」・半「取材」の目で見ている」(5p)と本人は書いていて、熱い心で戦いつつもその視座はあくまでも冷静である。「私の仕事は「フィクション」で喜ばせること」(259p)とも書いていて、あの『日之丸街宣女子』にしてもモデルは実在の団体・個人ながら作品自体は純然たるフィクションであり、あくまでもエンターテイメントであることを理解しておくべきだろう。 富田氏は言い切る。「生まれ育った国が好き、ただそれだけのこと」(97p)と。そう、ただそれだけでいいのだ。自分の生まれ育った国を愛するのに小難しい理屈は必要ないのだ。

    金山寺味噌 さん

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